ある日の朝
和「あ、唯!おはよう」
唯「和ちゃーん♪おはよう~」
和「あら?今日は憂ちゃん、一緒じゃないの?」
唯「うん、今日は日直の仕事があるんだって」
和「ふーん…」
和(そういえば…こうやって二人で学校行くのなんて久しぶりね…)
和「最近どう?軽音部でうまくやれてる?」
唯「うん、毎日楽しいよ!昨日も澪ちゃんに上達したって褒められたんだ~」
和「へー、なんだか充実してるみたいね」
唯「してるよー?あ、そうだ和ちゃん、今日一緒にお昼食べない?」
和「え、いいの?」
唯「もちろんだよ!澪ちゃんも一緒に教室来て?」
和「じゃあ…お邪魔しちゃおうかしら」
唯「しちゃってしちゃって!みんなでにぎやかに食べよ!」
和「うん、楽しみにしてるわ」
和(唯とお昼か…なんだかずいぶん久しぶりな気がするな…)
昼休み
澪「和、お昼にしない?」
和「あ、お昼なんだけど、唯が一緒に食べないかって」
澪「そうだな…最近律たちと昼食べてなかったし、たまにはいいかもな…じゃあ行くか!」
和「あ、私職員室に寄るから先に行ってて?」
澪「わかった、また後でな」
和「ふふ、なんだかうれしそうね?律と一緒だから?」
澪「そ、そんなことない!」
和「わかったわかった、じゃあ後でね」
和「話ってなんですか?」
教師「…真鍋さん、最近成績落ちたんじゃない?」
和「え…?」
教師「生徒会のことで忙しいのは分かるけど…このままじゃ希望の大学は厳しいわよ?」
和「はい…がんばります」
和(はあ…確かに最近、勉強が大変になったかも…)
和「はーあ…」
和(なんか勉強とか生徒会のこととか…色々大変だな…)
和「あ、いけないいけない、こんな辛気臭い顔してたらみんなに悪いわよね」
唯の教室
和「あ、いたいた…みんな遅くなってごめ…」
唯「…でさー、りっちゃんたら居眠りしちゃったんだよ?」
律「それ以上言わなくていい!」
澪「相変わらずだなお前は…」
紬「うふふ、りっちゃんらしくていいじゃない!」
唯「だよねー、あははは!」
和「……」ズキン
和(あれ…?)
和「……」
和(やっぱりいいや、戻ろう…)
和(って、なんで私こんなコソコソしてるんだろ?…みんな待っててくれてたのに…)
和「あ、そういえば…」
和(唯って…あんなにしゃべってあんなに笑う子だったっけ…?前はもっとボーッとしてたのに…)
澪「和、どうして昼休み来なかったんだよ?みんな心配してたぞ」
和「あ…ごめんなさい、先生の話が長くて」
澪「そうなのか…あ、唯が放課後音楽室に来てだってさ」
和「うん、わかったわ」
和(なんの用かしら?…なんかあまり行きたくないな…)
放課後
和「…唯?今一人?」
唯「あ、和ちゃーん!んもー、昼休み楽しみにしてたのになんで来なかったの?」
和「ごめんちょっとね…それで、なんの用?」
唯「うん、今日部活終わったらみんなでお茶飲んでいかない?たまにはいいでしょ?!」
和「みんなでお茶…」
和「…あのさ唯、二人じゃダメ?ちょっと話したいことがあるの」
唯「えー、どうして?大勢のほうが楽しいよ!」
和「ねえ、いいでしょ?どうしても二人で行きたいの!」
唯「う、うん…そこまで言うなら…わかったよ、じゃあ玄関のとこで待ち合わせね?」
和「うん、ありがと」
和(たまには唯と色々話そう…前みたいに二人で…)
生徒会長「ちょっと真鍋さん!生徒会のアンケート、2年生の分まだ集まってないの?」
和「あ…すみません、もう少しなんですけど…」
生徒会長「それから部長会議のプリント作りだってまだでしょ?しっかりしてね?」
和「す…すみません…」
和(私…こんなに仕事できなかったっけ?)
和「はあ…なんか疲れちゃった…」
和(…こうなったら、唯にとことん話聞いてもらわなきゃ!そうすれば、こんなモヤモヤも…)
唯「おーい!和ちゃーん!」
和「あ!遅いわよ唯…」
律「おー和、おつかれー」
澪「今まで生徒会の仕事だったのか?お疲れさま」
和「う、うん…唯?なんでみんなが?」
唯「えへへ、ごめんね?
