自室
梓(けいおん!フェアから2日経とうとしている)
梓「さすがに明日辺りからはグッズが減り始めるとみた……!」ウィーン
梓「やっぱり、vipでもそんな情報が」カチカチ
梓「しかしクリアファイルはまだ余ってると……ぷぷ、転売厨ざまぁ」
梓「……
カオス分が足りてない。この人たちだってそう思ってるはずだよね」
梓「こんなのじゃ満足できない! でも」
梓「グッズが色んな人に行き渡るのは悪い事じゃない」
梓「何なんだろう、私」
『引きなさい、くじを引きなさい……』
梓「くっ、うるさい……!」
プルプルプル
梓「手が、手が震えている……これは禁断症状?」
梓「ぐぅっ! し、静まって私……ダメ……!」
ピロリン
梓「ゆ、唯先輩からメール?」
『ムギちゃんがくじ引いたよ! こんなに色々当たったんだって! じゃーん』
梓「!!」
梓(写メを見てみると、そこには)
梓「可愛い可愛いけいおん!グッズたち……う、うう!」
梓「……ダメぇっ」ス
ガチャガチャ
梓「貯金箱! 中身は、2000円……!」
梓「一回600円、なら3回引ける……そして財布の中の200円」
梓「プラス200円加えれば4回!! お、お母さんー!」
―――
梓「うぅ、外寒いっ」
梓「さすがにこんな夜遅くに出ればそうだよね……」
梓「でも私は引くんだ! 一番くじを!」
梓「自分に素直に、抑えつけるな。そうですよね、澪先輩!!」
梓「とぉー!!」
「らっしゃいませー」
梓(この店、もうクリアファイルが置いてない)
梓「余裕ができたから1ついただこうと思ってたのに」
梓「まぁ、いい。店員さん、一番くじを」
「は、一番くじ?」
梓「けいおんの一番くじです。ありますよね」
「少々お待ち下さいね」
梓「まさか……いや、まさかね」
「申し訳ありませんが今日の昼頃に買い占めていかれた方がいまして」
梓「」ドクン!
梓「はぁはぁ」
梓「次、次のローソンへ!」
・・・
梓「一番くじを!」
「売りきれちゃいましてねぇ」
・・・
梓「引かせてください!」
「あ? ねぇよそんなもん」
・・・
梓「隠してもあなたの為になりません」
「だったら隠してません」
・・・
梓「……ない。くじがない」
梓「どこも売り切れだよ!」
梓「寒い、寒すぎる」ガタガタ
梓「もうどこにも置いてない? まさかそんなわけ」
梓「……」
梓「こうなったらヤケクソです。隣町までちょっくら」
梓(大丈夫。まだ0時を切ったばかり! 余裕余裕!)
梓「最悪、明日の学校休むし!」
梓「ゴーゴー私! さぁ、進め!」
警官「そこの自転車止まりなさーい」
梓「げっ」
梓「しょ、職質ですか。拒否します……」
警官「いや、職質じゃなくて」
梓「危ない物なんて持ち歩いてません! 触って確認してくれても構いませんから!」
梓「だから行かせてください! ローソンが、一番くじが私を待っているんです!」
警官「ローソン? くじ? はぁ、よくわからないよ」
警官「ダメじゃないか。君、未成年だろ? こんな時間にうろついてちゃ」
梓「それは……よくないことかもしれません」
梓「でも、今しかない! 今この瞬間が大切なんです!」
梓「わかりませんか!?」
警官「ちょっとわからない」
梓「でしょうね……」
警官「とにかく、ちょっと交番に来なさい」
梓「い、嫌っ」
警官「体震えてるじゃないか。そんな薄着で寒いんだろう?」
警官「おいで、交番の中暖かいから。きっと落ち着く」
梓「体は落ち着いても心は落ち着きません! 拒否します!」
警官「弱ったなぁ……(苦笑)」
梓「いいじゃないですか。ただ、コンビニに行くだけですよ」
梓「何がそんなにダメだと言うんですか、お巡りさん!」
警官「青少年、少女がこんな時間に外にいるのがあまり思わしくない」
梓「ふん……これ以上この話は無駄です! どうか見なかった事にして私を行かせて!」
警官「ちょっと無理。これ以上グダグダ言ってると、怒るぞ」
梓「これだから公務員は……」
あずにゃん、連行
交番
警官「はい、お名前は?」
梓「……」ムスッ
警官「ちょっとぉ」
梓(いつもいつもこうだ。不幸はいつも重なる)
梓「空しい」
警官「そうか」
警官「仕方がないから、今日の所は帰りなさい。車で送ろうか?」
梓「いえ、大丈夫。ちゃんと家に帰りますから……」
警官「そう?」
梓「はい。それでは……うわっ!?」
ドドーン
梓(あれは……まさしく、そう)
梓「けいおん!一番くじ……」
ドド ドドド ドドド ド
警官「ああ、ソレかい? あれは同僚が今日大人買いしてきたもんなんだって」
警官「引いちゃった? だろうなぁ(苦笑)」
梓「い、いえっ、そんなことは全く!」
梓(欲しい!!)
