澪「今度こそ終わりだな」

梓「平沢唯になんて言われるか…」

律「元々覚悟の上での行動だったけどな」

紬「こんな最期になろうとは…」

唯「やあー、みんないらっしゃい」

律「ど、どうもこんにちは」

梓「お世話になっております」

澪「お日柄もよろしいようで」

紬「あえて光栄ですわ」

唯「みんな、なに堅くなってるの? ほら、リラックスしてリラックス」

梓「なんか、いつもと感じが違いませんか?」

律「今から雷が落ちるんだろうよ」

紬「荒らしの前の静けさってやつね」

澪「一掃の事、時間を掛けずにスパっと首を切り落としてくれ」

唯「憂、みんなにお茶を注いできて」

憂「もう、冷えちゃったもんね。今、注いでくるよ」

唯「さてと…」

シーン

律「なんだ、この静けさは…」

唯「単刀直入に聞くけどなんでお前ら家に来たの?」

律「平沢さんがどんな家に住んでるのかが知りたくて」

唯「それだけ?」

律澪紬梓「…」

唯「何とか言えよ!」

梓「ギターです!」

唯「はぁ?」

梓「平沢さんがギターをやってるって聞いて」

律(さっき、平沢唯の部屋でギター見て思いついただけだろうそれ…)

唯「だったらなんだっていうの?」

梓「一緒に…やりたいなって思いまして」

澪(うわー何言ってるんだこいつ)

紬(梓ちゃん、頑張って)

唯「あんたらとなんて一緒にやるわけないじゃない。バカじゃないの!」

梓「実は、私もちょっと前までギターやってたんですよ」

唯「なに?私よりうまいとでも言いたいわけ?」

梓「私が言っているのはそんなことじゃありません」

律「よし、話は聞かせて貰った。
  それじゃあ勝負しようぜどっちがうまいか」

澪「おい!律!」

律「私が思うにこいつは素人だ」

澪「なぜそんなことがわかる?」

律「あの、ロクに手入れもされてないギターを思いだしてみろよ」

澪「少なくともプロではないな」

律「だろう?」

澪「プロまではいかなくても素人でもうまい奴は沢山いるけどな」

律「くどくど説教されるよりかは勝負でも仕掛けて潔く負けた方が気持ちいいだろう?」

梓「なんで、負けること前提なんですか!」

律「さぁー、どうするんですか!勝負を受けるのか受けないのか」

唯「だから、私はそんな戯言に付きあってる暇は・・・」

憂「すみません、毎度おまたせしちゃって」

律「断るのなら不戦敗ということなりますよ」

唯「勝手に決めるなんて酷いよ!」

憂「何を話してたんですか?」

律「お姉ちゃんとギターで勝負をしようと思ってね」

憂「よかったね、お姉ちゃん。また、ギターやりたいって言ってたじゃん」

唯「でも、スケジュールが…」

憂「今度の日曜空いてるんじゃなかった?」

唯「その日は、憂と買い物に行く約束が…」

憂「いいよ、買い物なんてお姉ちゃんのスケジュールが空けばいつでも行けるし
  お姉ちゃんはギター勝負を頑張って」

律「ほら、憂ちゃんもそう言ってくれてることだし」

唯「わかったよ、勝負は受けることにするよ。その代わり本気だすからね」

律「こっちだって本気だよ。なぁ?梓」

梓「ええ、まぁ…」

律「それじゃあ、今度の日曜丸罰高校の音楽室で勝負だ!」

唯「の、望むところだよ!」

翌日

律「調子はどうだ、梓」

梓「撮影が忙しくて練習どころじゃないですよ」

澪「この前中断した分が押してるからな」

律「誰かさんのせいでね」

梓「もう、そのことは言わないで下さい」

紬「なんとか仲直りできるといいんだけど」

澪「一生無理だろうけどな」

AD「平沢唯さん入りま~す」

律「お姫様のご登場だ。くわばらくわばら…」

澪「本当、平沢だけ別撮りで助かるよ」

律「私らの出番はもう終わったし。これから梓の練習にでも付き合うか」

梓「何勝手に決めてるんですか!」

律「まさか、練習もロクにしないで本番に挑むつもりなのか?」

梓「そういうわけでは…」

澪「一人で練習するよりかはみんながいたほうがいいだろう?」

梓「それはそうですけど」

律「じゃあ決まりだな」

紬「駅前に良い貸しスタジオがあるのよ」

勝負当日
丸罰高校音楽室にて

律「さぁー梓、練習の成果を見せつけてやれ!」

梓「やってやるです!」

紬「その調子よ」

澪「しかし、本当に来るのか平沢唯は?」

律「来ないと不戦敗って言ってあるからな。
  負けず嫌いの平沢のことだからきっとくるさ」

澪「だと、いいんだがな」

ガチャ(ドアが開く音)

