唯「な、なんで?」
和「幼稚園からずっと一緒にいたけど…軽音部に入ってからのあんたは、
私が見たことない表情ばかりしてたわ」
唯「それはただ…」
和「あんたがいるべき場所は私の隣じゃなくて、音楽室なのよ」
唯「違うよ!和ちゃんだって…」
和「勝手で悪いけど…部活、行って?出かけるのはいつでもいいんだから」
唯「でも、でも…」
和「いいから行って!早くしないと律にケーキ食べられちゃうわよ?」
唯「う…」
和「じゃあ私…今から補習だから」
唯「む…ダメ!」
和「え?な、なに言って…」
唯「和ちゃんは相変わらず嘘つくの下手だよ!真面目なんだから似合わないことはやめなよ?」
和「わ、私は嘘なんて…」
ガシッ
和「ちょ、ちょっと唯、動けな…」
唯「和ちゃん、私には和ちゃんが必要だよ?」
和「だ、だって…あんたは軽音部のみんなといる方が…」
唯「確かにみんなといると楽しいけど…和ちゃんがいないと落ち着かないよ」
和「落ち着かない…?」
唯「うん、和ちゃんは…そうだなあ、もう一人のお母さんみたいだから甘えたくなるの」
和「……」
唯「だからーん、一緒にケーキ食べにいこ~?」スリスリ
和「甘えてるのは…私よ…」
唯「え?そんなこと…」
和「あんたに甘えてるのは…私なの!」
唯「そんなことないって!だって和ちゃんは…」
和「私…ホントは最近成績下がったのよ…」
唯「そ…そうなの?」
和「成績下がって…生徒会のことも上手くいかなくて…
なんかモヤモヤして…それををあんたにぶつけようとしたの」
唯「そう…だったんだ…」
和「あんたは私のこと完璧だって言ったけど…そんなことない…私はあんたに甘えてるだけ…」
唯「大丈夫だよ、だって私たち幼なじみじゃない!甘えたっていいんだよ?」
和「唯…」
唯「勉強のことはよくわからないけど…和ちゃんならきっと大丈夫!成績ならすぐ上がるよ!」
和「唯…」
唯「生徒会のことは…えーと、えーと、とにかく頑張って!」
和「プッ…なにそれ…抽象的すぎよ」
唯「ええ…そうかなあ?」
和「でも…ありがとね、唯」
キーンコーン…
唯「あ、補習…結局始まっちゃったね」
和「あーあ、唯のせいでサボっちゃったわ。明日先生になんて言おうかしら」
唯「わ、私のせい!?」
和「しょうがないから、もう少しこのまま二人でいてよね?」
唯「うん…いいよ」
……
律「あれ…なにがどうしてどうなった?」
澪「なにがなんだか…とにかくいい雰囲気だな…」
紬「放課後、階段の陰で二人きり…うふふふふふ…」
梓「むっ…ムギ先輩、目が怖いです…」
……
唯「あぅ…」
和「どうしたの?」
唯「ご、ごめん和ちゃん…おトイレ行ってくる…」
和「はぁ…早く行ってきなさい?そしたらケーキ食べに行きましょう」
唯「はーい…」
和「あの子…将来恋人が出来ても普通にトイレ行きそうね…」
紬「じゃあ和ちゃんが恋人になればいいのよ!」
和「きゃあ!?ど、どうして…」
梓「すみません、全部見てました…」
律「幼なじみっていいなあ!澪、私たちもラブラブするか?」
澪「するか!でも、私たちの言ったとおりだろ?和」
和「え…?」
澪「お前が思ってるよりずっと唯はしっかりしてるだろ?」
和「うん…そうね」
律「今日はいいからさ、二人でケーキ食べに行ってこいよ!ぜひ!」
梓「律先輩、唯先輩のケーキ全部食べちゃいましたもんね…」
紬「頑張ってね?じゃあまた」
和「な…なにを頑張るの?」
唯「お待たせ~じゃあいこ~」
和「そ、そうね!」
唯「楽しみだな~なに食べようかな~」
和(この感じ…久しぶりだな…)
和「あまりはしゃがないの!じゃあ唯、行くわよ?」
唯「うん!」
唯「和ちゃん、ケーキなに食べるの?」
和「えーと…着いてから決めるわ」
和(唯と出かけるの滅多にないし、ゆっくりしよう…)
唯「和ちゃん、なんだか楽しいね!」
和「そ…そうね…」
……
和「ふう…なに食べようかしら」
唯「私チョコケーキ!」
和「はいはい…えーと私は…喉かわいた…水飲もう」
唯「あ、私和ちゃんに聞きたいことがあったんだけど」
和「なに?ゴクゴク…」
唯「好きな人とかいないの?」
和「ゲホッ!」
和「い、いきなりなにを聞くの!?」
唯「だって高校生だし…」
和「い、いないわよ…いるわけないでしょ?」
唯「そっかー、私もいないから仲間だね!」
和「そうね……じゃあ唯、気になる人とかは?男の子じゃなくて女の子でも…」
唯「うーん…」
唯「そうだなあ…強いて言うならりっちゃん…かなあ」
和「え?り、律?なんで?」
唯「いつも元気だし面白いし…一緒にいると楽しいから!」
和「ふうん…そ、そうなんだ…」
