唯「あ、和ちゃぁぁんっ!」

和「唯、久しぶりね」

唯「和ちゃんー、わーい、本物の和ちゃんだっ」ダキッ

和「きゃっ・・・もう、相変わらずね唯」クスッ

唯「だって、和ちゃんだよ! 久しぶりぶりぃ」

和「私は東京の大学だから、なかなか会えないものね」

唯「えへへぇ、和ちゃぁん♪」スリスリ

和「うふふ、唯~」ギュギュッ

唯「ふぉおおお!? 何がどうした、和ちゃん!」パッ

和「唯の扱いなら慣れてるわよ」

唯「さ、さすが和ちゃんだよ」

和「ふふ、さ、行くわよ唯」スタスタ




唯「待ってよ~和ちゃん」

和「置いていっちゃうわよ、時間ないんだから」

唯「えぇ~ひどいよ、久しぶりの再会なのにさ!」

和「唯は東京に来ることなんて滅多にないでしょ? 案内してあげたい場所があるのよ」

唯「うん、でもいきなり銀座で待ち合わせなんて驚いたよ~」

和「あら、銀座、有楽町なんて定番じゃない」

唯「そうだけど。なんか、大人の街だよね!」

唯「和ちゃんだから、もっとこう・・・本の町、神田とか、江戸情緒溢れる谷中とか想像していたんだけど」

和「あら、それじゃ私が年寄りみたいじゃない」

唯「でも学生にとっては、銀座は高級なイメージだよ。和ちゃん、私お金あんまりないよ?」

和「平気よ」スタスタ

唯「ひょっとして和ちゃん、彼氏でも出来た!?」

和「どうしてそうなるのよ?」

唯「いやぁ、それでおしゃれに目覚めちゃったのかなぁとか」

和「元からおしゃれに興味ないわけじゃないわ」

唯「和ちゃん、私、のどかわいたぁ・・・は、のどかわいた・・・和沸いた!?」

和「人を温泉みたいに言わない」

唯「だってぇ」

和「着いたらお茶も飲めるわよ」

唯「おうふ! あこがれの銀座カフェだね?」

和「そんな洒落たものか分からないけど・・・着いたわ」

唯「もう着いたの? 駅のそばだね」

和「ええ。ここの6階よ」

唯「さすが銀座、歴史のある建物だねぇ」

和「エレベーターで上がるわよ」スタスタ

ウイーン チーン

和「さ、行くわよ」

唯「おおっ、なんだかホテルのロビーみたいに瀟洒な作り」

唯「和ちゃん、ここは何のお店~?」

和「ふふ。受付済ませちゃいましょう」

受付「本日は、ようこそお越しくださいました」

唯「こんにちは~」ペコ

受付「先に、血液型をお伺いできますか?」

唯「え!? 血液型??」

唯「O型ですけど」

受付「ありがとうございます、O型ですね」キラッ

唯「へっ?」

受付「それでは、こちらにご記入をお願いします」

唯「はーい。・・・えっと、生年月日、身長、体重もかぁ」カキカキ

受付「次に、平沢様の問診票をお作りします」

唯「問診票・・・?」

受付「少しお時間がかかりますので、あちらのソファでお待ち下さい」

受付「ドリンクバー、お菓子などご自由にお召し上がりくださいね」

唯「うう、和ちゃん・・・ここってもしかして」

和「ええ、赤十字献血センターの有楽町献血ルームよ」

唯「やっぱり! 血を取られるのやだよぉ・・・」

和「健康診断の採血と変わらないわよ」

唯「だって・・・注射痛いし、何となく抵抗があるよ」

和「唯、おなかすいてるでしょ?」

唯「え。あ、うん」グキュルルル

和「そこのお菓子、自由に食べていいのよ」

唯「えっ? ホント!?」パァアアア

唯「すごいっ。カントリーマアムにオレオ、パイの実もある!」

唯「和ちゃん、これりっちゃんたちにお土産にしていい!?」

和「やめときなさい。飲み物は、ドリンクサーバーで好きなのを取ってね」

和「挽き立てコーヒーからウーロン茶、コーラまで20種類以上あるわ」

唯「献血ルームはすごいよ なんでもあるよドキドキ♪」

和「扱いやすい」




唯「でも和ちゃん、献血ルームってこんなに快適なんだねえ」

和「えぇ、私も初めて来たときは驚いたわ」

唯「係りの人もなんだかホテルマンみたいでかっこいいよ」

和「かっこだけじゃなくて、一流の接客術を身につけているところがすばらしいわね」

係員「55番の平沢様、いらっしゃいますか」きりっ

唯「あ、はーい」

係員「大変お待たせいたしました。ご気分はいかがですか?」

