澪「…」ソワソワ

澪「…」ソワソワソワソワ

澪「…」ソワソワソワソワソワソワ

澪「だーっ!!ダメだ!落ち着かない!」


一週間前

唯「今年のクリスマスどうするー?」

律「どうすんべ」

紬「あ、あの…私、今年はどうしても実家で過ごさなくちゃいけなくて…」

唯「えー!」

紬「寮に入ってから両親とも全然会ってないから何が何でも年末は帰ってきなさいって言われてて…本当にごめんね!みんなと過ごしたいのは山々なんだけど…」

澪「まぁそういうことなら仕方ないな。ムギ抜きで何かやるのも悪いし、今年はみんな実家で過ごすか」

唯「…だねー。あー憂の料理楽しみだなぁ」

律「んじゃあ私もクリスマスは自分の好きに過ごすか」

澪「好きに?…って何か予定あるのか?」

律「ん…まぁ、ちょっとね」

澪「ふーん……」




現在


澪「うわあああああああ!!律が今何してるか気になって頭がおかしくなりそうだ!!」グルグル

澪「何だよ予定って…。何だよ予定って!!」

澪「メ、メールしてみようかな…」

澪「…」ポチポチ

『メリークリスマス!!今年もよろしくな!!』

澪「…ダメだな、テンション高すぎるしこれじゃ新年の挨拶だ…」

澪「…」ポチポチ

『おはよう律!元気か?私は元気だぞ』

澪「…意味がわからないな。やっぱりここはいつもどおりに…」

澪「…」ポチポチ

『今なにしてる?』

澪「…いや、でも正直に答えてくれるとは限らないしな…」

澪「やっぱ電話、か…」

澪「いや、でも…」

ホワンホワンホワワワーン

私『もしもし律?今何してる?』

律『え、あ、お、おう澪!今は家でテレビ観てるよー』

私『そっか。いや、それならいいんだ。じゃ、またな』

律『う、うん。また正月になー。じゃ』

         おーい律、誰と電話してるんだー?

私(えっ、男の人の声…?)

律『やべっ、じゃーな澪!おやすみー!』

ピッ ツーツーツー

私『もしもし?もしもし律!?』

私『りつーーーーーーーーっ!!』



澪「い、いやだ…そんなのいやだ…」


澪「……」

澪「ま、まぁ冷静に考えて律に彼氏なんてできるわけないよな!」

澪「アラフォーまでとか言ってたし、彼氏できたら私に最初に話すって約束したし」

澪「きっと予定って言うのも聡と映画でも観に行くだけだよなーあははは」

澪「うん、気にしない気にしない。大体律がクリスマスイブに何してようと私には全然マッタクなんにも関係ないんだし」

澪「さーて妖怪人間ベムでも観るかー」

澪「…」

澪「…」

澪「…」

澪「…」

澪「…」ピポパ

プルルルルル プルルルルル


律『もしもし?』


澪「あ、り、りりりりり律?」ドキドキ

律『どしたー?』

澪「い、いや…大した用は無いんだけど…今何してるのかなーって。あは、あははは…」ドックンドックン

律『え?あ、あー…家でテレビ観てるよ』

澪「ほっ本当か!?本当に今家にいるのか!?」

律『も、もももちろん。ほら、テレビの音!』

     オ、オレタチャヨーカーイニンゲーン♪

律『な?』

澪「そ、そっか」ホッ

澪「いや、ならいいんだ。うん。そっかそっか、テレビか。私も今観ようとしてたところだよ」

律『へ、へぇ…。じゃあ澪も今家か?』

澪「うん。あ、家っていうかまだ寮の部屋なんだけどな。明日の昼からは実家帰るけど」

律『そ…そうなんだー。あははは…』

澪「……」

律『……』

澪「律…何か焦ってないか?」

律『ぜ、ぜぜぜ全然!?なななにを焦ることがあるんだよわっけわかんないぞー澪ー』

澪「本当に家にいるんだな?他に誰もいないよな?」

律『だからそうだって言ってんじゃん!ほら、テレビの音!』

    サァ、フィギュアダンシフリー、イヨイヨフリーデス!

