――ファミレス――
店員「いらっしゃいませ! 何名様でいらっしゃいますか?」
マゴ「2人で」
店員「二名様ですね。おタバコのほうはお吸いになられるでしょうか?」
マゴ「えーっと」
ときど「絶煙するんだろ? 今回からは俺も全力で協力するぞ。禁煙席でお願いします」
店員「かしこまりました。こちらの席で――って、もしかしてときどさんですか?」
ときど「はい。そうですが?」どやぁ
店員「あの、ファンなんです。がんばってください!」
ときど「むぁかせなさい!」
マゴ(俺は?)
店員「ご注文がお決まりになられたらお呼びください!」
ときど「いやぁ。これがブゥロですわ! 谷口さん素晴らしい」
マゴ「いい気になってんじゃねえぞ!」震え声
梓(あれ? あの人たちもしかして……)
ときど「ブゥロの力!」
マゴ「うっせーよ! とっととメニュー決めろ!」
梓「あ、やっぱりそうだ。マゴさーん、ときどさーん」
ときど「あれ? 梓ちゃんじゃあーりませんか。なに、このブゥロにお話でも?」キリッ
梓「えと、軽音部の皆でごはん食べに来たんですけど空いてなくて……ここいいですか?」
マゴ「あれ? 唯ちゃんたちはもう卒業したんだよね?」
梓「はい。なんで、今年は新生軽音部です!」
ときど「それならそうと早く言いなさいよ! さあさ、このブゥロの隣が空いてますよ!」
マゴ「まあ、そういうことだからさ。広い席だから人数的には大丈夫だよ。俺、ときどのほう行くから」
梓「ありがとうございます! みんなー! ここ大丈夫だってー!」
憂「よかったー。こんなに混んでるから、他のお店にしようかってところだったよ」
純「まったく、梓の人脈は素晴らしいね」
菫「あの、失礼します」
直「――」ぺこり
ときど(これまたみんな可愛いな。ときどさんの素晴らしさが引き寄せてるかな)にやっ
マゴ「はい、メニュー」
憂「どうも。……私は、ハンバーグにしようかな」
菫「私は、私はー、えーっと」
ときど「ここは俺のおごりだから、バンバン食べな!」
マゴ「ごちそうさまです」
ときど「馬鹿野郎! お前は払えよ」
マゴ「なんでだよ! 男女干瓢だろここは!」
ときど「当たり前だろ! それに男女平等だ!」
マゴ「知ってたし!」
梓「あの、マゴさんたちは決まりましたか?」
マゴ「オッケーオッケー。おいときど! てめえも決めろよ!」
ときど「ワタクシはマーダーステーキで」キリッ
憂「クスクス」
梓「クスクスクス」
ときど「!?」
マゴ「なあ、やっぱりマーダー○○ってネーミングはだせーって」
ときど「そんなことないと思うんだけどなぁ」
菫「……あの、お二人は一体どなたなんですか?」
梓「あ、菫と奥田さんにはまだ紹介してなかったね。茶髪の人はマゴさん。黒髪の人はときどさんって言って
ふたりとも、ウメハラ先生と同じプロゲーマーなんだよ」
菫「ああ、あのお嬢様が言ってた――」
純「お嬢様?」
菫「――げふんげふん! 如雨露の話ですよ!」
直「なにそれ……」
梓「とにかく、去年から私たちによくしてくれてるんだ。すごく良い人で面白い人だよ」
菫「そうなんですか。失礼しました。私、
斉藤菫といいます。以後、お見知りおきを」
直「奥田直です。どうぞよろしく」
マゴ「おう! この子たちが新入部員か!」
梓「はい。それに、純と憂も入ってくれたんですよ!」
純「ども!」びしっ
ときど「憂ちゃんは格ゲーやり続けてもいいんじゃない? 間違いなくプロ目指せるよ!」
憂「それもいいんですけど、やっぱり梓ちゃんと一緒にバンドがやりたかったんです。だから、ゲームは趣味
ってことで!」
直「平沢先輩って、ゲーム得意なんですか?」
梓「去年の世界大会で、ウメハラ先生に次ぐ第二位だったんだよ」
純「私もその話は聞いただけだったけど、すごかったみたいだよ」
憂「もー、やめてよ梓ちゃん、純ちゃん」
