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憂「純ちゃんおはよ」
純「おはよー。って、猫つれてきたの?買い物行くのに?」
梓「にゃー」
純「にゃーじゃなくて」
憂「ご、ごめんね…でも」
純「…いいよ。ペット連れて入れる喫茶店知ってるし、買い物するのもまあなんとかなるでしょ」
憂「…」
純「良いって。行こ」ギュ
憂「!」
憂「えへへ」ギュ
梓「…にゃー」
憂「…純ちゃん」
純「なに?」
憂「変な夢を見たの。妄想だよ」
純「…え?」
憂「梓ちゃんとどこかで会ったことあるって」
純「ああ」
憂「私、梓ちゃんの夢を見たの」
純「うん」
憂「それでね、人間の梓ちゃんに会ったんだ」
憂「私たち三人一緒で、仲良くしてたよ」
憂「…すごく可愛くて、」
純「恋をしちゃいました!とか?」
憂「ち、違うよう!そんなんじゃないけど…」
純「顔真っ赤だよ」
憂「うー」
純「あはは、憂面白い」
憂「もう!…それでね、恥ずかしいでしょ?全部私の妄想…梓ちゃんは猫なのに」
憂「でも諦めきれないのかな、いろいろ考えて、変なんだ…」
純「…」
憂「猫の梓ちゃんに聞いて確かめたいけど、それはできないから…」
純「…まあ、そんなに変に考えなくてもいいんじゃない?」
憂「でも」
純「憂の夢の話じゃん。だから、憂がそう思えばそうなんだって」
憂「どういうこと?」
純「えーっと、憂の夢の中の人間の梓は、憂がいるって信じれば夢の中にいたことになるってこと」
憂「…」
純「それに、猫の梓はいまも実際にここにいるし、憂に懐いてるみたいだし、
とりあえずはそれでいいと思うけどな…」
憂「…純ちゃん」
純「な、なんか恥ずかしいこと言っちゃったけど」
純「とにかく、人間の梓と猫の梓は違うから、それぞれどっちも信じてあげなよ」
憂「…そっか」ジー
梓「…?」
憂「ごめんね、梓ちゃん」
ゆうがた!
純「私、ここからバスで帰る」
憂「うん。付き合ってくれてありがとう」
純「ケーキの材料は、それでいい?」
憂「ばっちり」
純「ちょっと早いけど、誕生日おめでと」
憂「えへへ…ありがと」
純「じゃあね」
憂「ばいばい」
梓「にゃー」
憂「梓ちゃん、今日はありがとね」
梓「…」
憂「いっぱい歩いたね」
梓「…」
憂「楽器屋さんの前で立ち止まってたけど、梓ちゃんも楽器やりたいの?」
梓「…にゃー」
憂「あの赤いギターほしい?」
梓「…」
憂「お姉ちゃんにギター弾いてもらお」
梓「にゃー」
憂「あ、でもお姉ちゃん疲れてるかな。うーん」
梓「…」
憂「…さみしいね。えへへ」
梓「…」
タタタ
「ういー!」
憂「…あ、お姉ちゃん!」
唯「一緒に帰ろ!」
憂「うん!練習おつかれさま」
唯「ありがと。…荷物、重そうだね」
憂「え?大丈夫だよ」
唯「半分持つよ」
憂「あ、お姉ちゃんだってギー太持ってるし、大変だよ…!」
唯「いいのいいの。ね、あずにゃん」
梓「にゃー」
唯「よっこらせ」
憂「お姉ちゃん…」
唯「これくらい大丈夫だって」
憂「でも、疲れてるでしょ?」
唯「いいよ。明日休みだもん!」
憂「明日…」
唯「明日は憂の誕生日だね」
憂「うん。ケーキ焼くね」
唯「わーい!憂のケーキ!」
憂「えへへ」
唯「和ちゃんも来るって」
憂「ほんと?やったぁ。賑やかだね、梓ちゃん」
梓「…」
唯「…ねえ、ういー」
憂「なぁに?」
唯「あずにゃんのこと、気になる?」
憂「え?」
唯「気になる?」
憂「…えと」
梓「…にゃー」
憂「う、うん…」
唯「そんな憂に、ちょっと早いけどプレゼントあげる」
憂「プレゼント?」
唯「うん。はい」ピラッ
憂「写真?」
唯「そだよぉ」
憂「…あ……!」
唯「憂が言う人間のあずにゃんって、この子でしょ?」
憂「でも、なんで…ギター、えっ」
唯「あずにゃんはね、憂のこと大好きだって言ってたよ」
憂「…」
唯「ね、あずにゃん」
梓「にゃー」
憂「…でも、どうして、」
唯「んーと、それぞれ、信じられてる分だけいろんな私たちがいるし、
だからいろんなあずにゃんもいるってことらしいんだけど」
憂「…」
唯「その写真のところでは、あずにゃんは私たちのたった一人の後輩で」
唯「憂と純ちゃんの親友」
憂「そ、なんだ…」
唯「あずにゃんは、自分が猫だって聞いてびっくりしてた」
憂「うん…」
唯「でも、憂に可愛がられてること教えたら、喜んでたよ。とても、すごく」
梓「…」
憂「…えへへ」
唯「あずにゃんのこと可愛がってあげてね、だって」
憂「うん…うん」
唯「だからね、憂がそう思えば全部正解。憂の中では」
憂「…」
唯「もちろん憂が本当のことだって話してくれれば、私の中でも正解になるんだよ」
憂「…」
憂「…お姉ちゃん」
唯「んー?」
憂「梓ちゃんのこと連れてきてくれてありがとう」
唯「…」
唯「どういたしまして」エヘヘ
…
………
『憂』
『梓だよ。憂』
『信じてくれてありがとう』
『もうすぐ目が覚めるよ』
『誕生日おめでとう』
『信じて、ここに私はいたよ』"
………
…
パチ
憂「朝…」
憂「…」
憂「…夢」
憂「…えへへ」
唯「やったぁ、フレンチトースト!」
憂「うん。めしあがれ」
唯「おいしいよ!とってもおいしい」
憂「ありがと」
憂「お姉ちゃん。梓ちゃんは?」
唯「あずにゃん?もうすぐ来ると思うよ」
憂「…ああ、お姉ちゃんの部屋で寝たんだ」
唯「?」
憂「あのね、今日も、梓ちゃんの夢を見たんだよ」
唯「あずにゃんの夢?」
憂「ほんとだよ。梓ちゃんとハンバーガー食べる夢。本当に見たの」
唯「…」
憂「ねえ、お姉ちゃんに話したよ」
唯「うん」
憂「…お姉ちゃんの中でも、夢の中の梓ちゃんは本当になった?」
唯「うん、えっと、あずにゃんとハンバーガー食べられてよかったね」
憂「えへへ」
ピンポーン
唯「あ、来た」
憂「和ちゃんかな?」
唯「ううん、あずにゃんだよ」
憂「へっ?」
ガチャ
梓「誕生日おめでとう、憂」
おしまい!
最終更新:2012年02月22日 23:42