梓(手を伸ばせばすぐに手に入る距離)
梓「ああ……」スゥ
警官「あ、触ったら俺が怒られちゃうかもだから勝手にそういうのやめて!」
梓「」ピタ
梓「はい、すいません」
梓(またあの時の様にタダでもらえるかなんて思って)
梓「私って、ズルい……」
警官「ん?」
梓「いえ、何でも。それでは失礼します」
次の日
憂「梓ちゃん何だか眠そうだね。大丈夫?」
梓「ん」
純「反応も薄いし、どうした梓ー?」
梓「……昨日の夜、くじ引くためにローソンを回ったの」
「!?」
梓「でも結局見つからなくて。それで悶々してよく寝れなかった」
純「目が覚めたね、梓!!」
梓「はぁ?」
憂「梓ちゃん昨日までくじはもういいって言ってたよね?」
純「そうか、そうか。梓はやっぱりそうだったか」ウンウン
梓(何がなんだか)
梓「まぁ、衝動的に引きたくなっただけってのもあるけど」
梓「今は……とっても引きたい。けいおん!一番くじを」
梓「その気持ちにだけは、私は嘘をつかないよ!」
梓「でも肝心のくじが見つからないには始まらないよ」
純「そっか。さすがにそろそろグッズも売れてきた頃だし、見つけるのも一苦労」
純「任せて梓!」ドン
純「あんたの為に私が一肌脱いで、売ってる所調べる!」
憂「じゃあ私も! 安心してね、梓ちゃん。きっと見つかるよ」
梓「ふ、2人とも……」
梓(2人がこんなにも頼もしい。ああ、私はなんて幸せ者なんだろう)
梓(不幸も続けば幸も来る。2人のためにも、私は何としてでもくじを引かなきゃ!!)
