‐キッチン‐

律「澪~、何で今日は一人で行っちゃったんだよ~!」

澪「私にも事情があるんだよ」

律「事情って?」

澪「まあ、色々あるんだよ(ダイエット中だし)」

律「色々って何だよ?
 教えてくれたっていいだろ」

澪「私のことは放っといてくれよ(ダイエット中だし)」

律「悩みがあるなら教えてくれよ、私ならいつでも相談にのるからさ!」

澪「お前になんか相談出来るわけないだろ!(ダイエット中だし!)」

律「えー……」



第五十五話「言わなくちゃ伝わらないけど言いたくないこと」‐完‐



 ‐ホール‐

唯「あっ、純ちゃんの代理は姫子ちゃんなんだ」

姫子「ムギから電話があってね、暇なら来てくれないかって」

唯「どっちにしろ暇なんだけどね」

姫子「だね」

姫子「あ、そうそう。
 唯の友達だっていう子が来てるみたいだよ」

唯「えっ、どこどこ?」

姫子「あそこ」

憂「お姉ちゃーん、私アイスティーね!」

純「私はコーラでお願いします!」

梓「えーと……私はオレンジジュースで」

唯「アイスティーとオレンジジュースとタバスコ持ってきて、姫子ちゃん」



第五十六話「サボり魔神への手向け」‐完‐



純「あはは、私の注文忘れてますよ唯先輩」

唯「コーラもタバスコも似たようなものだよ、純ちゃんが倒れるか倒れないかの違いだよ」

純「それは似ていると言いませんよ」

梓「純にはわからないと思うけど、コーラもタバスコも同じ液体なんだよ?」

純「それぐらいわからないとでも思ってるのか!」

憂「それならわかるよね、タバスコとコーラが似ているものだって」

純「同じ液体だから似てるって言うなら、憂はタバスコとアイスティーが似てると思ってるの?」

梓「えっ」

憂「純ちゃん、色々と大丈夫?」

純「いや、先に言ったのそっちじゃ」

梓「とりあえず頭が悪そうだから、いい塾を紹介するよ」

憂「塾だけで何とかなるかな……」

梓「いざとなったら、私達も協力しようよ」

憂「そうだね、どんな純ちゃんでも純ちゃんだもんね」

純「……何でそこまで言われなくちゃいけないの!?」

唯「働いてないからだよ」



第五十七話「魔神に下される制裁」‐完‐



唯「純ちゃん元気そうだし、仕事したら?」

純「梓の方が元気そうじゃないですかー」

唯「梓ちゃんはバイトじゃないでしょ」

唯「それよりも、サボりの純ちゃんが働くべきだよ」

純「ふっふっふっ……」

唯「その不敵な笑いは何?」

純「唯先輩はわかってないようですね」

唯「えっ?」

純「私はバイトにでる度に、このようにサボっていたじゃないですか」

唯「うん」

純「つまりサボること自体が、私の仕事なんですよ」

唯「ん?」

純「よって、私は今めっちゃ仕事してるんです」

唯「働いてよ」



第五十八話「魔神のお仕事」‐完‐



 ‐キッチン‐

律(澪が私に相談出来ないこと……?)

律(相談出来るわけないだろ、とまで言われてしまったし)

律(私って、実は澪に信頼されてないのかな)

律(だよなあ、いつもちょっかいばっかり出してたしさあ)

律(親友であっても、相談相手では無いんだな)

律(……いつまでもクヨクヨしていても仕方ない!
 ちゃっちゃと仕事を済ませてやるか!)

姫子「律、タバスコあるかな?」

律「タバスコだな。
 ……ほら、これだろ?」

姫子「えっ、これは」

律「遠慮するなって」

姫子「いや、だってさ」

律「いいから丸ごと持ってけ泥棒!
 むしろお姫様!」

姫子「……」

 ‐ホール‐

唯「あっ、姫子ちゃんタバスコ持ってきてくれた?」

姫子「トマトジュースなら貰えたんだけど」

唯「……どゆこと?」



第五十九話「隠せぬ動揺の証、トマトジュース」



 ‐休憩室‐

律「……」

紬「お悩みみたいね」

律「ああ、ムギか……。
 なんかさ、自分が思ってた関係がただの思い込みだったって、凄いショックなんだなあって」

紬「澪ちゃん関係かしら?」

律「よくわかったな」

律「……ホント、何で話してくれないんだろうな」

紬「何を?」

律「何で先に行っちゃったのか、その理由は何なのか、っていう話だよ。
 今まで同じ時間帯にバイトをする日には絶対一緒に行ってたのに、いきなり一人で行きだすんだぜ?」

紬(……なるほど)

律「理由を何も聞かされずに置いてかれた私の気持ちにもなれっての」

紬(焼き餅なのね!)

