唯「あ・・・」
澪「ひっ・・・だ、誰?」
唯「澪ちゃん!」
唯「澪ちゃん!どうしてここに?」
澪「えっどうして私の名前を・・・」
唯「え?澪ちゃん何言って・・・」
澪「そもそもこの世界になんで人が・・・あ」
澪「もしかしてあなた・・・」
唯「・・・」
澪ちゃんは私の事を覚えていない・・・?
どうして?
・・・なるほど、なんとなくだけど分かってきた
やっぱり私は消えたんだ
現実の世界から
唯「あの~」
澪「ひっ!」
澪「・・・平沢唯さんですか?お、お化けですか?」
唯「・・・ぷっ」
唯「あははは、お化けって澪ちゃん」
澪「うう・・・」
唯「私は平沢唯だよ、お化けじゃないから安心して」
澪「良かった・・・でもあなたは一体誰なんですか?なんでここに?」
唯「それは・・・」
それは私にも分からない
ただ分かる事は、私は現実世界からは消えてしまった
でも夢の世界からは消えなかった
それしか分からない
一体どうなってるの・・・?
唯「えっと・・・」
澪「あ、扉が」
唯「えっ?ほ、ほんとだ!扉が出た!」
唯(でもどうして急に扉が?さっきまで全然出なかったのに)
澪「今度は何だ?」
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
唯(どんな選択が・・・)
唯「!!」
澪「消える・・・?」
澪「消えるってなんだ?」
唯「澪ちゃん」
澪「あ、えっとえっと」
澪(もうなんなんだよ~・・・頭がこんがらがってきた)
澪(今度の選択は『消える』?『消える』ってなんだ?)
澪(あとこの平沢唯さん。一体誰?なんでここに?私が連れ戻したのか?)
澪(連れ戻したってどこから?ああもう何が何やら)
唯(澪ちゃんも相当困惑してる)
唯(でも私も何が何やら)
唯「お、落ち着いて状況を整理しよう」
澪「は、はい」
澪「・・・というわけで・・・」
唯「・・・ふむふむ・・・」
唯(なるほど、今は澪ちゃんが夢を見てる張本人なのか)
唯(それで『私をこの世界に連れ戻す』って扉を開けたから)
唯(私は帰ってこれた・・・この世界にだけ)
唯(まあ現実世界では消えたままみたいだけど)
唯(扉が出なかったのも夢を見てるのが澪ちゃんだから)
唯(澪ちゃんが来ないと扉は現れない・・・)
唯(そして澪ちゃんは今回初めて『消える』扉を開ける)
唯「なんとなく分かったよ」
澪「私は全く分かりません・・・そもそも平沢さんは一体何者なんですか?」
唯「う~ん、なんて言ったらいいのか」
唯(澪ちゃんは私が消えてる世界にいるから)
唯(私の事はまったく知らないんだよね)
唯(『消える』扉もまだ開けた事がないからそんな事態信じられない・・・当然だよ)
澪「平沢さんの事を信じてないわけじゃないんですけど、やっぱり・・・」
唯「うん、信じられないのは分かるから気にしないで」
唯「でもこの選択肢を見て」
『平沢憂が消える』
『鈴木純が消える』
唯「消える、っていうのはほんとに消えちゃうの」
唯「世界に最初から存在しない事になっちゃうの」
澪「そんなバカな事が・・・」
唯(ほんとはこんな事したくないんだけど・・・)
唯「・・・試しに扉を開いて現実世界に戻ってみて」
唯「口で説明するのは限界があるから・・・」
唯(私最低だ・・・)
澪「この扉を開いたら、どちらかが消えるんですか?」
唯「・・・うん、最初から居なかった事になるんだよ」
澪「二人とも梓の友達で・・・あ、でも平沢憂ちゃんって」
唯「私の・・・」
唯(妹だ、って言っても今は信じてもらえないよね)
唯「ううん、なんでもない」
