その日の夜、平沢家。

憂「皆さん、お風呂入りましたよ」

律「おっ、サンキュー憂ちゃん!」

紬「ごめんね唯ちゃん憂ちゃん、突然押しかけたりして」

憂「良いんですよ、皆さんとお食事出来て楽しかったですし」

唯「そうだよ~。
それに、今日皆に泊りに来てって誘ったの私だしっ」

憂「さ、お風呂、どなたかお先にどうぞ」

梓「先輩方、どうせなら何人かで一緒に入りませんか?」

律「おお! そりゃ良いな!」

澪「ちょっと恥ずかしいが……賛成だ」

紬「楽しそうね~♪」

唯「皆でお泊まりの醍醐味だねっ」

憂「でも、家のお風呂の大きさだと……
一緒に入れるのは、二人が限界です」

律「よっしゃ、じゃあ私は梓と入るぜ」チュッ

梓「よっしゃだにゃー」ニャー

澪「じゃあ私は憂ちゃんと」テレレ

憂「えへへ」ニヤァ

唯「なら私はムギちゃんとだねっ」

紬「うんっ」

憂「じゃあお姉ちゃんに紬さん、お先に入って来て下さい」

紬「私達が最初? 良いのかしら」

律「おう」

梓「どうぞです」

唯「わーいっ、皆ありがとう~☆」

紬「皆がそう言うなら、お先に頂くわね。
ありがとう♪」

律(よし、ここまでは完璧だ)

澪(後は唯次第……)

梓(まあ、入る順番はどうでもよかったんだけど……
お風呂で脇ペロ出来たら、こういう事には意外とヘタレな唯先輩でもさすがに辛抱たまらなくなるだろうし、唯先輩が本気で迫ればムギ先輩も拒むとは思えない。
綺麗なお湯はオプションです、先輩)

憂(お姉ちゃん、頑張ってね!)

唯(ありがとう皆!
やるよ、私。私やるよ!)

紬「しゃらんら~♪」ヌギヌギ

唯(しかし、やるなら早くやらないと……
ムギちゃんの脇の下なら、いつのでも絶品なのはもはや大自然の摂理だけど、どうせなら。
どうせなら、お湯で流す前の香しい脇をペロりたい!)フンス!

紬「……あの、唯ちゃん?」

唯「むはっ!?」

紬「あんまり見られてると、恥ずかしいわ……」

唯「あ、ご、ごめんねっ///」ヌギヌギ

紬「ううん///」スッポンポーン。ツンツルテーン

唯「ふわ……」スッポンポーン
(ムギちゃん……超キレイ……ってか生えてないんだ。キレイでかわゆい……
もうマジ、ムギちゃんはおかずだよっ!)

紬「あ、あの唯ちゃん?」

唯「なっ、なあに?」
(あの身体が……あの脇が、もうすぐ私のものにっ)

紬「お先にどうぞ」

唯「ほえ?」

紬「ほら、ここは唯ちゃんのお家だし、私が先に入るのは……」

唯「そんなの気にしないで良いのに~」

紬「ダメよぅ」

唯「そう?
ならばよっし、じゃあ私がムギちゃんを『えすこぉと』しよっかな」

ガララッ。

唯「うしっ」

紬「…………」ゴソゴソゴソ

唯「ではムギちゃんさん」

紬「…………」ムハー!

唯「どうぞお入りなさいっ」

紬「(サササッ)ーーはいっ、失礼しまぁす♪」

唯「ムギちゃん? やけに幸せそうだね?」

紬「う、うんっ。唯ちゃんのお家で、唯ちゃんと一緒にお風呂に入れる事が嬉しくて」

唯「くう~、かわゆい娘だよこの娘はホントにっ!///」

紬「まぁ。
唯ちゃんの方が可愛いわよぅ///」テレテレキラキラ

唯「!」ジュン


憂『こういう状況に持ち込めば、お姉ちゃんの気分も最高に盛り上がるはず。
そこで自分のクンクン気持ちに素直になれば良いんだよ。
それに紬さんだって、そんな環境で求められクンクンたら乗ってくれるよ。
人の家、しかもお風呂という特殊な密室でやる背徳感……興奮するには他と無いシチュエーション。
その上、何よりも相手はお姉クンクンちゃんだし』