澪「……うん」

律『も、もう切るぞ?』

澪「え?あ、ちょっと待っ」

プツッ

ツーツーツー

澪「……」



寮の外


律「あっぶねー!いきなり電話してくるんだもんなあいつ!」

紬「大丈夫?バレてない?」

律「た、多分大丈夫。ちょっと怪しまれてたけど…」

唯「うぅ~寒いよりっちゃん…」

律「つーか唯っ!何でムギがベムのフリしてたのにフィギュアスケートのマネすんだよ!バレたらどーすんだっ」

唯「だって私、ベム観てないんだもん」

律「まったく…。まぁいいや、じゃあ予定通り澪の部屋の電気が消えるまでここで待機するぞ」

紬「ラジャー!……ヘックシッ」

律「唯、作戦は覚えてるな?」

唯「うん!えっと、えっと……何だっけ…」

律「……はぁ。しょうがねーなー。また最初から説明するぞ?」


10日前

澪「よいしょ、よいしょ」ズルズル

唯「ねえねえ澪ちゃん。それなに?」

澪「ん?これ?靴下だけど」

唯「ずいぶん大きいね~。澪ちゃん、足何センチあるの?」

澪「いや私が履くんじゃないから!クリスマス用の靴下だよ」

唯「クリスマス用?」

澪「唯は今年サンタさんにプレゼントのお願いしないのか?」

唯「へ?」

澪「枕元に靴下置いておかないとサンタさんにプレゼント貰えないんだぞ。唯も靴下の準備しておきなよ」

唯「み、澪ちゃん…?」

……………………
……

紬「え?じゃあもしかして澪ちゃんってまだサンタさん信じてるの?」

唯「どうやらそうみたいなんだよ~…。夢を壊しちゃカワイソウだから私なにも言えなかったや…」

律「あ~…そういや中学の時にサンタさんはいるって主張してクラス中に笑われてたっけなぁ」

紬「澪ちゃんらしいわぁ」

律「澪のお父さんもお母さんも毎年ちゃんとバレないようにプレゼント用意してたみたいだし、いまだに信じてても不思議じゃないな…」

唯「澪ちゃん愛されてるんだね~」

菖「…ね、ね、ちょっといい?」

律「ん?」

菖「それってまずくない?今まではお父さんとお母さんがプレゼント用意してあげてても、今私たち寮じゃん。誰が用意するの?」

紬「あっ!」

紬「確かにまずいわ…」

唯「え?なになに?どーゆーこと?」

律「澪は大学一年にしてサンタ神話が親の偽装だったと知ってしまうことになるな…」

唯「あー!なるほど!」ポン

菖「どうするの?このまま真実を教えちゃう感じ?」

紬「うーん…」

律「親友としては真実を教えてやりたいところだが…でも果たして澪がそれに耐えられるかどうか…」

紬「私は小学校低学年の時には知っちゃったけど、むしろ親が夢を与えてくれてたんだって思って嬉しかったわ」

律「そういう捉え方もあるけど澪がそうなるとは限らないしな…」


律「ここは私達がプレゼント用意してやって澪の夢を守ってやったほうがいいのかも…」

菖「だよね!うんうん、それしかない!じゃ、結果報告よろしくね♪」

律「はぁ~もー…お前楽しんでるだろ」

菖「幸にも話しておくから面白い結果待ってますよ律さん!じゃ、そーゆーことで!」ウププ




紬「で、どうするのりっちゃん?」

律「プレゼント用意するにも、まず澪がサンタさんに何をお願いしてるかを知らないことにはどうしようもないな。唯、お前澪が何お願いしてるか知ってるのか?」

唯「んー、そこまでは聞いてなかったや。でもおっきい靴下だったからけっこう高いものなんじゃないかなぁ」

紬「アンプとか?」

律「ベースアンプシュミレーターとか、か…。うーん…」

唯「じゃあ澪ちゃんのプレゼントのためにバイトする?アンプ買うお金なんてないよね?」

律「いやいや、まだプレゼントが何かわかんないだろ。大金出してハズレだったら目も当てられないぞ」

紬「どうにかして澪ちゃんから聞き出さないとダメね」

ガチャ

澪「なんだ、みんなここに集まってたのか。いないから探しちゃったよ」

唯律紬「うわ!?」ビクッ

澪「なんだよ大きい声出して…」

紬「な、なんでもないわ澪ちゃん!」

律「そそそそうそう!ただダベってただけだし!」

唯「い、いやー!澪ちゃんよくおいでなすった!ささ、座って座って!ほらお菓子がいっぱいあるよー!」

澪「?」

律(おい、チャンスだぞ)ヒソヒソ

紬(そうね。飛んで火に入る夏の虫。今は冬だけど)ヒソヒソ

唯「え?虫?虫いるの?どこ?」

澪「ひっ!?む、虫?!」

律(バカ!そうじゃなくて澪が欲しいプレゼントを聞き出すチャンスだろ。今のうちに聞いておこうぜ)ヒソヒソ

唯(なるほどなるほど)ヒソヒソ

澪「な、何コソコソ話してるんだ?私も混ぜてよ…」

律「あ、あー!悪い悪い!いやさぁ、今年はサンタさんに何をお願いしようかなーって話してたんだよ」

紬(早速いったわねりっちゃん!)