澪(何かあるのかな?どっちも平沢って名字だし)
澪「じゃあ、鈴木さんの扉を・・・」
唯「・・・」
唯(今嬉しいって思っちゃった・・・私ってほんとに最低・・・)
澪「開けますね・・・」ギィィ
・・・・・・・・・
唯「行っちゃった」
唯「澪ちゃんに信じてもらえないと話が始まらないとはいえ」
唯「試しに開けてみて、なんて・・・」
唯「人の命を・・・ううん、人の存在を何だと思ってるの?私は・・・」
唯「酷すぎるよ・・・」
唯「せっかく世界が元に戻ったのに」
唯「また消えていくなんて」
唯「一体なんなの?この夢は」
唯「はあ・・・どうしたらいいんだろう」
唯「そもそもどうして選択肢が変わって『私を連れ戻す』なんて扉が・・・」
唯「考えても分かるわけないか・・・」
唯「こんな夢の事なんて・・・」
唯「まだかな澪ちゃん」
澪「・・・」
唯「あ、澪ちゃん」
澪「・・・」
唯「・・・消えたんだね、鈴木さんが」
澪「・・・」コクン
唯「これで・・・私の言う事信じてもらえたかな?」
澪「・・・」コクン
唯「じゃあもう一度話そう、今度は全部理解してもらえるまで話すよ」
澪「・・・」
~~~
唯「・・・というわけなんだよ」
澪「じゃあ平沢さんも私と同じ夢を見てて、最後は自分を消して・・・」
澪「消えたみんなを元に戻した・・・」
唯「うん」
澪「それを私が・・・連れ戻した」
唯「うん」
澪「信じられないような話だけど、今日鈴木さんが消えて・・・」
澪「信じるしかないみたいですね」
唯「うん」
澪「・・・」
唯(つらいよね、やっぱり・・・)
唯(なんとかしてちょっとでも元気づけなきゃ)
唯「ねえ澪ちゃん」
澪「はい」
唯「私いくつに見える?」
澪「・・・はい?」
唯「ねえねえいくつに見えるかな?」
澪「えっと・・・」
澪「同い年くらいですか?」
唯「うん正解!同い年だよ!だから敬語はやめよう!」
澪「え、でも・・・」
唯「いいからいいから」
澪「わ、わかった」
唯「えへへ」
唯「私けいおん部だったんだよ」
澪「えっ!?」
唯「信じられないのは分かるよ、覚えてないんだもんね」
澪「そう、だったのか・・・」
澪「ごめん、思いだせなくて・・・」
唯「仕方ないよ、私は消えてるんだから」
澪「そっか、私たち一緒にバンド組んでたんだ」
唯「うん、とっても楽しかった!」
澪「そう言われると照れるな」
唯「澪ちゃんは恥ずかしがり屋さんだもんね」
澪「・・・ほんとに、どうして思い出せないんだろう」
澪「きっと平沢さんとは仲が良かった・・・んだよね?」
唯「うん!とっても!」
澪「覚えてる平沢さんが羨ましいな」
唯「私と澪ちゃんとりっちゃんとあずにゃんの4人で、いろんな事したんだよ」
澪「・・・え?」
唯「・・・そうだよね、澪ちゃんにとってはけいおん部は3人で・・・」
澪「い、いやそうじゃなくて」
澪「ムギは・・・?」
唯「?」
唯「ムギ・・・ってなんの事?」
澪「いつもお茶を入れてくれる優しい・・・」
唯「な」
唯「何言ってるの澪ちゃん・・・」
唯「琴吹紬?キーボード?っていうかお茶?なんでお茶?」
唯「何の事・・・?」
澪「なっ・・・え?なんで?」
唯「誰?琴吹紬・・・ちゃん?」
澪「・・・」
澪「そっか・・・」
唯「・・・」
澪「平沢さんがいた世界では、ムギが消えてたんだ・・・」
唯「!・・・そんな事って・・・」
澪「私が知ってる放課後ティータイムは私、律、ムギ、梓」
唯「放課後ティータイムって何?」
澪「私たちのバンド名だよ」
唯「私の知ってるバンドは・・・名前なんてなかったよ」
