唯「りっちゃんの苗字って珍しいよね」
律「そうか?」
梓「確かに他に類を見たことがないです」
律「まぁ平沢とか中野に比べたら珍しいかもな」
澪「いやそんなレベルじゃないだろ」
律「わかってる、澪の苗字よりも珍しいよ」
紬「琴吹でも足元にも及ばないわ」
律「そこは同じくらいじゃね?」
唯「でもまぁ、ありふれてると言えばありふれてるかなー」
律「えっうそ」
梓「そうとも言えますね」
律「いやいやついさっき類を見ないって」
澪「ひらがなだけで書いたら普通だよな」
律「そんなことないと思うけど」
紬「というか戸籍登録はどうなってるのかしら」
律「どうなってるもなにも、お前らもよく知った字のままだよ」
唯「なんていうか、発音に困るよね」
律「私は自分の名前だから慣れてるけど、そんなもんか?」
梓「発音というか、イントネーションが厄介ですよね」
律「好きに読んでくれりゃいいのに」
澪「いやいや、発音指定してるじゃないか」
律「は?どういうことだよ」
紬「だって名前にシャープが入ってるじゃない」
律「」
唯「た→な↑か↑って言わないとダメなんでしょ?」
律「ちょ、ちょっと待て」
梓「うっかり たなか って言いそうなときあります」
律「違う!私は田中じゃない!」
澪「わかってるって、田#中だろ?」
律「そうじゃなくてだな!ってか澪、お前まで!?」
紬「澪ちゃんが言うと呼び慣れた感じがでてるわね」
律「昔からそんな呼ばれかたしてたっけ……いやしてないよなうん」
唯「けど名前に#が入ってて音楽やってるって凄いなぁ」
律「あぁ確かに凄いな、ほんとに#だったらな」
梓「名は体を表すってやつですね」
律「表してないよ!だって#じゃないんだから!」
澪「藤川球児みたいだよな」
律「あれには驚いた、だけど私は違う!」
紬「りっちゃんの場合は苗字だからもっと凄いわ」
律「どうやら反論しても流されるようです」
唯「ムギちゃんお茶おかわり!」
律「いつものティータイムに戻りやがった」
梓「ダメです!もう練習始めますよ!?」
律「そしていつものやりとりになりやがった」
澪「梓の言うとおりだ、練習するぞ」
律「私もティータイム続けたいなー、そんで誤解をときたいなー、なんて」
紬「じゃあまぁそろそろ練習にしましょうか」
律「みんなー、私の声聞こえてるー?」
…
唯「今日の練習疲れたー、さー帰ろ帰ろ」
律「ドラムの音はみんなに届いたようでなにより」
梓「あ、駅前に美味しそうなスイーツバイキング見つけたんですけど、帰りにみんなで行きませんか?」
律「おっいいじゃん、行く行くー」
澪「スイーツバイキングか、みんなで行くなんておもしろそうだな」
律「その みんな に私も入ってるのか不安になってきた」
紬「5人でスイーツバイキングなんて、楽しそうね」
律「入ってたぜ、嬉しい!でも会話成り立ってない、不思議!」
…
唯「うわー込んでるねぇ」
律「人気店なんだな」
梓「最近できたばっかりですし」
律「なるほどそれもあるか」
澪「この紙に名前を書いて待っとけばいいのか」
律「既に三組も待ってんだな」
紬「じゃあ名前書いとくわよ。代表者として部長のりっちゃんの名前をね」
律「こんなとこでも私が代表か……悪い気はしないぜ」
唯「あーあーお腹空いたー、まだかなー」
律「確かもう前の三組は呼ばれただろ」
梓「私達のあとにも続々と並びだしてますね」
律「あとちょっと来るのが遅かったらやばかったな」
澪「あ、あの店員さんこっちに向かってきてないか?」
律「ほんとだ、ついに呼びに来たか」
紬「ウェイティングボードを見てるわね」
律「よしきたあああ!」
店員「5名でお待ちのタナカ様~」
律「」
唯「はーい!」
律「待て、呼ばれたのは私達じゃないぞ」
梓「え?でも今確かに呼ばれましたよ?」
律「なんて呼ばれたか、よ~~く思い出せ」
澪「ちゃんとタナカって言ってたじゃないか」
律「だから間違ってるって言ってんだよ!」
