恋人たちの時間

律 「それにしても唯が戻ってこれそうで良かったよなぁ~」

ムギ 「そうね♪まだ手が使えないから不自由みたいだけど」

律 「そういや梓ここんとこ毎日通ってるな」

ムギ 「唯先輩のお世話する!ってがんばってるみたい♪」

律 「まっ、あの二人なら上手くいくだろうな」

律に抱きつくムギ

ムギ 「ねえ、律ちゃんっ」

律 「どっ、どーしたんだよ急に!」

ムギ 「お世話するってさ・・一緒にお風呂入ったり、ごはんをアーンってしたりだよね?」

律 「そっ、そうだろうな!」

ムギ 「律ちゃんっ!私、律ちゃんのお世話がしたいっ」

律 「おっ、落ちつけムギ!!こっ、ここじゃマズいよ、聡もいるし」

ムギ 「そう言ってくれると思って、ホテル予約しましたっ♪」

律 「・・・・・用意周到だな・・まあ、私も二人っきりになりたいって思ってたし、行くか!」

ムギ 「やったぁ♪律ちゃん大好き♪」



ハニースィートタイム

律 「広っ!!ムギ・・ここメチャ高そうなんだけど・・」
ムギ 「ここ父の系列のホテルだから大丈夫♪でもちゃんとバイトして、お金も払ってあるの♪」

律 「ムギ・・・」
抱き寄せる律、突然のキス

ムギ 「んぐ・・・・はぁ・・ダメだよ律ちゃん・・今日はお世話するんだからぁ」
そう言ってムギからのキス

ムギ 「律ちゃんが悪いんだよ・・もぅ♪」
重なり合う二人
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律 「ふ~っ、なんか汗かいちゃったな、お風呂入ろっか?」
ムギ 「はぁ・・はぁ・・じゃあ、私がお世話するね♪」


求めあう二人拒絶する世界

ムギ 「ただいま帰りました」

執事 「お帰りなさいませ、紬お嬢様。少しよろしいですかな」

ムギ 「は、はい」

執事 「紬お嬢様、私はお父様より教育係も一任されております。」

ムギ 「はい・・・」

執事 「では、わかっていただけますな」

テーブルに数枚の写真

ムギ 「えっ・・・!」

ムギと律の抱き合った写真・・・あのホテルでの写真

ムギ 「ひ・・・ひどい・・・・」

執事 「どのような経緯で、このようなふしだらな行為におよんだのかは知りませんが、
琴吹家を継がれる立場として、あまりに軽率であり愚かな行為であることは言うまでもありません」

ムギ 「ど・・どうして・・・」

執事 「このことは、まだお父様に報告はしておりません。お嬢様、ご学友を思う気持ちがお有りなら・・
わかりますね、紬お嬢様」

ムギ 「・・・・はい」

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ムギ (やっぱり・・わたしに・・自由なんてないのね・・・)

ムギ「こんな・・・こんな世界なんて・・もうイヤだよ・・・助けて・・律ちゃん・・・」


欠けた世界

唯 「え~!ムギちゃん今日もいないのー!?」

澪 「風邪だって言ってたけど大丈夫かな?」

あずさ 「心配ですね」

律 (ムギ・・電話もつながんないし・・)

