→ 憂「ばっくとぅーざ」唯「しすたー!」梓「えっ」


かえりみち!

唯「あーあ、どっか行きたいなー・・・・」

梓「受験生がなにいってるんですか・・・唯先輩にはそんな時間ないです」

憂「センター試験ももうそろそろだもんねー」

唯「一瞬で他の国とかに飛んでいけたらいいのになあ。こう、ジャンプしたらぴゅーんって」

憂「ふふ、テレビでよくあるよね。ジャンプして景色が変わって、そしたら目的地に着いちゃったり」

梓「はぁ……そんな簡単に時間や空間を飛び越えちゃったら困りますよ」

唯「あずにゃん。思いを一つにすれば、時間だって越えられちゃうんだよ!」

梓「あの、唯先輩。勉強も大事ですけど休養もしっかりとってください」じとーっ

憂「そうだねー……でもお姉ちゃん、あれは危ないからもうやっちゃだめ」

唯「えへへ、わかってるよー」


梓「え?」


梓「いや、その、憂。ネタだよね?」

憂「えっ? あーそっか、ううんごめんなんでもない」

唯「あっ、あははーヨーロッパ行きたいなあー」

梓「なにごまかそうとしてるんですか」

唯「いやっ、私と憂にもカテイのジジョウというのが・・・・えへへへ」

憂「ごめんね、あっお姉ちゃんも最近勉強がんばってるんだよ!それでね、」

梓「はぁ……まあいいですけど」

憂「ごめんね、梓ちゃん……」

トラック「ぶろろん」キキーッ

梓「って、ういあぶないっ?!」

憂「きゃっ?!」ピョンッ


  ばしゅん!


