梓「観念してくださいね、唯先輩ぃ!」

ガラッ!

梓「……ふーん。ここじゃなかったんだ」

梓「しょうがないなぁ。別の所を探しに行くとしますか」

梓「唯センパーイ?」



唯(あ、危なかった)

唯(地図に岩のことが書いてなかったら……)

唯「それにしても、この岩の向こうが道になっていたなんて」

唯「あずにゃん……」

唯「ううん。とにかく今はこの地図のとおりに行こう。そうすれば、きっと何かが見つかるはずだから」



唯「う~ん、と。地図だとここら辺にあるはず何だけど」

唯「あれ?扉がある。洞窟なのに……」

唯「入ってみよう」

ギギギギィ……

唯「わ、なんだろうここ。すごい広い……」

唯「う~ん。真ん中にが盛り上がって、変な形したところだなぁ」

唯「階段がある。……登ってみようっと」テコテコ

唯「一番上についたぁ。……えっと、なんだろう。ボタン?」

唯「……押しちゃおうっかな……。押しちゃえ!」ポチ


ウイイイイイィィィン


唯「わ、えっと。なんだか地面が下がっていってるような……」


ガシャァン


唯「あっという間に部屋の仲が平坦になっちゃった。……あれ?」

唯「平坦になったら柱が三本出てきた! 不思議な場所だなぁ」

唯「あれ、あの柱の所になにか光ものが!」

唯「なんだろう……」



唯「なにこれ。石?」

唯「それにしても変な形した石だなぁ。……でも、どことなく誰かに似てるような……」

唯「うーん誰に似てるんだろう。思い出せそうで思い出せない。喉まで出かかってるんだけどなぁ」

唯「あれ、後ろの方にスイッチみたいなのがある。押してみようかな」

唯「……あれ、押せない。堅くなってるのかなぁ」

唯「ぎゅ~っ……。駄目だ、びくともしないや」

唯「とにかく、早くここから出て」



梓「いた~!」


唯「あ、あずにゃん!」

梓「探しましたよ~、唯先輩。もう、逃げるなんてひどいじゃないですか」

唯「あ、あずにゃん、その手に持ってるのは……」

梓「あ、これですか? 銃です。見ればわかりますよね」

唯「そ、そうじゃなくて、その銃って……」

梓「そこまでわかるんですか~。流石ですね。はい、律先輩の銃ですよ」

唯「ど、どうして……」

梓「う~ん、どうしてと言われても……唯先輩を探していたら律先輩にあって~、といった感じです」

唯「りっちゃんは生きてたの!?」

梓「いえ、死んでますよ。今はゾンビになってうろうろしてますが」

唯「そ、そんな……」

梓「律先輩ね、う~う~言いながら私に銃を向けてきたんですよ。笑っちゃいますよね」

梓「頭に来たから消化器で何回も殴りましたよ。最後に『あずさ』って私の名前呼んでましたけど」

梓「やめて欲しかったんですかね? まぁやめませんでしたけど」

唯「あ……あずにゃん……なんてことを……」


梓「さ、話合いはもういいですか? それじゃ、唯先輩もさようならです」

パンッ

唯「うわあ!」

カン!

梓「もう、何なんですかこの柱は。邪魔ですね」

梓「柱は三つあるから……今度は」タッタッタ

唯「あ、あずにゃんが移動してる。えっと、どこに行ったのかな」

梓「今度はこっちから撃ちますよ!」パァン!

唯「う、うわぁ!」ヒュッ

梓「ああ、今度は外しちゃいましたか。まったくもう、唯先輩ったら」

唯「あずにゃん!」

梓「……こうなったら一気に近づいた方が手っ取り早いですね」

唯「あ、あずにゃん!」

梓「さぁ、唯先輩。今殺してあげますから待っててくださいね」

唯「あ、あずにゃんがこっちに来る!」

梓「ゆーいせーんぱーい」

唯「あずにゃん!」

梓「あぁもう。さっきからうるさいですね。あずにゃんしか言えないんですか?」

唯「あずにゃん! お願いだからもとのあずにゃんに戻ってよお!」

梓「うるさい、頭がズキズキする……ウウ」

唯「あ、あずにゃん?」

梓「……っああ。はぁ、はぁ」

唯「大丈夫、あずにゃん!」

梓「ゆ、唯先輩……。私」

唯「も、元のあずにゃんに戻ったんだね?」

梓「私、あれを打たれたんです。きっと。そのせいで! だから!」

唯「あずにゃん?」

梓「お願いです、唯先輩……私を、殺してください…・!」

唯「そ、そんなことできないよ!」

梓「だって、このままじゃ……唯先輩を!」

唯「きっと何か、何か有るはずだよ!」

梓「……ウウ」

唯「あずにゃん?」

梓「……ふぅ。まったく。面倒な事になるところだったじゃないですか」

唯「あずにゃん!」

梓「さ、そろそろ本当に終わりです。わざわざ姿を晒してくれてありがとうございます」

唯「うぅ……」

梓「それじゃあさようなら、唯先輩」



唯(……あれ)

唯(持ってる石が、光ってる?)