澪 「律っ!律っ!!ったら」

律 「ん?!」

澪 「だから、お見舞い行こうって言ってんだろ?」

律 「あっ、お見舞いか、いいぜ行こっか」

唯 「じゃあお見舞いと言えばイチゴだねっ♪」

あずさ 「それ・・唯せんぱいが食べたいだけでしょ」

唯 「あずにゃん・・しどい・・・」


後悔と絶望の場所

唯 「おっきい・・・・」

あずさ 「これって・・お城・・・じゃないですよね?!」

澪 「想像してたよりすごいな・・・」

律 「・・・・・・・」

澪 「どこが玄関なんだ?」

あずさ 「あっ!インターホンありますよ」

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執事 「はい」

澪 「あっ、桜高のクラスメートの秋山ですけど・・紬さんのお見舞いに・・」

執事 「紬お嬢様は、どなたともお会いになりません」

律 「ちょっ!ムギは!ムギを出してください!!」

執事 「ですから、紬お嬢様は・・・」

ムギ 「律ちゃんっ!!律ちゃ・・・・」

律 「ムギっ!!おい!!ムギっ」

執事 「紬お嬢様は療養中です、どうかお引き取りください」

律 「ふざけんなっ!!おい!ムギっ!いるんだろ!お前らムギを出せよっ!!」

澪 「おい!律っ!!やめろって!」

律 「はなせよ!ムギっ!!ムギっ!!!!!!」


絶望と希望が紡ぐ歌

ムギ 「うぅ・・・律ちゃん・・私・・もう・・・・」

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私は籠の中の鳥
飛べる翼の使い方も
愛を歌える声も
すべて忘れてしまったの
外に飛び出す勇気さえなく
空を夢見て
いまを嘆くの・・・
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ムギ 「律ちゃん・・・怒ってるかなぁ・・・ごめんね、律ちゃん・・・」


届かない声と伝わった詩

from:ムギ
to:////////
sub:大好きな律ちゃんへ
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律ちゃん、心配かけてごめんなさい。
律ちゃん、私のこと怒ってますか・・
律ちゃん、私のこと嫌いになりましたか・・?
律ちゃん、紬は勇気のない子です。
こんなに弱い私じゃ、律ちゃんに嫌われても仕方ないですよね・・
律ちゃん・・私のわがままをいっぱい聞いてくれてありがと

律ちゃん、紬からの最後のわがままです
どうか、紬を忘れてください。
さよなら大好きな律ちゃん
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律 「ムギ・・・こんなメール・・おかしいじゃん!
忘れられるわけないだろぉ・・・ムギ・・・」


鳥かごの外

ムギ 「家出・・しちゃおうかな・・・」

無理なのはわかってる、籠の中の鳥は一人じゃ生きていけない
わかっているから辛い・・
言葉に出しても弱気とあきらめが襲ってくる

ムギ 「律ちゃんがいないと・・私、ダメね・・・」

コンコンッ

ムギ 「!?」

律 「ムギっ!」

大空を羽ばたける翼を持った少女が
ともに空を飛ぼうと手を差し伸べた

ムギ 「律ちゃん・・許してくれるの・・・」

律 「言ったろ、ひとりじゃないって。」

その笑顔に選択肢などなかった
行こう!!空へ
この人は私を裏切らない!
この手は私を離さない

ムギ 「うん!」


隠された巣箱

律 「それにしてもムギ、良かったのか?」

ムギ 「うん、わたし、律ちゃんがいれば生きていけるよ」

律 「そっか、これからの事も考えないとな~、とりあえず私の家に行くとして。」

ムギ 「うん♪・・・・・・・」

自転車を走らせる律、愛する人の背中に体をあずけるムギ

律 「よし!到着ぅ!ちょっと待ってろよ、ムギ」
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不安だった、父が捜索の手をまわしてこないか、もし捕まってしまったら、
永遠にこの愛する人と引き離されるだろうことを・・
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律 「よし!これで準備オッケー!ムギ、いっくぞ~!」

大きなバッグを抱え律は家から出てきた

ムギ 「律ちゃん・・どこか行くあてあるの・・?」

律 「まかせとけって、ちゃんと考えてあるから、行こうぜ~」

そう言って駅に向かうふたり
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律 「ここ、親戚の姉ちゃんが借りてたアパートなんだけどさ、先月から海外出張いってて、
事情話したら、しばらく使っていいよって。もちろん電気代とかはアルバイトして返すけどなっ」

