ガチャン!

梓「遅れてすみません!」

律「あ!梓!」

唯「!」

梓「唯先輩!」

唯「は、はい!」

梓「昨日はその…」

紬(これは告白的な雰囲気じゃ…)ワクワク

梓「ほんとうにすみませんでした!」

紬(あ、あれ?)

梓「唯先輩の気持ちも知らずに…あんなこと言っちゃって…」

紬(あんなこと!あんなことっていったい何のこと…?)ハアハア

唯「…いいんだよ、あずにゃん。わたしの方こそぶっちゃってごめんね」

紬(ぶった!?あの二人…いったいどこまでいったというの…!?)ハアハア

梓「はい!…できれば、その…仲直りしてください!」

紬(ナカナオリ!?わたしの知らない単語…?一体なにをするの!?)ハアハア

唯「うん!こちらこそだよ!あずにゃん!」ダキッ

梓「うわっ!唯先輩…///」

紬(なんだ…抱きつくだけなのか…)ショボーン

澪「…さっきから何興奮したり落ち込んだりしてるんだ?ムギ」

紬「なんでもない…なんでもないの…」ハア

澪「そ、そうか」

律「で、結局どうなったんだ?梓」

梓「秘密です」

律「んな!?そんなこと言うなよ~知りたくなるだろ~」

唯「これはさすがに言えないよ、りっちゃん」

律「ゆ、唯まで…わかったわかった、あきらめますー」

澪「まあよかったな、仲直りできて」

唯「うん!」

梓「はい!」

紬「じゃあお茶にしましょうか」

唯「やったー!」


ジャーーン

澪「今日はここまで!各自パートの練習は怠らないように!」

唯「はーい!」

律「じゃ、帰りまっしょい!」

紬「まっしょい!」

唯(あずにゃんあずにゃん)ボソボソ

梓(は、はい?)

唯(みんなと別れた後、わたしに付き合ってくれない?)

梓(付き合う!?付き合うんですか!?)

唯(ち、ちがうよ~。あずにゃんに会わせたい人がいるんだよ)

梓(会わせたい?)

唯(うん!詳しくはまたあとでね)

梓(は、はい…)


律「じゃあな~」

澪「またな」

紬「ごゆっくり~」

律「ムギ?」

唯「じゃあね~」

梓「さよならです!」


梓「で、会わせたい人って…」

唯「うん、わたしの妹の憂!」

梓「い、いいんですか?わたしみたいなのが会っちゃって…」

唯「もう、昨日のことは気にしてないって。それに憂が会いたがってるんだ~、あずにゃんに」

梓「そ、そうなんですか?」

唯「うん!あずにゃんのこと話してたら憂もどんな子か会ってみたい!って言っちゃって…。今までは恥ずかしがって人とは会おうとしなかったからびっくりしちゃったよ」

梓「だから前に会わせることができないって言ったんですね?」

唯「うん!で、会ってくれる?あずにゃん」

梓「もちろんです!わたしも会ってみたいです!」

唯「よかった!」


コンコン

唯「うい~?お姉ちゃんだよ~」

憂「は、入っていいよ!」

唯「しつれいしま~す」ガララ

梓「し、失礼します」

唯「うい!この子がわたしの言ってた梓ちゃんだよ!」

梓「ど、どうも梓です…」ペコリ

憂「は、はははじめまして!!姉がいつもお世話になってます!!」ペコリ

唯「緊張しすぎだよ憂!ほらちゃんと自己紹介して」

憂「うん、平沢憂です!ういって呼んでね!」

梓「うん!わかったよ、憂」

憂「じゃあわたしは梓ちゃんって呼ぶね!」

梓「うん!」

唯「よかったね憂、友達が増えて!」

憂「うん!」

梓(やっぱり唯先輩に似てるなあ)

唯「あずにゃんはわたしと同じでギターなんだよ!って知ってるか」

憂「うん、だってお姉ちゃん、いつも梓ちゃんの話ばっかりするんだもん」

唯「でへへ~」

梓(ああ、梓はとってもうれしいです!)

