ロンドン ホテル 夜
律、澪、紬部屋
澪「律……律…」ヒソッ
律「んん…?」
澪「起きてる?」
律「んー…くぁ…なに?」
澪「ドキドキし過ぎて眠れない!」
律「昼間あれだけ歩き回ったんだから眠れるだろ…」
澪「でも海外だし…!」
律「大丈夫だよ、目つぶったら眠れるって…」ウト…
澪「眠れないんだってば!」ユサユサ
律「あー…はいはい。分かったよ。寝付くまで一緒に起きてるよ」
澪「律ぅ!」キラキラ
律「ふぁ…で、どうすんだ?ムギはもう寝てるっぽいからあんまり騒ぐことはできないぞ」
澪「うん…どうしよう?」
律「このまま話してたら眠れそう?」
澪「んー…分からない」
律「んじゃ散歩でも行くか」
澪「え?」
律「ロンドンの夜を散歩」
澪「!」パァッ
澪「行く!」
律「うん、じゃあ上に何か羽織って行こう」
澪「うん!」ワクワク
律「静かにな、ムギ寝てるから」
澪「あ、うん…」
紬(うふふ、いってらっしゃい!)
外
律「んあー…寒い!」ブルブル
澪「ロンドンの寒さだぁ…!」
律「海外来ると空気も全然違うな」
澪「街並みもすごくきれい…」ウットリ
律「この辺は安全みたいだけど外国の夜なんて怖いからあんまり遠くはいけないよ」
澪「えっ…」
律「…大柄の黒人に突然連れ去られるかもしれないぞぉ~?」
澪「ひぃっ!?い、今すぐホテル戻る!!」
律「だぁ~いじょうぶだよ!そんなにフラフラしなきゃ」
澪「で、でも…」
律「なにかあったらちゃんと守るから」
澪「……うん」カァ
律「やばくなったら澪を囮にして逃げるけど」
澪「おい!」
律「うそうそ」ニシシ
澪「どうかな…」
律「大丈夫大丈夫!」
澪(ま…信じてるけどな)クスッ
律「でもよかったなぁ~ロンドン来れて」
澪「うん!」
律「とんちゃんのおかげだな!」
澪「それもあるけど…律のおかげでもあるよ」
律「え?私?」
澪「律もいくならってママOKしてくれたんだもん」
律「あー…(澪ママちょっと過保護なところあるからな~…だから澪がいつまで経ってもママって呼んでるし…)」
律(でもそんなお母さんに信頼されてるっていうのは幼馴染故に勝ち取ったものだけど!)フフン
律「…ふふふ。りっちゃんがいるから逆に危険かもしれないぜ?」キラン
澪「なっ…」カァッ
澪「ば、バカ!部屋にはムギもいるんだぞ!」
律「あれれ~?私はさっきの話の続きで危険なことがあっても私が澪を囮に使うかもしれないから逆に危険かもって言ったんだけどな~?」ニヤッ
澪「!」カァァァッ
律「みおしゃんはどんなことを想像したんでちゅかね~?」アレレー?
澪「このっ…バカ律ぅー!」ゴチンッ
律「あふんっ!?」
律「ひどぃー!冗談なのにぃー!」ウワーン!
澪「自業自得だろ!」フンッ
律「………したかった?」
澪「っまた…そういうこと…!」グッ
律「いやいや冗談じゃなくて。正直に言ってごらん?」
澪「……べつにっ…!そんなつもりじゃなかったけど…」
澪「ベットが…私と律が隣でムギのベットだけ離れてるから…だから三人部屋なのに二人きりだと錯覚しちゃいそうになってドキドキするっていうか…」
律「あれ、だから眠れなかったの?」
澪「いや!それは本当に旅行で興奮しちゃったっていうか…あ!興奮って言ってもそういう意味じゃ…!」アセアセ
律「分かってるよ」
澪「な、ならいいけど…」ドキドキ
律「…手、繋ごっか」
澪「なっ…ここ外だぞ…!?」
律「いいじゃんロンドンなんだから!」
澪「でもっ…」
律「誰も私たちのことなんか気にしないよ」
律「ほれほれ、旅の恥はかき捨てって言うぞ?」
澪「………じゃあ」スッ
律「へへっ」ギュッ
澪「…」カァッ
澪「…日本でも手繋げたらいいのに」
律「澪が恥ずかしがるんじゃん」
澪「だって私たち…」
律「唯とムギなんか手繋いで学校きてたじゃん」
澪「唯達は付き合ったりしてないから…例えなんか言われてもそんなにいやな気持ちにはならないだろ…」
澪「それに制服だったから平気なんじゃないか?私たちもうすぐ大学生なのに手繋いでたりなんかしたらおかしいだろ…」
