律「……」
澪『自分から電話かけてきたくせに、やけに暗いな』
律「…そ?」
澪『うん お通夜ムードだ』
律「ああ…私、死んじゃったからなー……ははは」
澪『やめろバカ!』
澪『……何かあったの? 律』
律「……」
~
律『…菫ちゃんは、犬なんだろ?』
律『それに、嬉しいんだろ? そんな自分が』
律『だから見せてくれよ…私だけに見せてくれよ。ムギじゃなくて、私に!』
~
律「私が、バカだったよ。あはは」
澪『はぁ?』
律「ごめん、澪。私、用あるから」
澪『え、ちょっ、り――――』
ピッ
律(菫ちゃんに謝らないと)
律「頼む、出てくれ…」
Prrr、Prrr
『おかけになった電話番号は』
律「…出ない。仕事中だからか?」
律「一応、メールもしておこう……」
律「はぁ……」
律「何であんなところで私」
律「おかしいよ、私……」
律「バカとかじゃない、アレはキモかった」
律「完璧引かれたぁ…てか幻滅されたんじゃないか…」
~
菫『律さ~ん!』
菫『律さんが似合うよって言ってくれたから……だ、ダメでしょうか』
菫『それは、素敵ですね!』
菫『……あの、またこうやって私と遊んでもらえますか?』
菫『さようなら、律さん』
~
律「うぅ、ごめん…ごめんなぁ」
次の日
律「」ボケー
唯「今日もボーっとしてるね」
梓「律先輩何かあったんでしょうか?」
澪「あったんだろうな」
唯「澪ちゃんもわかんないの?」
澪「うん。でも」
澪「今回は放っておこう」
唯・梓「え?」
唯「も、もしかして全然心配じゃない?」
澪「そうだと言えばウソになっちゃうけど、なんとなく」
澪「これは律だけの問題なのかなって」
梓「……」
唯「難しいお話だねぇ。あずにゃんあっちで遊ぼっか」
梓「~……」
紬「はーい、お待たせ」
唯「お茶じゃー! お茶がきたぞー!」
紬「あれ、唯ちゃんはいらなかった?」
唯「えぇ!?」
律「……」
「……」
梓「あ、あ、じゃあ私が唯先輩の分までいただいちゃおうかな~…なんて」
チラッ
律「……」
梓「あー…えっとー…」
「……」
(気まずい――――!)
紬「り、りっちゃん?」
律「……え、あ、はい」
紬「どうかした? お腹、痛い?」
律「いや、別に」
律(結局メール返ってこなかった)
律(許してもらえないのかな)
律「はぁ…」
唯「りっちゃん元気出して~…」
律「うん…」
唯「ムギちゃーん…」
紬「困ったわぁ…」
律「……」
数日後
律「ああ、いい天気だなぁ」
律(それに比べて私の心は雨ザーザーだよ)
律「……」
キョロキョロ
律「!」
律(無意識にムギと菫ちゃんを探しちゃうな…)
律「いつもこんな天気のいい日に会ってたから」
律「…なぁ、何で今日に限って会えないんだよ」
律「会いたいよ……」
律「どこだよ、どこ!」キョロキョロ
律「謝らせてくれよ! 私に!」
律「うぅ……」
ギュッ
律「!」
「だーれだ?」
律「す――――!」
バッ
律「……お前」
澪「おっす」
律「何お前っ、似合わない事してくれてんだよー!!」
澪「た、たまにはいいだろ!」
律「まったく……」
澪「こんな所で何1人でブツブツ喋ってたんだよ」
澪「律、不審者みたいだった」
律「ああ、そ…」
澪「律らしくもない。メソメソして」
律「明るい私は最近死んだよ」
澪「ザオリクかけてあげる?」
律「教会に連れていってくれた方が嬉しいかな」
ス
澪「おい、どこ行くんだよ?」
律「決まってんだろー 帰るんだよ」
律「ただの散歩だし、これ。飽きたから帰るの」
澪「帰っちゃうの」
律「そう」
澪「ねぇ、律」
律「何よ?」
澪「私の散歩に付き合ってくれないかな?」
律「…澪の?」
澪「ああ」
澪「んー、今日はいい天気だな! 律っ」
律「最近はもっぱら天気いい」
澪「そうなの? 最近私部屋から出てなかったから」
律「ヒッキーだな、ヒッキー」
澪「だって部屋落ち着くんだもん」
律「インドア派だなぁ」
澪「律はしょっちゅう外に出たがるよな。じっとしてられないのか?」
