……昼休み……


ぶーっ、ぶーっ

純「あっ、梓メールじゃない?」

梓「ホントだ」

ぴっ、ぴっ

純「……まさか、また?」

梓「ははは……だね」

憂「梓ちゃん、毎日毎日ごめんね」

梓「いや、いいよ。じゃあちょっと行って来るね」

憂「あっ、お金渡しておこうか?」

梓「いいよ、先輩あとからちゃんと返してくれるから」


……

梓「……さて、と」

コンコン

梓「梓です、入りますよー?」

ガラッ


梓「はい、パン買ってきました」

唯「……ん」

梓「3つでよかったですか?」

唯「うん……ありがと……はい」

ジャラチャラ

梓「はい、どーも。じゃ、私は……」

唯「……」ジーッ

梓「……唯先輩が食べ終わるまで、待ってます」

唯「……ありがと」

ガサガサ

唯「もふっ」モグモグ

梓「……」ジーッ

唯「……」モグモグ

梓「……」ジーッ

唯「……っ///」モ…フ、モフ…

唯「あ、あずにゃん」

梓「なんですか」ジーッ

唯「お、お……」

梓「はい」ジーッ

唯「お……」

梓「……」

唯「お腹ふくれた……」

梓「……はい」

唯「食べてぇ……」

梓「はいはい」

梓「ぱくっ」

梓「もぐ……もぐ……」

唯「……」

梓「もぐ……もぐ……」

唯(あ、あずにゃんが……私の食べたあとのパン食べてるよぉ……)

唯(こ、これって間接、キスなんだよね)