律「おかしくないよ」
律「澪が恥ずかしがらなければ私は人前で手繋げるし抱きしめてキスをすることだってできる」
律「それにみんなに自慢する!私の恋人はこんなに可愛いんだぜーって!」
澪「ばか…」カァ
澪「………」
澪「私は…誰にも教えたくないな…律のこと」
澪「可愛いところもかっこいいところも優しいところも…全部独り占めしたい」
澪「律のこと知ったらみんな律のこと好きになっちゃうもん…」
律「なーらないって!」アハハハ
澪「なるよ。律は知らないんだよ…自分がどれだけ魅力的か…」
律「は…恥ずかしいこと言うなよ…」カァッ
澪「あ…ご、ごめん…」カァッ
律「…ねぇ、澪」
澪「うん?」
律「ロンドンって女同士でも結婚できるんだよ?」
澪「……うん。知ってる」
律「なんだ、知ってたのか」
澪「うん。だから…そういう意味でも憧れるっていうか…そういうのオープンにしても大丈夫らしいから」
律「寿司屋の店長もちょっとおねぇ系っぽかったよな。雰囲気が」
澪「あ、私も思った」
律「やっぱり?」
澪「うん」
律「二人でロンドンに引っ越そうか?」
澪「えぇ?」
律「ロンドンなら堂々と手繋げて澪を恋人だってみんなに自慢できるんだろ?」
澪「自慢とかは…恥ずかしいけど…そうだな。ロンドンならもっと堂々とできるな」
律「そうしたら私達結婚だってできるし」
澪「けっ結婚!?」カァッ
律「あれ、嫌?」
澪「い、嫌じゃ…ない…」カァァァッ
律「じゃあ将来ロンドンに住もう。HTTとしてメジャーデビューして、夢の武道館ライブが叶ったら海外デビューして、それからはロンドンを拠点にやっていこう」
澪「おいおい…唯達の意見も聞かずに…」
律「唯達ならきっと賛成してくれるよ」
澪「ん…そうかもしれないな」
律「………HTTのことでは信用できるのに、私達の恋愛を話す勇気はないんだな」
澪「え?」
律「そういうことだろ?」
澪「違うよ…そうじゃなくて…」
律「そうじゃなくて?」
澪「………だってやっぱり…怖いよ」
律「唯達が信用できない?」
澪「違うって…」
律「じゃあなに?」
澪「………………」
律「………澪が望めばさ」
澪「…?」
律「日本でもこうやって手繋げるよ?」キュッ
律「周りに紹介だってちゃんとできる」
律「正式な結婚は無理でも、それと同じぐらいの…いやそれ以上の、結婚なんて概念が気にならなくなるぐらい澪のこと幸せにするよ」
澪「律…」
律「あと澪と同じぐらい私も幸せになる!」
澪「なんだよそれ…」クスッ
律「なれるよ。澪と一緒なら」
澪「………」
律「そう思ってるのは…私だけ?」
澪「………ううん。律だけじゃない…」
律「じゃあさ、日本でも手繋ごう。堂々と歩こう。好きって気持ちを隠すのはやめよう」
律「例え誰かが笑っても、後ろ指を差しても、恥じることなんかないよ」
律「私達の想いは本物だから」
澪「あぁ…そうだな…うん…」グスッ
律「泣くなよぉ」
澪「律が泣かせるから…」グスン
律「じゃあ今度は笑わせてあげよう」
澪「また変なことする気じゃ…」
律「ん」サッ
澪「……え?」
律「………」
澪「え、なにこれ…指輪…?」
律「…うん」
澪「え…くれるの?プレゼント…?」
律「結婚指輪」
澪「…………へ?」
澪「は、はい」
律「私と結婚してください」
澪「……………」
澪「…」ポロッ
律「泣くなよぉ」
澪「だって…律が…」ボロボロ
律「結婚しよう、澪。婚姻届なんか私達にはいらない。私達がお互いを大切に思って、二人で幸せでいればそれが私達の結婚だから」
律「だから結婚してください!お願いします!」バッ
澪「………はい」ギュッ
律「よし!」グイッ
澪「きゃっ!?」
律「澪ー!幸せになろうなー!」ギューッ!
澪「ちょっ、苦しいよ!律!」クスクス
律「愛してる澪ー!」ギューッ!
澪「私だって愛してるよ!」
律「もっと大きい声で!」
澪「愛してる!!」
律「もっと!」
澪「愛してるー!!!」
律「私もー!!!!!」
キャッキャッキャッ!
最終更新:2011年12月20日 19:23