律「唯~、うまい棒買ってこうぜ~」

唯「うまい棒?」

律「ムギのお菓子もいいけどさ~」

律「たまにはこ~ゆ~のも、食べたくなるんだよな~」

唯「あ~、わかるぅ」

律「こう、軽くサクサクって感じがたまらね~」

唯「駄菓子!駄菓子だよ、律っちゃん!」

律「やっぱ、うまい棒はメンタイだよな~」

唯「え~?シンプルにチーズだよぉ」

律「ちっちっち~!分かってないな~、唯は」

唯「ぶ~」

律「まぁいいや、買おうぜ~」

唯「・・・・・・あ」

律「どした?」

唯「サイフ忘れた」

律「しょ~がね~な、わたしが立て替えといてやろう!」

唯「律っちゃん大明神!ありがとうございますっ」

律「はっはっは、任せろぃ」

律「おっさいふ♪おっさいふ♪」

唯「小銭♪小銭♪」

律「・・・・・・あ」

唯「どしたの?」

律「1万円札しかない」

唯「うまい棒2本買うのに、1万円札っ!?」

律「落ち着け~、店員さんが優しそうなら問題ないハズだ」

唯「えっとぉ」

唯・律「・・・・・・あ」

唯「めちゃめちゃ怖そうだよ、律っちゃんっ」

律「ひぃぃぃぃぃ!」

唯「ど、どどど、どうしようっ」

律「落ち着け~、まだなんか手はあるハズだ」

唯「どんな手が!?」

律「・・・・・・お」

唯「なんか浮かんだのっ?」

律「うまい棒を棚に戻しゃいいじゃん!」

唯「天才だよ、律っちゃん隊員っ」

唯「・・・・・・あ」

律「今度はど~した?」

唯「緊張して、うまい棒握りしめちゃってた」

律「なんてこったぃ!」

唯「ゴメン!平沢唯、一生の不覚だよっ」

律「あ・・・・・・いや」

唯「へ?」

律「いまので、わたしのも折れちゃった」

唯「えぇぇぇぇぇ!」

律「このまま戻したら怒られるよね~」

唯「高校生になって、コンビニで怒られるってぇ・・・」

律「想像したくね~!」

律「こうなったら、電話して誰か呼びだそう!」

唯「おぉ、その手があったねっ」

律「こういう時のための、軽音部だし!」

唯「え?えぇぇぇぇぇ?」

律「唯・・・我々には細かいコトを気にしてる余裕などないんだ」

唯「はっ!わたしが間違ってましたっ」

律「さて、誰を呼び出すかだけど・・・」

唯「あずにゃんは?」

律「ん~・・・なんか後輩を使い走りにしてる感じがするな~」

唯「そっかぁ」

律「ムギはど~よ」

唯「ムギちゃんを、こんなコトで呼び出すの気が引けるぅ」

律「そうなると必然的に一人しかいない訳だな~」

唯「澪ちゃんだねぇ」

律「よし、澪に招集をかけよう!」

唯「な、なんか招集ってカッコイイねっ」

律「携帯・・・澪の番号・・・と」

唯「澪ちゃん、出て~」

澪『もしもし?』

律「澪っ!?いますぐサイフ持ってコンビニに来るんだ!」

澪『はぁ?』

律「わたし達にうまい棒を買ってくれ!」

澪『それくらい自分で買え!』

プツッ プープープー

唯「・・・いまのは色々問題ある気がするね」

律「言うな唯・・・わたしが一番よくわかってるから」

唯「ゴメン、律っちゃん!こういう時は励まさなきゃいけないのにっ」

律「やめろ唯!励まされたら泣いてしまいそうだ」

唯「律っちゃんっ」

律「唯っ」

ガシッ ギュッ

店員1「あ、あの・・・お客様?他の方の迷惑になりますので」

律「うわっ、あの・・・えっと」

唯「ご、ごめんなさいっ」

律「き、気を付けます、です」

唯「・・・怒られたぁ」

律「あは、あはは・・・店員さんに目を付けられちゃった」

唯「もう絶対、棚に戻すのは無理だねぇ」

律「1万円札出すなんて、もっと無理だ~」

律「一刻も早く、家に帰りて~」

唯「一刻も・・・早く?」

律「どした~?」

唯「それだよ、一刻も早くだよっ」

律「へ?」

唯「さわちゃんなら、呼び出せば車で速攻だよっ」