梓「あたたた・・・・」

憂「いったあ・・・・梓ちゃん、だいじょうぶ?」

梓「うん、なんとか。……って、あれ? 唯先輩は?」

憂「あれ、お姉ちゃん……?」きょろきょろ

梓「急にどこ行っちゃったんだろう……ゆーいせーんぱーい? どこですかー」

憂「……えっ? うそ。まさか、あの二人って……」ガクガク

梓「まったくもう、隠れてるんなら出てきてくだs」

憂「梓ちゃん隠れて!!」グイッ

梓「きゃっ!? って、憂どうしたの?」

憂「どうしよう、おねえちゃんが、どうしよう……!」うるうる

梓「え……なにか、あったの?」

憂「……あっちの、向こうの通り」


  ゆい「うんたん♪ うんたん♪」てくてく

  うい「おねえちゃんまってー!」とててて


梓「……あの、あれってまさか、その、平沢さん家の、」

憂「うん。私たち、過去にタイムスリップしちゃったかも……」グスッ

梓「あ、あはは……あるんだあ、そういうの……あは……」タラタラ


――2011年

唯「ねえねえどうしよお!? ういが、あずにゃんがあっ! のどかちゃーん!!」ゆさゆさ

和「ちょっ、おちついて! 唯、憂がどの時代に行ったか心当たりはないの?」

唯「わかんないよぉ・・・思い出せないの……うぅ」

和「って、それ以前に憂一人でタイムスリップなんてできたの?」

唯「それもわかんない、昔のことすぎるよ・・・・」

和「重傷ねえ……とりあえずそのゆず湯、飲んじゃいなさい。落ち着いて」

唯「ごめんね、和ちゃん……」ごくごく

和「それ、お隣のおばあちゃんが?」

唯「うん! 憂ちゃんとふたりでねって・・・・・ういぃ」えぐえぐ

和「ほらほら、元気を出して」なでなで

唯「ありがと、和ちゃん……でも、どうしよう?」

和「そうそう唯、昔はその、どうやってたの? 一応聞かせて」

唯「えっとね、私が憂と手をつないで、二人同時に行きたい場所を念じるの」

和「それで、そのまま二人でジャンプ?」

唯「うん。そしたら、ばしゅっ!ってきて、違う時代にいっちゃうの」

和「じゃあ、今回は憂一人で飛んで行っちゃったと」

唯「あずにゃんもいないんだよ?!」

和「そうだったわ、ますます深刻じゃない……」

唯「メールしてみようかな?」

和「いや、届くわけないでしょう……ん?」

唯「?」


和「……そうだ。唯、メールはだめでも手紙なら届くかもしれないわ」

唯「ほえ?」


――2005年

ゆい「すっごーい! あずにゃん、17才なんだあ!」

梓「はい……って、その呼び方はやめてって言ってるでしょ!」

ゆい「あずにゃんあずにゃーん」ぎゅうっ

憂「あはは……ごめんね梓ちゃん、変なこと言っちゃって」

梓「平沢家に入らなきゃいけないんだからしょうがないよ……」ずーん

うい「お姉ちゃん、年上の人をこまらせたらめーっだよ?」

ゆい「はぁーい」

梓「ぷふっ、二人とも変わんないね」

憂「なんだか複雑な気持ちかも、私……」

梓「でも、憂の心配がはずれたのはよかったよね」

憂「そうだね、よく分からないけど、自分同士で会ったら危ないんだよね」

うい「あの、わたし、いない方がいいんですか・・・?」しゅん

憂「ううん、ちがうよ! ほら、私いま元気でしょ?」なでなで

うい「そうですね……よかったあ」にこっ

梓「その、ゆいちゃんたちは今、小学生なんだよね?」

ゆい「うん! わたしが小6で、ういが小5なんだよ!」

梓「この子が、……こうなるのかあ」

憂「は、はずかしいよ・・・」

ゆい「ういもおっきくなったねえ」ぎゅー

憂「きゃっ・・・! もうっ、へんなとこさわっちゃだめ!」

ゆい「ふあっ、ごめんなさい・・・・」

梓「・・・・悪かったね、おっきくなくって」ぷいっ

憂「梓ちゃんも、その、成長期だから大きくなるよ・・・と、思うよ・・・」

梓「慰めとかいらないもん。……って、平沢家ここだよ!」

ゆい「あ、わすれてたぁ」

うい「もう、まいごになっちゃうよー?」

梓「よく唯先輩を育て上げたね、憂……」

憂「お姉ちゃんががんばったんだよ?」

梓「いや、そういう問題じゃなくて。って、早くタイムカプセル埋めなきゃ!」



  お姉ちゃんへ

  いまは2005年、ちょうど六年前の同じ日みたいです。

  小学生の私たちといっしょにいます。梓ちゃんも元気だよ。

  この手紙を埋めたら私は梓ちゃんとジャンプします。

  昼間、とみおばあちゃんの家でゆず湯の粉末をもらったのを覚えてるよね?

  あのときに見た玄関の前を思い浮かべて。時間は夕方ぐらいがいいかな。

  それじゃあ、お姉ちゃん、よろしくね。

         憂より



憂「っと。手紙、こんな感じでいいかな」

梓「うーん、いいんじゃないかな……不安だけど」

ゆい「あずにゃんだいじょうぶー?」

梓「あずにゃん言うな。っていうか、ゆいちゃんたちもタイムスリップできるんだよね?」

うい「できますよ~。でも、危ないからもうやめようって、和ちゃんと三人できめたんです」

憂「もし何かあったらタイムカプセルを使おう、って考えたのも和ちゃんなんだよ」

梓「あの人、意外とどんな状況でも受け入れちゃうタイプなんだなー・・・」

憂「……ふぅ。このぐらい埋めたら大丈夫だよね」

梓「じゃあ、やってみよっか?」

憂「うん! 二人とも、ありがとう」にこっ

ゆい「えへへ~・・・・また、会えるかな?」

うい「もー、いつも会ってるよぉ」

梓「そうそう。だからゆいちゃんは、ういちゃんの先を行くぐらいじゃないと」

ゆい「おおっ、おねえちゃんだもんね!」ふんすっ

憂「えへへ……じゃあ、また6年後にね」

ゆい「ばいばーい! ……わわっ」どてっ

うい「きゃっ?!」ぼすんっ

憂「ひゃっ――」


  ばしゅん!


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最終更新:2012年01月23日 23:08