唯「まあ友達としてだけどね!」
和「ふうん…そうなんだ…ふうん…」
和「律か…へえ…律ね…」
唯「和ちゃん、なに食べるか決めた?早く注文しようよ」
和「そ、そうね…モンブランでいいわ…」
唯「お姉さん!チョコケーキとモンブラン一つずつ!」
和(ふうん…唯、律みたいな子が好きなんだ…ふうん…)
和(そういえば唯は昔から元気な子とよく遊んでたわね…やっぱりそういうタイプが好みなのね…)
唯「んー♪ケーキおいしい~和ちゃんも早く食べなよ!」
和「わ…わあ!モンブランだー!おいしそう!…だ…ぜ…」
唯「の、和ちゃん?いきなり大声出してどうしたの?」
和「……なんでもない」
和「…ねえ唯、メガネってどう思う?」
唯「ふぇ?なにいきなり」
和「私ずっとメガネだけど…やっぱり外した方がいいかしら?」
唯「和ちゃんは和ちゃんだし…メガネのほうがいいと思うよ?」
和「そ…そう…そうよね」
和(さっきからなに聞いてんだろ私…)
憂「あれ?お姉ちゃんに和さん?珍しいね!」
唯「憂!どうしてここに?」
憂「純ちゃんと一緒に来たんだけど…お姉ちゃんたちは?」
和「ちょ、ちょっとね…あはは」
唯「あぅ…ジュース一杯飲んだから…」
憂「お、お姉ちゃん?」
和「…早く行ってきなさい」
唯「お恥ずかしい…えへへ…」
憂「じゃあ私、純ちゃんが待ってるんで…」
和「ねえ憂ちゃん…一つ確認したいことがあるんだけど」
憂「はい?なんですか?」
和「唯って…いつもお昼パンよね?」
憂「え?まあだいたい…」
和「そう…ありがとう」
憂「和さん…?」
翌日
律「あ、唯だ!どれ、昨日上手くいったか確かめてやるか…おーいゆ…」
和「お…おはよう唯!元気!?」
唯「あ、和ちゃんおはよう、元気だよ?」
和「そ…そう!それはよかったわ!」
律「なんだ和…変にテンションが高いな…」
唯「あ、りっちゃん!おはよ~」
律「おはよ~ゆ~い~!昨日は和とどうだった?」
唯「楽しかったよ?ケーキもおいしかったし!」
律「そうか!和、上手くいってよかったな?」
和「…ありがと」
律「あり?の、和?」
和「唯、お昼なんだけど…今日も一緒に食べない?」
唯「え?いいよ!また教室きてね?楽しみにしてるよ!」
和「うん…律も一緒に…ね…」
律「あの…和?なんでそんな怖い目で見るのかな?光るメガネがなんか怖い…」
和「…なんでもないわ」
昼休み
澪「じゃあ行くか、和」
和「ええ、そうね」ゴソゴソ
澪「あれ?なんで弁当二つあるんだ?」
和「ちょ、ちょっと…ね」
和(たまにはいいわよね…幼なじみだし、お弁当作るのって普通よね…)
澪「じゃあ食べるか」
紬「いただきます♪」
律「お、唯はまたメロンパンか?」
唯「うん…でもおいしいからいいんだあ、ちょっと飽きたけど」
律「よし、じゃあ私がおかずを分けて…」
和「唯!今日は私がお弁当作ってきてあげたから食べなさい!」
唯「え、和ちゃんが?」
紬「愛妻弁当ね!」
澪「いや多分違う…」
和「いつも同じパンじゃ飽きるでしょ?あり合わせだけど、食べなさい!」
唯「和ちゃ~ん!ありがとう~」
和「いいのよ、幼なじみなんだし…」
律「なんだよその勝ち誇ったみたいな顔は!」
唯「モグモグ…」
和「ど…どう?」
唯「おいしい!さすが和ちゃんだよ!」
和「そ、そう?ならいいけど…」
澪「でもなんでいきなり?」
紬「うふふ…いいことじゃない!」
和「そうよ、幼なじみなんだし、別に変じゃないわ」
律「なんだよこの無言の圧力…」
紬「…ねえ唯ちゃん、この中でもし結婚するなら誰がいい?」
和「ゲホッ!な、なに聞いてるの?」
澪「ごはんつぶがメガネに…」
唯「うーんそうだなあ…昨日も似たようなこと聞かれたけど…やっぱり、りっちゃんかなあ?」
律「え?私?」
和「……」
唯「りっちゃん、元気でおもしろいし、一緒にいたら楽しそうだもん!」
紬「あら、そうなんだあ!」
律「なんだよ唯~!うれしいこと言ってくれるな~!」
唯「えへへ~あ・な・た?ご飯にする?お風呂にする?それとも私?なんちゃって!」
律「唯、今夜は寝かさないぜ!なんちゃって!」
澪「なに言ってんだか…」
和「…でも明るさだけじゃ結婚生活は上手くいかないわよね」
澪「え…?和?」
和「安定した結婚生活にはやっぱりある程度の落ち着きも必要だと思うわよ?唯」
唯「え…?あ…うん」
律「な、なんだか知らないけど…和!お前、私に恨みでもあんのか?」
和「別にないけど…元気でおもしろいってだけで結婚するのはどうかと思って」
律「んなにぃ~!」
紬「あらあら大変♪」
最終更新:2010年01月02日 17:58