1月15日夜
今日は自分の誕生日だった。昼間けいおん部の皆でお祝いしてくれ、夜には両親からお祝いされた。
二度も誕生日ケーキを食べてしまったため、太るかな?
などと思いながら自分の部屋に戻った。
お風呂の前に軽くウオーキングでもしてくるか?
待てよ、一昨日雪が降った為に地面がぬかるんでたな。
ウオーキングはパス。軽く腹筋でもするかな?
そう思ってた矢先に携帯が鳴り響いた。
誰だろうと携帯を見る。
澪「もしもし」
澪「あ、ううん大丈夫。え?今から来る?良いけど」
澪「うん、じゃあな」
もう結構遅い時間になるのに何の用事だろう?
しばらくして、家の呼び鈴が鳴った。
澪「あ、ママ待って私のお客」
自分より早く玄関のドアを開けようとしたママを制する。
ガチャリ
澪「やあ、どうしたんだ?」
話は一端、過去に戻ります。
12月某日
律「今日、澪は委員会で遅くなるから部活には出ないで直接帰るって言っていた」
律「そこでだ。来月の澪の誕生日に備えて秘密の話し合いをしようじゃないか」
唯「皆でこっそりプレゼントとか用意して、驚かそうよ」
紬「それ良いわね。私大きなケーキ持ってくるわ」
梓「澪先輩喜びそうですね」
部活後
律「この後、プレゼントとか物色しようと思うんだが皆一緒に行く?」
唯「私、行く」
梓「すいません私ちょっと」
紬「ごめんなさい、私もちょっと用事が」
律「そうか、じゃ私と唯の二人で行くか」
唯「うん」
梓「変な物買わないで下さいね」
律「わーってるよ」
―――――
律「商店街でも見て回るか」
唯「うん」
唯「えへへへ」
律「なんだその笑いは?」
唯「だって律ちゃんと二人でお出かけなんて珍しいなと思って」
律「そういやそうだな」
唯「これってデートかな?」
律「形的にはそうかもな」
唯「あ!アイス売ってる。食べたいな」
律「この寒いのにか?」
唯「寒いからこそアイスを食べるのです!」
律「暑い時こそ熱い物を食べる的な理論だな」
唯「バニラ一つ下さい」
律「じゃあ、私はストロベリーにしよう」
唯「律ちゃんも結局食べるんだ」
律「私は唯の付き添いだ」
唯律 ぺろぺろ
唯「律ちゃんストロベリー、一口ちょうだい」
律「ん、ホラよ」すっ
唯「ありがとう」ぺろぺろ
律「お返しにバニラ一口もらうぞ」
唯「良いよ」すっ
律 パクッ
唯「あーっ、あんなに食べた!」
律「一口は一口だ」
唯「じゃあ私も」パクッ
律「あああ、私のストロベリーが」
唯「一口は一口だよ」
律「許せん!」
律 パクパクッ
唯「私も!」
唯 パクパクッ
律 パクパクパクッ
唯 パクパクパクッ
律「ふーっ、喰った喰った」
唯「美味しかったね」
律「何かストロベリーよりバニラを多く食べた気がする」
唯「私もバニラよりストロベリー多く食べた気がする」
律「……こんな事してる場合では無い!澪のプレゼントを選ばなければ」
唯「そうでした!」
唯「澪ちゃん、どういうの喜ぶかな?」
律「澪は、ああ見えて可愛い物好きだからな」
唯「そうなんだ」
律「本当は、部屋に可愛いぬいぐるみとか飾りたいらしい」
唯「じゃあ、ぬいぐるみ買って上げようよ」
律「そうだな。唯はぬいぐるみプレゼントすると良い」
唯「あそこのオモチャ屋さん行こうよ」
律「おう」
唯「あっ、これとか可愛いね」
律「それって自分の好きなのだろ?澪へのプレゼントだぞ?」
唯「じゃ、こっちにする」
律「う~ん、澪の好みとは少し違うような……」
唯「さすがだね律ちゃん!」
律「へ、何が?」
唯「澪ちゃんの好みが分かるなんて」
律「まあ、長年連れ添ってきたからな」
唯「所で、律ちゃんは何にするの?」
律「私か?私は既に決めてある」
唯「何々?」
律「それは……」
律「ひ・み・つ」
唯「えー、何で?ケチ」ブー
律「ふっふっふ、当日のお楽しみだ」
1月15日朝
澪「ムギ、おはよう」
紬「あ、澪ちゃん、おはよう」
今日は、朝から皆の態度が少しおかしい。
何か隠し事をしてるかのような。
私の誕生日だから何かお祝いでもしてくれるのかな?
