394 :名無しさん@秘密の花園 2010/06/15(火) 21:50:42 ID:F2HGZYWR


最近、ムギちゃんは私たちとお昼を食べません。
私と澪ちゃん、りっちゃん、和ちゃんでお弁当を囲う毎日が続いてます。

「でもなんで最近ムギちゃん一緒に食べないんだろー」

「うーん…なんでだろーな」

りっちゃんもひたすら頭に疑問符を浮かべていて。

「さっき廊下でお弁当持ってどこかに行くムギを見たよ」

これは澪ちゃん情報。

「ということは、他のクラスで食べてるんじゃないかしら」

そんな和ちゃんの結論に、私は口を開く。

「うーん、どうして私たちと食べないんだろ…」

「…まさか…ムギに嫌われちゃったか?私たち」

澪ちゃんが、少し否定的な意見を言いました。そう言われちゃうといたたまれない、凄く寂しい気持ちになった。

「それはないと思うけど…だってそんな素振りないじゃない?」

和ちゃんはそう言うけど、私はなんだか凄く辛かった。ムギちゃんに何か悪いことしちゃったのかな…。
ただ、それしか考えられなくて。

「唯…」

澪ちゃんが私を心配してくれた。ありがとう、澪ちゃん。

「…よし、そうだな」

りっちゃんがおもむろに立ち上がる。

「なんだよ、律」

「明日の昼休み…ムギを尾行だ!」

395 :名無しさん@秘密の花園 2010/06/15(火) 21:59:55 ID:F2HGZYWR


翌日の昼休み。

「~♪」

いつものように、自分のお弁当箱を持ち教室を去るムギちゃん。

「…行くぞ、唯隊員」

「はい、りっちゃん隊員」

「はぁ…本当、尾行好きだな」

「澪は行かないのかー?」

「…行くけどさ。和は?」

「…私も行こうかな」

というわけで、私たちは全員でムギちゃんをつけることになりました。

「どこ行くんだろね」

「全く検討つかないよなー」

少し先を行くムギちゃんにバレないように、四人でつける。

「そういえば昨日、ういが言ってたんだけど…なにやらあずにゃんもういたちと一緒にごはん食べないんだって」

「梓が?ふーん…」

りっちゃんは何やらニヤニヤしていた。なんで?
ムギちゃんは私たちに気付くことなく進行中。

「ねぇ…あっちって音楽室なんじゃない?」

和ちゃんが気付く。た、確かに…。

「ということはまさか昼休みに1人で練習してるとか?」

「あー…ありうるねーっ」

澪ちゃんの意見に私は納得した。

案の定、ムギちゃんが向かっていたのは音楽室だった。

396 :名無しさん@秘密の花園 2010/06/15(火) 22:11:04 ID:F2HGZYWR


音楽室前についた私たち。

「ちょっと聞き耳たててみようぜっ」

りっちゃんがききとして耳をドアにくっつける。私も負けじとくっつけると…。

『相変わらずスゴいですね、お弁当…美味しそう』

『そうかな?』

2人分の声が聞こえた。

それは…ムギちゃんと…

「梓だな、もう1人は」

澪ちゃんも聞いていた。和ちゃんはなんだか恥ずかしそうにしながら私たちを見ていた。

「和ちゃんも聞こうよーっ」

「わ、私はちょっと…」

「しっ!黙って、2人とも!」

私も再びドアに耳をくっつける。

『お茶、いれるね』

『あ…今日は私にやらせてください』

なにやら2人だけでお茶会を開いているらしい!

「ずるい…ずるいよムギちゃん!」

「なぁ…ドアちょっと開けて覗いちゃおうぜー」

りっちゃんは聞くだけじゃ飽きたらず、私たちはいよいよ覗き見することになった。

「お茶ー…私も飲みたいよぅ」

「放課後いつも飲んでるだろ?」

「もっと飲みたいもーん」

そう、澪ちゃんと話していたら。

「静かにしろってー。バレちゃうぞ?」

りっちゃんにいさめられちゃった。

397 :名無しさん@秘密の花園 2010/06/15(火) 22:19:46 ID:F2HGZYWR


こっそり覗いた先には、やはりムギちゃんとあずにゃんがいた。
毎日2人でお昼を過ごしていたのかな…?