唯(何で、だろう)

梓「そ、それは……!」

唯「え?」

梓「な、何でそれをお姉ちゃんが持ってるの!?」

唯「え、今なんて」

梓「くっ! もう躊躇ってなんかいられない、死んでください唯先輩!」

唯「よ、よくわからないけど、これをどうにかすればいいんだね!」

唯「ボタン……さっきは押せなかったけど、今なら押せそうな気がする!」

梓「させないです!」

唯「おねがい石太! あずにゃんを助けて!」

カチッ


シュゴオオオオオオオオオウウウウウゥゥゥゥゥウ!


梓「きゃあああああああ!」

唯「ひ、火が出た!? でも青いよ! それにあずにゃんに、当たっちゃった!」

梓「アアアアアアアァァァァァァ……」ドサ

唯「あずにゃん!」ダッ

唯「あずにゃん、しっかりして!」

梓「……」

唯「やだよぅ……あずにゃん。死んじゃやだよぅ……ヒック」

梓「……ん、ゆい、先輩?」

唯「あ、あずにゃん!?」

梓「あ……私……」

唯「よかった……よかったよぉ。あずにゃあん……グスッ」

梓「先輩、泣かないでください。私は大丈夫ですから」

唯「グスッ」

梓「唯先輩は、本当に泣き虫ですね。……しょうがないな」ギュウ

唯「あずにゃん……」

梓「しばらくこうしていていいですか?」

唯「うん……」

梓「ありがとうございます……」



数分後

唯「落ち着いた? あずにゃん」

梓「それはこっちのセリフです……」

唯「あ、えへへへ」

梓「ふふ。……それで、私の身に起こったこと、全部話しますね」

唯「うん」

梓「事の始まりは……トンネルで私がさらわれた時からです」

唯「あの時から?」

梓「はい。……あの時誰かが私の首に、多分注射をしたんです」

唯「ちゅ、注射!? 痛くなかったの!?」

梓「注射自体は大丈夫です。でも問題はその中にあったもの、です」

唯「何があったの?」

梓「そこまでは……でも。その時から、私は何回か意識を失うことがあったんです」

唯「そうなの?」

梓「はい。……でも、ふっと意識が戻ると、毎回必ず頭の中で声が聞こえたんです」

唯「どんな声?」

梓「それは……すみません、覚えてないです。でも、どこかで聞いたことが上がるような声でした」

唯「そうなんだ」

梓「はい。……でも、今はもう声は聞こえませんし、頭の中にあったもやもやも消えました」

唯「そうなの!? 良かった!」

梓「はい、唯先輩のおかげです」

唯「私の?」

梓「はい。唯先輩の持ってるその石のおかげです」

唯「これ?」ヒョイ

梓「はい。これを浴びた瞬間から、私の中の何かが消えて行くのを感じました」

唯「へぇ……何なんだろう、これ」

梓「わかりませんけど、もしかして、これを使えば、和さんや、律先輩を元に戻せるのでは?」

唯「! そうかもしれない。やってみる価値はあるね!」

梓「はい、それじゃ早速行きましょう!」  唯「おー!」


……

律「……ウウ……ミ」

さわ子「あら、こんなところにいたのね。……なんか顔が傷だらけだけど、大丈夫?」

律「ウ……ア?」

さわ子「あーあ。せっかくのかわいい顔が台無しじゃない。りっちゃんも女の子なんだから、身だしなみくらいきちんとしないと」

律「ウウウウアアアア!」

さわ子「まず少し落ち着きなさい」ガンッ!

