梓「別に唯先輩のこと好きとかそう言うのじゃない」
2月某日 部室
唯「おいしーっ!!」
梓「本当ですか!?…オホン…どうですか、澪先輩?」
澪「うん、すごく美味しいよ」
梓「良かったです!!」
唯「あずにゃん天才!」
梓「い、いえ別に…」
紬「うふふ」 ニコニコ
唯「そうだ、お返しにこれをあげよう!」
梓「…なんですかコレ」
唯「あめちゃん、ホワイトデーのお返しね!」
梓「はやっ」
律「やすっ」
3月現在 1年教室
梓「…って感じだったかな」
純「ふーん、なんて言うか…唯先輩らしいね」
憂「えへへ」
梓「別に唯先輩褒められてないよ、憂」
憂「!」 ガーン
純「それじゃあ梓は軽音部からは返ってくるんだね、来週のホワイトデー」
梓「返ってくるって…別にそう言うの期待して渡したわけじゃないからね
ただ日ごろの感謝の気持ちと言うか…その」
純「いいじゃん、期待したって」
梓「うーん、何か見返りを求めてるみたいで嫌じゃない、そう言うの」
純「そうかな」
憂「渡したいって気持ちが大切だよね」
梓「そう、それ!」
純「だからさ、その気持ちが返ってくるのを期待してもいいでしょうよ
ホワイトデーのお返しにも気持ちは篭ってるわけじゃん?
気持ちを渡して気持ちを貰う!ぎぶ、あんど、ていく、って奴!」
梓「それはやっぱり違う気がする」
憂「心配しなくても返ってくるよ、梓ちゃんの気持ち」
梓「……ん…」
憂純「?」
梓「…」
憂純「…」
梓「そうかな…?」
憂「うん、きっと大丈夫だよ」 ニコッ
梓「そっか…えへへ」
純「梓が恋する乙女の顔になってるー」 ニヤニヤ
梓「なっ!からかわないでよ、純!べ、別にそう言うのじゃないんだから!
ただ私は本当に日ごろの感謝の気持ちで!」
純「はいはい」
憂「ふふ」 ニコニコ
梓「もう!!!」 プクーッ
純「でも、お返し3個かー!いいなー、羨ましい!」
梓「なんで3個なのよ、3倍返しってこと?いやしいよ、純」
純「ういー!梓がいじめる!」
憂「よしよーし」 モサモサ
梓「さっきの仕返しなんだから」
純「3個って言うのは、唯先輩以外からって事!
唯先輩からはもう貰ったんでしょ!私はいやしい子じゃないもん!」 モサモサ
梓「えっ…あっ……そっか…」
純「? どうしたの、難しい顔しちゃって」 モサモサ
梓「いや別に……ただアレはお返しに入るのかなぁって…」
純「入っちゃうんじゃない?少なくとも唯先輩の中では」 モサモサ
梓「だよねえ…」
純「ところで憂、いつまで私の頭撫でてるの」 モフモフ
憂「あ、ごめんね、純ちゃんの髪やわらかいからつい」
梓「でもお返し貰えるとしてもまとめて1個なんじゃないかな
私から渡したのも1個のケーキを切り分けて貰っただけだし」
純「ふーん、それでもいいなー、だってそれ澪先輩からの分でもあるんでしょ」
梓「純も渡せば良かったじゃん」
純「くっ……いいもん、来年はちゃんと渡すもん…
その時は憂よろしくね!作り方とか!」
憂「うん!」
梓「既に人を頼る気でいる…」
純「そう言う梓は頼らなかったの?」
梓「それは……ごめんなさい」
純「素直でよろしい」
梓「はい……って、なんで純が偉そうなのよ!!」
憂「えへへ」
梓「じゃあ純は今年は誰にも渡してないの?」
純「渡したよ市販のだけど、ジャズ研の先輩とかあと家族にも」
梓「なんだ、羨ましいって言うからてっきり誰にも渡してないのかと思った」
純「澪先輩のは別なの」
梓「渡せばよかったじゃん」
純「ぐぬぬ……」
梓「憂は……って聞かなくても唯先輩に渡してたね…」
憂「うん!お姉ちゃん喜んでたよー」
梓「そっかー……」
純「? またまた難しい顔しちゃってさ」
梓「別に…」
梓「ねえ、憂」
憂「なにー?」
梓「憂はさ、毎年唯先輩に渡してるんだよねチョコ」
憂「? うん、そうだよ」
梓「じゃあさ」
梓「……唯先輩からホワイトデーのお返しってちゃんと貰えるの?」
憂「えっ?」
純「えっ?」
梓「…えっ?」
純「ぷっ、くく…」
憂「ふふ」 ニコニコ
梓「な、なに?なんなの?」
純「やっぱり、気になっちゃう?気になっちゃうよね?気になっちゃうんだー!」 ニヤニヤ
梓「な、なな、ちがっ!そう言うことじゃなくて!!」
憂「あずにゃん、私のこと気になるなら言ってくれればいいのにー」
梓「やめて!このタイミングで唯先輩の真似はやめて!」
梓「私はただ純粋に!そう!本当に純粋に疑問に思っただけだから!