「どうですか…私のいれたお茶…」

「おいしいわ、梓ちゃん」

「よかった…」

心なしか、頬が赤らむあずにゃん。

「ムギ先輩にいつもお茶もらっちゃってるので…私も…その…」

「ありがとう、梓ちゃん。嬉しいよ」

「えへへ…」

仲良いなぁ、2人。こんなに仲良かったっけ?

「じゃあ食べようっか」

「はいっ!」

ようやくお弁当に箸をのばす2人。

ぐぅー。お腹が鳴ったのは私。

(…お昼食べてくれば良かった)

(早めに退散するかー?もうムギの所在はわかったし)

(そだねー)

このとき、もう引き返していれば良かったんだ。うん。

「ムギ先輩…いつもの…」

「え?あぁ…梓ちゃんたら、甘えん坊さんね」

「うぅ…うるさいです、ムギ先輩ってば」

ニコニコ笑うムギちゃんと、少し照れるあずにゃん。

(いつもの…?)

「はい、あーん」

「…あーん…」

(!?)

それは驚くべき光景だった。

398 :名無しさん@秘密の花園 2010/06/15(火) 22:29:40 ID:F2HGZYWR


(わーお)

りっちゃんがなんか凄くニヤニヤしている。澪ちゃんは何か顔赤いし、和ちゃんは目をそらしていた。
ていうか、和ちゃん覗き見はするんだ。

(仲良しだったんだね、あずにゃんたち)

(仲良し…ねぇ)

(?)

「玉子焼き、どうかな…」

「甘くて美味しいですっ!というか…」

「というか…?」

「む、ムギ先輩のお箸で食べてると思うと…よけい…甘い…」

顔を真っ赤にしながらそう言うあずにゃん。そう聞いてムギちゃんまで顔真っ赤。

「…梓ちゃんたらっ…もう」

「えへへ…」

こんなの…あずにゃんのキャラじゃない。

(な、なんだこれ…私もあずにゃんにあーんしたいのに!)

(はぁ…唯…鈍いなぁ)

(え?なにが?)

私はりっちゃんの言う意味がいまいちわからなかった。

「あ…ねぇ、梓ちゃん」

「なんですか?」

「…呼び方の件なんだけど…」

「…あ………はい………」

呼び方の件。果たして、なんだろう。

「2人のときに、梓ちゃんが言ってた通りにするのじゃだめかな?」

ムギちゃんがそう言うと、喜んだあずにゃんがいた。

「はい!いいです!私も2人じゃないときは恥ずかしいですし」

…2人きり…。私はこの二人の間柄がわからなくなってきた。

399 :名無しさん@秘密の花園 2010/06/15(火) 22:42:16 ID:F2HGZYWR


「じゃあ…こほん…」

「…。」

なんか緊張してる二人。私は釘付けだった。

「…あずにゃん…」

(!?!?)

私は驚愕した。…あずにゃんって呼ぶの、ムギちゃん!?

すると今度はあずにゃんが…

「…ムギちゃん…」

(!?!?)

なんだこれ。なんなんだこれ。
わけがわからない。二人きり、とか。呼び方が変わる、とか。

「…やっぱ恥ずかしいです」

「もー、梓ちゃん…ううん、あずにゃんたら。自分から提案したんでしょう?」

「…そうですけど…」

…わかったよ。ようやく私にもわかった。

(カップルでしたか…)

(今更かよ!)

