姫子「えっ?」
キミ子「たまたま席が隣ってだけで有利だと思ったら大間違いだよ」
姫子「えっと、何の話?」
キミ子「とぼけたって駄目」
姫子「怒ってる?」
キミ子「怒ってない」
キミ子「宣戦布告だよ」
姫子「宣戦布告ってどういう事?」
キミ子「いつまでとぼけるの」
姫子「だって覚えが無いから」
キミ子「いい加減にして」
姫子「席が隣って何の・・・」
姫子「あ、唯の事?」
キミ子「・・・そう」
姫子「え?唯がどうしたの?」
キミ子「姫子は唯の事どう思ってるの?」
姫子「え?そりゃ良い子だと思ってるけど」
キミ子「そういう事じゃないでしょ、もっとこう」
姫子「可愛いよね、小動物みたいで」
キミ子「好きなの?好きじゃないの?」
姫子「好きだよ」
キミ子「!」
姫子「いや友達としてね」
キミ子「嘘、異性として好きなんでしょ」
姫子「いやいや同姓でしょ」
キミ子「女の子として好きなんでしょ」
姫子「友達として好きなの」
キミ子「もっと言えば性欲を掻き立てられるんでしょ」
姫子「ちょっ、何言ってるのよ!」
キミ子「席が隣だからどうしたって言うの、私は出席番号が隣なんだから」
姫子「もう何が何だか分からないんだけど」
キミ子「とにかく」
キミ子「隣の席って事は何のアドバンテージにもならないからね」
姫子「ちょっと落ちついて話そうよ」
キミ子「これが落ちついていられると思う?」
姫子「いいから落ちついて」
キミ子「今日はそれだけ言いに来たの」
キミ子「それじゃ」スタスタ
姫子「行っちゃった・・・」
姫子「わざわざバイト先のコンビニに来てまで何だったんだろう」
姫子「しかも深夜に・・・」
翌日
姫子「あ、おはようキミ子」
キミ子「・・・」
姫子「昨日のあれは何だったの?ちゃんと説明してよ」
キミ子「よくライバルに気軽に話しかけられるね」
姫子「ライバルって」
キミ子「余裕ぶっちゃって」
姫子「はあ」
姫子(らちがあかない)
姫子「あ、今日お昼一緒に食べようか」
キミ子「!?」
姫子「それでちゃんと話そうよ」
キミ子「わかった、覚悟してね」
姫子(何を覚悟すればいいの?)
唯「姫子ちゃんおはよ~」
姫子「おはよう、唯」
姫子(あ、キミ子がこっち見てる)
キミ子(絶対許さない)
キミ子(たまたま席が隣ってだけで調子に乗っちゃって)
姫子(なんか睨まれてるよ・・・)
昼休み
よしみ「姫子、お昼ご飯食べよ」
姫子「ごめんよしみ、ちょっと約束があって」
よしみ「あ、そうなんだ」
姫子「ごめんね!」
よしみ「ううん、気にしないで」
姫子(さてと)
響子「キミ子、お昼」
キミ子「ごめんちょっと用事が」
響子「そっか」
キミ子「ごめんね」
響子「ううん、行ってらっしゃい」
キミ子「うん」
姫子「初めてだね、一緒にご飯食べるの」
キミ子「そうだね」
姫子「それで昨日のは何だったの?」
キミ子「まだとぼけるんだ」
姫子「とぼけるとかじゃなくて、色々理解できないの」
キミ子「何が理解できないの、よ」
キミ子「遊んでそうな顔してるくせに」
姫子「な!何それ!」
キミ子「黙って男と付き合ってればいいのに」
姫子「なななな」
姫子「黙って聞いてればいい気になって!」
キミ子「何、やる気?」
姫子「やる気って」
姫子「キミ子ってそんなキャラだったんだ」
キミ子「恋は人を変えるんだよ」
姫子「恋」
キミ子「そう、恋」
姫子「そっか、キミ子は唯に恋してるんだ」
キミ子「そうだよ」
姫子「女の子同士なのに?」
キミ子「私だってこんな事初めてだからよく分かんない」
姫子「ふうん」
キミ子「姫子も唯に恋してるんでしょ?」
姫子「ええ!?」
キミ子「はいおとぼけ入りました」
姫子「そこでなんで私なの?」
キミ子「見てれば分かるよ」
キミ子「いっつも隣の席でへらへらして」
姫子「してないよ!」
キミ子「はいはい、そうだね」
姫子(何を言っても信じてもらえない)
キミ子「男だけじゃなく女にも手を出すなんて」
姫子「まず私彼氏とかいないよ?」
キミ子「は?そんな格好して?」
姫子「そんな格好って」
キミ子「どう見たっているでしょ彼氏」
キミ子「頭の悪そうな彼氏が」
姫子「い!な!い!」
キミ子「嘘、絶対いる」
姫子「いないって!」
キミ子「じゃあ百歩譲って今はいないとしても」
姫子「譲らなくてもいないからね」
キミ子「いたことはあるでしょ」
姫子「それもないよ」
キミ子「はい絶対嘘」
キミ子「嘘つき」
姫子「嘘じゃないってば!」
キミ子「100%嘘じゃん」
姫子「ほんとだって!」
キミ子「そんな遊んでそうな格好して、誘ってるんでしょ」
姫子「なんでそんな事言うの」
キミ子「男が良いならわざわざ唯に手出さないでよ」
姫子「酷いよ・・・」
キミ子「・・・」
姫子「・・・」
キミ子「・・・ごめん」
姫子「・・・うん」
