梓「……どうしよう」

チュンチュン

梓「……とうとう朝になっちゃった……」

梓「……一睡もしてないよ……」

チュンチュン


……

梓「結局そのまま学校に来ちゃったけど」

梓「授業中とかに寝ちゃったりしないかなぁ」

梓「今は3時間目が終わってお昼休み。まだ一回も眠くなったりしてないけど」

梓「……部活の時間とか眠くならないかなぁ」


純「あーずさ、何ブツブツ言ってんの?」


梓「あっ、純いたんだ」

純「何さ、失敬な」

憂「梓ちゃん、お昼食べよ」

梓「うん」


梓「……」カチャカチャ

憂「どうしたの、梓ちゃん?さっきから何か変だよ?」

梓「へ?変って、何が?」

純「なんかさ、ボーッとしてるよ?」

梓「あーっ……実は昨日の夜から今日の朝まで一睡もしてなかったんだ。ちょっと頭ふらふらするかも」

純「えーっ……一睡もって……」

憂「うちのお姉ちゃんでも遅くても3時には寝てるよ?何してたの?」

梓「うーん、それがさ」

憂・純「うん」

梓「……何も、してなかったんだよね」

憂・純「……へ?」


梓「なんか電気消して布団の中に入って、いざ寝ようとしたら」

梓「……眠れないの」

純「えーっ、不眠症?」

憂「お肌とか荒れないの?」

梓「どうなのかなぁ?」

純「……ちょっと失礼」

ぷにぷに

純「おお……これは」

梓「……ふぁにさ」(何さ)

憂「私も、私もー」

ぷにゅぷにゅ

憂「……おお?」

梓「ひゃんひゃよよー」(なんなのよー)

憂「梓ちゃんすごい!ぷにぷにだよ!」ぷにぷに

梓「なっ!?」

純「ホントだ、赤ちゃんみたい」ぷにぷに

梓「あっ、あかひゃんて……」

憂「ほんと、お姉ちゃんが梓ちゃんに夢中になるのもわかるな~」ぷにぷに

純「ほんとほんと」ぷにぷに

梓「うーっ……あーっ……」

ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに……

梓「うー……がーっ!!やめろーっ!」ガバッ

憂「あー。もっとぷにぷにしたかったのにー……」

純「でも夜更かししてもそんなにお肌ツルツルなんてー……いいなー」

梓「まだ一晩だけだよ。毎晩してたら多分大変なことに……」ブルッ

憂「でも梓ちゃん、そんなに寝てないんだったら眠くなるんじゃないの?」

梓「うーん、今日の今まで大丈夫だったし……大丈夫なんじゃないの?」

……

梓「何も大丈夫じゃなかった……」グッタリ

梓「やばい……眠すぎる……」

梓「今日はもう授業終わって、部室にいくだけなのに……」

梓「眠すぎて、動けない……」

梓「はぁ、もうこのまま机につっぷして寝てしまいたい……」

梓「いや……でも……」


憂「梓ちゃん、部室行かないの?」

梓「あああああ~、ね、眠いよぉ……」グッタリ

純「あーあ、言わんこっちゃない」

梓「仕方ないじゃん……」

憂「今日はもう帰ったほうがいいんじゃないかな?」

梓「えー?」

純「そうだよ、そんなんじゃまともにギターも弾けないでしょ?」

梓「そうだけど……」


純「もう先輩達も自由登校なんだから、部室に来てないんじゃない?」

梓「んーん」フルフル

純「ん?」

憂「純ちゃん、よく聞いてみて?」

純「え……うん……」

 ―――♪

   ―――♪

      ――♪

―――――♪


純「……あっ」

憂「ねっ」

梓「……わたし、やっぱり部活いくよ」

純「大丈夫?」

梓「ダメかも……でも、せめてあの場所には行かなきゃ」

純「……うん」

憂「梓ちゃん頑張って!」

梓「うん……じゃあ私部室いくね……」

憂・純「行ってらっしゃーい」


梓「……とは言ったものの……」フラフラ

梓「やばい、めっちゃフラフラする」フラフラ

梓「あーやばい、多分これ部室着いたら寝ちゃうな……」

梓「うう……階段上がるのもしんどい……」

タッタッ

梓「もうすぐだ……もうすぐ部室につく……」

梓「部室についたら、少しだけソファで寝させてもらおう」

梓「少しだけ……少しだけ……」

タッタッ

梓「……それにしても、今日はやけに気合はいってるなー……っと」

ガチャッ


唯「スカイハーイッ!」

     ハ―――イッ

      ハ――イッ

       ハ―イッ


梓「……へ」

律「違うっ!」ガタッ

律「放課後ティータイムが目指してる音楽は……こんなんじゃないっ!」

唯「……でも私は……この路線でいきたいんだよ」

律「なにいっ……」

ガタッ

律「唯のくせに唯のくせに唯のくせに唯のくせにっ」

紬「やめてっ!二人とも!」


梓「あの……なにがあったんれすか……」フラフラ

紬「もう……軽音部は…解散しちゃうかも……」

梓「へーそうなんれすかー」フラフラ

澪「……みんな目指す音楽の方向性がかわってきたんだ」

唯「音楽性の違いってやつだよ!あずにゃん!」

梓「へー、そんなんれすかー」フラフラ

律「なーにが音楽性だ!」

澪「一つ行動を覚えたら三つ忘れるような唯が音楽性?」ボウヨミッ

唯「澪ちゃんだって転んでパンツ見せてたくせに!」

ギャーッギャーッ

梓(……やばい、何言ってるんだろう、この人たち)

梓(……あっ、やばい、そろそろ限界……)


紬「梓ちゃんはどう思う?」

梓「えーっ……と、いつものふわふわした感じでいいと思います……」フラフラ

唯「正直……ふわふわした感じはもう……キツいんだよね律「どーの口が言う!!!」ブワッ


梓(あっ、もう、無理)


ハイッタハイモノノギターハヒケナイワハーモニカハフケナイワ!