ムギ 「ごめんね、律ちゃん・・・」

律 「な~に言ってんだよムギ、これからもずっと一緒って言ったじゃん」

ムギ 「・・・・律ちゃん!抱きしめてもよかですか!!」

律 「あははっムギったら」


伝えたいこと言えなかった言葉

律 「ムギ携帯なってないか?」

ムギ 「うん・・きっと父から・・」

律 「出なくていいのか・・」

ムギ 「うん・・そうね・・直接は話したくないからメールしておく」

律 「うん、そうだな、わたしシャワー浴びてくる」

ムギ 「うん♪」

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お父様、心配かけてすみませんでした
紬は大丈夫ですから心配なさらないでください
紬は琴吹家の人間として生きることに疲れてしまいました
どうか、わがままな紬を許してください
許されるのであれば、明日からも学校に通わせてほしいのです

お父様、お忙しい時間を私のために使ってくれて感謝してます
どうか、お体に気をつけて
大好きなお父様へ   紬より
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取り戻した日常

律 「ホントに行くのか?」

ムギ 「ええ、ずっと逃げてもいけないし、みんなにも心配かけたくないから」

律 「ムギがそう言うならわかった、でもムギ!絶対にずっと一緒だからなっ」

ムギ 「うん♪律ちゃん大好き♪」

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唯 「あ~!ムギちゃーん!」

澪 「ムギ!もう大丈夫なのか?」

ムギ 「ごめんね、みんなー♪もう大丈夫っ」

澪 「なんで律が一緒なんだ?」

律 「ないしょ♪なっムギ!」

ムギ 「うふふ♪律ちゃんたら~♪」

唯 「むむっ!あやしい・・・」

律 「まあ、いいじゃん♪」

さわ子先生 「琴吹さん、ホームルーム終わったら職員室まで来てください」

律(やっぱり来たのか・・・どうする・・・)

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さわ子先生 「さっきお父様が来られて、これをって」

1枚の封筒、中には手紙と鍵があった

ガラッ!

律 「ムギ!!」

さわ子先生 「田井中さん?!」

律 「・・・・・あれ?」

さわ子先生 「ここは職員室ですよっ!静かになさい!」

ムギ 「律ちゃん♪大丈夫よ」

律 「すっ!すみませんでしたー!ムギ、あとで」

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澪 「ほんっと律はバカだよなー職員室乗りこむなんてさ」

唯 「クラスのみんなもびっくりしてたよ、授業中に飛び出しちゃって」

律 「すまんっ!ムギが連れてかれると思って・・・」

あずさ 「でも律先輩すごいですね!友達思いって言うか」

唯 「愛っ!愛だよ!あずにゃん!!」

あずさ 「唯せんぱいは極端すぎます・・・」

唯 「え~!あずにゃん冷たい・・・」

ムギ 「律ちゃん!ありがと、私うれしかったよ」

律 「いやぁ~まあ、ムギが無事でよかったってことで」


幸せがある部屋

律 「で、ムギー、結局なんだったの?」

ムギ 「父からの手紙だったの、許してくれるって♪」

律 「マジ?!やったじゃん!」

ムギ 「うん♪ひとつだけ条件があって・・」

律 「なに?」

ムギ 「住む場所はここを使いなさいって」

律 「まあ私たちじゃ、まだアパートも借りれないしな・・しょうがないっか」

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律 「ムギ・・・ここか?」

ムギ 「ええ、住所だと・・・うん♪あってる」

律 「こんなすごいとこ住んでいいの?!」

ムギ 「ここで律ちゃんと生活できるのね!う~!もえてきたぁ~♪」

律 「おいおい・・燃えつきそうじゃん・・」

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律 「じゃあ、わたしご飯作るからムギ待ってて」

ムギ 「え~わたしも律ちゃんと作りたい~!律ちゃん、お料理教えて♪」

律 「はっはー!じゃあ教えてあげようかねっ!」

ムギ 「はいっ!律ちゃん先生!」

律 「あははは」

ムギ 「うふふ♪」


言いたくない話かなしい話

律 「そう言えばムギって中学のときからキーボードしてんだよな?」

ムギ 「そのころは私ピアノだったの♪」

律 「そっかぁ、ムギかなりピアノ上手いよな、良かったのか?けいおん部で」

ムギ 「うふふ♪律ちゃんが誘ってくれたんじゃない♪でもね律ちゃん、今だから言うけど、
あのときね、この人と一緒に音楽がしてみたい♪って、もう一目ぼれしてたの~♪」