唯「私、澪ちゃん、りっちゃん、あずにゃんの4人」
澪「あずにゃんってのは梓?」
唯「あ、うん」
澪(あずにゃんって何だ)
唯(あずにゃんって誰も呼ばないんだ、私がいないと)
唯(琴吹紬をムギってのもどうかと思うけど)
澪「つまり平沢さんの前には、ムギが夢を見ていた」
澪「ムギも自分を消して世界を元に戻した・・・」
唯「その・・・『ムギちゃん』がいない世界で今度は私が夢を見て」
唯「次は私が消えた世界で澪ちゃんが夢を見る」
澪「なんなんだ一体・・・」
唯「終わりが来ないって事・・・?」
唯「この夢は誰かから誰かに移って」
唯「永遠に誰かを苦しめ続けるの・・・?」
澪「悪夢だな・・・本当の」
唯「そんな・・・この夢からは永遠に解放されないの?」
澪「・・・」
唯「・・・」
澪「とりあえず今回の選択肢を見てみよう」
『あなたにはこれから二つの選択をしていただきます』
『あなたの望む扉を開けてください』
澪「・・・」
『琴吹紬が消える』
唯「『ムギちゃん』かあずにゃんのどっちかが消える・・・」
澪「一体どうすればいい・・・?」
唯「・・・」
唯「澪ちゃん」
澪「なに?」
唯「『私を連れ戻す』選択肢が出た時、何故か扉の文字が変わったって言ったよね」
澪「うん」
唯「なんでかな?」
澪「えっ?」
唯「なんでそんな事が起こったんだろう」
澪「それは・・・分からないよ」
唯「澪ちゃん、この夢の世界で何か変わった事とかしなかった?」
澪「変わった事?」
唯「扉を開ける以外に・・・なんでもいいから」
澪「扉を開ける以外には何も・・・」
澪「・・・あっ!」
澪「私、その選択の一日前の夢で」
澪「両方の扉を開けた!」
唯「!」
澪「起きたら両方の選択肢が反映されてて」
澪「そしたら次の日の夢で扉の文字が変わって・・・」
唯「それだよ!」
澪「えっ?」
唯「私は今まで『二つの選択』の意味を取り違えてた」
唯「今までは『Aの扉を開ける』か『Bの扉を開ける』かが二つの選択だと思ってた」
唯「でも違うんだよ」
唯「澪ちゃんが両方の扉を開けて、さらにどっちも現実に反映されたって事は」
澪「『二つの選択』の本当の意味は違う・・・!」
唯「それがまだ何か分からないけど」
唯「本当の意味にたどり着けたらもしかして・・・」
澪「すべて元通りに?」
唯「うん!もしかしたらだけど・・・」
澪「じゃあ考えないと!本当の『二つの選択』の意味を!」
唯「両方の扉を開ける事が出来たなら」
唯「『扉を一つ開ける』か『扉を二つ開ける』かが本当の選択?」
澪「でもそれじゃ何も変わらなかったし・・・」
唯「でもこの選択をしたら次また扉の文字が変わるかも」
唯「やってみる価値はあるよ・・・けど」
澪「・・・」
唯「これを試したら二人一気に消える・・・」
唯(本当の『二つの選択』の意味を探すには)
唯(試すしかない・・・けど)
澪「・・・やるよ、私」
唯「澪ちゃん」
澪「平沢さんの話じゃこのまま誰かが消え続けるだけ」
澪「なんとかしないと結局皆消えちゃう・・・だから」
澪「ここはやるしかない」
澪「私が・・・この夢からみんなを救うんだ」
澪「平沢さんの事も救う・・・!」
唯「澪ちゃん・・・」
澪「心配しないで、私・・・大丈夫」
澪「ちゃんと皆を消した罪は背負っていくから」
唯「・・・ごめんね、ありがとう」
澪「それじゃあ行くよ」
唯「うん」
唯「待ってる」
澪「ああ、また戻ってくるから」
唯「・・・」
澪「・・・んっ」バン!バン!
・・・・・・・・・
最終更新:2011年12月25日 21:32