梓「やってやるです!」
監督「はい、OK!」
紬「お疲れ様、梓ちゃん」
梓「あ~だるい。やってやるですって100回位言ったわ」
律「正確には、95回だな」
梓「あの監督私にばかりNG出して嫌になっちゃう」
澪「それは、考えすぎだろう。私たちだって結構NGだしてるし」
梓「そうかもしれませんけど、やってやるですだけ何回もやり直しとか酷くないですか?」
律「いよいよお姫様のお出ましか」
澪「相変わらずの重役出勤だな」
梓「平沢さんが遅刻してくるせいで全然撮影が進まないんですよね」
律「この際だから本人に言ってやれば?」
梓「とんでもない!そんなこと言えるわけないじゃないですか」
律「冗談だよ、冗談」
監督「お待ちしておりました。平沢さん」
唯「で、今日はどこから始めるの?」
監督「第一話のBパートの…シーン3から撮りたいと思いまして」
唯「はぁ? そのシーンはこの前撮ったでしょう!」
監督「あの…もう一度撮り直したいと思いまして…」
唯「私の演技に不満でもあるわけ?」
監督「ちょっとイメージと違ったというか…」
律「また、揉めてるのか?」
澪「いつものことだけどな」
梓「自分がNG出したのを棚に上げて逆切れとかありえないし」
唯「わかった、わかった。やればいいんでしょう?やれば」
監督「すみませんね。手間掛けさせちゃって」
律「ようやく、撮影に入れるみたいだな」
梓「あのシーンってどんなシーンでしたっけ?」
澪「確か、カスタネットのシーンじゃなかったか?」
律「それが、結構笑えるんだよな」
澪「おい律、ここで笑ったりしたらこの世界から抹殺されるぞ」
律「わかってるって」
梓「そんなに笑えるんですか?」
律「いいか絶対に笑っちゃダメだぞ!」クスクス
澪「言ってる本人が笑っててどうする…」
監督「それじゃあ、Bパート、シーン3から始めます」
アクション!
唯「うんたん!うんたん!」
律「クスクス」(笑いをこらえる律)
澪「おい、律笑うなよ」クスクス
律「澪こそ!」
梓「ギャハハ!あの自称大女優平沢さんがうんたんって…!」
大声で笑い始める梓
律「おい!梓…!」
監督「カット、カツト!」
唯「誰だ?今笑ってたのは!」
梓「あ、あの…今のはその…」
唯「中野お前か?今、私の演技を笑ってたのは?」
梓「ええ、まぁ…」
律「やばいな、梓」
澪「おいおい…」
唯「この私の演技を鼻で笑うとはいい度胸してるね」
梓「す、すみません。コミカルな演技だったのでつい…」
唯「あーあ、中野のせいでなんかやる気なくしたわ」
監督「ひ、平沢さんどこへ行かれるんですか?」
唯「気分悪いから、帰るわ」
監督「ちょっとお待ち下さい!」
唯「あ、そうそう。事務所通じてあんたらに抗議出しとくから
覚悟しておいたほうがいいかもね」
梓「待って下さい!今のは私のミスで律さんや澪さんは関係ないじゃないですか!」
唯「そうだよあんたが失敗したせいで田井中や秋山が巻きこまれたんだよ
あんたのせいでな!人をおちょくるなら相手を選ぶべきだったね
それじゃあさようなら! 二度と会うことはないと思うけど」
監督「ちょっと君!どうしてくれるの?平沢さんがいないと撮影にならないよ!」
梓「す、すみません」
監督「今日の撮影は中止だ!中止!」
律「やれやれ、お姫様の気まぐれにも参っちゃうよな」
澪「まるでガキだな」
紬「見た目はあんなにかわいいのに…」
梓「す、すみません。皆さんにまでご迷惑をおかけして」
