現在
寮の外

律「というわけだ。私らの作戦は澪が寝静まった後に澪の部屋に忍び込んでこの体重計を枕元の靴下の中に入れる事!」

律「このためにわざわざクリスマスイブにパーティーとかしないように予め芝居までしておいたんだ。失敗は許されない」

唯「おおー!思い出したよりっちゃん!」

律「うむ!……イーックシ!」ズズッ

紬「それにしても寒いわね」

律「くそー…まだ澪の部屋電気点いてるな…。早く寝ろよ…」

唯「澪ちゃん何してるんだろ?」

律「そういやさっきテレビ観るとか言ってたな…」


澪の部屋

澪「あやしい…」

澪「どう考えてもあやしい!」

澪「さっきの電話、焦ってたとしか思えない!」

澪「やっぱり律は今頃サンタさんから彼氏を……」

澪「……」

澪「いや、でもCDお願いするって言ってたし…」

澪「……」

澪「うーん…うーん…」グルグル


寮の外

唯「へーっくし!」

唯「ムギちゃん、寒いからくっついてもいーい…?」ブルブル

紬「うん」

唯「はー…あったかあったか」ムギュウ

律「くっそ~…いつまで起きてるつもりだ澪の奴…。こ、このままじゃ凍死しちゃうぞ…」ガチガチ

唯「澪ちゃん、ずっとテレビ観てるつもりかなぁ?」

律「いや、それだとサンタはプレゼントくれないだろ。サンタって良い子のところにしか来ないんだろ?だから澪もちゃんと寝るはずだ」ガチガチガチガチ

律「…ハクション!」

律「ちょ、ムギ、私もギブ。くっついていいか」

紬「うん、どうぞ」

唯「ダメだよりっちゃん!私が先にムギちゃんとったんだから!」

律「いやマジで死ぬ。寒い寒い寒い。ムギ、こっちきて。ほんと死ぬ」ガチガチ

唯「だめだよ!ずるいよりっちゃん!」

紬「え、えっと…」

律「ていうかなんで唯までついてきたんだよ!どう考えてもお前やらかし要員じゃん!私とムギの二人でやったほうが成功しそうじゃん!」ガチガチ

唯「ひどいよりっちゃん!私だって澪ちゃんの夢を守りたいのに!」

律「なにおう~!!」

紬「あっ!喧嘩してる場合じゃないわ!澪ちゃんの部屋の電気が消えたわ!」

唯律「!!」


澪の部屋

澪(これ以上気にしてても苦しくなるだけだな…)

澪(今日はもう寝よう。今度会った時に律に問いただしてやる…!)

澪(……)モゾモゾ

澪(……)

澪(……)

澪(うう…ダメだ、やっぱり寂しい…。ベッドの中で誰かに電話しよう…)ピポパ



寮の外


ブブブブブ

唯「ふおっ!?澪ちゃんから電話が!」

律紬「!」

唯「ど、どうしよう?」

律「待て唯!出るな!唯は口滑らせそうで怖い!」

唯「むぅ。そんなことないもん。あずにゃんの時だってちゃんと秘密にできてたじゃん!よーし!バッチリ電話してみせるよ!」

紬「今出たら澪ちゃんが寝るまでの時間が延びるだけよ?」

唯「あ…そっか。じゃあ出ないほうがいいね。ごめんね澪ちゃん」

律「ムギの指示には従うのな…」


澪の部屋

澪「出ない……」

澪「ま、まさか唯まで彼氏が……?」

澪「いや、唯のことだからもう寝てるだけだ。そうに決まってる…」

澪「……」

澪(他の人に電話しよう…)ピポパ


寮の外

ブブブブブ

紬「あ、今度は私に電話が…」

唯「ムギちゃん!出ちゃダメだよ!心を鬼にして!」

紬「う、うん…。でも…」

律「唯に続いてムギにもかけてくるってことは…」

紬「澪ちゃん、寂しいのかな…」

唯律紬「………」

紬「あ、電話止まった…」

唯「うぅ…心が痛むよぉ…。…ヘッキシ!」

律「すまん澪!これもお前のためなんだ!」

紬「澪ちゃんごめんね…」


澪の部屋

澪(ムギも出てくれない…)

