何時からだろう?澪先輩の事を意識する様になったのは?

ただ最初は、憧れの先輩だったはず。

それが何時しか、一人の女性として意識する様になった。

澪先輩は、私に優しく接してくれる。

でも、それは私にだけじゃない。それは分かってる。

でも、あんな事されたら私だけ特別なんじゃないかなって思っちゃう。

夕飯時、指に貼られた絆創膏を見ながらそんな事を考えていたら

母親に「何をそんなにニヤニヤしてるのよ?」と突っ込まれた。

―――――

ピンポーン

緊張した面持ちで、澪先輩の家のインターホンを押す。

けいおん部の皆で来たことはあるけど、一人は初めてだから余計だ。

今日私は、澪先輩の家にお呼ばれしていた。

~先日~

澪「梓今度の日曜日、暇か?」

梓「えと、特に予定はないですけど」

澪「友達からボーカル講座のDVD借りたんだけど、良かったら一緒に観ようかなと思って」

梓「あ、それ良さそうですね」

澪「じゃ家おいでよ」

梓「お邪魔させてもらいます」


しばらくして、ガチャッとドアが開き澪先輩がひょこっと顔を覗かせる。

澪「いらっしゃい」

梓「こんにちは」

梓「あれ?澪先輩が三つ編みにしてる」

澪「え?ああ、プライベートだとたまにしてるんだ」

梓「そうなんですか」

澪「梓は見たこと無いんだっけ?」

梓「初めて見ました」

澪「私が三つ編みすると変かな?」

梓「変じゃないです。とっても可愛いです」

澪「ありがとう///」

梓「あ、私先輩に向かって可愛いだなんて///」

澪「いや良いんだよ」

梓「でも本当に可愛いんで///」

澪「もう恥ずかしいから///」

梓「ごめんなさい///」

澪「家上がって」

梓「お邪魔します」

澪「私の部屋行こう」

梓「はい」

澪「そうだ。DVD見る前にちょっと良い?」

梓「何です?」

澪「ちょっと後ろ向いて」

梓「こうですか?」

ふぁさっ

梓「何で、私のヘアゴム外したんですか?」

澪「さっき私の三つ編みを可愛いって言ってくれたから」

梓「言ってくれたから?」

澪「梓もお揃いの三つ編みにして上げる」編み編み

梓「ありがとうございます」

澪「出来たぞ、三つ編み。ほら鏡」

梓「わー、嬉しいです」

澪「可愛いぞ」

梓「前に、さわ子先生が私と澪先輩の事似てるって言ってましたよね?」

澪「ああ、眼鏡外すと見分けが付かないとか言ってたな」

梓「お揃いの三つ編みしてたら姉妹に思われるかも知れませんね」

澪「ふふ、そうかもな」

澪「じゃ、お待ちかねのDVDを再生っと」

『レッスン1』

『えー、ボーカルという物は…』

『心構えが重要であり…』

『何事も恐れぬ信念で…』

澪(こ、これは予想以上につまらない…)

梓(澪先輩には悪いけどこれは…)

澪梓「……」

澪梓(気まずい…)