律「まぁ…」
澪「私たちって正反対だよなぁ」
律「……」
澪「律?」
律「あのさぁ!」
律「さっきから何がしたいんだよ お前は!」
澪「何って」
律「ワケわかんない話ばっか振ってきやがって!」
律「私を苛立たせて楽しいか!?」
澪「別にそんなつもりは…」
律「ちょっと空気読んでくれよ…! 私だってイラついてる日もあるんだ」
澪「…ごめん」
律「……じゃあな」
澪「律ー」
律「なにっ!?」
澪「えいっ」プニ…
律「……は?」
澪「…ぷぷっ」プスー
澪「律のほっぺ、柔らかいよな」プニプニ
律「あっ、あ……あ……」プルプル…
へなへなへな
…ペタン
律「」
澪「どうした?」
律「あ、あきれてんだよ」
律「お前 今日はどうした…」
澪「別にどうもしないな」
澪「ただ、律を元気づけてあげようかなって」ニコ
律「え…」
澪「どう? 少しは気も緩んでくれた?」
律(澪……)
澪「あんな電話くれておいて、水臭くないか?」
律「ごめん」
澪「全く」
律「……どうして凹んでるか、とかは聞かないの?」
澪「しーらない」
律「…そっか」
澪「うん」
律「にしても」
律「もう少しまともな励まし方っていうか何というか」
律「お前、本当に不器用だよなぁ」
澪「う、うるさい!」
律「っ、ふ、あはははは!」
澪「…くすっ」
スーパー
律(澪には今度ちゃんとお礼言わなきゃなぁ)
律(澪のお陰で諦めきれなくなった!)
律「菫ちゃん…!」
うろうろ
律「!」
?「……」
律「あの後ろ姿っ」
タタタタッ
律「菫ちゃ――――」
紬「え?」
律「…む、ムギ?」
紬「ああ、りっちゃん!」
律「…ムギ、こんなとこでどうした?」
紬「えっと、ちょっと探し物があって」
律「探し物?」
紬「魚肉ソーセージ」
律(またか)
律「ムギが食べる為? それともお茶受けに出すとか」
紬「え、りっちゃんはソーセージでお茶を飲むの!?」
律「いや冗談です…」
紬「な、なんだぁ」ホッ
律「それで?」
紬「あ、そのね」
紬「たくわんにあげる為に、ちょっと」
律「たくわんに?」
律「それって、菫ちゃん?」
紬「菫ちゃんのこと知ってたの!?」
律(チョクチョク散歩途中で会ったろ)
律「ムギには内緒にしてたけど、何度か会ったんだ」
紬「……もしかして菫ちゃんが時々出かけたり、遊びに出たのって」
律「私と会うため」
紬「そうだったんだ…」
律「……お、怒った?」
紬「え、どうして?」
律「えっ、いや…」
紬「菫ちゃんは使用人でもあるけど、普通の中学生の女の子でもあるもの」
紬「少しぐらい羽を伸ばしてほしいと思ってるわ」
律「そ、そうなんだ」
律「そういえば」
律「菫ちゃんも魚肉ソーセージ探してた。何でかわかる?」
紬「そうなの!?」
紬「そう…あの子が」
律「?」
紬「あー、あの…あのね、りっちゃん。その…」
紬「明日、時間あるかな?」
律「え、明日? 別に予定はないけど…」
紬「よかった」
紬「少し、私の相談に乗ってもらえないかな」
律「ムギの?」
紬「うん」
律「……わかった」
紬「あ、ありがとう。りっちゃん」
律「その代わり」
紬「え?」
律「す、菫ちゃんに会えないかな」
紬「あ…」
紬「うん。わかったわ」
律「ありがとう……そういえば」
律「今日は、たくわんと散歩しなかったんだな」
紬「……」ニコ
律「それじゃあ、明日。お邪魔させてもらうな」
紬「…うん」
―――
律「澪と別れてそんな事が」
澪『一々私に報告しなくても』
律「いや、ここまで来たらほら…なんか」
澪『あー』
律「とにかく明日、ムギの家に行く」
澪『…着いてきてほしい?』
律「ううん、たぶんこれは私の問題ー……ていうかムギのか」
律「だから、澪はお留守番」
澪『はいはい』
澪『結果、楽しみに待ってていいのか。お土産話』
律「ん、任しとけ」
澪『……うん。じゃあね、律』
ピッ
律「うおおおおおおおおおっ、ファイト、私ー! おー!!」
『姉ちゃんうるせぇっ!!』ドンドン
最終更新:2011年11月14日 20:38