律 「よせやい、照れるじゃん」

ムギ 「照れた律ちゃんもカワイイ♪」

律 「ったくぅ、ムギってさ中学の時の事ほとんど話さないよな」

ムギ 「うん・・・」

律 「あっ!いいんだぞ~!私はムギが好きなんだからっ、昔がどうとかって・・
ゴメンなムギ・・言いたくないこともあるよな」

ムギ 「ううん、律ちゃんになら言えるよ、いいえ、聞いてほしいの」

律 「うん・・ホントのこと言うとムギのこと、もっと知りたいんだ」

ムギ 「やっぱりダメですぅ♪恥ずかしいもん♪」

律 「あっ、こ~いつぅ~!ずるいぞぉ~」

ムギ 「うふふ♪でもね、律ちゃん、いつか話せるようになれたら・・
そのときは笑って話すね」

律も、これ以上は聞けなかった。震える少女の声で痛いほど伝わったから

この子を心から明るくしてあげたい
この子がもう道に迷わないよう太陽のように、
月明かりのように照らしてあげたい
不安や危険から守りたい
そう言って抱きしめてあげたい

でも、律は言わなかった
ムギはきっとわかってくれてる
そう、信じている
いまはただ、この震える少女を抱きしめるだけ・・
少しでも傷が癒えるようにと


加速する日々

唯 「律ちゃん、文化祭のライブなんだけどラストはやっぱり、ふわふわかなぁ?」

律 「い~や唯、今回が最後の学園ライブなんだしU&Ⅰでみんなに泣いてもらおうぜっ」

澪 「そんな簡単にいくか!・・・でも最後にバラードっていいかも・・」

あずさ 「わたしはいいと思います!唯せんぱい泣かないでくださいよ」

唯 「みんな聞いて、今回のバラードはさ、みんなで歌いたいんだ」

律 「わっ!わたしはドラムがあるからっ」

唯 「ううん、律ちゃんもあずにゃんもムギちゃんも、もちろん澪ちゃんも、みーんなで歌おう」

ムギ 「唯ちゃん!わたしガンバる♪」

澪 「そうと決まったらパート決めないとな」

唯 「トップはあずにゃんで~、サビはムギちゃんにハモってもらおう」

あずさ (唯せんぱいがやる気だしてる、わたしも頑張らなきゃ!)

澪 「律、ちゃんと歌も練習しろよ!」

律 「失敗したら恥ずかしいじゃん・・」

ムギ 「律ちゃん、がんばろ!私も一緒に練習するから!」

唯 「ねえねえ!みんなにも歌詞配ってさ、いっしょに歌ってもらおうよ♪」

あずさ 「でも、初めて聴く曲って難しいんじゃ・・」

ムギ 「じゃあ放送部の子に頼んで、一度お昼に放送してもらえばいいのよ♪」

唯 「ムギちゃん、頭いい!!」

澪 「放送部に知り合いなんかいないし・・・」

ムギ 「澪ちゃん大丈夫!澪ちゃんのFCの子が部長さんなの」

律 「そー言うわけで、澪よろしく~!」

澪 「ちょlちょっと律ぅ~!」

律 「そんじゃ宣伝は、唯あずで行くか」

あずさ 「律せんぱい私もですか~!?」

唯 「がんばろう!あずにゃん!」

ムギ 「梓ちゃん!がんばって♪」

律 「ムギは私と、みんなに配る歌詞カードつくろうぜ」

ムギ 「うん♪楽しみね~♪」


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最終更新:2012年02月02日 02:13