キミ子「・・・」
キミ子「じゃあ何?処女なの?」
姫子「なっ」
姫子「・・・そうだけど」
キミ子「そうなんだ」プッ
姫子「何よ」
キミ子「ちょっと見直した」
姫子「あんまり嬉しくないなあ」
姫子「キミ子はどうなのよ」
キミ子「私は純真な乙女だけど」
姫子「へえ」
キミ子「当然でしょ」
姫子「キミ子可愛いのにね」
キミ子「えっ」
キミ子「・・・嫌味?」
姫子「?」
キミ子「姫子の方がどう見ても可愛い」
姫子「えっ」
キミ子「自分より可愛くない子にそんな事言って優越感に浸ってるんだ」
姫子「違うよ、ほんとに可愛いと思ってる」
キミ子「嘘だ嘘だ」
姫子「ほんとだって、ほんとに可愛いよ」
キミ子「自分の方が可愛いと思ってるくせに」
姫子「そんなことない」
姫子「私だって自分の容姿に自信なんかないよ」
キミ子「嘘つき」
姫子「ほんと」
キミ子「・・・そんな事はどうでもいいよ」
姫子「・・・そうだね」
キミ子「唯だよ唯」
姫子「私はほんとに友達としてしか見てないよ」
キミ子「信じられない」
姫子「失礼だけど私だって信じられない」
キミ子「・・・」
姫子「女の子を好きになるなんて」
キミ子「私だって最初は自分の気持ちが信じられなかったよ」
キミ子「でも仕方ないじゃん」
姫子「響子の事とかはどう思ってるの?仲いいよね」
キミ子「響子は友達だよ」
姫子「恋愛感情は無いの?」
キミ子「無い」
姫子「それと同じだよ」
キミ子「・・・」
姫子「私も唯の事は友達として好きってだけ」
キミ子「・・・」
姫子「ほんとにほんとだから」
キミ子「わかった、とりあえず信じてあげる」
姫子「そもそも疑われた事自体が不思議だよ」
キミ子「だっていつも唯にデレデレしてるから」
姫子「してないよ」
キミ子「してる」
姫子「友達として仲良くしてるだけ」
キミ子「・・・まあいいよ、それで」
キミ子「じゃあ唯の事は狙ってないんだね」
姫子「うん」
キミ子「じゃあもし仮に、私と唯が付き合うのに協力してって言ったらどうする?」
姫子「え?」
キミ子「やっぱり自分も狙ってるから出来ない?」
姫子「あ、ああ出来るよ!」
キミ子「それで私と唯が付き合ってもいいの?後悔しない?」
姫子「しないよ」
姫子「女の子同士は不思議な感じだけど、応援するよ」
キミ子「・・・」
キミ子「ほんと?相談役のふりして抜け駆けしたりしない?」
姫子「そんなことしないってば」
キミ子「漫画とかでよくある展開でしょ」
姫子(漫画って)
キミ子「そういう展開が一番傷つくんだよね」
姫子「ほんとにしないってば」
キミ子「ううーん」
キミ子「・・・わかった」
姫子「じゃあこれから頑張って唯の事を口説くんだね」
キミ子「・・・そうだね」
姫子「安心して、ちゃんと協力するから」
キミ子「・・・」
姫子「ほんとに協力するって、頑張って!」
キミ子「・・・ありがと」
姫子「うん」
キミ子「・・・色々言ってごめん」
姫子「・・・うん、いいよ」
キミ子「ありがと」
姫子「二回目」
キミ子「・・・ふん」
姫子「ふふ」
姫子「戻ろっか」
キミ子「うん」
姫子「頑張ろうね」
キミ子「言われなくても頑張る」
姫子「あ、ちょっと元気になった」
キミ子「うるさいなあ」
姫子「とりあえずアドレス交換しようよ」
キミ子「ん」
姫子「赤外線送信!」ピピピ
キミ子「来た」
姫子「よろしくね」
キミ子「こちらこそ」
その夜
キミ子「姫子から電話だ」
キミ子「はい」ピ
姫子『やっほー』
キミ子「・・・」
姫子『・・・んん!』
姫子『とりあえず唯を落とす作戦だけど』
キミ子「うん」
姫子『明日休みだし直接作戦立てよっか』
キミ子「会うの?」
姫子『うん』
キミ子「唯じゃなくて姫子とか・・・」
姫子『何?せっかくキミ子のために』
キミ子「わかった、じゃあ明日ね」
姫子『なんだかなあ』
翌日
姫子「おはよ」
キミ子「うん」
姫子「さて、それじゃご飯でも行こうか」
キミ子「何が悲しくて姫子と出かけなきゃならないんだろう」
姫子「何か言った?」
キミ子「何も」
姫子「何食べる?」
キミ子「なんでもいいよ」
姫子「なんでもいいってのが一番困るんだよね」
姫子「じゃあここにしようか」
キミ子「MAXバーガーだ」
姫子「あんまりおしゃれな店分かんないからさ」
キミ子「私もそういうとこはよく分かんないから良かった」
姫子「じゃあ入ろう」
キミ子「ん」
紬「いらっしゃいませー」
紬「あら?」
姫子「あ、ムギ」
キミ子「ここでバイトしてたんだ」
紬「そうよ~」
紬「二人は何?デート?」キラキラ
姫子「違う違う」
キミ子「なんで姫子と」
姫子「いちいち噛みついてくるねえ」
キミ子「・・・ふふ」
紬(わ~なんか素敵!)
姫子「じゃあ私はチーズバーガーと・・・」
最終更新:2012年03月24日 21:00