ガチャ

「久しぶりだな、梓」

梓「はい、お久しぶりです。どうぞ中へ」

「うん。少し迷ってしまったよ」

梓「道が入り組んでますからね」

「あれ、誰も来てないのか・・・」

梓「・・・寒かったでしょうから、こたつに入ってください」

「・・・うん」

梓「・・・」

「あ、キーボード」

梓「一緒ですね」

「・・・うん」

梓「・・・」

「さて、コタツのスイッチ入れようかなー」

シーン

「えい」ポチッ

シーン

「ふむ」

梓「さすがですね・・・」

「コタツじゃないとなると、ベランダかな。鍵かけとこう」カチャリ

唯「うぉーい!」ドンドン

紬「み、澪ちゃん!」ドンドン

澪「あれ、むぎと唯だけ・・・?」カチャリ

ガラッ

唯「びっくりしたよー!」

紬「胸がキュッってなったわ・・・」

澪「・・・っ・・・むぎっ」ダキッ

紬「み、澪ちゃん!?」

澪「久しぶりだなっ!」

ギュウウ

紬「・・・うん」

唯「わたしも~」ダキッ

梓「・・・」

紬「・・・あら」チラッ

梓「い、いえ・・・私はいいです・・・」

澪「~っ!」

ギュウウウウ

唯「・・・っ」グスッ

紬「あ、あの・・・。中に入りましょう?りっちゃんが・・・」

律「あづーーーーーーッ!!!!!!」

梓「限界でしたね」

澪「やっぱりそこにいたか」グスッ

――・・・

澪「ほっとする」

唯「澪ちゃんの口から幸せの言葉がこぼれました」

澪「むぎの紅茶を飲むと・・・思い出して、幸せな気分になるな」

紬「ありがとう~」

律「・・・」ノンビリ

梓「・・・」マッタリ

紬「外みて、降り積もりそうよ」

澪「私は見飽きたけどな」ズズーッ

律「上流階級か!」

澪「ただの雪だぞ」

pipipipipipipi

梓「あ、・・・すいません」

テッテッテ

紬「みんな、鍋でいいわよね?」

唯「そうだね、いいよ~」

律「鍋か・・・いいな!」

澪「問題ないよ」

紬「食べたいものあるかしら?」

唯「むぎちゃんと一緒に鍋を囲むだけで十分です」

澪「・・・うん」

紬「あらあら」ウフフ

律「雑炊がいいな」

澪「雑炊か・・・いいかも・・・」

紬「ご飯ね、ちょっとひとっ走りしてくるわね」

澪「あ、私も行くよ」

紬「いいのよ。ゆっくりしてて~」

テッテッテ

律「・・・変わらないな」

唯「そうだね」

澪「卒業して5年経っているのに・・・な」

梓「・・・唯さん、鍋の下準備手伝ってくれませんか?」

唯「任せな!」キラン

律「私も手伝うぜ!」

澪「そうだな、私も手伝うよ。一人は嫌だ」

律「澪も変わってねえなー」


――・・・


梓「遅いですね・・・」

唯「そうだね、どうしたんだろう」

律「もうすることないのか?」

梓「はい。あとはむぎ先輩が戻ってからにしましょう」

澪「今年もあと7時間か・・・」

梓「・・・私、探してきます」

唯「気をつけるんだよ~」

梓「はーい」

バタン

澪「梓はむぎのこと、まだ先輩付けで呼んでいるんだな」

唯「むぎちゃんとあずにゃんの時間は止まっていたから・・・って」

律「そっか・・・5年止まっていたんだな」

澪「秋から動き出したけど・・・」

唯「・・・その間の空白はすぐには埋まらないね」

律「そうだな・・・。しかし、今年は節目の年だったな~」

唯「そうだね。HTT再結成したし。むぎちゃんが帰ってきたし!」

澪「・・・むぎの声も戻ったし、・・・な」

律「・・・うん」

唯「・・・それが一番大きいね」

澪「・・・良かった」

ガチャ

唯「あれ?」

律「もう戻ってきたのか?」

澪「梓・・・それは・・・?」

梓「・・・」

「みゃ~」

唯律澪「「「 ネコ・・・? 」」」

梓「この仔が・・・」

唯「迷子かな・・・。おいで~」

「みゃ~」

テッテッテ

澪「くふっ、可愛い・・・」

律「エジプトでさ、猫が異様に祀られてんの、城を落とすときにさ」

唯「おぉ~、可愛いですな」ナデナデ

「みゃみゃ~」ゴロゴロ

律「まぁ、いいや。なんか上品なネコだな」

梓「澪さん・・・これ」

澪「むぎがさっき着ていた服・・・なんで?!」

梓「ドアのすぐそばにあったんです・・・」

澪「え・・・」