唯「あ、すごくおいし・・・良好です!」エヘヘ

係員「それでは、こちらのタッチパネルを使って質問にお答え下さい」

係員「ご不明なところがあれば、お申し付け下さい」ニコッ

唯「はーい・・・えーと、○か×かで答えていくんだね」ぴっ

係員「平沢様。本日はよろしければ400ml献血をお願いしたいのですが、いかがでしょうか?」

唯「あ、っと、うーん・・・」

係員「初めてのご様子ですので、不安がおありでしょうね」

係員「医師の問診もありますので、そちらで相談されて決められますか?」

唯「はい、そうします」

係員「かしこまりました。それでは、左手のブース2番へお入りください」


ガラッ

唯「あのー、平沢です」

医師「はい、どうぞ座ってください」

医師「先に血圧を測りましょうね。楽にしてください」

医師「うーん」

唯「あの私っ、どこか悪いんですかっ!?」

医師「いえ、血圧測っただけですから・・・少し低血圧気味ですねぇ」

医師「朝、起きるのが苦手ですか?」

唯「そうなんです! 家にいた頃は憂が、あ、憂は私の妹で、私と違ってすごくよくできた子でしっかり者なんですけど、
と言っても憂自身は『私なんかよりおねえちゃんの方がしっかりしてるよ~』なんて言ってくれるんですよ。
優しくて賢くてなんでもできちゃういい子で、とっても可愛い! 顔は私とそっくりなのにどうしてこんなに違うのかな? 
今でも試験の日とかは心配して『お姉ちゃん、ちゃんと起きてる?』ってモーニングコールしてくれたり・・・」

医師「はい。問題ないですね。で、400mlか200ml、どちらにされますか?」

唯「えっと、どうして400mlの方を勧められるんですか?」

医師「それはですね、輸血時の副作用のリスクを考えているんです」

医師「大勢の方の血を使うよりも、患者さんの体にも負担が少ないですからね」

唯「・・・なるほど」

医師「献血して下さる方の善意を無駄にしない為にも、400ml献血の方が良いのです」

唯「じゃあ私、400ml献血やってみます!」

医師「ありがとう。途中で気分が悪くなったりしたら、看護師に言って下さいね」

看護師「それでは、こちらに横になってくださいね」

唯「はーい・・・んしょ」

看護師「テレビの角度、大丈夫ですか? 手元のリモコンで操作できますよ」

唯(すごい快適・・・!)

看護師「最初は痛いですけど、我慢してくださいねー」キラッ

唯「は、針ふとっ! ひぇぇ」

看護師「いきますよぉ」キラキラ

唯「はうっ! 痛くない痛くない痛くない」

唯「・・・」

---

憂『これがええのんかぁ~、これがええのんかぁ~』ペチペチ

唯『あへぇええ~』

---

ぷすっ

唯「・・・」アヘヘ

看護師「!? は、はい、針通りましたよ」

唯「あ、あれ?」

看護師「10分くらい掛かりますから、リラックスしていて下さいね」

唯「はーい」

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--

唯「ふえ~、終わったぁ」

和「あら、唯。お疲れさま」にこっ

和「体調はどう?」

唯「血を抜かれて体が軽くなった気がするよぉ」

和「質量保存の法則で言えば400g痩せてるわね」

和「その前にさんざんお菓子食べてジュース飲んでたけど」

唯「もう終わりかな。帰っていいの?」

和「まだよ、簡単な説明があるわ」

唯「まだあるんだぁ、退屈・・・」

和「唯、そこのケースに入ってるアイス、どれでも食べていいのよ」

唯「え、アイス!? どれどれー?」ヒュンッ

唯「うわわっ! いろいろある! ハーゲンダッツもあるよ和ちゃん」

和「えぇ、でも1個にしときなさいね」

唯「わかった! これにしよう、ハーゲンダッツのクッキー&クリーム」

和「ふふ、大学生になっても相変わらずね、唯は」

唯「えぇ~、少しは大人っぽくなったって言ってよぉ」ハグハグ

和「アイス頬張りながら言われてもね・・いいじゃない、安心したわ」

唯「えへへぇ//」モグモグ

和「ほめてないわ」クスッ



最終更新:2011年12月23日 22:04