澪「だいたいさっきの罰ゲームは上がり症の私には難易度高いよ」

律「なんでだよ。そこまで難しくないだろ。電話かけて相手が出たら『お嬢さん、今どんなパンツ履いてるの』って訊く、簡単だろ」

澪「いや、最初のダイヤル回してる時点で緊張がピークに達してダメだった」

律「ダイヤルなんか回してねえよ!サザエさんちの電話かよお前の携帯は!」

澪「くすくす。サザエさんちの電話って、うふふ。そんな突っ込み、あはははは」

律「笑うな」

澪「ぐすん……」

律「泣くなあ!」

澪「そこまで言うなら律が試しにやってみなよ」

律「急に泣きやむなよ」

プルルルルルル

律「(そんでいつの間にか私が電話かけることになってるし。おかしーし…)」

プルル…ガチャ

和『はい、真鍋です』

律「(携帯なのに自分の名字を言うのか)…うへへへへ、お嬢さん」←声変えてる

澪「ああ、変態みたいな声だ」

和『はい?』

律「お嬢さん、今どんな色のパンツ履いてるの?」

和『…はあ?』

律「うへへへへ(…うー、けっこう恥ずかしいな)」

和『今は黒のデニムですけど。それが何か』

律「えっ」

和『用がないなら切りますね』ピッ

ツーツーツー

澪「どうだった、律」

律「いや、よくわからなかった」

澪「えらそうに言っておいて律もちゃんとできなかったんじゃないか」

律「うん、ごめん…」

澪「まったく。最低だな、律は」

律「ごめんね…でも澪の罰ゲームだし。本来は澪の恥ずかしがるところを見たかっただけというか、私がやるのはちょっと違うと思うし…」

澪「そうやって言い訳して。しかも私のことを恥ずかしがらせたいとか、最低の上に変態だ」

律「ごめん………………」

澪「まったく。死ねばいいのに」

律「澪、ほんとは私のこと嫌いなの?」

澪「ところでおなかの具合はもういいのか」

律「心が痛んだおかげで余計痛くなった気がする」

澪「そっか。心は大事にした方がいいぞ」

律「うん。痛んだのは澪のせいだがな」

澪「そうなんだ、じゃあもうさするのはやめるね」

律「いや。もっと撫でてもらわないと困る」

澪「もう腕が疲れたからいやだよ」

律「澪のせいで悪化したんだ。だから澪が治して。いいから、いいから座れよ」

澪「なんだよ」

律「こうして私が澪の前に座って……澪は後ろから手をさすってくれ」

澪「暑苦しい体勢だな」サスサス

律「こうすれば痛みがおさまる気がする」

澪「はいはい」サスサス

律「(しまった!)」

律「(この姿勢は、背中におっぱいが当たる。むしろあたり過ぎてる)」

律「(やめとけばよかった)」

澪「どう?」サスサス

律「!? や、やわらかいです!」

澪「は?」サスサス

律「じゃなくて、腹か…ちょっと楽になってる気がする」

澪「そっか」サスサス

律「うん」

律「(しかしこいつおっぱいが当たってるの気にしてないのか)」

律「(巨乳過ぎて鈍感なのかな)」

律「(なんかむかつく)」

澪「そこの漫画とって」サスサス

律「ん。…これ?」

澪「違う、そっちの脱皮したヤモリの抜け殻みたいなカバーのやつ」サスサス

律「そんな特殊な色知らねえよ。これか?」

澪「ありがとう。ヤモリの抜け殻って言葉、新しい詞に使えないかな」サスサス

律「やめてくれ」

澪「なんか片手だと読みにくい」サスサス

律「そうか」

澪「もうちょっと、こうして…」サスサス

律「私、じゃま?」

澪「いいよ、仕方ない」サスサス

律「澪、あんまり動かないでほしい」

澪「もう少しで読みやすいベストポジションが見つかりそうなんだ」サスサス

律「(おっぱい当たってるんだよ)」

澪「だめだ。律が代わりに持って」サスサス

律「わかった。こう?」

澪「うん、よく見える。ついでに音読して」サスサス

律「なんでだよ」

澪「ちょっと距離があって小さい字が見えないんだ。さすってあげてるんだからそのくらいいいだろ」