唯(うーい、行けるよ。私行ける。
ズンズン高まってきたこの気持ち。もう……
辛抱たバシャァンまらんっ)
「ムギちゃーー」

紬「ふうー、良いお湯♪
唯ちゃん、どうしたのボーッとして。
入らないの?」カポーン

唯「えっ?」

紬「お湯ぬくぬく~。
お湯ブクブク~♪」ブクブク

唯「あれっ?」



深夜、紬が寝静まった後の平沢家リビング。

唯「皆、待たせちまってゴメンよ~」

澪「なに、カップル毎に部屋割りさせて貰ったんだ。仕方ないさ」

律「しかし、またダメだったのか……」

梓「うーむ」

憂「私の作戦が上手くいかないなんて……?
何があったの、お姉ちゃん」

唯「かくかく」

澪「なるほどな。
ムギの脇へレッツゴーしようと決意を固めた時には、もうムギは湯船に浸かっていたと」

唯「しかじか」

律「お湯で流された脇も良いが、やはり洗う前の脇が良かったから、MAXまで行っていたテンションが99%まで下がっちまった。
それで突撃出来なかったと」

梓「本当ヘタレですね。
私だったら20%もあれば我慢出来ませんよ」

唯「だってだって!
ムギちゃん顔も身体も声も心も全部キレイで! 興奮したんだもん!
つるつるで、生えてなくて!
超かわゆ☆ なワレメに、世でどれだけ評価されてるどんな芸術品をも軽々と凌駕する美しさの、あの脇の下のくぼみ・形……
……えへ、えへへへっ///」

梓「思い出し笑いキモいです」

澪「つか、思い出すだけでデレデレになる位興奮したんならやれよ」

憂「かくなる上は、夜這いしかないね」

唯「よ……っ///」

律「夜這い?」

憂「はい。
今、紬さんは寝てますよね。
この隙に上手い具合に紬さんのパジャマを脱がせ、そして……」

澪「そうか……!」

梓「凄いっ、これは間違いなく最高の手だよ、憂!」

憂「もうこれ以上の手は思いつかないし、正直他の案が無いって状況はあまり好きじゃないからお風呂で片をつけたかったんだけど……
まあ仕方ないね」

律「むう、憂ちゃんは作戦を二段構えにしていたって事か」

澪「憂ちゃん、凄いな……」キラキラ

憂「そりゃあ貴女とは出来が違うもの」ミオノアゴノシタ、サワサワ

澪「そ、そんな事言っちゃやだよぅ……」

憂「本当の事でしょ?」サワサワ

澪「んふぅ///」

律「よし、じゃあ善は急げだ。
唯、早速行ってこいっ」

唯「律っちゃん隊員!」

律「どうしたーっ」

唯「夜這いなんてする勇気ありませんっ!」

律「そうかーっ」

梓「テンション百%行かなかったみたいですね」

憂「あ、お姉ちゃん。人が寝てる時って思った以上に汗をかくんだよ。
もう夜も更けたし、今頃紬さんの体……特に脇の下とかは濃厚な汗の匂い&味が……」

唯「夜這いに行ってきやすっ!」

澪「テンションMAXになった」

紬「『夜這い』って、どんな意味だったかしら?」

憂「」

唯「好きなおにゃのこが寝てる所を襲うの!」

紬「好きなおにゃのこって?」

唯「ムギちゃん!
ムギちゃんの脇の下、たっくさんペロるぞーーーっ!
おーーーーーーーーーっ!」

律・澪・梓「おーーーーーーーーーっ!」

紬「///」

憂「(アカン)」

唯「皆ありがと!
ムギちゃんも応援してねっ。じゃあ突撃ムギちゃんんんんんんんんんんんん!?」

律・澪・梓「」

紬「こ、こんばんわ///」

唯「ふっお嬢さん、月が綺麗ですね。
ささ、お部屋に戻りましょうか」

紬「あ、あ……あの、唯ちゃん……
私を夜這い、するの? 私の脇……ペロペロしたいの?///」

律(終わった)

梓(完全にバレた)

澪(ういー……)

憂(ここでごまかせれば、まだ……
落ち着け……考えるんだ……)

唯(ど、どうしよう……?
…………そうだ!)