紬「ごめんりっちゃん!読みづらいと思って#は省いちゃったの!カタカナ表記だし」
律「そうじゃないんだってば!」
唯「りっちゃん、#抜いたからってそんなに怒らないでよー」
店員「あの……何か?」
梓「なんでもないです、案内してください」
店員「わかりました、こちらへどうぞ~」
澪「おぉ見ろよあれ、美味しそ~。まずあれとりに行こうぜ」
店員「時間は2時間となっておりますので」
紬「はい、わかりました」
店員「ごゆっくりどうぞ~」
律「」
唯「このシフォンケーキ美味しいっ!」
梓「このチーズケーキも美味しいですよ」
澪「確かに美味しそうだ、ちょっとくれよ」
紬「バイキングなんだから自分でとりに行ったらいいんじゃない?」
唯「あはは、そりゃそうだね」
梓「チーズケーキならあの角を曲がったとこにありましたよ」
澪「そうかサンキュ、ちょっととってくる」
紬「あ、私も行くわ」
唯「あずにゃんこれ美味しいよ、はいあーん」
梓「えっいいですよ自分でとってきます」
唯「いやいやこうやって食べたらよりいっそう美味しいんだってー」
梓「き、聞いたことないですそんなこと」
唯「まぁまぁ騙されたと思ってほらほら~」ツンツン
梓「ケーキで口をつつかないでください!……もぅ仕方ないですね」パクッ
唯「ね?美味しいでしょ?」
梓「……はい」///
唯「あれっ、澪ちゃんそれってもしかして」
梓「カレーなんてあったんですか?」
澪「あぁ、甘いものに飽きたらこれでリフレッシュしろってことだろうな」
紬「他にパスタなんかもあったわよ」
唯「えーいいなー、パスタとってくるー」
梓「唯先輩、私も行きます」
澪「なんか残り少なかったから早めに行っとけ行っとけ」
紬「でもまぁ、なくなったら足してくれるでしょうけどね」
澪「おいムギ、カレーもなかなかいけるぞ」
紬「てっきり甘いもの以外は微妙なのかと思ってたわ」
澪「私も正直そう思ってた、けど考えをあらためないと」
紬「ということは、唯ちゃん達がとりにいったパスタも……」
澪「あぁ、美味しいんだろうな」
紬「ねぇ澪ちゃん」
澪「わかってる、この皿空けたらパスタとりにいこーぜ」
紬「そうよね!」
唯「みんなー見てみてー」タタタッ
梓「唯先輩、走ったら危ないですって」
澪「おぉ、すげーキレイに盛り付けてんじゃん」
紬「ケーキの並べ方といいチョコのかけ方といい、素晴らしいわね」
唯「えへへ~褒められた~」
梓「それ盛り付けたの私ですから!唯先輩が盛ったのはこっちのパスタでしょう」
澪「なんだ梓だったのか、どうりで」
紬「パスタのほうは、まさしく唯ちゃんが盛ったって感じね」
唯「ねぇ……今日りっちゃんの口数少なくない?」
律「!!!?
田井中律は死んだのかと思ってた!生きてた私!!」
梓「もしかして甘いもの苦手でしたか?だとしたらすみません」
律「そ、そんなことはないぞ!大好きだ!」
澪「じゃあなんでそんな元気ないんだ?」
律「これ、なんでなのか本気でわかってもらえてないパターンだな」
紬「悩み事があるなら私達が相談にのるわよ?ねぇみんな?」
律「いやお前らのせいだから!お前ら悩みのタネ張本人だから!」
唯「りっちゃん……私達が何かしちゃった?」
律「あぁしたね、やりまくりだね」
梓「気付かないうちに律先輩を傷付けてしまったんでしょうか……」
律「むしろ気付かないうちにだったことに傷付いてるよ」
澪「それで、何が悪かったんだ?以後気をつけるから教えてくれ」
律「さんざん言ったけどな!?全然伝わってないんだな!?」
紬「本当にごめんなさい……もう一度言ってもらっていいかしら」
律「わかってもらえるまで何度でも言ってやるよ、私は 田井中 だ!田中でも田#中でもねー!」
唯「……え?ごめんもう一回」
梓「えっと……なにナカって言いました?」
律「タ!イ!ナ!カ!」
澪「……片田舎?」
律「タ!イ!ナ!カ!」
紬「は!か!た!の!?」