あの即日あめ玉でお返しするような先輩が、ちゃんとしたホワイトデーのお返しするのかなって!」
純「いいじゃん即日あめ玉でも、気持ちが大切なんでしょー」 ニマニマ
梓「えっ、あっ、いや…でも!」
純「でもなにー?」
梓「ぐぬぬ」
憂「まあまあ、お姉ちゃんがホワイトデーのお返しするのかだよね」
梓「う、うん…それで…どうなの?」
憂「毎年色んな形でちゃんと返してくれるよー」
梓「そ、そうなんだ…」
憂「去年は確か…けん玉だったかな」
梓「けん玉!?!」
純「それは…梓じゃないけど心配になるね…」
梓「…し、心配とかじゃないんだから」
憂「梓ちゃん、きっと大丈夫だよ」 ニコッ
梓「うん…」
…
休日 梓宅
梓「……」
梓「はぁ…」
きっと大丈夫だよ
梓「憂はああ言ってくれてたけど…」
梓「…」
唯先輩からはもう貰ったんでしょ
梓「…」
梓「…」
梓「そうなんだよね、もう貰っちゃってるんだよね私…」
梓「あめ玉だったけど…」
梓「…」
梓「はぁ…」
梓「て言うかあめ玉はお返しに……」
入っちゃうんじゃない?唯先輩の中では
梓「……」 バフッ
梓「…別にあめ玉でも嬉しかったけど……」
梓「…」
梓「何言ってるんだ、私」
梓「別にお返しとか期待してたわけじゃないし、ただ日頃の感謝の気持ちで…」
いいじゃん、期待したって
梓「……期待してない、期待なんかしてないし」 バタバタ
梓「てか別に唯先輩の事何とも思ってないし」 バタバタ
梓「全然そう言うのじゃないし」
梓「…」
梓「はぁ…」
梓「……て言うかバレンタイン即日に渡して『ホワイトデーのお返し』なんてそんなの…」
梓「…」
梓「…?」
梓「…」
梓「!!!」 ガバッ
梓「天才か、私!!」
梓「そうだよ!あのあめ玉はバレンタイン当日に貰ったんだもん!」
梓「と言うことはどう考えてもあれはホワイトデーのお返しとかじゃなくて!」
梓「バレンタインプレゼントじゃない!!」
梓「…」
梓「だったら…だったらだよ…」
梓「そ、そのお返しに私がホワイトデーのお返し渡すのは全然自然なことだよね」
梓「…」
梓「オホン…」
梓「仕方ないなー、仕方ない仕方ない」
梓「べ、別に唯先輩のことがどうってわけじゃないけど?貰った物にお返ししないのは失礼だもんね」
梓「よおし!」
…
梓「ホワイトデーだし……マシュマロとかがいいかなあ」
梓「いや別に唯先輩が甘いもの好きだからとかじゃないけど」
…
梓「…」 カタカタ
梓「ふーん、マシュマロってこうやって作るんだ」
梓「まあ別に手作りする必要なんてないんだけど」
…
梓「…」 グツグツ
梓「あ、あれ?もしかして……うまくいってない?」
…
梓「…」 prrr
梓「あ、もしもし憂…?
あのね、ネットとかで調べて一人でも頑張ったんだよ?でもね…」
梓「? 何って、マシュマロだけど」
梓「! いや!ちがっ!!全然!そんなのじゃないんだから!!」
梓「くっ、電話越しでも満面の笑みなのがわかる!いや本当に違うんだからね!!」
…
憂「きたよー」 ガチャ
梓「はやっ!」
憂「早速作ろっか」 ニコッ
梓「よ、よろしくお願いします」
…
梓「できた…」
憂「良かったね!梓ちゃん!」
梓「えへへ、ありがとう、憂!」
憂「きっとお姉ちゃんも喜んでくれるよ」
梓「べ、別に唯先輩に渡すとかじゃ……」
憂「ふふ」 ニコニコ
梓「…喜んでくれるかな?」
憂「うん!もちろんだよ!」
梓「…」
憂「?」
梓「や、やっぱり変じゃないかな…?
そりゃあバレンタイン当日に貰った物だけど…お返しにお返しになんて…」
憂(梓ちゃん…それ今更過ぎるよ…)
憂「梓ちゃん、大切なのは何だったか覚えてる?」
梓「大切なのは……渡したいって気持ち?」
憂「はい、よくできました」
梓「うん…」
憂「大丈夫だよ、きっと届くから、梓ちゃんの気持ち」
梓「うん…本当にありがとね、憂」
憂「えへへー、どういたしましてー」
最終更新:2012年03月28日 20:51