マゴ(なお、俺も聞いただけの模様)
ときど「今年の世界大会は行くの?」
憂「まだ考え中です。ウメハラ先生が行くなら、それに着いて行くかもしれませんね」
マゴ「今年は俺も行くからさ! 一緒にがんばろうぜ!」
直(やっぱりこの部活ってすごいな。いろんな意味で)
ときど「今年は6月に京都で全国大会もあるし、それもたのしみだね」
梓「全国大会?」
ときど「うん。6月の頭……そうそう、4日だ。その日にスパ4AEの全国大会があるんだよ」
純「その日って……京都に修学旅行じゃん!」
梓「そういえばそうだ!」
ときど「それじゃあ見に来れるかもね。流石にウメさんは来れないだろうけど、代わりに俺が!」
マゴ「いやいや、俺が優勝するよ」
ときど「伝説の日和りを見せることになるんじゃない?」
マゴ「その話はやめろ!」
純「絶対見に行きます! いやぁ、私もゲームの大会に興味があったんだよね。憂はでないの?」
憂「時間が読めないから、今回はパスかな。マゴさんとときどさんの応援をするよ」
梓(最近委員長と部長の仕事が忙しくてウメスレ見てないからな。情報が遅れちゃったよ)
菫「帰ってきたらお話聞かせてくださいね」
梓「もちろん!」
憂「修学旅行の楽しみが増えたね」
純「うん!」
店員「ビーフシチューのお客様、チーズハンバーグのお客様、マ、マーダーステーキのお、お客様……」フヒヒッ
ときど「お、みんなの分が来たね。それじゃあ、いただきます」
梓憂純菫直「いただきます!」
――そのころ――
ドア「がちゃ」
ウメハラ「……ふぅ」
ウメハラ「さて、授業の準備しないと」
ウメハラ「流石に堪えたな……」
ウメハラ「えと、明日は小テストだからテストを作成して、修学旅行についてのプリントも作らないと」
ウメハラ「今は――11時か。1時には終わらせよう」
パソコン「ブイーン」
ウメハラ「あれ? 着信があったのか。新宿は圏外だから、こういうのが不便だな」
ウメハラ「もしもし、山中先生ですか。どうしました?」
さわ子『もしもし。梅原先生、大丈夫ですか? 明日も確か――』
ウメハラ「まあ、大丈夫だと思います。自分で選んだ道ですから」
さわ子『そうですけど……お体に気をつけてください。先生が倒れたら、あの子たちが悲しみますから』
ウメハラ「……そうですね。ありがとうございます。それでは、また明日」プッ
ウメハラ(……いつまでも若いわけじゃないんだな)
――中野宅――
梓「ただいまー」
梓母「おかえり。ご飯食べてきたんでしょ?」
梓「うん。お風呂わいてる?」
梓母「沸いてるわよ。早く入っちゃって」
梓「はーい」
梓父「おかえり梓! ほら、パパにちゅーは!?」
梓「ど、どうしたのいきなり」
梓母「パパ、酔ってるのよ」
梓父「さあ! 小さいころよくしてくれたじゃないか。今も小さいけど!」
梓「とりま民事で」
梓父「こんばんわです♪」ずこー
梓「私だって毎日背が伸びるご飯をもぐもぐしてるんだから、これから伸びるもん!」
梓父「いつまでも小さいわけじゃないんだな」
梓母「当たり前よ」
梓「まったく。お父さんには困ったものだよ」
お風呂「ちゃぷん」
梓「ふー……。やっぱり色んな事を同時にやるのは大変だなぁ」
梓「……ウメハラ先生も、きっと大変なんだろうなぁ」
梓「今日も新宿で対戦してたんだろうな。そのあと、帰って学校の仕事か。大変そうだな」
梓「……それに比べたら、私が大変なんて言えないよね」
梓「どうして、先生を続けることにしたんだろう」
梓「私は、大丈夫なのに」
梓「なんか、よくわかんないや。ウメハラ先生のこと、私、わからないよ……」
梓母「梓ー、シャンプーきれてるから詰め替えといてー」
梓「……うん」
梓「でも、私は最強のプレイヤーウメハラが好きだ。だから、私達を理由に負けてほしくなんてない」
梓「ようし、がんばるぞー!」ザッパァ! ガチャ!