和ちゃんとお茶するって言ったら、りっちゃんがみんなで一緒に行こうって」
律「和ー、二人だけじゃ盛り上がらないぞー?みんなでパーッとやろうぜ?パーッと!」
和「う…ん…」
和(…なによ唯、あんなに二人で行こうって言ったのに…ちゃんと断ってよ…)
紬「でもみんなで行って大丈夫?」
和「え、ええ、構わないわよ?」
梓「律先輩、早く行かないと暗くなりますよ?」
律「よーし!じゃ行くか!」
唯「おーう!」
和「……」
唯「…でね、りっちゃんたら午後にも居眠りしちゃったんだよ?もう先生カンカン!」
律「だー!もういいだろその話は!」
澪「懲りないヤツだなお前は…」
紬「りっちゃんたら、神経が図太いのね!」
梓「…それ、褒めてるんですか?」
和「……モグモグ」
和(はぁ…全然会話に混ざれない…来るんじゃなかったかな…)
唯「あ、そういえばこないだのテスト結果返ってきたんだけど」
和「……!」
唯「ちょっとだけど成績上がったんだー」
律「へえ、ゆ、唯にしちゃすごいな」
澪「お前焦ってるだろ?」
律「んなこたない!」
和(そっか…唯、成績上がったんだ…私が教えなくてもできるのね…)
紬「あらあら…でも頑張ったわね唯ちゃん」
唯「いやーそれほどでもあるよー」
律「ちょっとは謙遜しろ!ところで和はどうだった?」
和「わ、私!?え、ええと…」
唯「和ちゃんだったら大丈夫だよねー?」
和「…その…」
和「い…いつもと…変わらなかったわ」
唯「そっかー…でも和ちゃんは完璧だもんね!勉強なんかちょちょいのちょいやで!」
律「そうだなー、和はしっかりしてるよな」
梓「唯先輩の幼なじみには思えないですよ」
澪「確かに…まったくの正反対だな」
唯「むー、あずにゃん澪ちゃん、どういう意味!?」
紬「あらあら怒っちゃった♪」
和「……」
和「勝手なこと…言わないでよ…」ボソ
律「ん?なんか言ったか?」
和「…ごめんなさい、私もう帰るわね」
唯「え、もう?まだいいでしょ~?ケーキ食べようよ~」
和「帰るって言ってるでしょ!?」
唯「…!?」
澪「ど、どうした和?」
和「…なんでもない。それじゃあまた…」
律「なんだよ和のヤツ、いきなり大きな声出すなんて」
紬「なにか悪いこと言っちゃったかしら…」
梓「唯先輩?どうしたんですか?」
唯「もしかしたら私、和ちゃんを怒らせちゃったかも…ごめん、私も帰るよ」
和(私、なにやってんだろ…唯に怒鳴るなんて…)
唯「和ちゃーん!」
和「あ、唯…」
唯「えっと…さっきはごめんね?私、なにか悪いこと言っちゃったみたいで…」
和「ううん、いいのよ…私こそごめんなさい」
唯「うえ?和ちゃんは謝らないでよ!」
和(ふふ…なんだかいつも通りね…)
唯「それから、今日二人でって言ってたのにごめんね?つい…」
和「もういいんだって」
唯「それで、なにか用事あったの?」
和「うん…よかったら話、聞いてくれない?」
唯「うん、いいよ?」
和「…ってわけでね?生徒会が色々大変なのよ」
唯「ふうん…」
和「唯、なにかアドバイスない?あまり期待してないけど」
唯「うーん…和ちゃんならいつも通りで大丈夫じゃない?」
和「そう…」
和(唯…なんか上の空って感じ…)
和「そういえば唯…」
唯「…ごめんね和ちゃん、私そろそろ帰らなきゃ!憂が心配するし」
和「え…そう?」
唯「うん、じゃあまた明日ね!生徒会のことも頑張ってね?」
和「あ、ありがとう…」
和(頑張ってね…か…まさか唯に励まされるなんて…今度、ケーキでもおごってあげなきゃ)
翌日
和(今日、ケーキ屋に連れてってあげよう…あの子きっと喜ぶわよね)
唯「あ、和ちゃん…」
和「おはよう唯!今日なんだけど…」
ドカッ
律「ぐっもーにんゆーい!教室まで競争だ!」
唯「おふっ…痛いよりっちゃん!まてー!」
澪「朝から元気だな…おはよう和。昨日は悪かったな」
和「うん…」
和(あの子…前は私に会ったら絶対挨拶してきてたのに…)
教師「ちょっと真鍋さん!聞いてるの?」
和「は、はい?」
教師「今日の放課後、特別補習やるから参加しなさい?