DVD再生終了

梓「くぁ」あくび

澪「眠くなっちゃったか?」

梓「あ、ごめんなさい///」

澪「退屈だったもんな。私も何か眠くなっちゃった。ちょっとお昼寝しよっか?」

梓「あ、大丈夫ですよ」

澪「良いから良いから、毛布敷くな」

梓「すいません」

澪「よいしょ」

澪「梓ここで寝なよ」

梓「ありがとうございます」もぞもぞ

澪「じゃあ私も」もぞもぞ

梓「え?澪先輩も、一緒の毛布で寝るんですか?///」

澪「駄目?」

梓「駄目じゃないですけど///」

澪「女同士、何の問題も無いだろ?」脱ぎ脱ぎ

梓「って何で上着脱いでるんですか?///」

澪「え?このままだとちょっと寝づらいから一枚脱ごうかなって」

梓「あ///」

梓「私も上一枚脱ぎます///」脱ぎ脱ぎ

澪「そんな端っこじゃなくて、もっとこっちおいでよ」

梓「はい///」寄り寄り

梓「澪先輩今日は、やけに積極的ですね」

澪「何か嬉しいんだよ。梓と二人きりになるなんて滅多にないし」

澪「それに梓が本当の妹みたいで」

梓「そうですか」

澪「…あのさ、お願いがあるんだけど」

梓「何です?」

澪「私も唯みたいに、梓に抱きついてみたいんだけど良いかな?///」

梓「え?」

澪「普段は、皆見てるから恥ずかしくて出来なかったんだけど、今二人きりだし」

梓「良いですよ///」

澪「良い?じゃあ」

ぎゅっ

梓「うにゃっ///」

澪「うわー、抱いてて気持ちいい」

梓「そうですか?///」

梓(胸が当たる///)

澪「このまま、梓を抱き枕にして寝ちゃお」

梓「え?///」

澪「暖かくて抱き心地良いんだもん」

澪「クゥークゥー…zzz」

梓「本当に寝ちゃった///」

―――――

律「買い物ついでに、澪の家の近く通るからついでだ。宿題写させてもらおう」

ピンポーン

ガチャリ

澪ママ「あら、律ちゃん。いらっしゃい」

律「こんちは。澪居ます?」

澪ママ「居るけど今、澪ちゃんのお友達来てるの。多分律ちゃんも知ってる子だと思うけど」

律「そうなんですか」

澪ママ「どうぞ上がって」

律「はい」

律「友達って誰だろ?こっそり覗き見してみるか」

そーっ

律(あれ?三つ編み姉妹がお昼寝中?)

律(と思ったらあれは澪と梓?友達って梓だったのか)

律(何で一緒の毛布で寝てるんだ?)

律(服脱いであるし、澪が梓抱きしめてるし)

律(どう見ても事後です。本当にありがとうございました)

律「キャー///」

バタン

梓(あれ?今誰か来てた様な?)

梓(気のせいかな?)

梓(澪先輩に抱きしめられてたら、温かくて柔らかくて良い気持ちで眠くなっちゃった)

梓(…zzz)

