『ドリームウォーズ』
梓「はあ、はあ・・・」タッタッタ
姫子「なかなか逃げ足の早い子ね」スタスタスタ
梓「だ、誰か・・・っ!助けて・・・」タッタッタ
姫子「無駄だよ。もうどこにも逃げられない!!」バッ!
梓「きゃあああああああ!」
=========
数時間前 2年生 教室
純「ねえねえ、2人とも将来の夢ってある?」
憂「夢?」
梓「どうしたの?いきなり?」
純「いやー、なんか昨日眠れなくてさ・・・いろいろ考えてたんだ」
憂「あーわかる!眠れないときってすごく難しいこと考えたりするよね」
純「そうそう、それで私って具体的な将来な夢を持ってないなーって思って」
梓「ふーん」
純「で、2人は将来の夢あるの?」
憂「私は・・・あるといえばあるかな。でもちょっと恥ずかしくて言えない//」
純「なんとなく想像つくわ」
憂「あ、梓ちゃんは?」
梓「私は・・・」
=========
純「はあ」トボトボ
純「二人ともちゃんと夢があるんだなあ。私なんて、せいぜい『カッコよくなりたい』とか漠然な夢しかないし」
純「いいなあ」
姫子「夢が・・・欲しいのかい?」
純「!?えっと、誰?」
姫子「私は、そうね・・・『夢商人』とでも呼んでもらいましょうか」
純「はあ??」
姫子「あなたは『夢』が無くてお困りですね。私が『夢』を売ってあげましょうか?」
純「本当ですか!?」
姫子「ええ、どのような夢をご希望で?」
純「えっと、なんというか向上心のある、目標に向かって努力できる感じの・・・」
姫子「かしこまりました。料金は後払いで結構です。明日の同じ時間、この場所に来てください。では」サッ
純「何者なんだろう・・・」
=========
澪「今日は久々に練習できたな」
梓「はい!あ、すいませんちょっと教室に忘れ物しちゃったんで、みなさん先に帰っててください」
廊下
梓「ふう、遅くなっちゃったな」
姫子「すいません、ちょっと」
梓「え、はい?」
姫子「あなたの『夢』・・・もらうわ!」バッ
梓「ええええええ!?」
=========
現在
梓「う、うう」
姫子「おとなしくしなさい。痛くないから、ね」ガシッ
ギュウウウウイイイイイイン!!
梓「あああぁあああぁあ!」
姫子「ふふふ、これであなたの夢は私の物・・・」
=========
次の日
姫子「では、夢をあたなに移します」
ギュアアアアアアン!
純「あぁん!はあぁ!」
姫子「これでこの夢はあなたの物」
純「はぁ、はぁ、すごい・・・これが向上心のある夢!全身からやる気が溢れてくるよう」
姫子「またのご利用をお持ちしてます」ニコッ
=========
次の日
姫子「では、夢をあたなに移します」
ギュアアアアアアン!
純「あぁん!はあぁ!」
姫子「これでこの夢はあなたの物」
純「はぁ、はぁ、すごい・・・これが向上心のある夢!全身からやる気が溢れてくるよう」
姫子「またのご利用をお持ちしてます」ニコッ
=========
軽音部 部室
梓「・・・」ポケー
唯「なんか今日のあずにゃん、ずっとボーっとしてるね」
律「梓ー!いつものやる気はどうしたー!」
梓「・・・なんか、やる気が起きません」ポケー
澪「そういえばムギは?」
律「委員会で遅れるってさ」
トントン ガチャ
和「ちょっと?例によってまた軽音部の書類が出てないんだけど」
律「ああ!ごめん!」
梓「・・・」ポケー
和「あら、梓ちゃん何かあったの?」
唯「今日ずっとこんな感じなんだよー」
澪「昨日までは普通だったのにな」
和「!」ハッ
和「ちょっと梓ちゃん借りていくわ!」ガシッ グイッ
梓「?」
スタスタ バタン
唯「和ちゃん!?」
=========
和「梓ちゃん、あなたの夢を言ってみて」
梓「夢・・・えーっと、思い出せないです」
和「やっぱり、『夢商人』・・・別名ドリームハンターに夢を奪われたみたいね」
梓「はい?」
和「最近、生徒たちが夢を奪われて無気力になる事件が多発しているの。夢はやる気の原動力だから」
和「昨日、何かおかしなことは無かった?」
梓「昨日・・・そういえば、人に話しかけられて・・・それからの記憶が無いです!」
和「その人、誰だかわかる?」
梓「確か、唯先輩の隣に座ってた人・・・ですかね。ルーズソックスの」
