翌日
撮影現場にて

AD「平沢唯さん入りま~す!」

律「今日は、珍しく時間通りだな」

唯「お前らもう来てたのか?」

澪「一時間前から来てるんですけどね」

梓「久しぶりにみんな一緒の撮影ですね」

唯「今日は、みんなが集合するシーンがあるからな」

和「あら、今日は平沢さんもお揃いで」

純「唯ちゃんだよ、唯ちゃん!」

和「ちょっと、純、失礼よ。すみませんこの子まだ新人で」

唯「そうだな、あとでこの業界の厳しさというものを教えてやらなくちゃな」

梓(今度は、純がターゲットか…)

監督「今日は皆さんに大切なお知らせがあります」

律「映画化の話かな?」

澪「知ってるからって先に言うなよ」

監督「けいおん!の映画化が決定しました!」

まばらな拍手

監督(あれ?反応が薄いな…)
  「というわけで、来週からロンドンでロケを行いますので
   ご準備のほどよろしくお願い致します。」

律「まさか、海外に行くとは思わなかったよ」

澪「ロンドンか…微妙だな」

梓「中国のほうがダイナミックって感じしません?」

紬「ロンドンなんて15回位行ってるわ」

唯「お前らな観光に行くんじゃないないんだからな。
  その辺勘違いするなよ」

律「わかってますよ」

唯「なら、いいんだが」


純「私たちもロンドン行けるのかな?」

和「ロンドンに行くのは軽音部のメンバーだけみたいだけど」

純「えー、そうなのー?つまんねえーの!」

和「軽音部の卒業旅行って設定だから、私たちは留守番ね」

純「あーあ、私もロンドン行きたかったな
  唯ちゃんやりっちゃん達はまだわかるけど…」

和「だから、先輩にちゃん付けは失礼だって言ってるでしょう」

純「いいじゃん、唯ちゃんは唯ちゃんなんだから。
  それより、なんで同期の梓がロンドンにいけて私が行けないわけ?」

和「梓は軽音部のメンバーだから…」

純「そんな理由納得いかないよ!」

和「私に言われてもね…」

純「ちょっと、監督に直談判して来るよ!」

和「あまり目立つことはしないほうがいいわよ」

純「だって、納得いかないもん」

和「大丈夫かしらあの子、平沢さんに目を付けられなきゃいいけど」

純「ちょっと、監督!」

監督「もちろん、平沢さんの出番は沢山ありますので…」

唯「あと、このシーンだけどな…」

純「監督ってば!」

唯「うるさいぞ、新入り!先輩が今話してるんだから後にしろ!」

純(なんだよ、偉そうにしちゃってさ…)

監督「では、ここは直しておきますんで」

純「ちょっと、監督!」

監督「さっきからなんだよ今忙しいんだよ」

純「私もロンドンに連れて行って下さいよ!」

監督「はぁ?何を言ってるんだ君は?」

純「だって、梓ちゃんが行けて私が行けないなんておかしいですよ」

監督「しょうがないだろうそういう役なんだから。
   どうしても行きたきゃ自分で金出して行きな!」

純「なんでですか?」

監督「なんでもなにもあるか!」

唯「おい!そこの新入り私が相手してやろう」

純「え?唯ちゃんさんが連れて行ってくれるんですか?」

唯「ああ、いいとも」

純「やったー!やっぱ持つべきものは先輩ですね」

唯「そのかわりお前には私の付き人になってもらうからな」

純「付き人ですか?」

唯「ああ、そうだ」

純「でも、撮影のスケジュールが・・・」

唯「お前は、チョイ役だからスケジュールもそんなに埋まってないだろう」

純「悪かったですね」

唯「ロンドンに行きたいんだろう?」

純「もちろん!」

唯「じゃあ、決定だな」

梓「出番もないのにロンドンに純を連れていくとか正気ですか?」

唯「あくまでも、私の付き人としてだ。まぁ、お前たちに了解を得る必要などないんだがな」

律「でも、純はやめておいたほうがいいですよ。絶対後悔しますよ」

澪「すこぶる評判が悪いからな」

紬「根は良い子なんだけど…」

唯「だからこそ、その腐りきった根性を叩き直してやるのさ
  遠い異国の地でどんな醜態をさらすのか楽しみでしょうがない」

梓(うわー、悪魔だ…)


ロンドンにて

監督「それでは、撮影始めます。Aパートのシーン3です」

アクション!

律「ついにきたぞ!ロンドン!」

唯「うひゃー、みてよあの時計台!」

澪「寒いよ~」ガタガタブルブル

監督「はい、OKです!」

純「澪さんって寒がりなんですか?」

紬「そういう役だから…」

律「夏だというのになんだいこの寒さは」

唯「あまり汗が出なくてかえって好都合だ」

澪「本当に寒いんだが…」

律「異常気象だな」

純「ヘックション!私まで寒くなって来たよ」

紬「早く、ホテルに戻りましょう」


ホテル

唯「撮影は3日間の予定だったな」

律「平沢さんのスケジュールが詰まってるから、異例の短さらしいですよ」

唯「なにか不満でもあるのか?」

律「そんな、滅相もない」

唯「しかし、嫌な寒さだな。本当に夏なのかこれ?」

澪「おい、雪まで降ってきたぞ!」

律「んな、アホな」

唯「ちゃんとスケジュール通り出来るんだろうな…」

純「私におまかせ下さい!」

律「なにを任せるんだ?」

純「スケジュール通りに撮影を終わらせてあげましょう!」

澪「いや、純ちゃんの出番ないから」

純「出番があるとかないとかじゃなくてここのスタッフが問題なんですよ」

律「はぁ…」

純「だいたい、この私を差し置いて梓をメインキャラクターにするなんてどうかしてますよ」

澪(お前がな)

唯「もちろん撮影スケジュールをこなす方法についてはちゃんと考えてるんだろうな?
  まさか、ノープランというわけでもあるまい」

純「も、もちろん!えっとまずはですね…その…あの…」

律「なにも考えてないのにお任せ下さいとかよく言えたな」

澪「スタッフを非難する前に自分が行動しなくちゃな」

梓「本当、これじゃあ良い役が回ってこなくてもしょうがないんじゃないの?」

純(梓の奴言わせおけば…言いたい放題言いやがって…)
「わかりましたよ、それじゃあ私の本気を見せてあげましょう」

律「はいはい、純の本気は聞きあきたよ」

純「今度は、本当の本気です!」

唯「よし、それじゃあその本気やらを今見せて貰おうか?」

純「やっぱ、明日からで…」

唯「だめだ、今すぐ本気を出せ」

純「いきなり、本気出せと言われても具体的に言ってくれないと…」

唯「お前さっき梓より自分のほうが勝ってるって言ってたよな」

純「当然です!梓なんかに負けるはずありませんから」

唯「じゃあお前梓の代わりに芝居してみろ」


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最終更新:2011年12月15日 02:01