澪(…まぁ、そうだよな…。家族の団欒をジャマしちゃ悪いよな…)

澪(……)

澪(梓……は受験生だし……)

澪(幸も実家帰ってるはずだからジャマしちゃ悪いな…)

澪(……)

澪(……)

澪(…曽我部先パ…)

澪「いや、それはやめておこう」

澪(うう…寂しい…)ぐすん

澪(りつぅ~…何してるんだよぉ~…)ぐすぐす


寮の外

唯「り、りりりりりりっちゃん…もももももうそろそろ突入してもいいんじゃないでしょうか…」ガチガチガチガチ

律「そ、そそそそそそうだな…マジで凍死しそうだし…」ガチガチガチガチ

紬「うん、もう電話もかかってこないし電気消えてから時間経ったし、突入してもいいと思う」

律「よしじゃあいこう。さっさといこう。ししししし死ぬ死ぬ死ぬ」ガチガチガチガチ


寮の中

唯「あ~…寮はあったかいねぇ…」グニャリ

律「おい!ここからが本番だっつの!…で、どうする?誰が澪の部屋に忍び込む?」

紬「ジャンケンで決めよう!勝った人が忍び込むの」

律「オッケー。んじゃ、最初はグー!」

律「というわけでジャンケンで勝った私が忍び込んで」

唯紬「私達が見張り役になりました」

律「ところでムギ、私は今サンタコスに身を包んでいるわけだが……これは必要なのか?」

紬「あ、うん、澪ちゃんが途中で起きちゃった時に誤魔化さないといけないでしょ?」

律「なるほど!……って誤魔化せるのかよこんなんで……」

唯「りっちゃん白ヒゲ似合ってるねー」

律「あは!サンキュー!全然嬉しくねー!」

紬「りっちゃん!作戦の成功はりっちゃんにかかってるから!頑張って!」

律「う、うむ!それではこれより澪の部屋に侵入してクリスマスプレゼントの体重計を靴下に突っ込んでくる!もしものときは骨を拾ってくれ!」

唯紬「ご武運を!」


澪の部屋の前

律(とは言ったものの……)

律(いざ侵入となるとキンチョーするな……)ドキドキ

律「すー…」

律「はー…」

律(いざっ!)

ガチャ

律「ん?」

ガチャガチャ

律「……」

ガチャガチャガチャ

律(……って鍵閉まってんじゃん!!)

律(しまった…。この状況は全く予期してなかった…)

律(合い鍵なんて持ってないし、守衛さんにお願いしても澪を起こしちゃいそうだし…)

律(うーん…)

律(そうだ!隣の部屋のベランダから入れるかも!)

律(隣は晶か…。あいつまだ寮にいんのかな?)

