988. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/08/20(土) 01:18:41.30 ID:BIEFf1gNo
①呪いのこと

律「呪い、って何だったんだ?」

純「……律先輩はどんなものだと聞いていますか?」

律「えっと……琴吹家に大昔にかけられたとかなんとか」

純「それは真っ赤な嘘ですよ……本当は

  「もうやめて」

  紬が蚊の鳴くような声で呟いた

紬「……もういい…わたしが…悪かった…やめて・・

純「ムギ先輩、…私はあなたの考えを知ってしまったんです」

純「…もう止めましょう」

紬「……

  紬は何か言いかけたが口を閉じた、交渉の余地がないと悟ったのかも知れない

純「…呪いっていうのはわかりやすく言えば真鍋ちゃんの家に置いたあったあの機械のことなんですよ」

律「!?」

純「……えっと、詳しく説明すると――

純「何十年も前、琴吹家が今ほど大きくなかった頃に一度潰れかかったことがあったんです」

純「その時、それに目をつけたのがあの機械の開発と研究をしていた連中です」

純「…その研究っていうのが、人間の記憶を書き換えたり、消したり、っていうのが目的だったらしいんですよね」

純「…でも、当然そんな研究が堂々とやれるわけがない、その上当時は研究が行き詰まり、隠し通すのも困難になっていたらしんです」

純「そこで研究は中止されることになった、でも副産物であり唯一の成果でもあるあの機械だけはこの世に残したい。
    そう考えた彼らは援助と引き換えに機械を永久に保管する、という取引を持ちかけた」

純「…これは琴吹家にしてみれば正に【呪い】ですよ、生き残る唯一の手段が永久に弱みを握り続けられることなんですから」

律「…その機械はどんな機能を持ってたんだ?」

純「……記憶のリロード…ようは記録を夢みたいな形で見せることくらいですね、まともにできたのは」

純「…ただ、不完全で不安定なだけに、他に使い道があったのかもしれません、こっからは妄想レベルですけどね」

律「…ふーん」

紬「・・  ;・・      …」

純「さて、お次は何を?」

②純ちゃんのこと
③火事のこと

989. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2011/08/20(土) 01:19:46.90 ID:iC4/osXVo
3
990. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/08/21(日) 01:59:19.51 ID:Z6x3dolio
③火事のこと


律「…あの日、結局何があったんだ?」

純「……火事が起こる数ヶ月前、琴吹グループで奇妙な出来事が起こった」

純「金がごっそり無くなったり、株が流出したり…」

純「その主犯が当時のナンバー2、ムギ先輩のお父さんの親友」

紬「・・・・…」

純「でもその行動には理由があったんです」

純「琴吹家はその時何の問題もなかったけれどその老人はいづれ【呪い】のせいで少なくないダメージを受けることを予想していた」

純「そこで、琴吹家の財産を一旦別に移し、呪いを破棄した上で新しくやり直そうとした」

純「だが計画は失敗、秘密裏に進めたせいで誤解が誤解を呼び、老人は全ての立場を失った」

純「これが律先輩の言う「あの日」…火事の起こった正にその日です」

律「!」

純「失脚した老人は最後の賭けにでた」

純「直接呪いを調査して自分が琴吹家の弱みを握り、計画の再起を図ろうとしたんです」

純「でもそこであの地震が起こる」

純「その時に老人は頭を打って死亡、…そしてこっからが問題です」

純「琴吹家はその事実を隠蔽しなければならないわけですが隣の家が火事、しかも記憶喪失が2人という異常事態」

純「…火事ごともみ消すしかなかった、ってわけですよ」

純「そのせいで澪先輩が花火がどうのこうのと言ったとか唯先輩や梓の嘘がすぐにばれなかったことの理由ですよ」

純「…でも当然代償も大きかった、律先輩は友人との面会も許されず、入院と称して軟禁状態」

純「……そしてムギ先輩は自分が琴吹の人間だからみんなに迷惑がかかった、と考えたんです」

律「……ムギ」

紬「……ちがう」ボソッ

律「?」

純「……話していいんですか?」

紬「……好きにして」

純「…あなたがダメと言うなら私は黙りますよ?」

紬「…もういいの、つかれちゃった」

純「わかりました」

純「さて、じゃぁ、火事の日の後日談と私について、話しましょうか」

律澪「…………」


  


991. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/08/21(日) 22:44:26.42 ID:Z6x3dolio
純「……さて」

純「私のことか…

澪「?」

律「……」

純「…話しても無駄な気がしてきました」

純「そう思いませんか?  ムギ先輩」

紬「……」

紬「…ううん」

純「はぁ…

純「わかりました、続けますよ」

澪(……この2人は…何を言ってるんだ?)

純「…火事の後、律先輩が記憶喪失、和先輩と澪先輩も学校に来なくなったんですから」

律(……え?)