唯「あずにゃんがギター弾く姿なんてもう…やばいよ!」

憂「やばいんだ?」

梓「そ、そんな、唯先輩ほどじゃ…」

唯「ううん、あずにゃんの弾くギターは最高だよ!」

梓「唯先輩…///」

憂「そうなんだ…わたしも見てみたいな」

梓「じゃあ今度、ライブのビデオ見せてあげるよ」

憂「本当!?ありがと!梓ちゃん!」

梓「えへへ~」

唯「あっ!わたしお母さんに電話しなきゃいけないんだった。ちょっと電話してくるね」

憂「うん」

梓「はい」

バタン

憂「ねえねえ、梓ちゃん、部活でのお姉ちゃんはどう?」

梓「う~ん、少しだらけたりするけど、練習熱心だし、ギターもうまいんだ」

憂「そうなんだ!あっあとね、軽音部の人たちって…どんな感じ?お姉ちゃんからは聞いてるけど梓ちゃんからも聞いてみたい!」

梓「律先輩は大雑把だけどみんなのことをよく考えてるし、澪先輩は部をまとめてくれるけど怖がりだし、ムギ先輩は…ちょっとおかしな人かな」

憂「そうなんだ…軽音部のみなさんにも会ってみたいなあ」

梓「先輩たちはすっごくいい人たちだから、すぐに仲良くなれると思うよ!」

憂「うん!」

梓(とってもいい子だ…わたしなんかより数倍も…)

梓(唯先輩がつきっきりになるっていうのもわかるな…)

憂「…梓ちゃん」

梓「はい?」

憂「…わたしね、こんな体だから学校にも行けなくて…だから友達も少ないの。お話するっていってもお姉ちゃんぐらいなの」

梓「うん…」

憂「だからね!今日梓ちゃんとお話しできてとってもうれしかった!それで…こんなわたしでよければ…友達になってください!」

梓「もちろんだよ、憂!断る理由が無いよ!」

憂「ほ、本当…?」

梓「うん!これからよろしくね!」

憂「うん…ありがとう…ヒクッ…ありがとう…」

梓「うわっ泣かないで憂!」

憂「うれしすぎて…グス、涙が止まらないの…」

梓「うい…」

憂「…もう大丈夫!よろしくね!梓ちゃん!」

梓「うん!」


唯「じゃあまたねうい!」

憂「うん!気をつけてね!」

梓「いつでもメールしていいからね!」

憂「うん!わかった!」

唯「じゃあ失礼しま~す」


唯「…どうだった?ういは」

梓「とっても優しくて、唯先輩に似てて、話しやすかったです!」

唯「そうか~、よかったよ」ホッ

梓「これからはわたしもいっしょに行ってもいいですか?」

唯「もちろん!憂も喜ぶよ!」


それからわたしは憂のところへほぼ毎日通った。
他愛もない話に花を咲かせたり、学校での愚痴をこぼしたり…
わたしと憂は、親友と呼んでもいいぐらい、仲良くなった

しばらくして、先輩たちも憂に会うようになっていった。
憂もとても楽しそうに笑っていた

唯先輩にふられた傷は、憂と話すことによって癒えていった
まだ唯先輩のことが好きなのは確かだけど…
今はそれよりもこの時間が楽しくて、仕方が無かった



梓「じゃあね、純!」

純「うん、バイバイ!」

梓(今日は部活が休みだから、憂といっぱいお話しできるぞ!)タタタ

ピリリリリリッ

梓「あっ、メールだ」ピッ

梓「憂からだ…何だろう」


件名:梓ちゃんにお願い

今日は二人っきりで話したいことがあるの
お姉ちゃんは今日は来れないって言ってたから大丈夫だよね?
いつでもいいから来てね


梓(二人っきりで話…?なんだろう)