和「姫子・・・やっかいな子に捕まったわね。でも大丈夫。私が梓ちゃんの夢を取り返すから」
梓「和先輩はいったい何者なんですか?」
和「私は、彼女と同じ・・・人の夢を奪ったり与えたりすることができる能力の持ち主よ」
梓「・・・!」
和「でも安心して。私は彼女みたいに人の夢を奪ったりはしない。あなたのような被害者のために夢を取り返すことが仕事よ。
ドリームハンターたちから生徒を守る。ドリームガーディアン、ってところかしら」
梓「よ、よくわからないけど頼もしいです」
和「さて、あなたの夢が売り飛ばされないうちに姫子を追い詰めましょう。梓ちゃんにも協力してもらうわ」
=========
憂「じゃあ、また明日ね」
純「ねえ!せっかくだしどっかで遊ばない?」
憂「え、でも夕飯の準備しないといけないし」
純「いいじゃんいいじゃん、遊ぼうよ!ね!遊ぼう!」
憂「今日の純ちゃんはやけに元気だね」
=========
3年 教室
ガララッ
姫子「あら、和じゃない。どうしたの?」
和「あなた、『力』を悪用したわね」
姫子「・・・もう気づかれちゃったか」
和「闇取引とは落ちぶれたものね。姫子」
姫子「仕方なかったんだよ・・・」
和「夢を奪うだけならまだしも、それを他人に渡したらどれだけ危険かわかってるでしょう?」
姫子「・・・」
和「話しても無駄みたいね。来なさい、教室じゃ戦うには狭すぎるわ」
姫子「いいけど・・・私に勝てるとでも思っているの?夢商人を引退したあなたが」
和「わかってるわ・・・夢商人は、持っている夢の数だけ強くなる。私は他人の夢を持っていない・・・でも!」
和「力を悪用したあなたを放っておくわけにはいかない!」
=========
梓「」ソーッ
梓「和先輩、うまくおびき出してくれたみたい」
梓「あとは言われた通り、姫子って人のカバンを漁って」ゴソゴソ
梓「これはiPad?きっとこれが和先輩の言ってた・・・」
(和「おそらくあなたの夢はすでに誰かに売られているわ。私が姫子をおびき出すから、あなたは姫子の顧客
リストを見つけて。
絶対に売買記録を残しているはずだから」)
梓「よし、えーっと・・・帳簿のアプリ!これだ!」
梓「最新の記録は・・・ターゲット:
中野梓 売却先:
鈴木純 」
梓「そんな、私の夢を純に売ったの?」
梓「いや、純ならすぐに連絡できるし、かえって良かった・・・!」
カチッカチ プルルルルル カチャ
梓「もしもし、純?」
憂『梓ちゃん!私、憂だよ!』
梓「純にかけたんだけどなんで憂が?」
憂『今、純ちゃんと一緒にいるんだけど。純ちゃん、すごい汗かいて苦しそうにしてるの!」
梓「遅かったか・・・」
憂『え?何?どういうこと?』
梓「説明する時間はないから、とにかく純を学校に連れてきて!そうすれば助かるから!」
憂『わ、わかった!』
=========
体育館
和「『夢』は人格に大きく影響するもの・・・他人の夢を植え付けられれば、人格が不安定になり拒否反応を起こす!」
ドカッ
姫子「うん、私たちのように訓練をつんでいなければそうなるね」
バキッ
和「わかっているのならなぜそんなことを!夢商人は、本来は夢を持て余して困っている人を助けるための仕事!
それなのに、その強力な能力に溺れ、多くの夢商人があなたのようなドリームハンターになってしまった」
ゲシッ
姫子「怖いのよ・・・自分の力を使い続けないと・・・!自分が自分じゃなくなりそうで!」
フォカッ
和「それがあなたがドリームハンターになった理由・・・!でもそれじゃあ、『あの人』の二の舞になるわ!」
姫子「っ!!私を『あの人』と一緒にしないで!私はちゃんと自制心を持ってる!」
ボキィ!
和「ぐあっ!?」
姫子「ふふっ、自分の夢しかもっていないのに、ずいぶん頑張ってくれたね。さすがは元最強の夢商人。
だけど私は自分の夢を含めて5つの夢を持っている」
和「そうなんだ、でも十分よ・・・これだけ足止めできれば」
姫子「!?」
バンッ
梓「和先輩!夢を植え付けられたのは純でした!連れてきたから助けてあげてください!」
純「はあ、はあ」グッタリ
憂「えっと、これはどういう状況?」
最終更新:2012年02月28日 21:29