唯「……んぅ///」

梓「……甘いですね」

唯「……そう?」

梓「……でも、美味しいです」

唯「そ、そうなんだ」

梓「食べ終わりました」

唯「……そう」

梓「じゃあ、そろそろ時間ですし、戻りましょうか」

唯「……うん」

梓「じゃあ、また放課後」

唯「……うん、また放課後ね」

ガラッ

唯「……はぁ」


……

律「おーっす梓」

梓「どうもです、律先輩、澪先輩」

澪「ああ、ところで梓」

梓「はい」

澪「そのー……唯のことなんだけど」

律「あー……」

澪「今日も……その……」

梓「ああ、今日も昼休みにパン買ってきて、ってメールきましたよ」

律「そっかー……その……ごめんな」

梓「なんで律先輩があやまるんですか」

律「いやーだってさ……」

ガラッ

紬「こんにちはー」

梓「こんにちはです」

紬「あら、みんなどうしたの?」

澪「いや……唯のことでさ」

紬「あー……」


……数日前

ブーッ

純「ん?梓メールじゃない?」

梓「あ、ホントだ。メルマガかな?」

ピッピッ

梓「あっ、唯先輩からだ」

憂「えっ、お姉ちゃんなんて?」

ピッピッ

梓「……え」

純「なになにー?」


梓「……『パン買って、部室に来て』って……」


純「……は?」

憂「……え?」

梓「これって……」

純「いわいる……パシリ?」

憂「えっ、ええ~っ!?」オロオロ

純「なんで唯先輩そんなこと……」

憂「お、お姉ちゃんお弁当忘れたのかなぁ、それとも少なかった!?もしかして……美味しくなくて捨てたり」ウルウル

梓「落ち着いて、憂。今から私が行って確認してくるよ」

純「えっ、パシリに応じるの?」

梓「まぁ、何か理由があるのかもしれないし、無いとしても、私後輩だからさ……」

憂「梓ちゃん……」


……

梓「あの日からやっぱり、唯先輩特に変なところは無いんですよね?」

律「ああ、私達や和たちともふつーに話して、ふつーに過ごしてるけど」

澪「昼休みになったら、憂ちゃんのお弁当しっかり食べてから梓にメールするんだよな」

紬「それに部活の時間や家に帰ってからも特に変な様子は無いみたいなのよね……」

澪「やっぱり単に弁当の量が少ないだけじゃないのか?」

紬「でも、それだったら憂ちゃんにお弁当の量を増やしてもらうだけでいいんじゃないの?」

律「つーかさー、パン買うにしろなんにせよ梓を使うってのはどうなんだよな」

澪「でもそれだと、どうしてわざわざ部室に行くんだろうな、」

紬「それは……やっぱり後ろめたいことしてる自覚があるんじゃ……」

律「でもそれにしても、教室からわざわざ部室に行ってパン買って来てもらうんじゃ自分で買いに行くより時間かかるんじゃね?」

澪「なんにしても、謎の多い行動だよな……」

律「うーん……」

澪「むーっ……」

紬「……もしかしたら」

律「どうしたムギっ!」

澪「何か分かったのか?」

紬「唯ちゃんは梓ちゃんと昼休みにこっそり会いたくてそういう事を口実にしてるんじゃ!?」

澪「え?」

律「は?」

紬「それでね!唯ちゃんはパン買って来てもお昼食べた後だからそんなに食べれないの」

紬「そこで梓ちゃんに食べかけのパンを渡して間接キスを狙ったりしてるの!」

紬「二人っきりの状態でそんなことになって唯ちゃんたらドキドキがクセになってやめれなくなったの!」

紬「と、いうことではないでしょうか!」フンス


律「あーはい、それまで」ペシン

紬「あふん」

澪「それよりちゃんと真剣に唯のこと考えなくちゃな」

紬「そうね……さすがにそんなことはなさそうだもんね……」ショボン


梓「……」


ガチャ

唯「みんなー!遅くなってごめんねー」


律「ゆ、唯」

澪「遅かったな?」シドロモドロ

唯「うん、さわちゃんに呼ばれちゃってて」

紬「じゃ、じゃあお茶の用意でもしましょうか?」

梓「練習が先ですよぉ」


唯「あーず、にゃん!」

梓「に゛ゃっ!」

唯「えへへ~」ギュウッ

梓「……もう」

ギュッ

唯「ふえっ!?」

梓「……」ニコッ

唯「……ぁぅぅ……///」



……次の日、昼休み

唯「ごちそさまー」

唯「……」ピッ、ピッ

律「……唯、また梓にパン頼んでるのか?」

唯「ふぇ!?な、なんのこと?」

澪「ごまかしてもダメだよ……梓や憂ちゃんから聞いてるんだから……」

唯「あぅぅ……」

紬「ねぇ、唯ちゃん。どうして梓ちゃんにそんなこと頼んでるの?」

律「そうだぞー。腹減ったんだったら自分で買いにいけよ」

澪「梓が後輩だからって、なんでもかんでも頼んで言いワケじゃないんだぞ」

唯「あ……うぅ……わかってるよぉ……」

律「……ま、頼んじまったもんはしかたないから、行って来い」

律「……ちゃんと謝って、これで最後にしろよ?」

唯「……うん」




唯「……」

唯(後輩、かぁ……)

唯(そうだよね、あずにゃんは私の後輩、だもんね)

唯(後輩にこんなことしちゃ……ダメだよね)

ガチャ

梓「あ、唯先輩」

唯「あ、あずにゃん!?」

梓「絶対メール来ると思って先にパン買って来ちゃいました」

唯「そ、そう……」

梓「あ、見てください相当早めに行ったから、幻のゴールデンチョコパン買えたんですよ」

唯「……ねぇ、あずにゃん」

梓「……はい」

唯「あの……そのね……」

梓「……」

唯「……ごっ、今までっ、ごめんなさいっ」ガバッ

梓「……えっ」

唯「あ、あのねホントはね最初はたまにはあずにゃんとお昼食べたいな、って思って……」

唯「でも、一緒に食べる口実なんて無いし、普通に誘うのは、なんか恥ずかしくって……」

唯「それで……その、あずにゃんにパシリみたいなことさせちゃって……ごめんなさいっ!」


梓「……先輩」

唯「わたし、さいてーな先輩だよね……」

唯「でもね、あずにゃんと一緒にお昼食べてて……なんか、楽しかったよ」

唯「でも私あずにゃんの気持ちも考えないで、あずにゃんの時間奪ってちゃってたんだ……」

唯「……グスッ」


梓「……そうですね、唯先輩は、先輩としては、さいてーです」

唯「……っう……ひっぐ……」ポロポロ


梓「そんなさいてーな唯先輩にひとつ聞いておきたいことがあります」

唯「……ひっぐ……なに?」

梓「じゃあ、今までのあのメールの内容は全部先輩としての、命令だったってことですか?」

唯「……」ビクッ

梓「どうなんですか?」

唯「……うん、そうだよ……先輩命令だよ……」

梓「……そうですか……」

唯「……」

梓「ところで唯先輩」

唯「……なに?」

梓「このゴールデンチョコパンなんですが、見ての通り大きいです」

唯「……うん、そうだね」

梓「さすがに私でもこれを食べろといわれるのは無理です」

梓「だから、3つに分けますんで唯先輩も一緒に分けてください」

唯「うん、わかったよ。あ……このパンのお金……」

梓「いえ、これは私からのおごりです」

唯「で、でも」

梓「いいから、唯先輩に食べてもらいたいんです」

唯「……うん、ありがと。じゃ、いただきま……」


梓「ちょっと、なに二つ目のパン取ってるんですか」

唯「え……でも……」


梓「はむっ」

唯「えっ……」

梓「……」チョイチョイ

唯「え……あずにゃんがくわえてるパンの……先っぽ……」

唯「えっ、まっ、まさかっ///」

梓「……」コウコク

唯「は、反対側から食べろってこと!?///」

梓「……」コクッ

唯「え……でも……は、恥ずかしっ……///」

梓「……」ジーッ

唯「え……えーっと///」

梓「……」ジーッ

唯「……う、うん、そうだよね。今まであずにゃん私のいうこと聞いててくれてたもんね」

スクッ

唯「わ、私もあずにゃんの言うとおりにするよ」

梓「……」

唯「……え、えいっ」

ハムッ

梓「……」


もぐもぐ


唯(あ、あずにゃんの顔が目の前に……)

唯(こ、こんなに近くて……)

唯(あっ……ていうか、あずにゃん、もう食べ始めてる)

唯(これ……このままいったら)

唯(ちゅ、ちゅうしちゃうよぉ……///)


もぐもぐ


唯(あ、あずにゃん、だんだんこっちに近づいてきた///)

ぎゅっ

唯(ああっ!?)

梓「……」もぐもぐ

唯(あ、あずにゃんから、あずにゃんから抱きついてきてくれたあっ!///)

もぐもぐ

唯(えっ、なんでっ、うれしいけどっ、でも、いま、ちかくて///)

もぐもぐ

唯(かおも、くちびるも、だんだん、ちかくてっ///)

ぎゅーっ

唯(あっ、あずにゃん、あずにゃん///)

梓「……」ジーッ

もぐもぐ

唯(もうすぐ、もうすぐ、ちゅ、しちゃ、あずにゃ、かわい、くて///)

もぐもぐ

唯(も、もう、いき、あたって、あずにゃんと、ちゅー///)


2
最終更新:2012年01月19日 20:04