……

梓「マシュマロ、マシュマロ」揉み揉み

梓「柔らかいマシュマロ」揉み揉み

梓「…ってあれ?」

澪「目覚めた?///」

梓「あ、そうだ私澪先輩と一緒に寝てて」揉み揉み

澪「あ、あのもう良いかな?手///」

梓「へ?」揉み揉み

梓「うわー、ごめんなさい。澪先輩のおっぱい触ってた///」揉み揉み

澪「寝ぼけてたみたいだし、起こしちゃ悪いかなと思って///」

梓「マシュマロみたいに柔らかくて気持ち良いと思ってたら澪先輩のおっぱいでした///」

澪「ははは///」

梓「ブホッ!!」

澪「鼻血?!」

梓「興奮の余り///」

澪「ティッシュ、ティッシュ」

澪「大丈夫か?」拭き拭き

梓「ずびばぜん」

澪「あー、服にもちょっと血付いちゃったな」

梓「あ、本当だ」

澪「染みになっちゃうから脱いで、洗濯するから」

梓「で、でもこれ脱ぐと下着なんです///」

澪「あ、そうなの?」

澪「梓がさっき脱いだ上着Gジャンだしな」

澪「下着にGジャンじゃ、変だし」

澪「じゃ、さっき私が脱いだパーカーでも着てて」

梓「良いんですか?」

澪「サイズ大きいだろうけど」

梓「お借りします」

梓「やっぱりちょっと大きいですね」

澪「これは洗ってくるな」

バタン

梓「澪先輩の服///」

もう時間は経ってるから、そんな事は無いんだろうけど

服から澪先輩の優しさと温もりが伝わってくる。

そんな気がした。

澪「洗って乾燥機かけるからちょっと待ってて」

梓「お手数かけます」

澪「あ、そうそう。梓がライブで歌うの筆ペンと、ふわふわ時間だろ?」

梓「そうですけど?」

澪「両方とも、私がコーラスやる事になったから」

梓「そうなんですか?」

澪「うん。唯が私にやってくれってさ」

澪「でさ、カラオケに私のコーラス入れたの作ってもらったんだ」

梓「ありがとうございます」

澪「ipodに入れてもらったんだけど、聴いてみる?」

梓「はい」

澪 がさごそ

澪「私もまだ聴いた事無いから一緒に聴こうかと思って、イヤホン半分こで」

梓「あ、はい///」

澪「梓にイヤホン挿入」ぷにゅ

梓「ひゃっ」

澪「ふふっ、あれ?私に届かないな。もっとこっち来て」

梓「はい」

澪「頭、私の肩に乗っけちゃって良いぞ」

梓「失礼します///」ぽふ

澪先輩と一つのイヤホンで繋がる。

身体と身体も密着してるから、二人で時間を共有してるような感覚になる。

~~~♪

澪「こうして聴くと、ふわふわも違った曲に聞こえるよな」

梓「そうですね」

梓「澪先輩のコーラス格好良いですね」

梓「ありがとう」

澪「後で、CDに焼いて渡すな」

梓「はい。それで家で練習します」

梓「澪先輩は、コーラスも上手いからメインの私が負けない様にしなくちゃ」

澪「頑張れよ」

梓「あの、澪先輩に負けないために何かこうアドバイス的な物でも頂ければ」

澪「アドバイスか、うーんそうだな」

澪「梓は、どうも歌う時に一本調子になりがちだからな」

梓「そうなんですか?」

澪「歌詞の意味とかも考えて、感情を込めて歌うようにするんだ」

梓「歌詞の意味…」

澪「そう、例えばふわふわ時間の」

澪「君を見てると いつもはーとドキドキ」

澪「ここを歌う時は、本当に君を見てるとドキドキしてるかの様な感じで歌うとか」

梓「澪先輩は、そういう人が居るんですか?見てるとドキドキする様な人」

澪「残念ながらまだ居ないな。この歌詞も想像だよ」

梓「そう…ですか」

澪「梓は居るのか?そう言う人」

梓「私ですか?」

梓「…居ますよ」

澪「へえ、居るんだ」

澪「誰なのかは、聞いちゃまずいか?」

梓「良いですよ、教えて上げます」

私の口は、もう止まらない。

最近の雰囲気なら絶対良い返事が貰える。

そう確信があったから。

梓「…澪先輩です」

澪「え?」

梓「私が見てるとドキドキするのは澪先輩です」

澪「あの…それって」

梓「私、澪先輩が好きなんです」

澪「!」

梓「澪先輩の気持ちが聞きたいです」

澪「………」

沈黙。

時間にしては2~3分程度だったのだろうけど、私には何時間にも感じられた。

澪先輩は、軽く俯き私から視線を逸らしていた。

しばらくして、澪先輩が口を開く。

澪「ごめん。私は、梓のことをそう言う対象では、まだ見られない」

その言葉が、私の心にズシンと響いた。

頭をガツンと殴られた様な衝撃が走る。

梓「そうですか…ごめんなさい。変なこと言っちゃって」

やっとの思いで、そう口にするのが精一杯だった。

澪「違う」

梓「え?」

澪「今は、そう言う対象では見られないってだけなんだ」

澪「梓は私にとって可愛い後輩、妹みたいな存在だったから」

澪「いきなり好きだって言われて正直戸惑ってる」

澪「しばらく、返事は保留にさせてもらって良いかな?」

梓「…はい。良い返事待ってます」

梓「今日は、これで失礼します」

澪「え?あ…うん。服は後で渡すな。私の服も後で良いよ」

梓「はい」

澪「…じゃあな」

梓「今日は、ありがとうございました」


梓の部屋

ベッドにダイブし枕に顔を埋め、バタ足の要領で両足をバタつかせる。

バタバタ

妹みたいな存在か…

それはそれで嬉しいけど。

でも私は、妹じゃなくて澪先輩の恋人になりたいんだ。

…気を取り直して、お風呂入ろう。

鏡に映った自分の姿を見てみる。

今にも泣きそうな顔をしていた。

お揃いの三つ編み。

澪先輩に編んでもらったのを解くのは勿体ない気がしたけど仕方ない。

パサリ

あれこれ悩んでも仕方ないよね。

今日は、お風呂出たら寝ちゃおう。


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最終更新:2012年05月03日 20:22