梓父「うわぁ!」
梓「きゃあああああああああああああああああ!!!!!」
…
ドア「ガチャンバタン」
梓「まったく、お父さんめ」
パソコン「ブイーン」
梓「さてと、久しぶりにウメスレチェックでもしましょうかな」
梓「……まったく、相変わらず格ゲーの話してないなぁ」
梓「――ぷっ」ときどAAに笑ってる
梓「最近は目ぼしい配信もないしなぁ。配信中毒者が増えたせいかな」
梓「配信って楽しいのかな。部屋でつぶやいてる独り言を世界中に配信してるなんて信じられないよ」
梓「まあ、いいや」
ウメスレ民「6月の全国、メンバーがかなりやばいらしい」
ウメスレ民「久しぶりの個人戦の全国だしな。ガチメンバーできてる」
ウメスレ民「マゴ、ときど、sako、ももち、RF、金デヴ、ネモ、かずのこ……すげえメンバーだな」
ウメスレ民「だからこそウメがいないのが残念だなぁ。ウメがいるだけで大会の価値がバク上がりだろ」
梓「……寝よう」ブツッ
梓「ウメハラ先生、出たかっただろうな」
梓「修学旅行と被るなんて、最悪だよ」
梓「それを知らないで、あのスレは……」
梓「ああ、ばかみたいだ! 寝よう寝よう!」
布団「バサッ」
梓「今日は久しぶりにときどさんたちに会えてよかったな……」
梓「……」
梓「眠れない」
梓「テレビでもつけよう」パチッ
梓「……イカ娘か。マゴさんも見てるのかな」
梓「先輩たち、元気にやってるかな」
梓「……」
梓「――」ブツッ
梓「……」すーすー
――翌日・3-2――
梓「おはよー」
憂「梓ちゃん、おはよー」
純「おはようチビ助」
梓「いきなりなにさ。モップ頭」
純「ウフフフ。今日の日本史、テストだよー。理系の梓さん、大丈夫ですかー」
梓「問題ないよ。私、しっかりやってますから」
憂「梓ちゃんえらーい」なでなで
梓「なでないでよ」
純「あらあら、それじゃあ勝負でもする?」
梓「いいね。それじゃあ、負けた方は今日の昼休み、全速力でゴールデンチョコパン買ってくること、いいね」
憂「おもしろそー。私も参加していい?」
純「もちろん。よーし、憂と梓のいずれかに、チョコパン買ってきてもらうからね!」
梓「それはこっちのセリフだよ。純と憂、覚悟しなよ」
憂「私、他人が買ってきたパンを食べるのが夢だったのー、なんてね」
ドア「がらり」
ウメハラ「朝のホームルームを始めまーす」
梓「……と、それじゃあまたね」
純「ほいほい」
憂「ハイホイハーイ」
梓「きりーつ、れーい」
ウメハラ「今日の連絡事項なんだけど、放課後に学年集会。修学旅行についての説明があるからね」
さわ子「……」
梓(なんでさわ子先生が教室の外から見てるんだろ……。暇なのかな)
さわ子「――」
ウメハラ「それじゃあそういうことだから、このまま一限の日本史の小テストするよ」
さわ子「!?」
梓(なんだ出待ちか)
純「今回のテスト簡単ですかー?」
ウメハラ「いや、なんか、すげー楽だったんですけど……」
純「いや先生が解いた感想じゃなくて……それに作ったの先生なんだからそりゃあ簡単でしょう」
生徒A「答え教えてください!」
生徒B「いやそれはないでしょ」
生徒C「せやな」
純「せんせー!」
ウメハラ「あんまりいじめちゃ可哀想だよ」
純「だれが!?」
ウメハラ「俺が」
純「先生がですか!」
梓「いつもテスト前は焦りまくってるくせに、今日はこの余裕……まさか本当にやりこんでるのかな」
憂「はい。梓ちゃん」
梓「ん。うわ、結構難しいっぽい」
ウメハラ「はいよーいスタート」
梓「むむむ……」
梓(そういえば、私日本史得意じゃないんだよね。しかも昨日ほとんど勉強してないし)
純「♪~」
純(いやー、昨日はファミレスから帰った後から勉強しててよかったー。アニキ様様だね)
憂「……」
憂(簡単簡単!)
ウメハラ「死にゃーしないって思えばなんでもどっしり構えて割り切れるでしょ。俺は日常でもそうしてる」
梓(なぜこのタイミングで名言を……)
純(しかも結構いいこと言ってる)
憂(今日のお菓子はホットケーキだよ~)
ウメハラ「あと2分。もうやばいよ。ピーク終わっちゃうよ。早く出てこいよ、熱い奴」
純(なんの話してるんだろう……)
梓(……もう駄目だ。確か500円だったよね。ゴールデンチョコパン)
憂(そういえばここ、お姉ちゃんと同じ席だ)
ウメハラ「はいおわり。それじゃあ今から採点するから、終わるまで自習ね」
梓「全然できなかった」
憂「あはは。どんまい、梓ちゃん」
純「完全勝利!」
ウメハラ「――」さらっさらっ
憂「あ、ところで梓ちゃん。今日の部活どうする?」
梓「学年集会だったね。どうしよう。やる?」
純「やるにしたって、奥田さんとスミーレ待たせることになるじゃん。それは気がひけるよ」
梓「ただサボりたいだけじゃなくて?」
純「サボるって。部活しても殆どお茶の時間で練習してないじゃーん」
梓「そ、そうだけど!」
憂「うーん。それなら、お昼休みに部室に集まらない? お菓子持って来ちゃったし、スミーレちゃんと奥田
さんにも伝えないといけないしね」
梓「そうだね。そうしようか」
ウメハラ(……)
最終更新:2011年11月16日 00:27