純「それでも当日平沢家にいなかった私には何があったのかまったくわからない」

純「さっきも言った通り琴吹家が隠蔽工作をしてるので何も説明がなかった」

純「……最初は小さいことでしたよ、軽音部の先輩に会いに行ったり、梓や憂に事情を聴いたりね」

純「で……高校を出た後もヒマを見つけて調べてたんですよ」

純「その時あの子と再会を果たしたんです」

澪「それって…

純「真鍋ちゃん……つまりそこにいる男の子の姉であり火事の時逃げ遅れて昏睡状態にあった和先輩の妹ですよ」

純「真鍋ちゃんも姉があんな状態で弟も記憶喪失、真相が知りたかったんでしょうね」

澪「再会って?」

純「昔、偶然顔をあわせてたんですよ、お互い忘れてましたけどね」

純「で、2人で色々調べていくうちに2つのことがわかった」

純「1つが『確実に何者かの圧力で揉み消されたこと』2つ目が『琴吹家が関わっていること』です」

純「…ですが、そこから琴吹家に関して調べようとした所で私が琴吹家に捕まってしまった」

純「……それから屋敷に閉じ込めらてたんですよ」

純「……他の人達が私を追い出せだ警察に突き出せだと騒ぐ中でムギ先輩だけが私に良くしてくれました」

純「…そこでムギ先輩と約束したんです、これ以上この件に関わらないって」






紬「……うそつき…

純「…そうです、私はムギ先輩と約束して数日後、ムギ先輩の書いた日記を見つけてしまった」

純「そこにはムギ先輩の悩みや苦しみが書いてあって…

澪「じゃあ始めから私に協力する気はなかったのか?」

992. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/08/21(日) 22:46:05.89 ID:Z6x3dolio
純「…はい」

律「澪は何がしたかったんだ?」

澪「……実は私、1年くらい前に律に会いに行ったんだ」

澪「あ、律は覚えてないくて当然だよ、変装してたし」

澪「私は記憶喪失についてどう思ってるか律に聞いたんだ。そしたら『忘れていることも忘れたい』って言ったんだ」

律「……」

澪「だからあの機械を使ってそれを実現させようとしたんだ」

澪「…あと、和が目覚めないようだったら今度は和の記憶も消すつもりだった…

澪「…みんな忘れれば、なかったことと大差ないと思ったんだ……」

澪「……まだ機会を伺う程度だったからムギにばれる訳には行かないと思って
  琴吹家に近づけないようにしたけど…結局失敗した、こんなところか」


純「…誰も覚えてないことは無いことと同じ…ですか」


純「言いたいことはわかりますよ」






律「    」

紬「!……」





律「…そ、そうだ、梓は何したかったんだ?」

純「…梓は平沢家に隠れていたんですよね…………推測ですけど、空家に許可なく隠れ続けるのは不可能ですからね」

純「…琴吹家と繋がりがあったとみさんか神主あたりに協力してもらってたんでしょうね、そこから呪いのことを聞いたとか」

律「…あーなるほど…」(そういやあのお婆さん、平沢家を管理してるとか言ってたな)

澪「…そういえば純ちゃんはどうやってここに入って来たんだ?」

純「秘密です」

澪「えっ?」

純「あぁ、秘密…ていうよりただ忍び込んだだけですよ、顔なじみのスミーレに助けてもらって」

律「ふーん……」

純「あ、私も気になってたことが」

純「和先輩はあの日何をしようとしてたんですか?」

律「……本人に聞いてみるか、電話電話」


993. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) 2011/08/21(日) 22:57:55.45 ID:Z6x3dolio
和「もしもし?  今どこなの律?」

律「あー…それより聞きたいことがあんだけど」

和「何?」

律「火事のあった日、何がしたかったんだ?」

和「……あの神社は友人と仲直りできるとか、そういう類の御利益があってね、それで律と行こうと思ったんだけど」

和「…律は私とあまり関わらないようにしてたみたいだし…何とか外に誘おうと思ったのよ」

律「…なんで弟を連れてきてたんだ?」

和「…あの子がついて来るって聞かなかっただけよ」

男「……そうだっけ」

和「そこにいるの?  律、その子に早く帰るように言ってくれない?  妹が心配してるの」

律「わ、わかった、じゃあな」ピッ


純「…さて、こんなもんですか?」

律「…あ、最後に1つ」

律「ムギは何であんなに憔悴してんだ?」

純「……」

純「…ムギ先輩は自分が琴吹家であるせいでみなさんに迷惑がかかるのを本当に恐れてたんです」

純「それだけ軽音部が好きだったんでしょうね」

紬「……

律『もういいんだ、ムギ』

  律はそう言って紬を抱きしめた

紬「…りっちゃん……うっ…私…うぅ…」

  紬が堪えきれずに泣き出した

純「………………………………………………………………」


  ……澪や男が暖かく見守るなか純は1人、苦虫を噛み潰したような顔をしていた

  彼女の求めた正解とは何だったのだろうか。    

  …それこそが――


/////////////////////////////

屈折編  ⑦ラストメモリー  終

/////////////////////////////

  これで伏線大体回収できたかな?
  やたらと駆け足ですいません…

  エピローグ的なものはまた後日書きます、それで完結という形にしようと思います。

  最後に投下まで時間が空くかもしれないので埋まったら1が自分でスレを立てます。
  スレタイは  律「思い出さないあの日」2  にします。(多分ないと思いますが)

  それでは失礼します






994. VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2011/08/22(月) 11:04:08.51 ID:rxmUn2wuo
やっぱり正解だったか
そういえば>>985と>>988の選択肢はどの順番で選んでも同じ展開だったのか?
それとも順番によって展開が変わったのか?


>>994
ここはどう選んでもかわりません



31 ※追憶編
戻る
最終更新:2011年11月25日 22:42