律「笑ってしまったものは今更どうにもならないけど。困ったもんだね」
澪「平沢さんが所属してる大手事務所からクレームが入ったら私たちが所属する
弱小事務所なんてすぐ潰されちゃうよ…そしたら私たちは路頭に迷うことになるのか?」
紬「あの大手事務所が相手では他の事務所に移籍することもできなくなるわね」
梓「私のせいでこんなことになって…」
律「おいおい、泣くなよ梓。しょうがないだろうやっちまったもんは
なーに、なんとかなるって」
澪「やっと、ここまでこれたのにな」
紬「こんなことであきらめたくないわ」
律「大丈夫だよ、お姫様の機嫌も明日には直ってるよきっと」
澪「何故、そう言い切れるんだ?」
律「え?ほら、なんかあの人バカっぽいしさ」
澪「それは、けいおん!のキャラ設定での話だろう?」
律「まぁ、そうだけど」
梓「平沢さんってああ見えて桜が丘通ってるんですよね」
紬「桜が丘ってあの有名進学校の?」
梓「なんでも、東大生を何人も輩出してる特待クラスに通ってるって話ですよ」
澪「どうりでプライドばかり高いわけだ」
紬「りっちゃんの言う通り、明日には機嫌直ってるといいんだけど」
律「もはや、神にでも祈るしかないな」
翌日
律澪梓紬が通う丸罰高校にて
律「よお、澪おはよう!」
澪「あーあはよう…」
律「朝っぱらから眠たそうだな?」
澪「これからどうなるか考えてたらちっとも眠れなくて…」
律「平沢の言う事なんて気にするなって」
澪「だって、あの大手事務所がバックについてるんだぞ!」
律「ちゃんと説明すればわかってくれるって」
澪「また、そんな気休めを言って」
憂「おはようございます。律さん澪さん」
律「あー、憂ちゃんおはよう」
澪「おはよう」
憂「いつも姉がお世話になっております」
律「いやいや、私たちこそお世話になってるし」
憂「昨日撮影現場でお姉ちゃんとご一緒でしたよね?」
澪「そうだけどそれがどうかしたの?」
憂「実は、昨日お姉ちゃんが電話で共演者の人達にいじめられてるって
話してるのを聞いてしまいましてね。律さん達なら何かご存知ないかと思いまして」
律「そうかそれは残念だな、共演者の人達の中にそんな人がいたなんて
なぁー澪」
澪「そ、そうだな、もしそういう場面を見かけたら私たちも気に掛けておくよ」
憂「まさか、律さんたちじゃないですよね?」
澪「私たちがそんなことするわけないだろう。なぁー律?」
律「そうだよ、やりたくてもあんな大女優相手にイジメなんてできるはずないでしょう」
憂「え?」
律「いやいや、つい本音が…じゃなくて。とにかく私たちはなにも知らないんだよ
悪いけど…」
憂「そうですか。それじゃあ、なにか見かけたら私までご一報下さい」
律「わ、わかったよ」
澪「憂ちゃんが言ってた電話の内容って」
律「恐らく、事務所に抗議してた電話だな
平沢の奴事務所には自分がいじめられてるって嘘の説明をしてるんだろうね」
澪「まさに、やりたい放題だな」
梓「憂と何を話してたんですか?」
律「あー、梓か。それがさ、聞いてくれよ平沢の奴ときたら
事務所にまったくデタラメな説明をしてるらしいんだよ…」
梓「なんで私たちが平沢さんをいじめてることになってるんですか!」
澪「なぁ、酷い話だろう?」
梓「このままじゃ、完全に私たちが悪者扱いじゃないですか!」
紬「平沢さんのマネージャーさんとかもあの現場を見てたはずなんだけど…」
律「平沢唯サイドの人間が私たちの味方をするとでも思うか?
