梓「敬語：タメ口＝？」 1 - 紬が百合ノートをまとめているようです

『１０：０！』

梓「失礼しまーす」

律「おっす梓か」

梓「……こんにちは」

律「どうした元気ないな」

梓「別に何でもないです。他の先輩方は？」

律「んー唯とムギは掃除当番。澪は知らん」

梓「……」

律「という訳で今梓は私と二人きりな訳だ！」

梓「はぁ、そうですね」

律「あからさまに嫌な顔するなよっ」

梓「してませんよ。別に」

律「ちぇっ、ノリ悪いな」

梓「こういう性格なんで」

律「なんだよー、私と二人じゃ不満か？」

梓「不満とまではいきませんけど……」

律「その間は何だ」

律「私と梓ってあんま話したことないじゃん」

梓「そりゃ入部してまだ一月も経ってませんし」

律「『もう』一月も経ったの！」

梓「はぁ」

律「だって梓、澪や唯とは仲良さそうだし……」

梓「後輩として最低限のお付き合いはさせていただいてます」

律「それだよそれ！」

梓「？」

律「私もお前ともっと絡みたいんだよ！」

梓「はぁ、そうなんですか」

梓（この人とはそんなに絡みたいと思わないんだなぁ）

梓（明るいのはいいけど、うるさいし練習はしないし）

梓（いい加減で大雑把だし……何でこんな人が部長なんだろう）

梓（澪先輩の方がよっぽど相応しいと思うんだけどな）

律「ん？　どした梓」

梓「何でもありません」

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『９：１！』

律「というわけで、先輩後輩仲良し大作戦を考えてきたんだ！」

梓「はぁ」

梓（また面倒なことを）

律「ずばり、何をするかというと……」

梓「何でもいいから早く練習しましょうよ、田井中先輩」

律「それだ！」

梓「はい？」

律「梓って私を名前で呼んでくれないじゃん」

梓「そうですか？」

律「他の奴らのことはみんな下の名前で呼んでるのに」

梓「うーん、澪先輩、唯先輩、ムギ先輩……」

律「ほら、呼べてんじゃん」

梓「……」

律「で、私は？」

梓「田井中先輩」

律「何でだよ！」

律「てことで、名前で呼ばないといけないゲームをしようぜ」

梓（……くだらない）

律「どんなゲームかと言うとな」

梓「ゲーム名で分かりますから」

律「そっか、そんじゃ早速……」

梓「……」

律「呼べよ！」

梓「急に言われても」

律「澪たちは呼べるのに」

梓「どうしてか自然に呼べるんですよね」

律「私は自然に呼んでくれないのかよ」

梓「そういう訳じゃ」

律「んじゃ名前で呼んでくれよ」

梓「はぁ」

律「ほら、私の名前は？」

梓「……」

律「た・い・な・か？」

梓「……何でしたっけ」

律「中野ぉ！」

律「てめぇ先輩の名前ぐらい覚えろ！」

梓「だって意識したことなかったから」

律「ちぇっ、悲しいの」

梓「じゃあ教えてください」

律「教えたら呼んでくれるか？」

梓「前向きに善処します」

律「さいですか」ｶｷｶｷ

梓「……」

律「……」

梓「津？」

律「さんずいじゃねえ！」

律「りつだより・つ！　法律の律！」

梓「なるほど、律って言うんですか」

律「人を律するの律だぞ」

梓「見れば分かりますよ」

律「さっき分かってなかったろうが」

梓「わざとです」

律「こんにゃろ」

梓「……」

律「……」

律「で、呼んでくれよ」

梓「やです」

律「何でだよ！」

律「別に呼んでくれたっていいじゃん」

梓「どうして下の名前にこだわるんですか」

律「だって、澪たちが羨ましいんだもん……」

梓「へっ？」

律「澪たちは後輩に慕ってもらえててさ……」ｳﾙｳﾙ

梓「ちょ、そんなことで泣かないでくださいよ！」

律「寂しかったんだよぉ……」ｸﾞｽｯ

梓「わ、分かりましたよ！　名前で呼びますから泣かないで……」

律「うぅっ……ぐす」

梓「ごめんなさい、まさかそんなに悩んでたなんて思わなかったんです」

律「……」

梓「ね、泣きやんでくださ……」

律「なーんてな」ｹﾛｯ

梓「」

律「へっへ～、この程度の嘘泣きも見破れないんじゃ梓もまだまだだな」ﾆﾔﾆﾔ

梓「」

律「それじゃ、早速律先輩って呼んでもらおうか」

梓「」

律「梓？」

梓「……こらああぁぁぁぁっっ！！！」

律「何だよ、そんなに怒ることないじゃん」

梓「怒ります！　むしろ怒って当然です！」

律「私が何したって言うんだよっ」

梓「嘘泣きして騙したじゃないですか！」

律「騙される方が悪い」

梓「そーですか、それじゃ私も呼んであげません」

律「あー約束破り！」

梓「騙される方が悪いんでしょ！」

律「てめ、卑怯だぞ！」

梓「どっちが！」

律「梓のばか！」

梓「ばかって言うほうがばかです！　ばか先輩！」

律「先輩に向かってばかとは何だ！」

梓「ばか先輩はばか先輩です！」

律「ばかばか言うなばか！」

梓「そっちこそばかって言わないでくださいばか！」

律「ばか！」

梓「ばか！」

律「あほ！」

梓「まぬけ！」

律「ちび！」

梓「まな板おっぱい！」

律「絶壁体型！」

梓「オトコオンナ！」

律「ツインテ！」

梓「かちゅーしゃ！」

律「ギタリスト！」

梓「ドラマー！」

律「ぐぬぬぬぬ……」

梓「むぐぐぐぐ……」

梓「田井中先輩なんてぜぇっったいに名前で呼んであげません！」

律「あー好きにしろ！　私だってこれから中野としか呼んでやらん！」

梓「結構です！　私は中野ですから！」

律「私だって田井中だ！」

梓「知ってますよ、田・井・中先輩！」

律「中野ぉ！」

律梓「む～～～…………」

律梓「ふんっ！」ﾌﾟｲｯ

梓（む～～～～～！！）

梓（いい加減でだらしなくて人のことからかってばっかしで！）

梓（不真面目でがさつで粗忽で！）

梓（意地悪で口が悪くてデリカシーがなくて！）

梓（この人とは本っっ当に相性が悪いんだ！）

梓（ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばか）

梓（あーもうっ！　こんな人……）

梓「だいっっっ嫌いっっ！！！」

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