(ええー…まさか2人がこんな仲だったとは…)



「…あーずにゃん」

「ひゃあ!?」

ムギちゃんがいきなりあずにゃんの手を握る。

「な、な、なんでしょうムギちゃん」

めっちゃ動揺してるあずにゃん。…なんか見てて恥ずかしくなってきた。

「…ゆっくり…ゆっくり、慣れていこうね」

「…ムギ…ちゃん…」

…あれ。二人の距離が縮まってるんですけど。
…あれ。なんか、口と口が近づいてるんですけど。
…あれ。なんかいい雰囲気なんですけど。

400 :名無しさん@秘密の花園 2010/06/15(火) 22:48:26 ID:F2HGZYWR


(わーお)

(ひゃあ…うわぁ…)

りっちゃんと澪ちゃんが熱狂している。和ちゃんに至っては、なんかもう帰りたそう。

(もっとよく見えないかなー)

(うわぁ、りっちゃん!押さないでよ…)

(あ…うわ、バランス崩した…)

(え?え?)

「「「きゃあーー!!」」」

ドアを押して、音楽室になだれ込む私たち。

「え…」

あずにゃん、ムギちゃんがすぐこちらを振り向く。

「あ…これは…その…」

「…なんだ…うん…」

「あはは…ごめんね、二人とも」

「………」

私たちは謝る。もう、いろいろ手遅れだった。

「い…い…いやぁぁぁぁぁぁあ!!」

あずにゃんの絶叫は、ういのクラスにも届いたらしいです。

おわり

442 :名無しさん@秘密の花園 2010/06/18(金) 00:18:33 ID:yR3JgLDe


梓(ムギ先輩のおっぱいが見てみたいなぁ…)
紬「いいよ、梓ちゃん///」
梓「!?こ、心を読まないでください!!…あ…でも…今回は読んでくれて嬉しかったり…」
紬「素直じゃないわ梓ちゃん」
梓「う、うるさいです…」
紬「見るだけでいいの?」
梓「え…」
紬「素直に素直に」
梓「う、うるさいです!覚悟するです!/////」

541 :名無しさん@秘密の花園 2010/07/19(月) 01:45:22 ID:VHsnETxW


やっと規制解けたー。
空気読まずにss投下して寝るるー。


【犬と猫】


猫みたいだ、とよく言われる。

ツリ目だから。
体が小さいから。
からかわれると、すぐムキになるから。

言われ慣れた今となっては、ふーん、てなもんである。
クラスメートたちが話しかけてきたとき、私は眠かった。

机にうつぶせになったまま
「よく言われる」
と返すと、そのうちの一人が
「あ、猫が気のないときに、尻尾だけ振る感じ」
と笑った。

先生が入って来たので、クラスメートたちは、集まっていた机から席に戻った。
私はもそもそと教科書を出した。

「では今日は枕草紙の続きです」

先生の声を聞きながら、思う。

(私が猫なら、先輩方はなんだろ…)

542 :犬と猫2 2010/07/19(月) 01:46:29 ID:VHsnETxW


唯先輩は、ハムスターっぽい。
口いっぱいに物を詰め込む系。

澪先輩は、色っぽいから黒ヒョウかな。
でもこわがりな黒ヒョウはおかしいな。
色が全然変わるけど白鳥とか近いかも。

律先輩は、なんだろう。
カチューシャの印象が強すぎて想像しづらいな。とりあえずサルかな。

(ムギ先輩は…)

一つのイメージがぽん! と思い浮かんだ。
うん、間違いない。
ムギ先輩はこれしかない。

ゴールデンレトリバー。
の、子犬

ふわふわな毛に、やや離れて下がり気味の眉。
好奇心旺盛なところ。
どれをとってもムギ先輩にピッタリだ。

私は自分の想像力に満足した。
先輩方に伝えたら、どんな顔をするだろうか?