律「しお!……ってカンケーねー!ついノッた自分が恥ずかしいわ!」
唯「そっかー、りっちゃんは田井中っていうんだねー」
律「わかってもらえて嬉しいぜ、泣きそうだ」
梓「勘違いしててすみませんでした」
律「まー梓が私の苗字を見る機会なんてあまりないからな……ないっけ?」
澪「わ、私はちゃ~んと田井中だってわかってたぞ」
律「嘘つけぃっ!てか澪が私の苗字をわかってなかったショックからは未だに立ち直りきれてないぞ!」
紬「でもこれで軽音部の絆がよりいっそう強くなったわね」
律「もう強くなったってことでいい!そんなはずないけどそれでいいよ!」
唯「ふぅ~スイーツバイキング美味しかった~」
律「ちょっと食べ過ぎちゃったぜ」
梓「律先輩は2時間フルに使ってましたもんね」
律「みんなは途中でダウンしてたな」
澪「さすがにカレーはお腹にたまる……」
律「てかカレーのあとにご飯ってどんな食べ方だよ」
紬「りっちゃんはホントよく食べたわね。さすがは軽音部を取り仕切るタナ……田井中律様ね!」
律「間違うくらいなら無理に言おうとしないでくれ」
唯「それじゃあみんな、また明日ね~」
律「おう!また明日な!」
梓「また明日部活で」
律「じゃあなー二人ともー」
澪「明日はちゃんと練習しような」
律「それは今言わなくてもいいんじゃね?」
紬「ばいばい、唯ちゃん、梓ちゃん」
律「よし、帰るか!我が田井中家へ!」
りつのいえ!
律「たっだいまー」
聡「おぅ、おかえりねーちゃん」
律「いや~お前も友達に勘違いされてないか確認しといたほうがいいぞ」
聡「え、何を?」
律「苗字だよ、私の苗字が田井中だってことみんなわかってなかったんだ」
聡「えっと……ねーちゃん何言ってんの?」
律「へ?どういうことだ?」
聡「俺らの苗字は田#中だろ?」
律「」
~終わり?~
よくじつ!
唯「やっほー」
紬「こんにちは」
澪「お、来たな」
梓「あれ?律先輩はまだですか?」
唯「なんか今日は学校休んでたよ」
紬「家庭の事情とかなんとか」
澪「どうしたんだろうな」
梓「昨日は何も言ってなかったのに、心配ですね」
唯「田井中家にいったい何が起こったというのかぁー!」
紬「昨日覚えたこと早速使ってますね」
澪「なんかまだ違和感があるけどな」
梓「あ、そうだ。昨日帰りに唯先輩と話してて疑問が生まれたんですけど」
唯「そうそう、澪ちゃん本人に聞かないとわかんないって結論になったんだっけ」
紬「唯ちゃんから聞いたけど、私も答えられなかったわ」
澪「なんだ?私のこと?私が答えられることなら答えてやるぞ」
梓「じゃあ聞きます。えっと……なんで澪先輩は、サンジュって名前なのにみんなにミオって呼ばせてるんですか?」
澪「」
唯「チュ・サンジュとミオ……全然関係ないよね」
澪「ちょ、ちょっと待て私はそんな韓国風な名前じゃない」
紬「何かアナグラム的なものだったりするのかしら」
澪「アナグラムっていうか漢字見たらすぐわかるだろ」
梓「漢字?えっ、帰化してたんですか?」
澪「律ー、助けてー」
唯「どんな漢字だっけ、駐・三重?あっミエってなるから確かにミオっぽい!」
澪「どんな漢字を頭に描いたのか予想がついた、バカ」
紬「中・三十?義務教育なのに留年し過ぎよ」
澪「どう考えてもそれ固有名詞じゃないだろ」
梓「まさか注・惨呪?なんだかすごく怖い……」
澪「あえて言うが、お前らそれ全部チュじゃなくてチュウじゃないか」
唯「ごめんね、チュとチュウを間違って……ホントごめん」
澪「謝るところは他にあるぞ」
紬「私と唯ちゃんはサンジュじゃなくてサンジュウって言ったわね……ごめんね」
澪「うん、謝るところはそこでもない」
梓「それで、結局どんな漢字を書くんですか?」
澪「てかお前ら、漢字見たことあるからこそチュ・サンジュとか言いだしたんだろ」
唯「ねーねーどんな漢字ー?」
最終更新:2010年01月28日 23:50