533. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/23(木) 21:16:02.48 ID:eluvqak0
屈折編⑤「不和の果てに」


律が目を覚ます。

  しかし、そこはさっきの機械のある部屋でもなければ、平沢家でもない。

  体が思うように動かず、頭が鉛のように重い…

律「ん……」ペタッ

  額に違和感を感じて手を当てる。  誰かが冷却シートを貼ってくれたようだ。

  ……寝返りを打つ。

  ペットボトルやドラムの本、スティックに風邪薬が視界に入ってきた。

  今更だがここが自分の部屋だと律は気づく。

律(何でこんなとこに……)

律(今何時だろ…?)

律「…?」

  携帯を見た律は何かおかしいことに気づく。

律「…高校の頃の年だ」

律(じゃあ…ここは……私の記憶の…??)

  トントントン

律「!」
534. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/23(木) 21:17:04.19 ID:eluvqak0
誰かが階段を上がってくる音がする。

  慌てて携帯をしまうと丁度足音が止む。

  誰かが部屋の前についたようだ。

  律には何となくそれが誰かわかっていた。

律「みお〜?」

  ガチャ

澪『超能力者か』

  澪が来た、梓達はいない。

律「…・・・」

  澪は何も言わずにベッドの側に座った。

澪『……』

律「……?」

  澪が無言であることに律は違和感を覚える。

  話題がない、というよりは自分を気遣っている感じだ。

律「・・・・・・

①「……」
②「どうした?」
③「薬、取ってくれよ」
535. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/23(木) 21:17:48.45 ID:gTIV172o
536. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/23(木) 21:43:13.37 ID:eluvqak0
①「……」

律「……」

澪「……」

律「……」

澪「……風邪どう?」

  沈黙に耐え切れずに澪が口を開く。

律(頭が痛いのは風邪のせいか…)

律「まだちょい熱ある」

澪「…道理でドラムに力なかったはずだ」

  少しだけ状況がみえてきた。

律「…学祭前なのにな」

  日付から推測してそう言った。

澪「……」

律「……」

澪「…怒ってるのか?」

律「…?」

①ちょっと…
②ううん
③よくわかんない…
537. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/23(木) 21:45:08.11 ID:y2/ksFUo

540. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/23(木) 22:52:12.78 ID:eluvqak0
③よくわかんない…

律「まだよくわかんない…」

澪「……そうだよな」

律「……」

澪「……薬、飲んだ方がいいんじゃないか?」

律「…そうだな」

澪「ほら、水も」

律「ありがと」

  ゴクン

澪「……」

律「……」

  そこから2人の間に再び沈黙が訪れた。

・・・・・
・・・・
・・・
・・



541. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/23(木) 22:54:01.12 ID:eluvqak0
  薬が効いてきたのだろうか、睡魔に襲われる。

律「ふぁあ…」

・・・
・・


  「おじゃましま〜す」

  「りっちゃん、だいじょ・・・

  「しー、今寝かしつけてるところなんだよ」

  誰かの声が聞こえる。

    『……律先輩』ボソッ

  …不意に手に何かがねじ込まれる。

  少ししてみんなが部屋を出て行き、部屋が再び静寂に支配される。





542. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/23(木) 23:49:40.23 ID:eluvqak0
律「……ん」パチッ

  律が目を覚ました。

  もうすっかり日は沈んでいる。

律「…あ」

  手に紙を握っていた。

  短いが何か書いてあるようだ。

  そこには―――

  【日記を探してください、どこかにあるはずです。  
    私もこの世界に来ています。  梓】

律「・・・

①日記を探す。
②寝る。
③澪に会いに行く。
④梓に会いに行く。




543. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/23(木) 23:51:47.16 ID:21UCLwko
545. Are you enjoying the time of eve? 2010/12/25(土) 00:11:11.52 ID:fOmPghk0
①日記を探す。