律(とりあえずヒゲと帽子を外して、と)ゴソゴソ

コンコン

律「晶ー、いるー?」

コンコン

律「おーい晶ー」

コンコン

律「……」

コンコンコンコン

律「……」

コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン

ガチャ

晶「あーもーっ!うるせえな!いるよ!何だよこんな時間に!!」

律「なら早く出ろよな。……ってあれ?目、赤くね?」

晶「…っ!い、いや、これは…」

律「…ははーん、そうかそうかー。例の先輩とイブを過ごせなくて一人寂しく泣いていた、と」

晶「ち、ちがっ…!」

律「やーい乙女キャラ乙女キャラ」

晶「う、うるせえよ!ていうかそっちこそ何だよその格好!バカにしてんのか!」

律「あーこれは話すと長くなるからー……っていうか菖から聞いてないの?」

晶「は?別に何も聞いてないけど」

律「まぁいいや。ちょっと部屋入るぞ」ズイ

晶「ちょっ…おい!何勝手に入ってんだよ!」

律「ふーん?じゃあ菖と幸に晶ちゅゎんがイブにシクシク泣いていたことバラしちゃおっかなー?」ニヤニヤ

晶「ぐっ……」

律「えーと、ベランダベランダ、と」

ガラガラ

ビュオオオオオオ

律「うぅっ…やっぱ外はさみぃな~…」ブルルッ

晶「何なんだよ一体…」

律「よし、一応澪の部屋のベランダには移れそうだな」

晶「え…?お、おいまさか澪の部屋に侵入する気か?」

律「イエス」

晶「それ犯罪だろ…」

律「あ、これ澪にはナイショな。部長や廣瀬先輩にも」

晶「おま…澪に何する気だよ…」ゾワッ

律「よし、手すりに捕まって…そーっと…」

晶「お、おい…気をつけろよ…」

律「そーっとそーっと…」ススス

ビュオオオオオオ

律「うわっ!?」グラ

晶「ちょおおっ!?」

律「ぬおっ!!」ガシッ

律「あ、危なかった…」ドキドキドキドキ

晶「だから気をつけろって言っただろ!心臓止まるかと思ったわ!」ドキドキドキドキ

律「は、はははは…」ヨジヨジ

律「よいしょっと」スタッ

律「よし。オッケー。サンキューな晶」

晶「やっぱお前らおかしーわ…」

律「さて、あとは澪の部屋のベランダの鍵が開いてれば…」

カラカラカラ…

律「よし!開いてる!」

晶(…後で澪にベランダの鍵も閉めとけって言っておこう)

律「んじゃな晶。メリークリスマス」コソコソ

晶「お、おう…」


澪の部屋

律(さてさて…靴下はどこだ…?)コソコソ

律(……)

律(って暗くて何も見えねーし!!)


一方その頃
寮の廊下

唯「ムギちゃーん、そっち大丈夫?」

紬「うん、誰も来ないよ」

唯「てゆーか、こんな時間に出歩く子なんていないよね」

紬「でも念には念を入れておかないと」

唯「私、眠くなってきちゃったよ…」ショボショボ

紬「きっともうすぐりっちゃんも戻ってくるから頑張ろう?」

唯「うん…」ショボショボ


恵「あら?二人とも何やってるの?」

唯「あ!めぐみん先輩」

紬「こんばんは」

恵「どうしたのこんな時間に?」

唯「見張りです!」フンス

恵「え?」

紬「あ、えっと!わたしたち、その…み、道に迷っちゃって!」

恵「道にって…ここ寮の中だけど…」

唯「め、めめめぐみん先輩こそ何やってるんですかー?」

恵「あ、うん。秋山さんがまだ寮にいるって聞いたから、その…二人でクリスマスパーティーでもしようかなーって///」

唯(ム、ムギちゃん…)

紬(うん、ここはなんとしても止めないと…!)

恵「良かったら二人も一緒にパーティーする?」

唯「い、いやぁー今日はもう澪ちゃん寝ちゃってる気がするなぁ~!」

紬「そ、そうですね!無理に起こすのも悪いですよー!」

恵「それもそうね…。じゃあプレゼントだけ置いておこうかしら」

唯「さっすがめぐみん先輩優しい!じゃあ私達がプレゼント渡しておくよ~!」

紬「先輩!私達に任せてください!」

恵「うーん、気持ちは嬉しいけどやっぱり自分で渡したいわ」

唯「え、えっと…でもでもナマモノは時間が経つとくさっちゃうから後でめぐみん先輩が渡すより私達のほうが早く渡せるっていうかー…」

恵「これ、ネックレスよ…?」

紬「と、とにかく私達が責任持って澪ちゃんに渡しますから!」

恵「……」

恵「…二人とも、何か隠してるの?」

唯紬「ギクッ」


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最終更新:2011年12月25日 09:07