律「いいけど。そんなに目悪かったっけ」

澪「そのページから。ちゃんと感情こめて読んでくれよ」サスサス

律「……んっ、ん、あ、あ、あん…入口がキュッと締って、中はツルツル…それでいて…」

澪「もっとリアルな感情を込めて」サスサス

律「なんでエロ漫画なんだよ!!」

澪「ちょっと、そんな台詞はないぞ」サスサス

律「しかもこれ、…ええ!?ちょっと、え!?男同士…!?」

澪「見ればわかるだろ」サスサス

律「見たくなかった!」

澪「いいから続き読んで」サスサス

律「読まねえよ!ていうかお前はなんでこんなの持ってんだ」

澪「作詞の参考になるかと思って」サスサス

律「絶対に参考にするなよ」

澪「ちなみにふわふわ時間とかはこの漫画をもとにイメージをふくらませたんだ」サスサス

律「しちゃってた」

律「最悪だ…大切なバンドの曲がエロ漫画を参考にしてたなんて」

澪「BLはエロ漫画じゃない、文学だ」サスサス

律「すげえどうでもいい」

澪「いいから続き、早く」サスサス

律「もう二度と読まない」

澪「ええー……」サスサス

律「そんなガッカリされると私もがっかりだよ」

澪「ちぇっ、もう少しで律の口から『チンコ』って言葉が聞けたのに」サスサス

律「おかしーし」


♪please don't say "you are lazy" ダッテホントウハcrazy

律「電話だ」

澪「律の携帯にも電話ってかかってくるのか…不思議だな」サスサス

律「私にも友達ぐらいいるわい。キョトンとした顔するな」

唯『もしもしりっちゃーん?』

律「おー、唯。なんだー」

唯『よかった、りっちゃーんなんだね!』

律「りっちゃーんではないが私だぜ、りっちゃんだぜ」

唯『りっちゃーん!』

律「ゆいー!」

唯『りっちゃーーーーーーん!』

律「ゆいーーーーー!……なんの用だよ」

唯『あれ?なんだっけ?りっちゃーん、知らない?』

律「しらん!」

澪「もしかしてうんこの話じゃないのか」

律「うるさい澪は黙ってろ」

唯『およ?澪ちゃんもいるの?りっちゃん今どこ?』

律「澪の家」

唯『はっはーん、さてはりっちゃん!』

律「な、なんだよ」

唯『えっちなことをしてますな!』

律「してねえよ!」

澪「なに?えっちな話?」サスサス

律「澪は黙ってろって」

唯『あ、そうだりっちゃん。ぶたと牛さんどっちが好き?お肉』

律「んー?私は豚派かな。キャベツともよく合うし」

唯『なるほどなるほど…、あ、澪ちゃんいるなら澪ちゃんにも替って』

律「なんだなんだ。唯が替れってさ」

澪「ん。もしもし、唯?」サスサス

唯『私です!澪ちゃんは豚と牛さんどっちが好きかな』

澪「私は牛肉」

唯『そっかー、なるほどー。ところで澪ちゃん、今暇?』

澪「今ちょっと忙しいかな」サスサス

唯『おお、そうでしたか』

澪「うん。ちょっと今は律の下腹部をなでるのに忙しい」サスサス

唯『へ?』

律「うおおおおおおおおおい!」

澪「律のね、下腹部を私の左手でさわってるんだ」サスサス

律「なんでそんな誤解を与える言い回しをするんだ!」

澪「あっ、誤解するなよ唯。律がしてくれってねだるからやってるだけだからな」サスサス

律「その誤解じゃない!」

唯『そ、そうなんだ』

澪「あと律が私の胸を触ってる」サスサス

唯『み、みおちゃんの胸を……』

律「たまたま背中が当たってるだけだ!ていうか意識してたのかよ!」

唯『その、よかったね…?』

澪「うん、律もさっきちょっと喘いでた」サスサス

律「喘いでねえ、漫画の台詞だあ!無視すんな、おい、いいから、もう手をどけろ、撫でなくていい!」

澪「唯がもう一度替ってって」

律「もしもし唯!?さっきのは違うからな!そういうんじゃないし!」

唯『………………………………………うん、わかってる。りっちゃん、ごめん、いいところで電話しちゃって。まさか本当に…』