梓「やってやる……私の意地、見せつけてやる」
燃える梓。その瞳にはかつて失ったドス暗い欲望。
その手で、再びくじを引く事はできるのだろうか。
「ありがとうございましたー」
純「ダメ、ここも全滅。やられちゃってるよ」
憂「このお店じゃ、人の入りも多いしね……」
梓「まだ、まだ行ける」
憂「やっぱり車じゃなきゃ行けないような所のローソンがまだ」
純「バス使う?」
梓「……バス代に出すお金が勿体ない。これはくじの軍資金」
梓「行くとしたら自転車を使うよ! 徒歩じゃ間に合わない!」
憂「梓ちゃん、燃えてる……」
梓「これよ。私はこれを求めていた……超ギリギリのデッドオアライブ」
梓「そしてけいおん!に対する愛。まだこの心には灯っている……」
梓「叫んでいい!?」
純「何で!?」
梓「わあああああぁぁぁぁーーーーーー!!」
あずにゃん、吼える
梓「一番くじはありませんか!?」
「ああ、リラックマの売れ残りのなら」
梓「結構です!!」
・・・
純「ありませんか?」
「うちの店舗じゃ扱ってないねぇ」
純「でもあそこにポスターが」
「あ、アレ欲しい? 良かったらあげますよ」
純「え、マジ! やたー!」
・・・
憂「もしかして売り切れちゃいましたか……?」
「あるにはあるけど、あとはストラップが3つ程度」
「600円出してくれましたら、好きなの選んで構いませんよ?」
憂「あ、いいです」
憂(これじゃあ梓ちゃんも満足しないよね……)
・・・
「箱買いされちゃいました。てへぺろ」
梓「ちっ……!」
「ざっしたー」
憂「どうだった?」
梓「」フルフル
純「無かったかぁ」
梓「……2人とも、ありがとう」
梓「もういいよ。後は私だけで探す」
憂「そ、そんな!」
純「ここまで来たら最後まで付き合うって!」
梓「いいの。もう遅いし……それに」
梓「これは私とローソンとの戦争。2人を巻き込めない」
純「梓……わかった」
憂「応援してるね。きっと見つかるよ!」
梓「うん……!」
梓(このローソンにもない)
梓「もう、諦め……ううん、ダメ」
梓「ここでやめたら憂と純に申し訳がつかない。多々買おう」
「あずにゃん?」
梓「え?」
唯「やっぱり! あずにゃんだ!」
梓「ゆ、唯先輩。どうしてここに……」
唯「えへへ、あのねぇ」
唯「けいおん!の一番くじ引きたくて探してるんだけど、全然見つからなくて」
梓「唯先輩も!?」
唯「てことは、あずにゃんもそうなの?」
梓「え、ええ!」
唯「じゃあ、私たち一緒だね」
梓(これは私だけの孤独な多々買いじゃなかった。唯先輩もなんだ)
梓(唯先輩も……!)
唯「自転車でここまで来たの!?」
梓「へ、変でしょうかっ」
唯「えっと……すごいよ、あずにゃん!」
唯「あずにゃん、そこまでしてくじがやりたかったんだね」
唯「私なんか気持ち的に負けちゃった感じ……」
梓「そんなことないです!」
梓「唯先輩だって寮からこんな離れた場所まで来たってことは、それだけくじに思いを馳せていたんでしょう? なら」
梓「探しましょう。そして引きましょう。2人で」
唯「あずにゃん……! うん!!」
「店内ではお静かにー」
梓・唯「すみませんでしたー!!」ピュー
―――
梓「ダメ。どこにもない……」
唯「全滅だったねぇ……」
唯「これって、ローソンにしか置いてないの? 前はTSUTAYAでも見かけたんだけど」
梓「今回のはTSUTAYAには無かったかと……はっ」
梓「……そうだ。それです!!」
唯「え?」
梓「今まで私たちはローソンに縛られ過ぎていました! ですけど」ピッピッピ
唯「携帯なんかいじってどうしたの?」
梓「見てください。ここです……!」
唯「HMV? でもこれってCDとかDVD売ってるとこでしょ?」
梓「TSUTAYAだってそんなもんです! ここに置いているんですよ!!」
梓「行きましょう。これが最後の賭け……!」
唯「よしきたー!」
唯「絶対、絶対2人で引こうね。くじ!」
梓「はい!」
HMV
唯「今流れてる曲いいねぇ!」ズンズンズン♪
梓「それどころじゃないです……アレを見て!!」
唯「あ~!?」
ババーン
唯「ある……あるよ!? 一番くじ!」
梓「ええ、しかもまだ残っています……まだまだ!!」
梓・唯「やったぁー!!」ギュゥ
梓「……はっ」
梓「でも、まだ……引くまでが一番くじ。見つけて終わりじゃ」
唯「ないよね。よし、トップバッターあずにゃん! 行っておいで」
梓「で、ですけど」
唯「ここはあずにゃんのおかげで見つけられたんだよ。だからあずにゃんが先」
唯「いっけー!」
梓「……はい!」
最終更新:2011年11月24日 03:10