ムギ先輩は子犬みたいにほっぺたをゆるめて、キラキラした目をするだろうか。
でも律先輩がちょっとめんどくさそうだ…。

543 :犬と猫3 2010/07/19(月) 01:47:47 ID:VHsnETxW


「なんで私がサルなんだ!? キー!
キレ方がサルっぽい、ってやかましいわー!!」
「まぁまぁ律、落ち着けよ」

放課後のいつものお茶の時間、話してみたら、案の定、律先輩を怒らせてしまった。
なだめる澪先輩は苦笑している。

「私のドラムはサルのオモチャよりずっと上手いからな!」
「あっ、言われたらそれっぽいかも、やってみてりっちゃん!」

唯先輩の提案に、律先輩はあっという間に、私に詰め寄るのを忘れてサルのオモチャの真似に夢中になる。
『ウッキー!』って唯先輩と二人でポーズを取って、笑い転げている。

私が呆れていると、いつのまにかムギ先輩が、ソファの隣ににじり寄ってきていた。

ももいろのほっぺた。
キラキラする瞳は、上目づかい。

言いたいことがあります! と全身で告げているムギ先輩に、尻尾が見える気がした。

(やっぱり、ふわふわの子犬だ)

「なんですか先輩」

尋ねる私の手取って、ムギ先輩はギュッと握った。

「梓ちゃん、わたしうれしい!」

先輩の目がまっすぐに私を見る。

「わたし、ゴールデンレトリバー大好きなの!
かわいくって、おりこうさんでしょう?
同じに見てくれるなんて、こそばゆいけど、すごくうれしいの!」

544 :犬と猫4 2010/07/19(月) 01:49:27 ID:VHsnETxW


あぁ、ムギ先輩に尻尾が生えてたら、ふさふさで、
今まさに左右にぶんぶん振られているんだろうな。

私はまばたきした。
尻尾が見えたからじゃない。
目がちかちかしたみたいになったからだ。

ムギ先輩が、私に顔をが近づけていた。

「梓ちゃんは、犬好き?」

先輩が私の顔をのぞき込む。目がキラキラしている。

この、行動の予想外な感じ。
それもちょっと子犬っぽい。

って、分析してる場合じゃないかも。
先輩、ちょっと顔近すぎます。

体を傾けて逃げる私に、歌うように先輩が尋ねる。

「かわいいと思う?」

先輩が首をかしげる。
髪の毛が揺れてさらりと鳴った。

「はい…」

くりくり動いて、ふわふわで、瞳を潤ませた、

(ムギ先輩)

とてもかわいい。

「うれしい!」

がばっ、とムギ先輩が私に抱き着いてきた。
支えきれなくて私はソファに倒れる。

「んにゃっ!」

くすぐったい! 首が!

「ムギ先輩!?」

ムギ先輩が、私の首をなめている!
くすぐったくてつま先がぶるぶるした。

引きはがそうと、先輩の肩を掴んだ。
でも馬乗りになられているからうまくいかない。
先輩はさらにわたしの頬を舐めた。

545 :犬と猫5 2010/07/19(月) 01:50:18 ID:VHsnETxW


「せんぱ…!」

身をよじっても追いかけてくる。
ペロペロどころじゃない、かなりアグレッシブだ。
まるで本当に、興奮した犬みたいだ!

「先輩、正気に戻ってください!」

どうにかしようと先輩の腰に回った私の手の甲、ふんすふんすと何かが当たる。

「え…」

私は手を伸ばし、それを、握った。先輩の動きがぴたりと止まった。

(これって)

先輩はおずおずと私を見上げて、一言言った。

「きゃうん…」


「!!!!」
気付くと、目の前いっぱいに古典の教科書が広がっていた。

「あ、起きた…」

憂の声がする。周りの空気がざわざわしている。
授業が終わっているのだ。

(夢…?)

「梓ちゃん、大丈夫?」

なんて夢だ!
私はもう一回目を閉じた。

(恥ずかしい…!)

「どうしたの梓ちゃん」

お昼食べよ、と誘う憂。

私はまだ体を起こせない。

憂には言えない。

ムギ先輩の頭に、ちょこんと三角の耳が生えていたこと。

掴んだ尻尾が、とてもふさふさしてたこと。

「なんでですかぁああああっっ!!?」
「私が聞きたいよ、梓ちゃん……」

546 :犬と猫5 2010/07/19(月) 01:54:10 ID:VHsnETxW



続きかけたらまた来ます。
(遅いので忘れた頃になると思います)

むぎむぎきゅんきゅん!


中野 梓 × 琴吹 紬 4

最終更新:2012年02月01日 23:31