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梓「ふぃー」

唯「ふふ、あずにゃん私と同じこと言ってる」

梓「お風呂入ったら、みんな言うと思いますよ」

しばらく、沈黙して

唯「あずにゃん、なんで一緒に入ってくれる気になったの?」

聞いてみます

何気に手の置き所が無くて、あずにゃんのお腹の上らへんを行ったり来たりしてます

会話でもしてないと、ちょっと所在ない

梓「まあ、何度もお願いされましたし。それに、明日のお昼には帰っちゃいますから」

あずにゃんが私の両手を掴んで、お腹の上に置きました

そのまま、握ってくれます

梓「だから、今夜くらいはいいかなって。二人っきりでお風呂入るのは初めてですし」

唯「夏の合宿の時は一緒にお風呂入ったけど、みんなと一緒だったからね」

あの時は本当に、女の子で良かったって思ったっけ

警戒されることもなく一緒にお風呂入れて、あずにゃんの裸見られるんだから

もちろんあの白くて細い、彫刻のような身体は網膜に焼き付けてます

ちなみにこの瞬間も、絶対に忘れないように保存中

唯「あの時はあまりお話出来なかったね。……あずにゃんが澪ちゃんばっかりに話しかけてるから」

梓「そ、それは唯先輩だって同じじゃないですか!律先輩とばかり遊んでて」

あずにゃんがぐいーっと背中で押してきます

唯「そんなに遊んでたっけ?」

梓「遊んでましたよ。それに予想ですけど、たぶんその時澪先輩は律先輩とお話したかったと思いますよ」

私と話してる最中も頻繁に律先輩の方見てたし、とあずにゃんは言います

唯「あー、それは悪いことしちゃったね。もしかしてその時にはもう付き合ってたのかな?」

梓「それはわかりませんけど。……そう言えば、夕方スーパーで買い物してましたね」

唯「してたねー。なんかずっとイチャイチャしてて、声かけられなかったよ」

梓「あんな場面で声かけるのを、野暮って言うんでしょうね」

言われるまではわからなかったけど、今日改めて二人を観察してみると確かに、二人は愛し合っていました

雰囲気というか何というか

通じ合う何かが、二人の間には存在しました

羨ましい、と思います。私があずにゃんとなりたい関係の完成形でした

唯「羨ましいな」

無意識に声に出してしまいました。やっちゃった、と思いましたが、

梓「そうですね」

あずにゃんが呟くように言いました

唯「……あずにゃんも、やっぱああいう風になりたい?その、好きな人と」

梓「当たり前じゃないですか。好きなんですから」

少し笑いながら、あずにゃんが言います

梓「唯先輩だってああいう風になりたいんじゃないですか?」

唯「うん。もちろん」

私はあずにゃんとそういう風になりたいんだけどね

あずにゃんには好きな人が居るけど

梓「……お話もいいですけど、先に髪とか体とか洗っちゃいましょうか」

唯「うん。あずにゃん、お先どうぞ」

じゃあお先に失礼しますね、と言ってあずにゃんが立ち上がりました

あずにゃんの可愛いお尻も、その表面に流れる水滴の一つ一つも間近で確認できます

唯「色、白いね」

梓「新陳代謝が良いみたいですから。でも、すぐに日焼けしちゃうんですよね」

唯「可愛いよ。日焼けしても」

梓「またそんなことを平気な顔で……」

照れたようにそっぽを向いて、あずにゃんはシャワーを浴び始めました

髪を纏め上げていたタオルを外すと、ふわっと長くて黒い髪があずにゃんの白い背中に広がります

その髪にもう一度触れたくて

唯「私、洗ってあげようか?」

梓「え?」

あずにゃんが振り向きます

唯「一緒に入ってるんだし、洗いっこしようよ。夏の合宿の時は出来なかったし」

埋め合わせだよ埋め合わせ、とあずにゃんに必死で言ってみます

梓「じゃ、じゃあお願いしてもいいですか?」

何やらもじもじしていたあずにゃんですが、やがて小さく呟くように言いました

唯「へへ、もちろんだよ」

私もさっそく、湯船から立ち上がります

胸とか下とか隠そうと腕が動きましたが、少し考えてやめました