律「絶対わかってねえ!大丈夫だから、全然そんな電話して気まずいタイミングとかじゃないから!」

唯『うん、うん』

律「その『分かった分かった』みたいな反応やめろ!」

唯『それでね、りっちゃん。し終わったらでいいんだけど、もしよかったら家にこれない?』

律「し終わったらとかいうな。何もしてないから」

唯『あのね。今日は鍋にしようと思ってそれでお肉は豚と牛とどっちがいいかなと思って聞いてたんだ。
  投票の結果、すき焼き鍋に決まりました!』

律「おお、全然忙しくないからすぐ行くぞー。なにもしてなかったからな」

唯『あはは。そういうことだから澪ちゃんにもよろしくね』

律「おー」

唯『それとね、憂がお二人ともお幸せにって』

律「ちょっと待て!……切れた」


律「大変な誤解をされた」

澪「唯だから大丈夫だろ」

律「憂ちゃんにもなんか言われたよ!」

澪「なにもなかったことにしようよ」

律「私も出来ればそうしたいが」

澪「律、おなか。もういいのか」

律「………なんかもう大丈夫」

澪「じゃあ唯ん家行こう」

律「おう……」

澪「どうした律?」

律「んー?」

澪「なんか元気なくないか」

律「何でもないよお……(お前のせいだ)」

澪「なんか唯ん家でいつもごちそうになって悪いよな」

律「そうだなあ」

澪「憂ちゃんって料理うまくてうらやましいな」

律「りっちゃんが料理教えてやろうか」

澪「律の教え方は下手そうだから、いい」

律「なんだと!」

澪「怒るなよ。……なあ、私みたいな巨乳が牛肉が好きとか言って変に思われない?」

律「…意味がわかりませんが澪ちゃんの頭は変ですわよ」

澪「私のおっぱい気持ちよかった」

律「さっきから何を狙ってるの?」

律「自分で巨乳とか…」

澪「心配しなくとも律もそのうち私みたいなおっぱいになるよ」

律「とりあえず今の澪みたいにはなりたくない」

澪「意地っ張り」

律「唯の家着く前にそのキャラ元に戻しとけよ?」

澪「律がいいなら、今度は胸も揉んであげるよ」

律「もうやだ!」

澪「なんだよ、大きな声だして」

律「こんなの澪じゃなーいー!!私の澪はおっぱいとか言わないもん!」

澪「ばか、声がでかいぞ。恥ずかしくないのか」

律「…いいよ、もう。澪のばか」

澪「どうしたんだよ」

律「いいから先行ってって。行って。私はちょっと用があるから」

澪「……律」

律「行けって」

澪「うんこ?」

律「はよ行けえ!」

澪「分かった。じゃあ本当に先に行くからな」

律「行け行け」

澪「早く来ないと全部食べちゃうぞ。…じゃあな」

律「………………」

律「………………」

律「………………」

律「………………」ガサゴソ

律「………………」ピッピッ

プルルルルルル

律「……もしもし、ムギ?」

律「あのさ、ムギの言う通りにしてみたんだけど。あの変な作戦」

律「なんかホントにおなか痛くなった気がする」

律「いや、あんまりうまくいかなかったというか……」

律「…………わかんない」

律「なんか澪が変になった。いつも二人でいるときにちょっとキャラ変わることはあったけど、今日のはなんか…」

律「ばっか、ノロケてない!そうじゃない!」

律「わーらーうーなー!」

律「やっぱ失敗かなあ……うん。いや、別に」

律「澪はよくわかんないよ。なんかよくわかんなくなった。なんであんなやつ……」

律「んん?……それよりさ、ムギも来るんだろ?唯の家」

律「うん。うん。じゃあまたな。………………サンキュ」

ピッ

律「………………」

律「………………」サスサス

律「………………おなか熱い」


おしまい

※2010/11/28



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最終更新:2011年12月07日 22:46