唯『私は、ここから二人を見ることしかできなかったけどね』

憂『私は、一度来たっきりかな』

唯「ともかく、ここで暫く休んで。……んん?」

憂「どうしたの、お姉ちゃん」

唯「ねぇ、あそこにいるのって、憂じゃない?」

憂「あ、本当だ。私だ……」

憂『あれは。……私が計画を進めていた時だ』

唯『と言うことは、過去の映像、ってこと?』

憂『うん。でも、どうして過去の映像が……』

唯「止めに行く。……ってことかな」

憂「そうかもしれない。……行こうか、お姉ちゃん」

唯「この壁の中に入れば、過去に飛べるのかな」

憂「多分、そうだとおもうけど」

唯「そういえば、さわちゃん先生が過去を変えたっていってたけど、そしたら私たちはどうなるんだろう」

憂「う~ん、私もよくわからないんだよね。……でも」

唯「でも?」

憂「きっと、それは平和なんだと思う。憂さんも、お姉ちゃんに会えて……そういう世界なんだと思う」

憂『パラドックス。……でも、私もそうなればいいな』

唯『きっとなるよ。だから、過去の憂を説得しに行こう!』

唯「うん、皆で行けば、きっとわかってくれるよね」

憂『どうだろう、でもうまく行って欲しいな』


唯「よーし、それじゃあいこう! この騒動を終わらせに!」


唯『すべてを終わらせて、全てが始まらないように』


ヒュウウウウゥゥゥゥゥゥウウ

唯「おお、見慣れたこの世界!」

憂「ここはまだ崩壊してないんだね」

唯『始まった時から崩壊してたら始まらないからね』

憂『お、お姉ちゃん。……そろそろおろした方が』

唯『大丈夫!』



憂【なっ……お姉ちゃん!? ……が二人、ずつ!?】


唯「おー、三人目の憂だね」

憂「ここ暫くずっと鏡を見てる気分だよ……」

憂『三面鏡?』

憂「ですね……」

憂【あ、あなた達はいったい……!?】


唯「えぇとね。この災害を終わらせに来ました!」

唯『こんなことしなくても私に、じゃなかった、お姉ちゃんに会えるんだよってことを言いに来ました!』

憂【ちょ、ちょっとまって。これは一体何なの!? 何で私がいて私の子供の頃がいてお姉ちゃんがいてお姉ちゃんの……】

唯「こんがらがってるね」

憂『私が同じ状況になったら間違いなく同じことを言う自信があるからね』

唯『あんまり難しく考えなくていいんだよ。……とにかく、お姉ちゃんに会えば憂としてはそれで幸せなんだよね』

憂【……ちょっと待って、何? 私がお姉ちゃんに会えないのを知ってて皆はそんなに見せつけてるの?】

唯『だからね、ええと、つまり』

憂『お姉ちゃん。……多分そう言っても私は、というか憂としては納得しないと思う』

憂「確かに。これで納得してくれたらここまでややこしい話しにはならなかったでしょうから」

唯「それじゃ、どうするの?」

憂「う~ん、とね。どうするのって言われても……」


憂『ねぇ、堕辰憂と蚕子がやられたら、私たちの話しを聞いてくれる?』

憂【……その存在を知ってるってことは、やっぱり、未来か過去の私なんだね】

憂『うん。そのとおり』

憂【……わかった。状況はよくつかめないけど、お姉ちゃんに会えて幸せそうなあなた達を見るとイライラするから】

『ィィィィィィィィイイイイイイイ!』

唯「おお、あれは初めて見たよ!」

憂『あれは梓ちゃん達が倒したから、お姉ちゃんは見てなかったんだね』


『ゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウ!』


唯『そして、堕辰憂』

唯「えっと、でも今回も姿が消えるんだよね」

唯『そうだね。……でも、ほら。そこにいるから』

唯「あ、本当だ。よーし、がんばっちゃうぞ!」


憂【あと、もう一人】

『ホオオオオオォォォォォォ!』


憂「じゅ、純ちゃん!?」

憂『純ちゃんまで呼び出したんだ。……本気なんだね』

憂【当たり前じゃない。……さぁ、せいぜい頑張って倒してみてよ、この三匹相手に!】


唯『役割分担!』

唯「え?」

唯『私が蚕子を倒すから、唯ちゃんは中の人と協力して堕辰憂を倒してね!』

唯「おお、適材適所!」

憂『元気だね』

憂「それがお姉ちゃん達のいいところでもありますから。……さて」

憂『憂ちゃん?』

憂「私は、もう一度純ちゃんを助けに行ってきます」