どうせ、みんな口裏合わせしてるに決まってるよ」
澪「とうとう、クビになるのか…」
梓「確かに、笑った私にも落ち度はあったかもしれない。
でも、これはあまりにもやりすぎです!」
紬「嘘は良くないわね」
律「なぁ、どうせクビになるのならこの際だから
平沢唯も道連れにしてやろうぜ!」
紬「道連れってどういうこと?」
律「スキャンダルだよ!」
澪「なるほど、平沢の弱みを握ってやるってわけか」
律「それを、ネット上にリークしてやろうぜ」
梓「世間知らずのお姫様に世の中の厳しさってものを教えてやりましょう!」
紬「そうね、今回ばかりは看過できないわ」
律「決行は、今日の放課後だ」
放課後
澪「で?まずはどうするんだ?」
律「まずは、基本中の基本素行調査だね」
澪「そういえば、平沢のプライベートって全くもって謎だよな
どんな悪行の数々が見られるか楽しみだな」
律「カメラのスタンバイはいいか?澪」
澪「ばっちりだよ」
梓「私が仕入れた情報によると。桜が丘3丁目の一戸建て住宅に住んでるらしいです」
律「要は、憂ちゃん家ってことだろう?」
平沢邸前
梓「確か、ここですね」
律「意外とこじんまりとした家だな」
澪「平沢唯は生放送の現場に行ってて留守のはずだ」
梓「でも、憂がいるかもしれないんで気を付けて下さい」
律「あの、純粋な憂ちゃんが平沢唯の妹だなんて信じたくないな」
憂「あれ?皆さんここでなにをしてるんですか?」
律「わ、わ、憂ちゃんこそなんでここに!?」
憂「だって、ここ私の家の前ですし…」
律「だよね…」
紬「そうそう、私たち平沢…唯さんの家に遊びに来たのよ」
澪「それそれ、そうなんだよ」
梓「あの唯さんの家がどんな素敵な家か見たくなってさ」
憂「なんか、よくわからないけど。立ち話も難だから上がって行って下さい」
律「それじゅあ、お言葉に甘えて…」
憂「今、お茶注いできますね」
律「ああ、お構いなく」
澪「おい、どうするんだよ」
律「私に言われても…」
梓「なんの脈略もなく突然遊びに来たなんて不自然すぎるし」
紬「平沢唯さんが帰ってくるまでには私たちはこの家から出て行かないと」
律「こんなところを平沢唯に見つかったら冗談抜きで全員クビだな」
澪「下手したら不法侵入で訴えられるかもな」
梓「弱みを握るどころか私たちが窮地に立たされるとは…」
澪「生放送が終わるまであと20分位だな」
律「テレビ局からここまで何分位だろう」
紬「YBSテレビからここまで車で行くと30分位かしら?」
律「どうにかしてそれまでにはここを脱出しなければな」
梓「憂は、意外と長話だからな…」
律「そうだ!せっかく平沢唯の家に潜入できたんだ。
素行調査しない手はないだろう?」
澪「こんな時に、よくそんなことが言えるな」
梓「でも、ここでやらないともうチャンスはないかも」
紬「憂ちゃんはどうするの?」
律「私が、平沢唯の部屋に潜入するから、澪たちは憂ちゃんを足止めしておいてくれ」
梓「わかりました、憂は私たちにまかせて律先輩は平沢唯の部屋を
捜索してきて下さい」
澪「うまく、いけばいいけどな…」
律「大丈夫、みんなで協力して業界に巣食う悪を倒そうではないか!」
澪「くれぐれも無茶するなよ」
律「ああ、行って来る」
憂「おまたせしてすみません。あれ?律さんは?」
澪「急にお腹が痛くなったみたいでトイレに行ってるんだ」
憂「そうなんですか?大丈夫かな…」
梓「律先輩のことだから変なものでも食べたんだろうね」
紬「このお茶、いい香りね」
憂「わかります?お父さんが海外から買って来たんですけど…」
唯の部屋
律「ここが、平沢唯の部屋かご丁寧にドアに名前まで書いてあったし。
さてとなにか弱みを握れそうなものはないかな?
彼氏とのツーショット写真とか出てきたら最高なんだけどな。」
律「スゲー参考書の山だな。なんだこれ?ギター?」
憂「ギー太って言うんですよ」
律「わ、う、憂ちゃん…」
憂「誰もいないはずの2階で物音がしたんで泥棒かと思いましたよ」
澪「すまない律。ごまかしきれなかった」
梓「面目ない…」
憂「ところでここで何をしてるんですか?」
律「いや、唯さんの部屋がどんな感じか
自分の部屋の模様替えをする時の参考にしようと思って」
憂「クローゼットの中まで参考にするんですね」
律「いや、こ、これは」
唯「ただいま~」
律「こ、この声は!?」
澪「平沢唯が帰ってきた…」
梓「まだ、時間はあるはずなのに…」
紬「どうして…」
憂「お帰り、お姉ちゃん。早かったね」
唯「臨時ニュースが入っちゃってさ生放送が途中で切り上げになったんだ」
憂「そうなんだ」
唯「まぁ、ギャラはきっちり一本分貰えるからいいんだけどね。
靴があるけど憂の友達でも来てるの?」
憂「律さんたちがいらっしゃってるんだけど」
唯「はぁ?なんであいつらが!?」
憂「お、お姉ちゃん?」
唯「いや、今のはなかったことに…」
憂「え?」
最終更新:2011年12月14日 01:49