澪「ああ、その話か。私はもう決めたぞ」

唯「ほほう!澪ちゃんは何をお願いしたのー?」

澪「え…?な、ナイショ…」

律「まぁまぁそう言わずに~。私達の仲じゃん?」

紬「私も澪ちゃんのお願い知りたいなー」

澪「ダ、ダメ!絶対笑うもん…」

唯「笑わないよー。ささ、話してごらんよ!」

澪「じゃ、じゃあみんなのお願い教えてくれたら話すよ。律は何をお願いするんだ?」

律「へっ?私!?」

澪「みんなが教えてくれたら私もちゃんと言うから」

律「い、いやー…私は…」

律(まずいまずいまずい。なんも考えてねーよそんなの。でも何かテキトーに言っておかないと澪のお願いを聞き出せないし…)

律「えーと…えーと…」

律「か、彼氏…かなー」

唯澪紬「え」

律(ぬおおおおおおおお!!なぜよりによってこんなややこしくなりそうなウソを私は…!!)

唯「りっちゃん…彼氏欲しかったんだ…」

紬「りっちゃんって寂しがり屋だったの…?」

律(ちげーよ!デマカセに決まってんだろ!察しろ!)ヒソヒソ

澪「か、彼氏……律に彼氏……?」

律「ぬあーーー!もう!大学生なんだしそれくらいいいだろ!さ、次いけ次!ムギは何をお願いするんだ!?」

紬「私は温泉旅行かなぁ」

唯「おお!ムギちゃんしぶい!」

律「ほうほう温泉旅行ね!いいねいいね!唯は?」

唯「うーん…何にしようかなー…えーとねー…うーんと…」

律(なんでもいいからサクッと言え!澪のお願いを聞き出すのが目的なんだからな!)ヒソヒソ

唯「おお!じゃあ私はおいしいケーキで!」

律「そっかそっか!うんうん!じゃあはい、次澪!何をお願いするんだ?」

澪「り、律…本当に彼氏をお願いするのか…?」

律「いやもうその話はいいって!じゃあCD!私はCDお願いするから!ほら、早く、澪の番だぞ!」

澪「う、うん……。絶対笑わない?」

律「笑わない笑わない」

澪「……た、体重47キロ以下の身体…///」ゴニョゴニョ

唯律紬「ほほ~…」

……………
……

律「さて、澪も部屋に戻った事だし作戦会議だ。結論から言おう。無理だろコレ」

紬「そんな!諦めたら澪ちゃんのサンタさんの夢がアブクになって消えてしまうわ!」

律「どうしようもないだろ澪の体重なんて!つーか靴下の大きさ全然カンケーないじゃん!」

唯「澪ちゃんのぶんのお菓子を私が全部食べれば体重減るんじゃないかな!」

律「そんなすぐ痩せるか!ていうかお前がお菓子食べたいだけだろーがっ」

律「……んぁ~もー…ダメだ…。まさか物以外をお願いしてくるとは…」

唯「りっちゃんも彼氏って言ってたじゃん」

律「だからありゃその場しのぎのウソだっちゅーに!」

紬「はい!りっちゃん!」

律「はい琴吹さんどーぞ」

紬「澪ちゃんに体重計をプレゼントするのはどう?47キロ以上に針がいかないように細工した体重計を」

律「あ、なるほど…」

唯「さすがムギちゃん!体重計に細工なんて私とりっちゃんにはない発想だよ!」

紬「ふふ…私、探偵ドラマをよく観てるから」

律「で、細工って具体的にどーすんの?」

紬「針の根本に引っかかるような物…そうね、ボンドか何かで塊を仕込んで、47キロのところで止めるの」

律「ふむ…」

唯「どうですかりっちゃん隊員。いけそうですか?」

律「よし!それなら私らでもやれそうだ!ナイスだムギ!」

紬「やったぁ!」


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最終更新:2011年12月25日 09:06