憂『そっか。……私も手伝ってあげたいんだけど』

憂「大丈夫です。一度助け出した相手ですから」

憂『わかった。……無理はしないでね』

憂「憂さんこそ」


唯「さぁ、頑張るぞー!」

唯『おー!』

憂「……おー!」


唯『と、いったものの。ういえんはまだ手に持ってるしね』

『ィィィィィィィイイイイイイイイイ!』

唯『実を言うと、そんなに苦労しそうもないんだよね~』

『ィィィィィィィイイイイイイイ!』

唯『えいっ』カチッ


シュゴオオオオオオオォォォォォォォ


『ィィィィィイイイイイイイ!』


唯『ほら、ういえん使っただけで結構ダメージ食らっちゃってるでしょう?』

『ィィィィィイイイイイイ!』

唯『突進してきたのなら、今度はこっちのボタンを』カチッ


シュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ!


唯『上から落ちてくる炎で、割と簡単に対処できるんだよね~。……ういえん。これすっごく強いよねぇ……』


唯「えぇと、いた! 中の人!」

【えっと……いまいち状況がよくつかめないんだけど、憂を助けに来た唯ちゃん……で合ってるのかな?】

唯「うん。今はねぇ、えっと、アクションゲームにありがちな、過去のボスと再び戦ってる時なんだよ!」

【お~、あの時は苦労したけど、攻略法さえわかれば楽に戦えるよ、って奴だね!】

唯「うん! というわけで、堕辰憂が何処にいるかわかる……よね?」

【勿論! ……えっと、ういえんに二つのボタンがあるのはわかるよね】

唯「大丈夫! 唯ちゃんに教えて貰ったから!」

【うん、それさえわかってれば大丈夫。……あ、右から来るよ!】

唯「おっけー! まかせて! えいっ!」カチッ


シュゴオオオオオオォォォォ


『ゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウ!』


【その調子だよ!】

唯「えっへん!」フンス

憂「さて、それじゃ純ちゃん、もう一度助けて上げるね」

『ホオオオオオォォォォォ!』

憂「大丈夫。あの時と違ってお姉ちゃんはいないけど。……でも、私一人でもやれるんだ!」

『ホオオオオォォォォォl!』

憂「それに、あの時とは場所が違う! 赤い海に隠れてる暇なんてないよ!」

『ホオオオオオォォォォォォ!』

憂(……聞こえる? 純ちゃん?)

(……ウ、イ?)

憂(良かった、ちゃんと自分の意識を持ってるんだね。なら)


『ホオオ  オオォォ ォ  !』


憂「その動きも、若干だけど止まってくれたね」

憂「アンムギ!」

ザシュッ!

『ホオオオオオォォォォォ!』

憂【……信じられない】

憂【いくらういえんを持ってるからと言って、こんなに簡単にやられてしまうの?】

憂【……こうなったら】

憂『こうなったら、何をするの?』

憂【な、い、いつの間に後ろ側に】

憂『悪いけど、私自身、たってるのも辛いくらいだから。……よいしょっと』

憂【ちょ、ちょっと、後ろから抱きつかないで!】

憂『ごめんね。こうすれば、私も楽だし、あなたもなにも出来ないからいいかなって』

憂【う……】

憂『それよりも、ちゃんと見てね。……お姉ちゃん達が、あなたの計画を壊すところを』


憂【……はぁ。こうするってことは、何か他にやらなくちゃいけないことがあるんでしょう?】

憂『うん。……でもその前に、よーく耳を傾けてみて?』

憂【耳を……?】

憂『うん。……特に、今堕辰と戦ってるお姉ちゃんのいる辺りに、意識を集中して』

憂【……?】


憂【……なんだろう、お姉ちゃんが誰かと話してる……?】



憂【この……声って】

【     

憂【だんだん聞こえるようになってきた。……でも、この声って】

【       】

憂【この、声は……!】

【      るよ】

憂【まさか……そんな!】

【そうそう、今度は左側から来るから! 気をつけて!】

憂【まさか……お姉ちゃんなの!?】


憂『そう、よかった。……ちゃんと聞こえたんだね』

唯「これで、終わりだよ!」カチッ


シュゴオオオオオオォォォォォォ!


『ゥゥゥゥゥゥウウウウウウウ……』



【おお、やったね!】

唯「最後に和ちゃんから借りたこの刀で。……え~い!」


ザシュッ!