コンコン

梓「しつれいしま~す」ガララ

憂「あっ!梓ちゃん!来てくれたんだ!」

梓「当たり前だよ!友達でしょ?」

憂「えへへ、そうだね」

梓「調子はどう?」

憂「うん、悪くないね」

梓「そっか。で、話って…なに?」

憂「…うん。あのね、梓ちゃん」

梓「う、うん…」

憂「わたしね、今度手術するんだ」

梓「ええっ!?手術!?」

憂「うん。この手術が終わったら退院できるんだよ」

梓「知らなかった…唯先輩はこのことを知ってるの?」

憂「ううん、お姉ちゃんは知らないよ。知ってるのは梓ちゃんだけ」

梓「えっ?そんな大事な話をなんで…」

憂「お姉ちゃん、心配性でしょ?だから直前までは黙ってるつもりなんだ」

梓「それっていつなの?」

憂「1ヶ月後ぐらいかな」

梓「そうなんだ…怖くない?」

憂「怖くないって言えばウソになるけど、それよりも早く外で遊びたい!って気持ちの方が強いかな」

梓「じゃあ手術に成功していっぱいあそぼうね!」

憂「うん!…でね、あと一つあるんだけど…」

梓「ん?なに?」


憂「梓ちゃんは…お姉ちゃんのことが好き?」

梓「ふえっ!?きゅ。急に何を…」アセアセ

憂「あれ?違ったかな。好きなんだと思ってたけど」

梓「…たしかに好きだよ。でもわたしふられちゃったんだ。わたしとは付き合えないって」

憂「えっ!?…ごめんね、梓ちゃん」

梓「いいんだよもう。わたしもあきらめてるし」

憂「…あきらめちゃダメだよ、梓ちゃん」

梓「うい?」

憂「多分…お姉ちゃんが断ったのはわたしのせい…」

梓「ち、ちがうよ!憂のせいなんかじゃ…」

憂「ううん、わたしのせいなの。わたしがお姉ちゃんの邪魔をしてるんだよ」

梓「うい…」

憂「子供のころからずっと、わたしにつきっきりで…他のことなんてどうでもいいなんて言っちゃって…」

梓(…和先輩の言ったとおりだ)

憂「わたしもうれしかった。お姉ちゃんと一緒にいられるんだ!って。でも…でもお姉ちゃんの自由を奪っちゃったの」

梓「……」

憂「わたしの前では明るい顔をしてたけど、外では明るくなかったって知ってた。学校の話なんて一つもしなかったから」

梓「……」

憂「このままじゃいけないってことはわかってたの。でも…でもお姉ちゃんはそれでも憂といたいからって…やめてくれなかった」

梓「うん…」


憂「でもね、高校に入って…軽音部に入ったお姉ちゃんはまるで別人だった。話の中心はいっつも軽音部の話。あんなに楽しそうなお姉ちゃんを見るのは久しぶりだった」

梓「……」

憂「あんなに楽しそうなお姉ちゃんをもう苦しませたくない…だから、今回の手術を決断したんだ」

梓「うい…」

憂「それにね、梓ちゃんがいてくれたからわたしも手術しようって気持ちになれたの」

梓「わたしが…?」

憂「うん。梓ちゃんが友達になってくれたから…わたしも外に出てみたい!ってなったの」

梓「そんな…わたしなんかじゃ…」

憂「ううん、梓ちゃんのおかげだよ。ありがとう」

梓「照れちゃうな…///」

憂「…お姉ちゃんは、梓ちゃんが部活に入ってからはずっと梓ちゃんの話ばっかりしてたの。それでわかったんだ。お姉ちゃんは梓ちゃんのことが好きなんだなあって」

梓「…!///」

憂「わたしはお姉ちゃんにもうこれ以上は負担をかけたくない…お姉ちゃんに幸せになってほしい…だから、梓ちゃん約束して!」

梓「!?」


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最終更新:2010年01月30日 01:07