唯「まさか、ね」

律「いやいや、まてまて、むぎに電話だ」

梓「は、はい」ピッピッピ

trrrrrrr

pipiipipipipi

律「その服から聞こえるぞ・・・」

梓「・・・むぎ先輩失礼しますね」ゴソゴソ

仔猫「みゃっ」

唯「ん?」

梓「うわ・・・ここにあった・・・」

律「・・・」

澪「・・・」サァー

梓「じ、事件に巻き込まれたんじゃ・・・」

唯「むぎちゃん」

仔猫「みゃ」

唯「そ、そんなまさか!」

律「ネコと遊んでんじゃねえ、一大事だぞ」

澪「あわわわわ」

唯「落ち着いてみんな! このネコちゃんむぎちゃんだよ!」

梓澪律「「「 え? 」」」

唯「むぎちゃんですか?」

仔猫「みゃっ」

唯「ほらっ!」

律「そんなのたまたま返事しただけだろ・・・!」

唯「あなたはあずにゃんですか?」

仔猫「・・・」

律「私は澪ですよね?」

仔猫「・・・」

澪「私が澪です」

仔猫「みゃ」

梓「おぉ・・・!」

唯「ほら!」

律「なにがあったんだよ!?」

仔猫「みゃ~?」

律「答えられるわけないよな、どうしよう・・・」

澪「しょうがないな」ダキッ

仔猫「みゃ~」ゴロゴロ

澪「くふっ・・・可愛いすぎる・・・」

梓「・・・」

唯「はい! はいっ!!」

梓「そんな手を伸ばさなくてもいいですよ、聞こえてますから」

唯「ネムちゃんを我が家に連れて行きたいです!」

律「ネムってなんだよ」

唯「ネコのむぎちゃゃん、ネムちゃん」

梓「勝手に名前つけないで下さい」

律「・・・勝手に?」

澪「いや、私が連れて行く!」

唯「じゃあじゃんけんだね」

澪「よ、よし」メラメラ

仔猫「みゃ・・・」スリスリ

梓「黙ってみていようか・・・」ナデナデ

仔猫「・・・」ゴロゴロ

唯「じゃーんけん」

澪「ぽい!」

チョキ

グー

パー

澪唯「「 ん? 」」

紬「みゃ~」

澪唯「「 あれっ!? 」」

紬「うふふ」

律「やっぱり」

梓「・・・こんなとこですね」

仔猫「みゃ~」

澪「・・・騙されたっ!」

唯「むぎちゃん、もう一回ネコの姿に!」

梓「唯さんは気づいていないですね」ナデナデ

仔猫「みゃ」

唯「あり?」

律「でもさ、名前に反応したじゃん?」

紬「名前がそうなのよね」

梓「は、はい。こむぎと名付けたんです」

澪「こむぎ・・・。え・・・?」

梓「律さんも言っていましたけど、出会ったときにむぎ先輩のような上品な雰囲気を感じたんです」

紬「まぁ」ポッ

梓「河川敷で出会ったんですけど、妙に懐かれてしまいまして」

澪「運命だな」

梓「こむぎって呼んだら返事して、気に入ったみたいなので、そのまま飼う事に・・・」

こむぎ「みゃ~」ゴロゴロ

唯「へぇ~」ニヤリ

梓「・・・なんですか」

唯「いえいえ。今までどこにいたの、こむぎちゃんは」

梓「純に預かっててもらっていたんです。実家に帰ってきてますから」

澪「こむぎか・・・、なんか・・・変な感じだな」

律「・・・うん」

こむぎ「みゃ~」スリスリ

梓「ちょっと降りて、ここ座ってて」

こむぎ「みゃっ」

紬「おりこうさんね~」

澪「わざわざ着替えてまで・・・って、なんで着替えを持ってるんだ?」

紬「今日泊まるの~」

澪「・・・そうか、その手があったか」

梓「狭いですけど、よかったら泊まっていってください」

唯「そのつもりですよ」フフフ

澪「・・・そうさせてもらうよ」

律「純はまだ来ないのか?」

梓「遅れてくるそうです。先にこむぎを渡しに・・・むぎ先輩が受け取りに行ったんですね」

律「そうか。やけに計画的だな」

紬「こむぎちゃんのお家を見つけて、企んだのよ」

唯「すっかり騙されちゃったよ」

澪「・・・」

律「・・・あれ、雑炊は・・・?」

紬「あ・・・」ウッカリ

澪「一緒に買いに行こうか」

紬「ありがとう~」

唯「行ってらっしゃ~い」

紬「行ってきま~す」

ガチャ

バタン

梓「唯さん、憂は・・・?」

唯「あとで来るよ~。御節作ってたよ~。あったかあったかだよ~」ヌクヌク

こむぎ「みゃ~」

律「今年もあと6時間か・・・」


3
最終更新:2011年12月03日 21:55