澪「ここどこ?」

気がつくと私は真っ白な空間に一人でいた

澪「家にいたはずなのに」

澪「一体なんなんだ?」

澪「・・・」

澪「怖くなってきた」

澪「うう・・・」

澪「・・・あれ?こんなところに扉が」

澪「さっきまで無かったのに・・・」

澪「なんだ?この扉」

澪「何か書いてある」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

澪「どういう事だ?」

澪「あ、また扉に文字が」

『明日は晴れ』

『明日は雨』

澪「なんだ?これ」

澪「う~ん、とりあえず晴れの扉を開けてみよう」

澪「えい」ギィィ

・・・・・・・・・

澪「ん」

澪「私の部屋・・・」

澪「変な夢だったな」

澪「今日の天気は、っと」

澪「晴れ・・・か」

澪「・・・」

澪(なんだったんだろう、あの夢)

澪母「ごはんよー」

澪「あ、今行くよママー」

澪(まあ気にしても仕方ないか)


学校

澪「おはよう」


紬「おはよ~」

律「もうすぐクリスマスだなー」

澪「今年は浮かれてる余裕ないぞ、受験なんだから」

律「分かってるって」

さわ子「はいみんな席についてー」

和「起立、礼、着席」

ガタガタ

憂「おはよう、今日も寒いね」

梓「うん・・・」

憂「梓ちゃんどうしたの?」

純「先輩たちの受験が心配で夜も眠れないんだってさ」

梓「そ、そんなことないもん!」

梓「・・・ちょっと寝不足なだけで」

憂「そっか、けいおん部の皆さんは受験なんだよね」

梓「律先輩が特に心配だよ・・・」

憂「大丈夫だよ、きっと」


澪の自宅

澪「ふう、今日はここまでにしようかな」

澪「ちょっとだけエリザベスを・・・いやいや駄目だ」

澪「受験が終わるまで我慢!」

澪「さて、じゃあそろそろ寝ようかな」

澪「・・・」

澪「・・・」スヤスヤ

澪「・・・」

澪「あれ?」

澪「またこの夢?」

私はまた、真っ白な空間にいた

澪「怖い・・・なんなんだよ~・・・」

澪「あ、また」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

澪「早く目を覚ましてよ私・・・」

『明日のティータイムは紅茶』

『明日のティータイムは白湯』

澪「白湯って」

澪「・・・なんか気が抜けたな」

澪「ほんとに白湯が出たら面白いかも」

澪「という事で白湯の扉を」ギィィ

・・・・・・・・・

澪「・・・起きたのか」

澪(それにしても二日連続で同じ夢を見るなんてどうなってるんだ?)

澪(もしかしてお化けの仕業なのかな・・・)

澪(お化けが私にとり憑いて・・・)

澪「ひいっ!」

澪「・・・」

澪(とりあえず気にしないでおこう)

澪(・・・ほんとに白湯が出たらどうしよう)


放課後、部室

紬「それじゃお茶入れるわね」

澪「ありがとムギ」

澪(なんだ、ちゃんとお茶じゃないか)

澪(心配しすぎだったみたいだ、同じ夢を二日連続で見るくらいよくある事で・・・)

紬「あっ」

律「どうしたムギー?」

紬「えっと・・・」

澪(え?)

紬「お茶切らしてたみたい・・・」

澪「・・・」

紬「お湯を沸かした後で気づいて・・・」

律「ムギが悪いんじゃないんだから気にする事ないって」

梓「そうですよ!白湯でも寒い日にはごちそうですよ」

律「なんかおばあちゃんみたいな事言うんだな梓」

梓「べ、別にいいじゃないですか」

澪「・・・」

紬「ごめんね澪ちゃん、今すぐ取ってくるから・・・」

澪「あ、いやそんなんじゃないんだよ」

澪「私白湯大好きなんだ!」

紬「ごめんねみんな・・・」

律「だから気にするなってば」

梓「毎日ありがとうございますムギ先輩」

紬「・・・うふふ、こちらこそありがとう」

澪(まさかほんとに白湯が出るとは・・・)


自宅

澪(3年間で白湯が出た事は今日が初めてだった)

澪(まさかあの夢は本当にお化けの仕業?)

澪(うう・・・いやだよ怖いよお・・・)

澪(寝るのが怖い・・・)

澪「・・・」

澪「・・・」スヤスヤ

澪「・・・」

澪「また・・・怖いよ助けてよお・・・」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

澪「でもこの選択肢自体はあんまり現実世界に影響がないから・・・」

澪「それだけがせめてもの救い・・・」

秋山澪の父親が風邪をひく』

『秋山澪の母親が風邪をひく』

澪「・・・」

澪「なんだよこれ・・・」

澪「パパとママのどっちかが風邪・・・?」

澪「この扉を開けたら本当になっちゃうの?」

澪「・・・」

澪「私の選択次第で」

澪「パパとママが・・・」

澪「パパ・・・」ギ・・・

澪「ママ・・・」ギ・・・

澪「こんなの選べるはずないよ・・・」

澪「私には」

澪「選べない!」

澪「どっちかなんて選べない!」バン!バン!