律「う〜ん…」

律「言われたとおりにするか……

  とりあえず律は机の周辺を探した。

律「…?」

  10分程探して律は首をかしげる。

律「…なんでないんだ?」

  日記をつけていたのは覚えている。

  自分が覚えていないのは火事の当日のことと、おそらくここ1週間のことだけのはずだ。

  なのに…日記が見つからない。

  記憶喪失になってからも両親の勧めで日記を書き続けていた。

  無論、高校時代にもそれはあるはずだ。

  日記は外に持ち出したりしなかった。

  どこにあるのか・・・

①探し続ける
②…誰かが持ってるのか?
546. Are you enjoying the time of eve? 2010/12/25(土) 00:14:07.97 ID:aPtPaAAO

547. Are you enjoying the time of eve? 2010/12/25(土) 00:21:57.96 ID:fOmPghk0
②…誰かが持ってるのか?

律「…誰かが部屋から持ち去った?」

  じゃあ誰が?

律「…あるとすれば・・・

①澪
②唯
③梓
④ムギ
⑤私
⑥家族
⑦…いや、そんなわけない。
548. Are you enjoying the time of eve? 2010/12/25(土) 00:22:20.16 ID:mNLmcaoo
549. Are you enjoying the time of eve? 2010/12/25(土) 00:25:18.21 ID:fOmPghk0
①澪

律「…あるとすれば――澪」

律「…澪か」

  考えれば考えるほどそれが正しいように思えてくる。

  そうならすべての辻褄が――

①合う
②合わない
550. Are you enjoying the time of eve? 2010/12/25(土) 00:25:49.97 ID:pg9IDn.o
551. Are you enjoying the time of eve? 2010/12/25(土) 00:47:39.88 ID:fOmPghk0
②合わない

律「…おかしい」

  律は気づく、澪が日記を隠したでは辻褄が合わない。

  澪がこの時代で日記を隠したところで何の意味もないはず。

  本来、ここは火事が起こる前の世界――日記なんかまた書けばいいし、第一覚えているだろう。

  …そして、梓のメモに澪がこの世界に来ているとは書かれていなかった。

  つまり…澪じゃない。

律「…これからどうしよ・・・

①探しなおし
②梓か?
③唯か?
④家族か?
⑤他の誰か…?
552. Are you enjoying the time of eve? 2010/12/25(土) 00:49:03.06 ID:dECtZ9Io

555. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/25(クリスマス) 23:57:04.00 ID:fOmPghk0
③唯か?

律「…じゃあ…唯か?」

  いや、そんなわけない。

律「……唯でもない。ちょっと落ち着け…」

  唯でも澪でも一緒だ。

  この時代の人間の意志じゃない。

  でも……まだ可能性は残ってる。

①梓
②自分

556. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/25(クリスマス) 23:57:32.50 ID:mNLmcaoo

557. クリスマス終了のお知らせ 2010/12/26(日) 01:12:22.24 ID:p1GM.HA0
②自分

律「…私だ」

律「高校生の私が日記を…?」

  自分の日記を隠す。

  …何の意味があるのだろう?

  ――不意に階下から声がする。

?『姉ちゃーん、頼まれてたやつ買ってきたよー』

  トントン

  階段を上がってきた

?『入るぜ?』

律「おう」

  ガチャ

聡『風邪は……大丈夫そうだな、ほら」

  弟はそう言って書店の袋を渡してきた。

  この時代の私が頼んだものだろう。

律「うい、サンキュー」

聡『……本当に大丈夫か?』

律「?…ああ」

聡『…まあいいんだけど……じゃ――』    

  バタン

律「…何だこれ?」ガサガサ

  袋には新品の日記帳が入っていた。


560. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/26(日) 11:29:41.79 ID:p1GM.HA0
律「……」

  どうしてこの時期に新しい日記帳が必要なのか?