憂(……まあでも)

澪(うん)

梓(私達の力で、唯先輩の相談の内容自体を解決・叶えられなかったのは悔しいけど)

律(だな)

憂(って、あれ? もしかして紬さん……)

唯(やだなムギちゃん)
「そうだよっ」
(たぶん寝ぼけてたんだよっ)
「私はムギちゃんが大好きで、ムギちゃんの脇の下舐めまくりたいの!」
(ささ、寝直そうよ~)
「なんか文句あるとですかああああぁぁぁぁああぁぁぁあああ!?」

紬「///」

澪(よし)

律「唯、とりあえず心の声と、実際に口にしようと思ってたセリフが逆な」

唯「……はっ?」

梓「またお約束な」

唯「」

紬「あ……の、唯ちゃん?」

唯「」

紬「もっと……

もっと早く言ってくれれば良かったのに」

唯「……えっ?」

紬「私も唯ちゃん大好きだから……
そのっ。
唯ちゃんにだったら、なにされても良いよ?///」

唯「ええぇええええ!?
ほ、ほほ本当にっ!?」

紬「うん……
むしろ私達の気持ちが一緒なら、付き合って欲しいのっ。
付き合って下さいっ!」

唯「ひ……
ひゃっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!
もちろん、もちのろんオッケーですの事ですよっ!」

憂「おめでとうお姉ちゃんっ!」

律「良かったな、唯」

澪「うん。めでたしめでたしだ」

梓「まあ、予想の範疇ですけどね」

唯「えっ?」

憂「ーーああ、やっぱり気付いてなかったんだね、お姉ちゃん」

唯「うーい?」

律「ムギ、ずっと前から唯の事好きだったんだぞ?
もちろん友達としてじゃなく、一人の女の子としてな」

唯「!」

紬「バレてたのね///」

澪「そりゃ、な。
いつも唯を目で追ってたし、たぶん無意識だとは思うんだが……ムギは唯に、私達には向けないレベルの笑顔を見せていたしな」

憂「お姉ちゃんと紬さんは両想いだったんだよ。
だから自分の気持ちをちゃんと伝えられさえすれば、絶対にこうなるはずだったの」

梓「ムギ先輩のあの態度で気付かないのは鈍感な唯先輩位です。
……まぁ、気持ちを向けられてる本人だから、逆に気付きにくかったってのはあるのかもですが」

唯「そ、そそそそうだったのか……っ」

憂「あともちろん……
紬さんの性癖も」

紬「///」

唯「ムギちゃんの……性癖?」

紬「うん、あの……あのねっ……」

律「ムギ、もういっそ全部ぶちまけちまおうぜ」

紬「う、うんっ!
私は唯ちゃんの身体の、色んな場所の匂いを嗅ぐのが大好きなのっ」

唯「ほぇ?」

紬「でも、恥ずかしくてなかなか言い出せなくって……
だから、唯ちゃんと密着出来る機会を無理矢理作ってこっそりクンクンしてたの。
ここ数日の間だと……体育の授業の後とか、休憩時間にトリートメントの話題振って髪の毛の匂い嗅いだり、わざとぶつかったり。
さっきも……
お風呂で唯ちゃんの下着や、唯ちゃんがボーッとしてる間に唯ちゃんの身体のあちこちクンクンしたり///」

唯「なんと」

紬「全部最高の香りがしたわ///」

唯「///」

紬「あ、あのっ……
私の事好きにして良い代わりに、って訳じゃないんだけど……
私も、唯ちゃんをクンクンしたいのっ。もっともっと……!
駄目……かしら?」

唯「良いですとも!
もちろん良いですともーっ!」

紬「!
う……嬉しい……」

唯「むしろゴメンね。ずっと一人で悩ませていたんだね」ギュッ

紬「そんな……私こそ……」

唯「ううん。ムギちゃんのクンクン願望……もだけど、こんなにかわゆくて素敵な娘から想われてて気付かないなんてダメダメだよ。
しかもその相手が、私も大好きな人だったなんて……
でも、これからは大丈夫だから。
私がムギちゃんを守るから。
私がムギちゃんの願いを、何でも叶えてあげるから」ムギュギュッ

紬「あぅ///
すき。唯ちゃん、だいすきぃ……」キスヲネダリ…

唯「私もだよ」チュッ


唯(そしてその後私達は解散して部屋に戻り、私とムギちゃんは結ばれたのでした)


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最終更新:2012年03月20日 20:10