律「ウア……」

さわ子「さて、後は縄で縛って……と」

さわ子「うん。これでいいわね」

律「ウウウウウ……」

さわ子「大丈夫。少しちくっとするけど我慢してね」

プスッ…

律「ウア、ウアアアアア!?」

さわ子「さて、後は体に馴染むのを待つだけ。馴染んだその後は。……きっと唯ちゃんがなんとかしてくれるわね」

律「ウウ……」

さわ子「……これはひとりごとよ、りっちゃん」

さわ子「仮にあなた聞こえていたとしても、聞いてるのは今のあなただから問題ないわね」

律「……」

さわ子「私がタイムマシンで過去に行って……そして戻ってきたのはムギちゃんに教えたわ」

さわ子「その後ね、ある子を過去に連れて行ったの。子供の頃のお姉ちゃんが見たいっていうから」

さわ子「そしたらね、タイムマシンが起動しなくなっちゃったの」

さわ子「勿論、私は何とかしようとしたわ。でも、どうにもならなかった」

さわ子「それから、あの子はずっと過去の時代を生きてきた。何十年とお姉ちゃんに会えることなく、ね」

さわ子「いえ、会えたとしても、それは子供の頃の姉。歯がゆい思いをしたと思うわ」

さわ子「ずっとそんな状態だったからね、ある日あの子は発狂しちゃったの。そうしたらもう誰も止められなくなっちゃった」

さわ子「私も色々と頑張ったわ。だけどね、ダメだった」

さわ子「……もっと詳しい話しが聞きたければ、その子を探して、そして、助けてあげて」

さわ子「あなた達なら、きっとそれが出来ると思うから」

さわ子「それじゃ、もう行くわね。後は頑張って、りっちゃん」

律「……サ」


……

澪「……。律」

澪「駄目だな私は。気を抜くとずっと律のことばかり考えてる」

澪「結局、成長できてないのかな。私」


ダダダダ


澪「? この音は、銃声!?」

澪「誰だ!?」

紬「あ、澪ちゃん!」

澪「ムギか!?」

紬「ええ、申し訳ないけど加勢してくれる?」

澪「任せろ!」

ダダダダダダ
タァンタァン!


紬「ふぅ……これで全部片付いたみたい」

澪「ムギ、怪我はないか?」

紬「ええ。……でも、弾薬が心許なくなってきちゃったから」

澪「私はまだまだあるけど」

紬「私のと澪ちゃんのじゃ弾の大きさが違うから」

澪「……そうか。……」

紬「何か、あったの?」

澪「……律が、立って動いて喋っていた」

紬「りっちゃん生きて……! そう、そういうこと、なのね」

澪「ああ。……それを、私が」

紬「それ以上は、言わなくていいわ」ギュウ

澪「ムギ……」

紬「ツラかったでしょう? りっちゃんがそうなったのも。りっちゃんをそうしたのも」

澪「辛かった……それに、怖かった……! 私は、あんなにも律が好きだったのに! それなのに!」

澪「律を、恐ろしいヤツだと思ってしまったんだ!」

紬「大丈夫。……大丈夫だから」

澪「私は……グス、私は……!」

紬「今は周りに誰もいないわ」

澪「ムギ……」

紬「私も、耳をふさぐべきかしら」

澪「いや、そのまま。……ぎゅっと抱きしめていて欲しい」

紬「わかったわ。このまま抱きしめていてあげる。だから」

澪「ありがとう、ムギ」




澪「――――――っ!」


……

和「……はぁ、はぁ。……ここまでくれば大丈夫でしょう」

和「なんだか、私の所にばかりゾンビが送られてる気がするわね」

和「そうなると、私を早めに消したい理由でもあるのかしら」

和「……まぁいいわ。それよりも唯を……って、ここどこよ」

和「はぁ……。まったく、あいつらのいない方向いない方向へと歩いていったら迷っちゃったわ」

和「……待って、いない方向に歩いた……?」

和「まさか、誘導された!?」

和「まずいわ。そういうことならさっさとこの位置を離れて」

憂「……」

和「誰!? ……って、なんだ憂ちゃんか。無事でよかったわ」

憂「……ねぇ」

和「憂ちゃん? ……アグッ……頭が、痛い……!」

憂「私の護衛になって……」

和「ア、アアアアアアアア!!」


和「……ユ……ィ」



……

唯「りっちゃんどこにいるの!?」

梓「多分こっちにいるはずです!」



紬「もう大丈夫?」

澪「ああ、すまなかったな。ありがとう。さぁ皆を探しに行こうか」



律「……ふあーあ。ヒマだなぁ」



憂「……お姉ちゃんどこにいるんだろう、ね」

和「……」



さわ子「……もう少しで運命の時間ね。……お願い、今回はうまく行って頂戴……」



『さぁ、果たして皆は私に会うことができるかな? ……期待してるよ、お姉ちゃん』


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最終更新:2010年01月31日 00:09