  ・・・考えてもわからない。

  古いのをなくしたのか、それとも…

  …そういえば古い日記帳は押入れにしまってあったはずだ。

  もしかしてそこにあるのかもしれない。

律「……」

  あった。

  段ボール箱に【日記帳】と殴り書きされている。

  …?  だが、少し不自然だ。

  ガムテープでぐるぐるに巻かれ容易には開けられないようになっている。

律「こんな厳重にしたっけ……?」

  違和感を抱きながらも律は箱を開けていく……

////////////

律「…っとこれを剥がして…こっちを解けば……やっと取れた!」

  箱には古い日記帳が何冊か入っていた。

  そして、一冊だけ不自然にくたびれたものがあった。

  …表紙を見るとそれは今年のものだった。

律「…やっぱりか、でも何で?」



  律は日記帳を開いた。
564. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/26(日) 20:31:08.86 ID:p1GM.HA0
律「…!」

  律は驚いた、日記帳はほとんどのページが破られていた。

  残っているのは数ページだけだった。

律「…とりあえず見てみるか」

  残っているページを数える。

  ・・・・・・3ページしか残っていない。

  他にも残ってはいたが判読できそうなのはそれだけだった。

  …1ページ目を開けた。

565. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/26(日) 20:35:14.10 ID:p1GM.HA0
//////////////////////////////

  【4月○日】

  今日から高校2年生だ〜!

  唯とムギが同じクラスだったけど澪だけ1組らしい。

  …あいつ、大丈夫か?(−−)

///////////////////////////////

律「…!」

  急に激しい頭痛に襲われる。

  律は頭を抱えながら2ページ目を開いた。

/////////////////////////////////

  【10月×日】

  …やっちゃったな。

  何やってるんだろ私。

  いつもそうかも。

  素直になれなくて…

  …日記にこんなこと書いてもどうしようもないので寝る。

  何か疲れた〜!

///////////////////////////////

律「…!ぐっ!」

  さらに頭痛がひどくなる。

  最後のページを開いた、日付は昨日だ。
566. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/26(日) 21:49:05.26 ID:p1GM.HA0
//////////////////////////

  【△月□日】

  お昼休みに澪の教室に行った。

      。        (      #


        ;:、・


                      ”
  ……澪ごめん



        *

                :・」


        ;、

////////////////////////////

そのページは涙の跡でほとんど読めなくなっていた。

  律「ぐっ…!」

  あまりの痛みに律は気を失った。

・・・・・・

  コンコン

律「…ん……」

  ドアを軽く叩く音で目が覚める。

聡『姉ちゃん、起きてる?…治ったなら下に来い、って母さんが言ってるけど?』

律「う〜ん…まだ無理かも…」

聡「りょーかい」

  トントン

  聡が階段を下りていく。

・・・・・・・・・
567. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/26(日) 21:49:47.06 ID:p1GM.HA0
律「…そういうことか」

  …少しだけ思い出した。

  2年の学祭前、私が澪と・・・の仲がいいことに・・・?

  澪と…誰だっけ?

律『…???』

//////////////////////////

568. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/26(日) 21:50:23.47 ID:p1GM.HA0
//////////////////////////

  俺の人生は8年前から始まった。

  というのも、それより前のことは一切覚えていないからだ。

男「……」

  『もうすぐご飯よ』

男「…うん」

  この女性は俺の母親だろうか?

  トントン

  誰かが階段を下りてくる。

男「あっ…」

  …8年前、病院のベッドで目覚めた時、初めて視界に入った顔が現れた。

男「…よ、よう」

女「…?」

/////////////////////////////
571. 以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2010/12/27(月) 11:15:21.85 ID:jQul3/I0
女「…今日のご飯はなに?」

  『……ごめんね、今日お母さん用事があるから…』

女「え〜」

  【いいわ、私が作るから】

  別の女が現れてそう言った。

  【カレーにするわ】

女「わ〜い!」

男「……」

////////////////

女「ねえ、とらんぷしよ〜」

  【ごめんね、学校で使う書類を作らないといけないの】

女「え〜」

  【今日は早く寝なさい?】

女「は〜い」

女「…ほら!寝よ!?」

男「…ああ」

//////////////////////

  ・・・ん?

  ここは?

唯『ほら、次はブランコだよ?』

憂『まってよ〜』

女「ほーら!お姉ちゃん、先行っちゃったよ?」

//////////////////////////

男「……ん?」

男「夢?」


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最終更新:2011年11月25日 22:16