フケルモン!ハーモニカフケルモン

チャンチャラオカシイワネ!

ッ!リ、リツガワルイ

ギャーワーギャーワー


梓「……」ふらふら


唯「!」

唯「そ、そうだよ!りっちゃんが悪い!」メクバセメクバセ

律「な、なんだとー」メクバセメクバセ


唯・律・紬「!」バッ


梓「……よいしょっと」

唯(……あれ?)

梓「すいません……このラジカセどかしますね……ふらふら」

澪「あ、ああ……」

梓「あと、ごめんなさい……私なんだか眠いんで、ちょっと眠らせてください……ふわぁ……」

梓「……すぅ」



律「……」

紬「……」

澪「……おい、どうすんだこれ」

……

梓「う、……うーん……よく寝た……」ノビノビッ

梓「……あれ、ソファに置かれてた先輩達のバッグがなくなって、ソファが広くなってる……」

梓「それにこのいつの間にか私にかけられてるブランケットって……」


「あら、起きた?」


梓「ん?」

さわ子「梓ちゃんぐっすり寝てたわねぇ」

梓「あっ……先生。どうも」

さわ子「あんまり気持ちよさそうに寝てたから起こす気もひけたわ」

梓「あっ……ご、ごめんなさい///」

さわ子「あんまり夜更かしして授業中に居眠りとかしちゃダメよ。特に女の子はお肌に悪……」

梓「?」

さわ子「……ちょっと失礼」ぷにっ

梓「うにゃ?」ぷにぷに

さわ子「何よ、このぷにぷに!」うがー

梓「あんか、えじゃぶ」(なんか、デジャブ)

梓「そういえば、先輩達の鞄が見当たらないんですが、やっぱり皆さん帰ったんですか?」

さわ子「えっ?いるわよ?」

梓「えっ?どこに?」

さわ子「そこに」スッ


唯「……」ズ

澪「……」 ゥ

律「……」  ゥ

紬「……」   ン


梓「えっ、うわぁ!」

唯「……あっ、あずにゃん……起きた……」ズーン

梓「ど、どうしたんですか、そんなところで?」

紬「……梓ちゃんが、私たちのこと無視したの……」ズーン

梓「えっ、な、なにが」

律「放課後ティータイムの解散の危機を……寝てスルーしやがった……」ズーン

梓「あ、ああ。どうなったんですか、あれ」

澪「いや、最初から小芝居だったんだよ……早く椅子に座りたい……」

梓「なんだ、お芝居ですか」

律「なんだとはなんだー!」

唯「そうだよ!わざわざあずにゃんをドキドキさせようと頑張ったのにー」

梓「目的が思いっきりあれですよね、それ……」

澪「それにしても……ずいぶん眠そうだったけど、何かあったのか?」

梓「いえ……それが昨日の夜から一晩も寝てなくて……」

律「えっ、大丈夫なのか、それ?」

澪「いや、いま寝てただろ……」

梓「すいません……」

澪「ああ、いやそういう意味じゃないんだ」

唯「それで、そんな時間まで何してたのー?」


紬「……///」

律「おーい、ムギ。帰ってこーい」ペチペチ

梓「いや……それが……」


唯「へー、何もしてないのに一晩中起きてたんだー」

律「それって不眠症じゃないのかー?病気か?」

澪「ひっ……梓……病気……死……」ガタブル

梓「いや、そこまでいきませんから……多分」

紬「でも今の時間に寝ちゃったら夜また眠れなくなるんじゃないの?」

梓「2時間ほどだけしか寝てませんから大丈夫だけだと思いますけど」

律「家に帰ったらバタンキューで寝ちゃうんじゃないかー?」

梓「そんな事無いですよ、多分……」

唯「夜更かししてちゃお肌に悪いよー」ぷにぷに

唯「おぅ!これは?」

梓「あぅぅ……まはえじゃう……」(あぅぅ……またデジャブ……)



帰宅後…梓の部屋

梓「はぁ、やっぱりまだ少し眠たいなぁ」

梓「でも、今寝ちゃったらやっぱりまた夜眠れなくなるかもしれないから頑張って起きていよう」

梓「あー、とりあえずベッドに横になろう」ゴロッ

梓「……」

梓「……やばい、この沈黙はやばい」

梓「これは必ず寝てしまう」ウトウト

梓「何か音楽でもかけようかな……それともDVDでも……」ウトウト

梓「ああ……でも……立ち上がる……気力が……」ウトウト

梓「あぁ……もう……なんでこの部屋……こんなにあったかいの……」ウトウト

梓「……ちょっとだけ」

梓「……ほんの、ちょっとだけ……」

梓「すぅ……」

――――――――

――――――

――――

―――

――


「あずさーご飯よー」

梓「はっ!!!」

梓「やばいやばい寝ちゃってた!」

梓「えっと、さっき6時だったから……今は」

梓「……7時半」

梓「さっき寝てたのと合わせても3時間半……」

梓「ま、まだ大丈夫だよね」

「あずさー、ご飯ってばー」

梓「は、はーい今行くー!」


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最終更新:2012年01月19日 20:08