ここは、気付かないふりをしてやるのが大人ってもの。
唯「澪ちゃん、放課後は楽しみに待っててね」
律「唯!!」
澪「へー、な、何だろうな?」
天然って怖いな……
放課後
律に少し遅れて部室に来るように言われた。
今頃、プレゼントの準備でもしてるのかな?
澪「そろそろ良いかな?」
カチャッ
ゆっくりと部室のドアを開ける。
パンパンパーン!!
澪「うわっ!!」
勢いよくクラッカーの音が響き渡る。
唯律紬梓「誕生日おめでとう」
部室の中は、色とりどりのモールで飾りつくされていた。
おいおい、ある程度は予想してたけどやりすぎだろ。クリスマスかよ。
嬉しいけど。
紬「皆からプレゼントがあるわよ」
唯「私はね、ぬいぐるみだよ」
澪「わ、可愛い」
唯「そのぬいぐるみを私だと思って、抱いて寝てね」
澪「それは遠慮しておく……」
梓「私は、あまり良いプレゼント選べなくてCDです」
澪「ありがとう」
梓「私の好きなバンドなんで、澪先輩気に入ってくれるかどうか」
澪「梓のお薦めだろ?喜んで聴くよ」
梓「ありがとうございます」
律「次ムギだぞ?」
唯「おーいムギちゃん?」
紬「え?ああ、ごめんなさい」
紬「私は、紅茶セットよ」
澪「こんな高級そうなのを、良いのか?」
紬「良いのよ、家にあって使わない奴だし」
澪「使うのが勿体ない位だよ」
紬「これで、家でも美味しい紅茶が飲めるわよ」
律「私からは、これだ」
澪「何だ?」
律「開けてみてくれ」
ガサゴソ
澪「何かな?」
びょーん
澪「うわーっ!!」
紬「ビックリ箱!」
唯「これが秘密のプレゼントだったんだ」
梓「澪先輩の誕生日プレゼントにまで、そういうイタズラ止めて下さいよ」
律「ああ、悪い。ただのジョークだ。ちゃんとしたプレゼントも用意してある」
律「ほら、澪がほしがってたバンドのライブDVDだ」
澪「わあ、このバンドのライブ観たかったんだよ。ありがとう」
唯「さすが律ちゃん、澪ちゃんの好み分かってるね」
澪「そう言えば、和からもさっきプレゼント貰ったな」
がさごそ
澪「これは?精密ドライバーセット?」
澪「ギャグなのか本気なのか、和のセンスは分からない」
唯「クリスマスのプレゼント交換に焼き海苔持ってきてたもんね」
律「待て、何かの暗号かも知れんぞ」
梓「どんな暗号ですか」
紬「今日は、特別に大きなケーキ持ってきたの。皆で食べましょ」
律「ろうそく30本立てて、と」
澪「何でだよ」
唯「みおと30をかけたんだね」
澪「あ、なるほど」
唯「では、ここで歌のプレゼントを」
唯律紬梓「happy birthday to you♪」
唯律紬梓「happy birthday to you♪」
唯律紬梓「happy birthday dear澪~♪」
唯律紬梓「happy birthday to you♪」
澪「みんな、今日は本当にありがとう」
結局今日は、私の誕生日祝いで練習できなかったけどたまにはな。
部活後
紬「梓ちゃん、どうしたの?」
梓「ムギ先輩……」
梓「ムギ先輩にあれだけ協力してもらったのに、ごめんなさい」
~梓回想~
12月某日(唯律が澪のプレゼント物色した日)
梓「すいません、ムギ先輩。付き合わせちゃって」
紬「良いのよ、それにしてもビックリだわ」
紬「澪ちゃんのプレゼント選ぶの付き合って欲しいなんて」
梓「一人じゃ中々良いの選べそうに無いんで」
紬「でも何で私に?律ちゃんの方が澪ちゃんの事詳しいと思うけど?」
梓「えっとその、ムギ先輩の方がそういうアドバイス頼りになるかなと思って」
紬「ふ~ん」
紬「じゃ、駅前のデパートでも見に行きましょ」
梓「はい」
アクセサリーショップ
梓「この指輪素敵ですね。澪先輩指長くて綺麗だから似合いそう」