・・・・・・・・・

澪「あっ」

澪「私、両方の扉開いちゃったかも・・・」

澪「どうなるんだ・・・?」

澪「とりあえずリビングに行ってみよう」トタトタ

澪「おはようパパ、ママ・・・」

澪母「おはよう澪ちゃん・・・」

澪父「おお、澪は無事か・・・良かった」

澪「どうしたの二人とも!?」

澪母「二人仲良く風邪ひいちゃって・・・」

澪父「まいったな・・・」

澪「わ、私看病するよ!」

澪母「いいのよ、私たちでなんとかするから」

澪母「澪ちゃんは心配しないで学校行ってらっしゃい」

澪「でも・・・」

澪(やっぱりあの夢は本当だったんだ)

澪(私のせいで二人とも風邪ひいて)

澪(のんきに学校なんて・・・)

澪母「大丈夫だから、ね?」

澪「う、うん」

澪(あの夢で選んだ選択は現実になる)

澪(しかも今日の夢は直接人に危害を加える選択だった)

澪(じゃあ明日は?明日はもっと・・・)

澪「・・・」


――――

澪「ただいま」

澪母「おかえり澪ちゃん」

澪「風邪良くなったみたいだね」

澪母「うん、もう大丈夫よ」

澪「良かった・・・ほんとに良かったよママ」

澪母「ふふ、大げさね」

澪(私のせいだからな・・・)

澪(今日は学校に居てもずっと上の空だったし)

澪(部室にも寄らないで帰ってきちゃった)

澪(寝るのが怖い・・・)

澪「どうしよう」

澪「もう寝ない方がいいのかも」

澪「でも寝ないと集中力がなー」

澪「・・・」

澪「・・・」スヤスヤ

澪「・・・」

澪「寝ちゃったのか・・・」

澪「これ以上酷い選択は止めて・・・」

『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』

『あなたの望む扉を開けてください』

澪「・・・」

『岡田春菜がケガをする』

『佐々木曜子がケガをする』

澪「佐々木さんに岡田さん・・・」

澪「どっちかがケガってそんな・・・」

澪「ん?」

澪「扉の文字が消えていく・・・?」

『岡田春菜が』

『岡田』

『』

平沢唯をこの世界に連れ戻す』

澪「なんだこれ?」

『平沢唯をこの世界に連れ戻す』

『佐々木曜子がケガをする』

澪「選択肢が・・・変わった?」

澪「この世界に連れ戻すってどういう・・・」

澪「お化けが出てくる・・・ってわけじゃなさそうだけど」

澪「なんで急に選択肢が変わったんだ?」

澪「いや」

澪「そもそも平沢唯って一体誰なんだ・・・?」

澪「知り合いに平沢唯って子はいないし・・・」

澪「誰かの知り合い?」

澪「あ、梓の友達に平沢さんっていたような」

澪「いや、まず『この世界に連れ戻す』って意味が分からない」

澪「・・・」

澪「でも片方が佐々木さんにケガをさせてしまう扉なら」

澪「こっちの平沢唯の扉を開けたほうがいいんじゃないかな」

澪「実害は・・・無さそうだし」

澪「よく分からないけどこっちなら多分誰も困らない・・・はず」

澪「ちょっと不気味だけど」

澪「平沢唯を・・・」

澪「この世界に・・・」

澪「連れ戻す・・・」ギィィ

・・・・・・・・・

唯「・・・え?」

私の名前は平沢唯です

唯「なんで私まだ夢の世界にいるの?」

私はこの夢の世界から・・・ううん、全部の世界から消えた・・・はずなのに

なんでここにいるの・・・?

唯「どうなってるの?」

私は夢を見ていました

私はその夢の中の選択で大事な人たちを・・・消していきました

消えた人たちは最初から世界に存在しなくなってしまいます

何人も、何人も消えていきました

そして最後の選択で私は私を消したのです

私が消える代わりに今まで消えた人が元に戻る

最後にその扉を開けた・・・はずでした

唯「消えてない・・・?」

唯「どうして消えてないの?」

唯「あの時・・・」

―――唯(じゃあね、みんな)―――

―――唯(じゃあね、憂)―――

唯「確かに私は消えたはずなのに・・・」

唯「一体どうなってるの?」

唯「消えたみんなは元に戻ったの?」

唯「わかんない・・・」

唯「それに、なんで扉が無いの?」

唯「この世界に来ると必ず扉が出てきたのに」

唯「全然出てこない」

唯「もうなんにも分かんないよ~・・・」

唯「ただこの夢が終わってないって事は」

唯「消えた皆は元に戻ったって事でいいのかな?」

唯「でも私は消えてないし・・・」

唯「う~ん」

いくら考えても答えは出ません

それに選択の扉も出てこないので、私はただこの夢の世界で立ち尽くす事しか出来ませんでした

唯「はあ・・・」

澪「うう・・・また来ちゃった」

唯「ん?」

澪「え?」


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最終更新:2011年12月25日 21:31