律「来たか?」

さわ子「ねぇ?平沢唯ちゃんが来るんですって?」

澪「なんだ、さわ子先生か…」

律「紛らわしいことするな!」

さわ子「だって、サイン貰いたいんだもん」

梓「そういうの後にしてもらえますか?」

さわ子「私もここに行っちゃだめ?」

梓「気が散るんで出て行って貰っていいですか?」

さわこ「じゃあ、サインよろしくね。」

律「私たちがサイン頼むとか無理だから」

澪「まったく、緊張感のかけらもないなあの人は」

ガチャ

唯「しょうがないから来てやったけど…」

律「なんだか、えらいテンション低いな」

唯「当たり前だろう!こんなもん初めからやる気ないんだから
  勝負だかなんだかしらないけどさっさと終わらせるよ!」

梓「じゃあ、まずはどっちが先にやるかを決めましょうか」

唯「それじゃあ、私が先でいいかな?」

梓「構いませんけど…」

律「それがギー太か?」

唯「お前がその名を口にするな!」

さわ子「ちなみに審査員は私です!」

律「ちゃんと公平に見て下さいね」

さわ子「当たり前じゃない」

澪「本当に審査員この人で大丈夫か?」

唯「じゃあ、始めるから」

ジャンジャンジャカジャカ~♪

律「う、うまい…」

澪「誰だよ、素人とか言ったの…」

紬「鳥肌が立ってるわ」

律「これは正直、梓の負けかもな」

梓「ぐぬぬ…」

唯「まぁ、ざっとこんなもんでしょう」

さわ子「凄いわ!唯ちゃん!パーフェクトよ!」

唯「近づくな!変態教師!」

さわ子「あら?反抗期かしら?」

梓「勝負はまだ終わってません!私の分もちゃんと審査して下さい!」

さわ子「ごめんなさい、あまりのうまさに感動しちゃって」

さわ子「それじゃあ、気を取り直して次は梓ちゃんね」

律「そんなに緊張しないでいつも通りやってくれればそれでいいからさ」

梓「はい、やれるだけ頑張ってみます」

ジャンジャンジャカジャンジャン~♪

律「さすがに平沢さんには負けるけど」

澪「思ったよりうまいじゃん」

紬「癒されるわね」

そして、梓の演奏が終わり審査結果が発表された。

さわ子「悪いけど、どうひいき目でみても平沢さんの勝ちよね」

律「悔しいけど異議なし」

澪「これはしょうがないな」

紬「真剣勝負ですもの」

梓「今日は、付きあっていただいてありがとうございました。」

唯「これに懲りたら二度と私の演技を笑ったりしないことね」

さわ子「それにしてもうまかったわ唯ちゃん。よかったら軽音楽部に
    入部しない?」

律澪紬梓「えー!?」

唯「お断りよ。私がこんな陳腐な部に入部するわけないじゃないの」

さわ子「お菓子食べ放題でもだめ?」

唯「子供じゃあるまいしそんなものに釣られるわけないでしょう」

さわ子「そう…それは残念ね」

律「これこそまさにけいおん!だな」

唯「ドラマと現実を混ぜるな。気持ち悪い」

律「いいじゃんかよ、ドラマの中みたいにリアルでも軽音部やろうぜ!」

澪「平沢さんが入部してくれたら、この陳腐な部も少しは良くなるんじゃないかな?」

紬「華やかになるわよね」

梓「違う意味で笑いあえる仲間がいた方がいいと思います!」

律「なに、うまいこと言おうとしてるんだよ梓」

さわ子「みんなもこう言ってるわけだし」

唯「その前にお前ら大事なこと忘れてないか?」

さわ子「なにが?」

唯「私は、他校の生徒だぞ」

一同「あっ…」

唯「アハハ、相変わらずマヌケな奴らだな。」

律「おい平沢さんが笑ったぞ!」

紬「本当だわ」

澪「あの、滅多に笑わない平沢さんが」

梓「許してくれたのかな…」

唯「くだらない勝負だったけどそれなりに楽しめたかな?」

梓「くだらないとはなんですか!」

唯「あと、中野の事も許してやるよ」

梓「本当ですか!?」

唯「ああ、私だっていつまでもあのことを引きずりたくはないからな」

梓「ありがとうございます!」

唯「今更、礼なんて言うなよ」

律「残念ながら、入部には至らなかったが名誉部員として平沢さんを歓迎しようぜ」

唯「名誉部員?なんだそれは?」

律「細かいことはいいからさ。ほら、ここに座って」

唯「さっきから思ってたんだがなぜ音楽室にティーセットがあるんだ?」

律「いいからいいから」

紬「お茶が入ったわよ」

唯「私はもう帰るから…」

律「今日は一日空いてるんだろう?」

梓「ゆっくりしていって下さい」

唯「それじゃあ、そこまで言うのなら」

律「さぁーケーキだケーキだ」

梓「チーズケーキは私のものです」

紬「平沢さんは何にしますか?」

唯「私は、なんでもいいや」

紬「それじゃあ、平沢さんにはショートケーキを」

唯「いつも、こんなことやってるのか?」

澪「だいたい毎日です…」

唯「どうりで、下手くそなわけだ」

梓「下手くそとはなんですかあれでも練習したんですよ」

唯「あれでか?」

梓「酷いです!」

唯「そうそう、今度けいおん!が映画化されるの知ってるか?」

律「そんなの聞いてないですよ」

唯「聞いた話だと、私らのドラマがちまたで結構人気らしくな
  急きょ映画化が決まったらしい。」

澪「もちろん、私たちも出させてもらえますよね?」

唯「それは、監督の采配次第だが。」

律「収録中断の件で監督を怒らせちゃったからな…」

紬「私も映画に出演したいわ」

唯「私からも監督に頼んでみるけどさ」

律「本当ですか?」

唯「ああ、他の出演者が変更されたんじゃやりずらくてしょうがないからな」

梓「平沢さんの力を使えば決まったも同然ですね」

唯「どういう意味だ」

梓「あ、すみません」

唯「梓は口がすべることがあるから気を付けろよ」

梓「反省してます」

律「今日はありがとな、貴重な休みだったのに」

唯「いい暇つぶしにはなったよ」

紬「それじゃあまた明日」

唯「ああ、遅刻するなよ」

梓(お前が言うか…)


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最終更新:2011年12月14日 01:50