律「唯っ、お前はやれば出来るコだって信じてたぞ~」

唯「さわちゃんの番号・・・と・・・これだぁ」

律「やっと、この地獄から解放される~」

さわ子『唯ちゃん、電話なんてどうしたのよぉ?』

唯「さわちゃんっ、いまコンビニでね!えっと、小銭がなくてね」

さわ子『お金がないのにコンビニ行ったの?』

唯「お金は、あるコトはあるんだけどぉ」

さわ子『だったら、なんの問題もないじゃない』

唯「でもね、えっと、うまい棒をうっかり」

さわ子『うっかり!?うっかりなにやったの!?』

唯「えぇ?わざとじゃなくてね、つい手がぁ」

さわ子『手がっ!?』

唯「つい、こう・・・思わず」

さわ子『すぐ行くから待ってなさい!どこのコンビニ!?』

唯「商店街の入り口んとこ」

唯「さわちゃん、来てくれるって♪」

律「く、来るのはいいんだけどさ」

唯「ほぇ?」

律「なんか色々、誤解して来るんじゃないかな~・・・なんて」

唯「ごかいぃ?」

律「というか~、そもそもさわちゃんを呼ぶのはどうなのかな~」

律「一応先生なんだし、あはは~」

唯「え~?律っちゃんだって賛成してたじゃん」

律「流されてた、流されてたな~」

唯「とりあえず、この地獄からは逃れられるよっ」

唯「信じて待とうっ」

律「・・・う~、新たな地獄が待ってる気がする」


~5分後~

唯「あ、来た来た、さわちゃん♪」

唯「あれ?なんか怒った顔してる」

律「そ、想像通りすぎて・・・何も言えない」

ガーッ

店員1「いらっしゃいま・・・」

さわ子「唯ちゃん!律ちゃんまで!なにやったの!?」

唯「えぇぇぇぇぇ?」

律「・・・まぁ、そうなるよね~」

さわ子「ストレス?ストレスがそんなコトさせたの!?」

唯「お、落ち着いて、さわちゃんっ」

さわ子「あんたが落ち着きすぎなのよぅ!」

唯「深呼吸!深呼吸しよう、さわちゃんっ」

さわ子「す~は~、す~は~」

唯「落ち着いたぁ?」

さわ子「落ち着いたじゃないわよっ」

唯「・・・うぅ、呼び出したくらいで、そんなに怒らなくても」

さわ子「少しは悪びれなさいよっ」

唯「さわちゃんに小銭を借りるコトが、こんなに怒られるなんてぇ」

さわ子「お金借りて払って、すむ問題だと思ってるの!?」

唯「だってぇ、借りないと買えないし」

さわ子「は?買う?」

唯「もう棚に戻せないし」

さわ子「は?戻す?」

さわ子「・・・も、もう一度最初から話してくれるかしら」


~3分後~

さわ子「へ、へぇ・・・なるほどぉ、そういうコトだったのね」

律「あの・・・さ、さわちゃ~ん?」

唯「顔が怖いよぅ、さわちゃぁん」

さわ子「元々こういう顔ですっ」

律「ひぃぃぃぃぃ!」

唯「ごめんなさい、ごめんなさいっ」

さわ子「おぉぉぉまぁぁぁえぇぇぇらぁぁぁ」

唯「落ち着いて、さわちゃんっ!シワが寄っちゃうからっ」

さわ子「なぁぁぁんですってぇぇぇ?」

店員「お客様、あの・・・」

さわ子「なにッ!?」ギンッ

店員1「な、なんでもありません!」

唯(あ、あの怖そうな店員さんを・・・)

律(ビビらせた!?)

唯「こ、こわひぃ」

律「なんまんだぶ、なんまんだぶ~」

さわ子「あ、あんたらね」

客1「やだなにあれ?」ヒソヒソ

客2「ダメよ、目を合わしちゃ」ヒソヒソ

さわ子(あ、あれ?注目浴びてる?注目浴びちゃってる!?)

さわ子(築き上げてきた・・・わたしのイメージがっ)

さわ子「だ、だめじゃなぁい・・・大声で騒いだりしちゃぁ」

唯「・・・さわちゃん?」

さわ子「ヒトの目があるから、今日は勘弁してあげるわ」ヒソヒソ

唯「た、助かったぁ?」

律「いい人だ~、さわちゃん、いい人だ~」

さわ子「明日・・・朝一・・・部室・・・いいわね」ギラッ


2
最終更新:2011年12月20日 01:56