- 606. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 02:21:28.09 ID:/fOjaeY0
- ②好きな子がいなかった
…正直に言うことにした。
「…幼馴染が違うクラスで……他に知り合いもいなくて」
恵「…そう…でも、それはしかたないことよ?」
…自分でもわかってる、わかってるんだけれど―――
バン! 机を叩いてしまった。
『わかってますよ!!!』
恵「……」
「でも…何だか今年は急にさ、寂しくなって…あれ?…涙が…
…友達とクラスが違うだけで泣いてしまうなんて…本当に私、疲れてるのかな――
恵「……やっぱさっきのは無しね」
「…?はい?」
恵「…休憩は無し、お説教よ」
「…はい」
恵「ここじゃアレだし、移動するわよ」
「…はい」
先輩は教室を出る時、たまたま近くにあったポットを掴んだ。
恵「…まだ生徒は登校してきてないし…どこにする?」
「…そうですね・・・・・
①2年1組
②2年2組
③生徒会室
④音楽準備室
- 607. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 02:23:27.24 ID:nmXBSvoo
- ③
- 608. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 02:48:52.90 ID:/fOjaeY0
- ③生徒会室
…長引いても人が来ないところがよいだろう
「生徒会室にしませんか?」
恵「あら?気を使わなくてもいいのよ?」
「…いえ」
恵「…そう…じゃあ行きましょう?」ニコッ
そんな笑顔になられても…
//////////////////
ガチャ
恵「鍵は開いてるわね、さぁ、座って」
「はい」
恵「じゃ、早速――
お説教、か…まぁ高校生にもなってあれでは当然か
「…さっきはすいませんでした、ちょっと疲れてて、ご心配をおかけして申し訳ありません」ペコリ
恵「…………」
やはり怒っているのか…
「あの…
恵「…ぷっ」
えっ?
恵「ふふふ…まさか、お説教って真に受けてたの?」クスクス
…どういうことだろう?
恵「…もう、面白いわね、お茶にしましょ?折角ポット持ってきたんだし」
「は、はぁ」
///////////////////
- 609. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 02:49:20.97 ID:/fOjaeY0
- ///////////////////
恵「…ねぇ」
しばらく無言でお茶をしていたが、やがて先輩が口を開いた。
恵「…クラスが離れちゃったのって…唯ちゃんって子?」
…どうして知っているのだろう?
「…どうして知ってるんですか?」
恵「…あなた、いつも楽しそうに話してたじゃない」
「…?名前は言ってないはずですけど……?」
恵(!やばい…ファンクラブのことがばれる)
恵「…ま、まぁ、それは人づてに…ね?」
「そうですか」
恵「…じゃあ…本題だけど」
「…はい」
恵「…その子は高校まで部活をやっていなかったのよね」
「…はい」
恵「…で、急にギターを始めて軽音部に入った、と」
「はい」
恵「…で、あなたもほぼ同時期に生徒会に入ったと」
「はい」
恵「…ところで……あなたはその唯ちゃんの面倒を見てたのよね?」
「それは・・・
①はい
②いいえ
- 610. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 02:53:48.45 ID:oNpXmkwo
- ②
- 611. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 03:55:25.43 ID:/fOjaeY0
- ②いいえ
「いいえ」
恵「……」
そうだ、先輩に聞かれてようやく気づけた。
私が唯の面倒を見ていたのではない。
私が唯に依存していたのだ。
唯はとっくの昔に私の助けなんかいらなくなってたんだ。
さっきの涙がその証拠じゃないか。
唯には私が必要なんじゃない、
…なんだかんだ言いながらも最後には味方になる人間が1人いればいいだけの話なんだ。
中学までは学校で私、家で憂だった。
でもそれは変わった、もう軽音部がいる。
『もう唯に私は必要ないんだ』
声にしてはっきりと言った。
「…いつまで保護者気取りする気だったんですかね?…」グスグス
自分を嘲るように呟いた。
「親って報われないですね、結局最後はどこかへ行ってしまう」
恵「ふふ、そのセリフは何十年後かにとっておきなさい」
- 612. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 03:56:46.10 ID:/fOjaeY0
- 恵「…あなたはただ寂しいだけでしょ?」
「…は、はい」ヒック
恵「…本当は生徒会に入るつもりもなかったんでしょ?」
「……すいません」ボタボタ
恵「…唯ちゃんに部活を勧めたのも本心じゃなかったんでしょ?」
「…そうです」グスッ
恵「ただ、唯ちゃんが本当に部活に入ったから悔しくて、悲しくて、寂しかったんでしょ?」
「…はい」
恵「…それを紛らわすために生徒会に入って」
恵「自分が忙しいから唯ちゃんに会えない、って思い込もうとしたんでしょ?」
恵「本当は向こうにも時間がなかったのに」
「はい…でも…それだけじゃないんです……」グスッ
恵「なに?」
「…て、テストの前に…私に、勉強聞きにこなくなって…く、クラスも同じなのに…」
恵「……」
「…お茶に誘ってこなくなったり……」
恵「…………唯ちゃんも寂しかったんじゃないのかな?」
「えっ!?」
恵「もちろんあなたの方が気にしてるのはわかってるわ」
恵「…でも、幼稚園からの付き合いでしょ? 「もう要らない」なんて私なら絶対思わないわ」
「……」
「わかってます…いえ…わかってるつもりでしたよ」
「…でも…私は怖いんです…目に見えないと…確認できないと…」
「…馬鹿ですよね」
恵「…いや、わかるわ」
「…ありがとうございます…でも―