別にあずにゃんになら見られてもいいし、むしろ見て欲しい

唯「じゃあまず、髪濡らすね」

シャワーの温度が熱すぎないか確認して、髪を濡らしていきます

唯「熱くない?あずにゃん」

梓「はい。丁度いいです」

地肌から髪の先まで丹念に濡らして、それからシャンプーです

毛先までちゃんと手を入れて、泡立てます

唯「痛くない?」

梓「いえ……気持ち、いいですよぉ……」

甘えるような声音でそう言われて、心臓が高鳴ります

どうやら気持ちよく出来ているようです

なんだか嬉しくて、尚更丁寧にやってしまいます

唯「お客様、かゆいところはございませんかー?」

梓「無いですよぉ……」

冗談もスルーされてしまいました

……思えば髪を洗わせてくれるのって結構親しい間柄でしか出来ないよね

そういう点では、あずにゃんは私に少しは心を許してくれてるのかな

唯「流すよー。目に入らないようにしてね」

シャワーで泡を洗い流して、次はトリートメント

髪が長いから、やりがいがあります

唯「あずにゃん、髪長くて大変じゃない?お手入れとかさ」

梓「そうですねー」

気持ちよさそうに目を閉じながら、あずにゃんが言います

梓「結構昔から伸ばしてはいるんですけど、確かに大変ですね。切っちゃおうかなって思って」

唯「絶対だめ」

梓「え?」

唯「もったいないよこんなに綺麗なのに。絶対だめだからね、切っちゃ」

梓「そんな真剣な顔で言われても」

困った風に笑うあずにゃん

でもどこか嬉しそうなのは気のせいでしょうか

梓「……唯先輩、髪の長い子の方が好みなんですか?」

唯「うん」

だってあずにゃん、髪長いもん

まあ、あずにゃんがショートにしても惚れ直す自信はありますけどね

でもやっぱ、あずにゃんの長い髪が好きです

梓「そうですか」

だったら、とあずにゃんが言います

梓「だったら、髪はこのままでいいです」

唯「へへ。……あずにゃんの好きな人も、長い髪が好きな人なの?」

梓「好きって言ってくれましたよ」

唯「そっか。……良かったね」

毛先まで丁寧にトリートメントして、手櫛ですいて、トリートメントを残さないように時間をかけて洗い流します

唯「はい、終わり!」

梓「ふぁ……ありがとうございます、唯先輩。……気持ちよかったです」

唯「えへへ。人の髪を洗ったのなんて、憂が小学生くらいの時以来だからね。上手くできたようで良かったよ」

さて、と

唯「じゃあ次は体を洗おうか!」

梓「か、体はまだダメです!自分で洗えますから!」

唯「ちぇー、あずにゃんのいけずー」

予想してましたけどね

髪まで洗わせてくれて、まさか体まで洗わせろなんて贅沢が過ぎるというものです

……ん?今『まだ』って言った?

湯船に戻って、あずにゃんが身体を洗うのを観察します

へー、あずにゃんは最初に左腕から洗うんだ

それから右腕、お腹、お股、右太もも……

梓「ゆ、唯先輩。そんなまじまじと見ないでもらえます?」

唯「え?あ、ごめんごめん、ついね」

梓「結構恥ずかしいんですからね、こんなとこ見られるの……」

まああれだけ凝視してればバレるよね

いそいそと身体を洗い終わったあずにゃんは、シャワーを浴びて泡を洗い流します

なんていうかやっぱ、あずにゃんっておっぱい大きくなってるよね

昨日揉んだ時もそう思ったけどさ

梓「お待たせしました。次どうぞ」

唯「うん、交代ね。あずにゃんも入りなよ、湯船……に?」

あずにゃんと変わろうと私が湯船を出ましたが、あずにゃんは湯船に入る様子はなく、ただ私を待っています

唯「どうしたの?」

梓「え?私も唯先輩の髪洗おうかなって」

至極当然のように言いました

唯「え。……いいの?」

梓「洗いっこって言ったの唯先輩じゃないですか。ダメですか?」

唯「いえ、お願いします」

なんということでしょう。あずにゃんが私の髪も洗ってくれるって!

正直、あずにゃんの髪を洗いたい一心だったので自分の髪まで洗ってくれるなんて忘れてました

昨日から、夢のような出来事が続いていて少し怖いくらいです

落として上げるなんてことはないよね?

大丈夫だよね?

