3月3日

梓「今日は雛祭りですよね」

紬「そうね~。昔はよく雛人形出してもらってたっけ」

梓「ムギ先輩の家のだと……そうとう凄そうですね」

紬「そんなことないわ。普通よ普通」

梓(あなたの普通はけっこう普通じゃないです…)

梓「…どうしました?じっと人のこと見て?」

紬「あら、ごめんね。梓ちゃん綺麗な長い髪してるし」

紬「とっても可愛いから、お雛様みたいだなぁって思って」

梓「え/// そ、そんな。可愛いだなんて、あの…」

紬「もう、照れなくてもいいのに~」

梓「うう……///」

梓(でもやっぱり日本人形みたいってことだよねぇ…)

梓「はぁ…」

紬「あ、あれ?どうしたの?」

梓「いえ…気にしないでください」

梓「お雛様なら私なんかよりムギ先輩のほうが似合いますよ。きっと」

紬「そんなことないわよ。ほら、わたしこんな外見だし」

梓「この際そこは目をつむりましょう」

梓「何といいますか、こう。気品ですよ、気品」

梓「お姫様のオーラがあります」

紬「そうなのかしら?」

梓「はい。なにより綺麗です。すっごく。だからいいんです」

紬「そんなお世辞言ったって、何も出ないわよ?」

梓「お世辞じゃありませんからね」

紬「もう、ほんとに…///」

梓(照れてる。かわいい)

紬(絶対梓ちゃんのほうが似合うのに…)

紬「やっぱり梓ちゃんがいいわよ」

梓「いえ、ムギ先輩ですね」

紬「あずさちゃん」

梓「ムギ先輩」

紬「あ~ず~さ~ちゃん!」

梓「ムギせんぱいです!」

紬「……」

梓「……」

梓「…プッ」

紬「…あははっ、何やってるんだろうね」

梓「まったくですよ、もう」

梓「……じゃあ、私がお雛様でいいです」

紬「あら、ほんと」

梓「そのかわりお内裏様やってください」

紬「私がお内裏様……なおさら似合わない気がするわ」

梓「いいですよ。似合わなくても。私がお雛様なんですから」

梓「ムギ先輩はお内裏様なんです」

梓「なんなら私がお内裏様でもいいですよ?」

梓「ちゃんとムギ先輩がお雛様やってくれるなら、ですけど」

紬「あらあら、どういうことかしら~?」

梓「…言わなくても分かってるくせに」

紬「ちゃんと聞きたいなぁ」

梓「そんなニヤニヤしてる人には言いたくないです~」

紬「顔真っ赤にしてる人に言われてもねぇ」

梓「……ふんだ」

紬「ごめんごめん。拗ねないで」

紬「ちゃんと梓に言ってもらえたら、うれしいな、私」

梓「…いっつもそうやって。ズルイです」

紬「可愛いからつい、ね?」

梓「……もう」

梓「……ずっと、紬が隣にいてくれれば」

梓「それだけでいいって言ってるんです」

梓「…自分だって顔真っ赤じゃないですか」

紬「夕方だからそう見えるのよ」

梓「そういう事にしといてあげます」

紬「可愛くない」

梓「さっきと言ってる事違いますよ」




梓「…ずっと、隣にいてもいいですか?」

梓「ずっと、隣にいてくれますか?」

紬「…ええ。もちろん。ずっと隣にいて欲しいし」

紬「ずっと、隣にいたい」

真っ赤な夕日に包まれて、自然と身を重ねて。

影が重なった私たちは、きっと。

世界中で誰よりも、お互いの近くにいるから。


おしまい



8
最終更新:2012年02月01日 23:12