- 613. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 03:57:50.89 ID:/fOjaeY0
- 恵「でも?」
「これからどんな顔して唯に会えば…
恵「ふふふ…本人に聞けば?」
「は!?」
恵「電話繋がってるわよ」
いつの間にか携帯が抜き取られていた…ってことは――
「ちょ!!…先輩!…まだ…心の準備が・・・・
恵「…まあまあまあまあ」
「そんな…
ピッ
恵「……」
「……」ドキドキ
唯「ほえ?…こんな時間になに〜?」
「え、えっとね…唯…」ドキドキ
(何言えばいいんだろ…)アセアセ
恵(頑張れ!)グッ
唯「……大丈夫なの?」
「えっ!?」ドキッ
- 614. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 03:58:26.58 ID:/fOjaeY0
- 唯「何か元気ないし…涙声だよ?」
「そ、そう?…」
唯「…何があったかわかんないけど…」
唯「私はぜっったいに味方だからね!」
「唯…」
唯「…そういえば最近2人で会ってないね」
「そ、そうね」
唯「…そうだ!久しぶりに2人で出掛けよ!」
「!」
唯「……」
「え、えっと・・・
唯「……もしかして…嫌だった?」ウルッ
電話越しに唯も涙声になっているのがわかる…何やってんのよ…唯に迷惑かけてばっかしじゃない
唯「…生徒会でいつも忙しそうで…もう私なんかと出掛ける暇はない…みたいな…?へへ」グスグス
唯は無理に笑っていた…自分がどれだけ勝手か今ようやくわかった。
唯「…そうだよね…そういえばなんか用事だった?」グスッ
「…そうよ、ちょっと伝えたいことがね」
唯「…何?」
『私、唯が大好きよ、今度一緒に買い物いこ?』
唯「えっ!…本当!?」
「本当よ」
唯「えへへ…やった〜……ふぁあ
- 615. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 04:01:24.29 ID:/fOjaeY0
- ガタン!
「えっ!?ちょっと唯?」
唯「すー すー 」zzzzz
「寝ちゃったのね」
ピッ
恵「その様子だとうまくいったみたいね」
「はい、本当にありがとうございました」
恵「…とりあえず今のクラスで頑張りなさい」
「はい、当然ですよね」
恵「ふふ、わかってるじゃない」
恵(来年のクラス名簿をちょろまかしてあげないと…)
恵「もう大丈夫ね?」
恵「…和」
和「はい」
////////////////////
- 616. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/02(日) 04:05:39.21 ID:/fOjaeY0
- 和(ここか)
私は唯のいない教室についた。
まだ誰も来ていない。
座席を見て、静かに自分の席についた。
しばらくして1人、1人と生徒が入ってくる。
…誰か話し相手になりそうな人がいないか探していた。
そこに彼女は現れた。
さっきまでの私と同じ、重い足取りで。
それが全ての始まりだった。
澪「誰も 知っている子が いない…」
和「…澪ー!」
澪「?」
和「よかったー唯とクラス離れちゃって知っている人がいるか、心配だったの」
和「これから1年間よろし
澪『よろしく!』
- 621. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/04(火) 02:01:07.29 ID:hmskefo0
- 【現実世界にて】
和「・・・・・それが全ての始まりだったの」
私は話し終えた。
妹は何のことかさっぱりわからないという顔をしている。
澪「…」
女「…そうなんだ…?」
和「…後は、律に私のことを思い出させたわ」
澪「…そうか……いや、ありがとう」
和「…お礼なんて……
澪「……」
女「?」
和「…本当にごめんなさい」
澪「…もういいんだよ、あのことは」
女「…?」(もう…お姉ちゃんったら…私にわからない話ばっかして…)
澪「…ところでさ、和は火事から逃げ遅れて、8年間ずっと眠ってたんだろ?」
和「えぇ」
澪「何で今になって目覚めたんだ?」
和「…あなたが何かしてくれたんじゃないの?」
女「ううん、私は事件の真相が知りたくて、今日律さんをここに呼んだだけ――」
女「…やっぱり、偶然じゃない?」
和「…そうね」
女「?」
///////////////////////
- 622. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/04(火) 02:28:59.91 ID:hmskefo0
- 【記憶の世界】
律「……」
唯『ねぇ?2人ともどうしたの?』
梓「何でもないですよ…?」
唯『?』
律「……」
私の記憶はもう殆ど戻っていた。
当然、きっかけはあの言葉だ。
『真鍋和』…高校の同級生だ。
ここで、これから起こるであろうこと以外はおそらく殆ど思い出したはずだ。
なぜ彼女のことだけが思い出せなかったのか?
…考えてもわからない。今出来ることは―――
クシャ・・・・・・
梓がくれた新たなメモを広げる。
―――もうすぐ時間だ。
- 623. あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! 2011/01/04(火) 03:22:26.76 ID:hmskefo0
- 梓「……」サッサッ
律「…」コクコク
梓が合図を送ってきた、時間だということを伝えているんだろう。
私は頷いた。
………席を立つ口実は…トイレということにしておこう。
律「…ちょっとトイレ」
唯『…そう』
唯(りっちゃん何か怒ってるのかなぁ)シュン
ガチャ
廊下に出た。
部屋から声が漏れていた。
「ま、いいや、あ〜ず〜にゃん!」
「にゃ!?ちょっ、唯先輩…」
「おっ!あずにゃんが嫌がらない!?…これはこれは――
律「…相変わらずだな」クスッ
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最終更新:2011年11月25日 22:18