真鍋さんは希望の大学行くなら受けないとダメよ?」
和「あ…はい…」
和(忘れてた…嫌だな…)
和(そういえば…アンケートも今日中に集めて持っていかなきゃ…プリントづくりも…)
和「……ハァ」
和(もう…やだ…)
澪「和?今日の昼なんだけどさ、音楽室で食べるんだけど一緒に行かないか?」
和「唯もくるの?」
澪「ああ、軽音部と和で、6人でなんだけど」
和「うん…行くわ!」
昼休み
和「それで唯って居眠りとかよくするでしょ?」
紬「うーん…あまりしてないわねえ」
唯「そうだよ和ちゃん!私は真面目だから!」
律「落書きはよくしてるけどな」
唯「あうう…」
和「へえ…そうなんだ…」
和(前は毎日してたのに…)
和「でもみんなに色々迷惑かけたりしてるでしょ?」
澪「うーん…ドジはするけど、迷惑ってほどじゃないかな」
梓「意外としっかりしてますよね」
唯「えへへ~もっと褒めて~?」
律「意外と…だけどな?」
和「で、でも!」
和「でも…まだ唯はダメなとこいっぱいあるでしょ?
昔から私がいないとホントになにもできなくて…」
律「なあ和、そこまで言わないでも…」
澪「そうだよ、唯だって軽音部入ってしっかりしてきただろ?」
唯「そうだよーひどいよ和ちゃーん!」
和「だって…だって唯は…」
和「…そうだ唯、今日二人でケーキ食べに行こう!おごってあげるから」
唯「え?でも…」
紬「今日…ケーキ持ってきちゃったの…」
梓「じゃあみんなで食べればいいじゃないですか!」
和「でも…きっとお店のほうがおいしいし…ね、いいでしょ?」
唯「和ちゃん…?」
澪「それに和、今日補習があるんじゃないのか?生徒会の仕事だって…」
和「それは…そうだけど…」
律「唯なら大丈夫だって!私たちが責任持って面倒見るからさ!」
和「……」
唯「ねえ和ちゃん、ケーキならまた今度にしよう?だから…」
和「な…なんでよ…」
唯「え?」
和「なんで…あんたは…」
唯「ん?なに?」
和「なんでもない…私、先に教室戻るわ」
唯「そ…そう?」
和「またね、唯」
唯「うん…」
律「なんだ和のヤツ…昨日からなんかおかしいな」
梓「なにがあったんでしょうか?」
澪「なんか悩み事でもあるのかな…」
紬「唯ちゃん、なにか知らない?」
唯「うーん…もしかしたら…」
放課後
和「会長、アンケートとプリント、用意できました」
会長「あ、お疲れさま。これからはもっと早くね?」
和「はい…これから補習なので失礼します」
和(律もああ言ってたことだし、唯のことは軽音部に任せよう…だって私はもう…)
唯「和ちゃーん!」
和「唯…部活は?」
唯「休んじゃった!」
和「休んだって…どうして?」
唯「だって和ちゃん言ってたじゃない!二人でケーキ食べようって」
和「でもケーキなら…」
唯「うん、ムギちゃんが持ってきたのおいしそうだったけど…りっちゃんにあげちゃった」
和「どうして…そんな…」
唯「だって和ちゃん、私と遊び行きたかったんでしょ?」
和「うん、まあ…」
唯「考えてみたら、最近部活ばっかで和ちゃんと二人になれなかったもんね!」
和「そう…ね」
唯「どしたの和ちゃん?やっぱり行きたくなかった?」
和「そうじゃないの…ねえ、唯」
和「あんた…部活楽しい?」
唯「もちろん!楽しいよ!」
和「そうよね…初めて夢中になれるものを見つけて、大切な仲間と居場所も見つけたんだものね…」
唯「うん、みんな大切な仲間だよ!」
和「じゃあもう…私は必要ないんじゃない?」
唯「え?」
最終更新:2010年01月02日 17:52