『        ゥゥゥゥゥ……』


唯「ふ~、こっちは終わったよ!」


【お疲れ様! 初めてとは思えないくらい手際が良かったね】

唯「二回目だから!」


唯『ふ~。こっちも終わったよ~』

唯「お~、怪我一つしてないね」

【歴戦の勇者だね!】

唯『唯ちゃんこそ、すごいよね~』

唯「中の人のおかげだよ~」

【そんな……唯ちゃんが凄いからだよ~】


憂「あの、凄い自画自賛になってるんですけど……」

唯「おお、憂! 大丈夫だった?」

憂「うん。……純ちゃんもやっぱり苦しかったみたいだから、早めに終わらせなきゃ、って思って」

唯『……やっぱり、憂は優しい子だね』

憂「お姉ちゃん……達が隣にいるからだよ」


憂『みんな、お疲れ様』

唯『憂! 私の勇姿、見てくれてた!?』

憂『うん! ……とっても、格好良かったよ!』


憂【お姉ちゃん……】

【憂。……皆はアレらをやっつけたんだから、今度はが話を聞いてあげないとね】

憂【うん。……わかってるよ、お姉ちゃん】

【……え? い、今。私の声】

憂【聞こえてるよ。聞こえるよ、お姉ちゃん!】

【憂……。憂!】

憂【お姉ちゃん!】



唯「やっぱり、憂の隣には私がいないとね」

憂「そうだね。……本当に」

唯『さて、それじゃ。いよいよ本番に入らないとね』

憂『ほ、本番……!?』

唯『うん。今から、えぇと。先に唯ちゃんを助けて、それで……えぇと、なにするかはわからないけど』

憂『あ、本番って……そういう意味だったんだね』

憂(どういう意味に思ったんだろう……)

憂【でも、お姉ちゃんがどうしてこの中に入ってるの?】

唯『詳しく話すと長くなるので、簡単に話すと』

唯「かくかくしかじか!」

憂「お姉ちゃん、口で言っても伝わらないんだよ、それ」

唯「そうなの!? 私、この言葉って何でも伝えられる魔法の言葉だと思ってた!」

憂「う~ん、あってるけど、間違ってるよ……」


唯『とまぁ、こういう事を、私たちはしてきたわけで』

憂『後は、あなたが計画を発動させなければ、何も怒らないことに変わりはないんだけど』

憂【うん。私はお姉ちゃんに会えただけで満足だから。……でも、あなた達の話しからすると、この中のお姉ちゃんをどうやって元に戻すの?】

唯「それは……やっぱり」

憂「今のお姉ちゃんを見ればわかりますけど、血を塗れば……」

憂【でも、さっきお姉ちゃんを助けたので、皆大分血がなくなってるんでしょう? なのに】

【あれ……?】

憂【どうしたの? お姉ちゃん】


【えっとね、なんだか体が光って……な、何か変な感じだよぉ】

憂【お姉ちゃん!】

憂『お姉ちゃん!』


唯『う、憂! これ以上血を流したら死んじゃうよ!』

憂「……私、こんな感じになるのかなぁ」

唯「あ、憂。どうしたの?」

憂「ううん。……ちょっと、将来が不安になってきた」

唯「大丈夫。憂の将来は私が守ってみせるから!」

憂「そ、それは。……貞操とかそういった話でしょうか?」

唯「憂? 顔が赤いけど大丈夫?」


【うわわわわ、何? 何なの!?】

憂【お姉ちゃん! 大丈夫!?】

【うわああああ!】


ヒュウウウアアアアアアアアアァァァァ……

唯【おお】

唯『な、何もしないのに』

唯「元に戻ったね~」

憂【お姉ちゃん!】ギュッ

唯【わわ、憂。は、恥ずかしいよ、皆が見てる前で!】

憂【そんなことないよ! お姉ちゃん、お姉ちゃん!】



唯『でも、どうして元に戻ったんだろう』

憂『因果律の逆転。……とか、かもしれないね』

唯「いんがりつのぎゃくてん。……それって、第三話ぐらいにありそうだよね」

憂「え、何が?」


唯【ともかく、私が戻ったんだから、一段落ついたよね】

憂【うん。……お姉ちゃんに会えれば、後はもうどうでもいいよ】

唯『さて。……ここから、何をすればいいんだろ』

唯「何をすればいいって。……だってこれで事件は終わるわけだから。……あ、でも」

憂「うん。それじゃ、憂さんが何十年も暮らしてきた事に変わりはないんだから」

唯「そうすると、憂がこうなった原因をとめに行くわけだから」

憂「……えぇと、簡単に言うと憂さんがタイムマシンを使う辺り?」

唯「でも、そしたら憂が災害に巻き込まれてるわけだから」

憂「憂さんが巻き込まれた時の犯人の憂さんの自殺を止めに」

唯「でも、その憂の原因を起こして自殺した憂もその前の憂にいよって不幸になったわけだから」

憂「憂さんの前の憂さんの前の憂さんの前の憂さんの」


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最終更新:2010年01月31日 12:04