梓「あっ、でも3万円もする……」
梓「うーん、こっちの2千円じゃ、逆に安すぎるし」
紬「好きな人へのプレゼントだったら金額は関係ないんじゃないかしら?」
梓「そう、ですよね」
梓「……って私は別に澪先輩が好きな訳じゃ///」
紬「梓ちゃん、私は全部お見通しよ」にこにこ
梓「そんな、何で?」
紬「梓ちゃんの澪ちゃんを見る眼は違ってたもん」
梓「そうでしたか///」
紬「プレゼント選んでる時も凄い嬉しそうだったし」
紬「そう言う事なら律ちゃんには相談しづらいかもね」
梓「ムギ先輩には全部見抜かれてたんですね」
梓「あー、プレゼント選ぶの難しいですね。ぬいぐるみとかじゃ子供っぽいし」
梓「本とかじゃ味気ないし」
紬「既製品とかじゃなくて、手作りとかでも良いんじゃないかしら?」
梓「あ、それも良いですね」
紬「この時期だし、手編みのマフラーとか、手袋とか」
梓「でも上手く編めるかどうか」
紬「私が教えて上げるわよ。まだ一ヶ月近くあるんだから大丈夫」
梓「じゃ、マフラーにします。よろしくお願いします」
――――――
紬「こうして、こんな感じで」
梓「こうですか?」編み編み
紬「中々筋が良いわね。ギターやってるから手先が器用なのかしら?」
梓「ありがとうございます」
紬「これなら、良い物が出来そうだわ」
梓「頑張ります」
――――――
憂「お昼休みなのにマフラー編むんだ」
梓「うん、絶対に間に合わせたいから」編み編み
純「大好きな澪先輩へのプレゼントだもんね」シッシッシ
梓「うん」編み編み
憂(あれ?やけに素直な反応)
梓「は!違うってば、そんなんじゃ///」
純(マフラー編むのに夢中で、つい本音が出たな)
1月13日
紬「澪ちゃんへのプレゼント出来た?」
梓「はい、もうほとんど完成してます。最後に仕上げるだけです」
紬「ちょうど、今日雪降ってるしマフラーのプレゼントはぴったりね」
梓「はい」
紬「告白はしないの?」
梓「告白……したいんですけど、する勇気が」
紬「大丈夫よ、梓ちゃんが一生懸命作ったマフラー渡せばきっと澪ちゃんも」
梓「そう、ですかね?」
紬「きっと上手くいくわ」
梓「ありがとうございます。私、頑張ります」
~梓回想終わり~
梓「……昨日マフラー完成したんですけど、今日学校に来る途中雪で滑って転んで落として汚しちゃったんです」
紬「そんな……あれだけ頑張って作ったのに」
梓「汚れたマフラー、澪先輩にプレゼントする訳にもいかなくて」
梓「昼休みに、あり合わせでCD買ってきてプレゼントしたんです」
梓「とても告白出来る状態じゃなくて」
紬「告白して、振られちゃった訳じゃないわ」
紬「もう一度、プレゼント渡して今度こそ告白するのよ」
梓「でも、マフラー編むのに毛糸や編み棒買ったりCD買ったりでもうお金が……」
紬「……そうね花とかはどうかしら?」
梓「……花ですか。良いですね」
紬「私の家に綺麗な花が咲いてるから、それをプレゼントすると良いわ」
梓「ムギ先輩、何から何までありがとうございます」
紬「ちょっと待ってて」
紬『斉藤、家に……そう……赤い奴ね』
紬『今すぐ学校まで持ってきてちょうだい』
紬『30分かかる?駄目よ、20分で来なさい』
…………
斉藤「お嬢様、お待たせしました」
紬「18分50秒。斉藤、上出来だわ」
斉藤「ありがとうございます。では私はこれで」
紬「さ、梓ちゃん、これを澪ちゃんに」
梓「でも良いんですか貰っちゃって?」
紬「良いのよ、澪ちゃんに貰われた方が花も喜ぶと思うわ」
紬「これ渡して、誕生日おめでとうございます。私の気持ちですって」
梓「はい、じゃ行ってきます」
紬「頑張って」
紬「……澪ちゃん、お願い気付いて」
最終更新:2012年01月15日 21:11