アットウィキロゴ
律「ひぃー、今日は一段と寒かったなぁ」ブルブル

律「ただいまー」ガチャッ


がらーん


律「あれ、梓?」

律「旦那様のお帰りだぞー」キョロキョロ

律「あずさー」

律「どこ行ったんだあの猫娘」

律「……ん?」


梓「……」

ガラガラ

梓「」ビクッ

律「なんだ、ベランダにいたのか」

梓「び、びっくりするじゃないですか」

律「何してんの。外寒いだろ」

梓「見てください」チョイチョイ

律「上?」

梓「空ですよ、星空」

律「あー、澄んだ星空だな。冬らしい」

梓「むー、そうじゃなくて」

律「なんだよ一体」

梓「ほら、お月様ですよ」

律「……」ポンッ

律「そっか、そういや今日って」

梓「はい、月食です!」

律「それで、ずっとここにいたってか」

梓「はい!」ニコニコ

律「風邪ひくだろ」

梓「暖かくしてるから大丈夫ですよだ」

律「ほう、どれどれ」ピトッ

梓「ひゃっ!?」

律「ほんとだ、あったかい」

梓「つ、冷たいですっ」

律「梓のほっぺはやわらかいなー」フニフニ

梓「ひゃめてくださいっ」

律「ほれ、詰めた詰めた」

梓「ちょっ……」

律「よっこいしょと」ドサッ

梓「うー、身動きがとれないです」

律「ベランダ狭いんだからしょうがないだろ」

律「それにさ、こうやってくっついてる方があったかいし」

梓「そうですけど」

律「……」

梓「……」

律「へー、もうあんなに欠けちゃってる」

梓「もうすぐ真っ暗になりそうですね」

律「は~~……」

梓「幸せが逃げますよ」

律「バイトで疲れたんだ」

梓「お疲れさま」

律「あったかい風呂に入って、ぐっすり眠りたい」

梓「シャワーで我慢してください」

律「え~~」

梓「水道代も光熱費も馬鹿にならないんだから」

律「何だよ、風呂ぐらいいいじゃん」

梓「我が家の家計は火の車なんですよ」

律「ちぇー。じゃさっさと入ろうぜ」

梓「あ、待ってください。まだ月食見るんだから」

律「月が欠けるぐらいで騒ぐなよ」

梓「私はもう一時間以上こうしてるんです」

律「はいはい、早く風呂入るぞ」

梓「月食見たいんですってば」

律「風呂!」

梓「月食!」

律「……」

梓「……」

律「……分かったよ、待てばいいんだろ待てば」

梓「……はい!」

律「どんぐらい」

梓「あと一時間」

律「え~~、そんなに待つのかよ」

梓「ダメですか……?」

律「……」

律「へーへー、付き合ってやるよ」

梓「!」パアァ

律「たくっ、疲れてんのに」

梓「律先輩が優しくてよかった」ギュッ

律「調子いいこと言ってんじゃねえ」

ギュウ

梓「♪」

律「……」ハァ

律(今何時だろ)スッ

律「……もう十一時近いし」

梓「明日は日曜だからいいじゃないですか」

律「早く寝たい」

梓「律先輩は私とこうしてるのが嫌なんですか……?」ウルウル

律「……」

梓「私は好きなのに」シクシク

律「お前の嘘泣きはお見通しだ」

梓「ちぇー、昔はよく引っ掛かってくれたのに」

律「ばーか」

梓「でも……」

律「ん?」

梓「律先輩とこんな風に、ぼーっとしてる時が好きだっていうのは本当ですよ」

律「ふぅん」

梓「律先輩は?」

律「……」

梓「」ジー

律「……別に嫌いじゃないけど」

梓「えへへ。嬉しい」ギュッ

律「……」

梓「あっ」

律「んー?」

梓「いつの間にか、お月様隠れちゃってます」

律「ほんとだ」

梓「きれいな赤銅色」

律「真っ暗になる訳じゃないんだな」

梓「天の川も一緒に見えて、すごくロマンチックですね」ウットリ

律「月が消えただけで、いつもと変わらない星空だけどな」

梓「……律先輩はデリカシーがありません」

律「うるせ」

梓「ロマンチストは自称ですか」

律「自称した記憶もねーよ」

律「……」

梓「……」

律「なあ、梓」

梓「なんですか?」

律「月がきれいだな」

梓「へっ? 隠れちゃってますよ」

律「……」

梓「?」

律「うん、そうだな」

梓「変な律先輩」

律(ばーか)

梓「この前の皆既月食っていつでしたっけ」

律「確か、私が小学生のころ」

梓「そういえば、お母さんと一緒に見た覚えがあります」

律「私は澪と見た」

梓「……」

律「月が全部隠れると、幽霊がいっぱい出るんだぞーって、驚かしてさ」

梓「……」

律「そしたらあいつ、本気で泣いちゃって」

梓「……」シュン

律「何で落ち込むんだよ」

梓「浮気者」

律「いやいや」

梓「そんな小さな頃から澪先輩に手を出していたんですね」

律「お前は何を言ってるんだ」

梓「」ムスッ

律「拗ねるなよ、めんどくせーの」

梓「ふんだ」

律「よしよし」

梓「……」

律「」ナデナデ

梓「律先輩は、私の頭なでるの好きなんですね」

律「梓の髪やわらかいから、さわり心地がいいんだ」

梓「……」

律「嫌か?」

梓「正直、ちょっと照れくさいかも」

律「……そか」

梓「でも、律先輩にしてもらうのは好きですよ」

律「……」

梓「大事にしてもらってるんだなって思えて」

梓「とっても、幸せになります」

律「……」

律「なあ、梓」

梓「何ですか」

律「もっと撫でていい?」

梓「はい!」


2
最終更新:2011年12月22日 22:08