私を座らせると、あずにゃんはシャワーで私の髪を濡らし始めました

梓「熱くないですか?」

唯「大丈夫だよー」

小さな手が私の髪を撫でて、それからシャンプーでわしゃわしゃされました

地肌が優しくこすられて、新感覚の気持ち良さです

梓「これくらいの強さでいいですか?」

唯「うん……上手だねー、あずにゃん」

梓「そうですか?初めてなので、唯先輩の見よう見まねですけどね」

照れくさそうに言って、丁寧に洗ってくれます

そっか、初めてなんだ

意図せず、あずにゃんの初めてを貰っちゃいました

なんか嬉しいです

あずにゃんの好きな人の先を取ることに成功しましたよ

梓「流しますよー」

唯「うん」

次はトリートメントで、あずにゃんはゆっくり丁寧に髪の一束一束まで洗ってくれます

唯「……髪を洗ってもらうって気持ちいいね、あずにゃん」

梓「そうですね。唯先輩がしてくれたのも気持ち良かったですし」

唯「……あずにゃんに髪を洗って貰えるの、これが最初で最後かも知れないね」

梓「え?なんでですか?」

唯「あずにゃんが好きな子と付き合ったら、もう家にはお泊まりに来てくれないでしょ?」

髪をトリートメントする手が止まりました

そして、後ろからため息をつくのが聞こえて

梓「本当に唯先輩はしょうがないですよね」

唯「あずにゃん痛い!髪が!キューティクルが!」

乱暴にわしゃわしゃされました

唯「乙女の髪なんだから、もうちょっと優しくしてくれても……」

梓「唯先輩が変なこと言うからでしょ」

再び、丁寧に髪をトリートメントしてくれるあずにゃん

梓「第一、まだ私が『その人』と付き合えるかどうかは決まってないじゃないですか」

唯「その点は大丈夫だよ。あずにゃん可愛いもん」

梓「それ、わかってて言ってるんですか?」

唯「何が?」

梓「わかってないですよねー」

知ってましたけど、とため息をつくあずにゃん

唯「ねー、何がわかってないの?」

梓「もういいですよ。それより、髪流しますよ」

シャワーをかけられました

私がやった時のように丁寧に、髪のヌルヌルを落としてくれます

梓「はい、じゃあ体は自分で洗ってくださいね」

唯「えー?洗ってよー」

梓「は、恥ずかしいじゃないですか!いいからさっさと洗っちゃってください!」

そう言って湯船に戻っていくあずにゃん

まあ仕方ないかー

体を洗っていると、湯船の中からあずにゃんがチラチラ見てきます

唯「あずにゃん、どったの?」

梓「い、いえ、別に!」

まあ見ちゃうよねー。私も見てたし

唯「好きなだけ見なよー」

梓「そ、そんなんじゃないですってば!」

あずにゃんにちら見されながら体を洗い終えて、湯船に戻ります

唯「あずにゃん、ちょっと寄ってくれる?」

梓「あ、はい」

湯船に浸かって、最初のような姿勢を取ります

唯「いいよ、あずにゃん。おいでー」

梓「は、はい」

おずおずと、あずにゃんが私の足の間に座ります

梓「よく考えると、この姿勢って結構恥ずかしいですよね……」

唯「んー?でもこれしか無いよ、二人が足伸ばせる姿勢って」

あずにゃんとも密着出来るしね

唯「あずにゃん、もっと寄りかかっていいよ?」

梓「え?あ、じゃあ、お言葉に甘えて」

あずにゃんが背中を預けてくれて、私は改めて両手をあずにゃんのお腹に回します

へへ、おっぱいがあずにゃんの背中に当たってる

私の両手を、あずにゃんが握ってお腹の上に置きます

唯「あずにゃんのお腹柔らかいねー」

梓「ゆ、唯先輩は胸が大きくなりましたよね」

唯「そっかな?」

梓「背中に、その……当たってるんですけど」

唯「いいよー別に。うりうり」

梓「ちょ!押しつないでください!……い、嫌みですか」

唯「違うよ。あずにゃんも大きくなってるじゃん」

梓「え?まあ、最近少し。……よくわかりましたね?」

唯「……いや、私見ただけで女の子の胸のサイズわかるから」

梓「本当ですか……?」

唯「本当だよ。現にほら、当たってたじゃん」

危なかった

揉んで確かめたとかバレたら嫌われちゃいます

何とか誤魔化せたようで良かった

ふーん、とあずにゃんが意味ありげな瞳で私を見ます

梓「ま、いいですけど」

そのまま、二人で何を話すでもなくお湯に浸かっていました

ただ、私の胸に押しつけられるあずにゃんの背中と、時折あずにゃんが開いたり閉じたりして遊んでる私の両手と

なんだか色んなところであずにゃんと距離が近いってことがわかって安らぎます

この瞬間だけは、あずにゃんはどこにも行かないし

私だけの側に居てくれますから

唯「あずにゃん、ちょっと気になってることがあってさ」

安らぐけれど、それに甘えてるばかりにもいかなくて

こんな雰囲気だからこそ、あずにゃんが近くに感じる時だからこそ

聞かなくちゃいけないことだってあるわけで

梓「なんですかー?」

どこか間延びした、リラックスしてるあずにゃんの声

普段のあずにゃんからはちょっと想像出来なくて、可愛いです

唯「あずにゃんの好きな人のことで、聞きたいんだけど」

梓「もう……ヒントはあれ以上出しませんよ?」

唯「特定しようとしてるんじゃないよ」

梓「いいですよ」

なんですかー、とあずにゃんが静かに寄りかかります

そんなあずにゃんをもっと深く抱きしめて、うなじに顔を寄せて

唯「好きな人とさ、その……どこまで進んでるのかなって思って」

梓「どこまで、ですか」

考え込む仕草のあずにゃん

お腹に回した私の手を弄びながら、口を開きます

梓「膝枕とか、したことあります」


梓「一緒に寝たこともありますよ」

唯「ちょ、それってまさか!?」

梓「や、そういう意味じゃなくて!」

ガバッとあずにゃんが振り返って、私を見ます

梓「その……そういうことはしてなくて、ただ一緒のお布団でってことです」

唯「あ、ああ。そっか」

良かった

いや良くないか。少なくとも、お泊まりまでするくらいには二人の仲は進展しちゃってるんだから

唯「それは……お泊まりしたってことだよね」

梓「そうですね」

唯「い、一緒にお泊まりってことは、その……『そういうこと』はまだ欠片も無いんだよね?」

梓「そこまで聞きますか……」

唯「こ、今後の参考というか、なんというかね?」

梓「……まあ、そういう雰囲気になったことはありますね」

唯「……」


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最終更新:2012年02月27日 21:37