律「何に対してにやけてるのかは知らんけど、多分違うぞ」

紬「つまらないの」

紬「まあ、澪ちゃんがりっちゃんに話せない理由は予想できるわ」

律「ど、どんな理由だ!?」

紬「……恋よ!」

律「恋……?」



第六十話「むしろ故意」‐完‐



律「確かに恋っていうのは、人になかなか相談しづらいものかもな……」

紬「そう、そうなのよ。
 ところでりっちゃんと澪ちゃんの学校は女子校よね?」

律「そうだけど、いつの間に調べ上げたんだ?」

紬「そのことは特に気にしないで」

律「そうだな」

紬「これがどういうことなのかわかる?」

律「ん……?」

律「あっ!」

紬「そう、女子校に行っている澪ちゃんが恋をしてしまったということは」

律「澪は男の先生に恋をしているのか」

紬「そっちじゃない!!」



第六十一話「どっちでもない」‐完‐



律「違うのか……じゃあ何だ、外部の人間か?
 でもあいつ、そんなアクティブなやつじゃないんだけどなー」

紬「なら、選択肢は限られてくるよね?」

律「うーん……」

律「あっ」

紬「気付いたみたいね」

律「聡か!?」

紬「その発想を恥じなさい、聡だけに」

律「どういうことだよ」

紬「そのままの意味なのよ。
 どうでもいいけど、聡と恥って似てるわよね」

律「余計どういうことだよ」

紬「そのままの意味なのよ」

律「まあ聡はどうでもいいや。
 そろそろ休憩終わりだし、働いてくるわ」

紬「うーん、残念」

紬「せっかく面白いことになるかなーって思ったのに」

律「そういうのは私が休憩室を出てから言った方が良かったな」

紬「私は潔さがウリなのよ」

律「清々しいぐらい欲望に忠実だもんな」



第六十二話「恥も外聞も聡も無い」‐完‐



 ‐ホール‐

唯「純ちゃん、コーラ美味しい?」

純「……」

唯「あれ、どうしたの?」

純「唯先輩、これ……」

純「ハバネロ並に辛いんですけど」

唯「入れたもん」



第六十三話「魔神の業火」‐完‐



 ‐キッチン‐

姫子「澪、二つほど聞いていい?」

澪「どうした?」

姫子「まず律の様子がおかしいんだけど、何か知らない?」

姫子「トマトジュースとタバスコを間違えて渡すし」

澪「んー……私は知らないな。
 まあ、あいつのことだし、ちょっとすれば回復するんじゃないかな」

姫子「そっか、ならいいんだけどね。
 でさ、もう一つ聞きたいことがあるんだけど」

姫子「何でさっきから水ばっかり飲んでるの?」

澪「タバスコを飲んだからだよ」

姫子「何が起きちゃったの」



第六十四話「要らぬSynchronize」‐完‐



 ‐休憩室‐

澪「あれ、梓」

梓「どうも」

澪「純ちゃんの代理なら、姫子がやってくれてるぞ?」

梓「まあ暇なので」

澪「なるほどな」

梓「……」

澪「……」

梓「どっちにしろ暇ですね」

澪「暇だな」

梓「花札あります?」

澪「花札ならあるぞ」

梓「ルールがわかりません」

澪「じゃあ何で聞いたんだ」



第六十五話「早過ぎた五光」‐完‐



梓「とりあえず役は覚えました」

澪「よし、やるぞ」

梓「……」

澪「……」

梓「配らないんですか?」

澪「初め方がわからないんだ」

梓「何で持ってきたんですか」

澪「唯ならわかるかなって」

梓「ここに唯さんがいること前提ですか」



第六十六話「少し足りなかった雨入り四光」‐完‐



 ‐キッチン‐

唯「りっちゃん、これ返すね」

律「ん、確かに受け取ったよ。
 ハバネロソースなんか何に使ったんだ?」

唯「あえていうなら自分の正義のためかな」

律「カッコイイな」

唯「そんなことより、りっちゃんどうしたの?
 どこか元気が無いみたいだけど」

律「聞いてくれるか」

唯「うん」

律「今日の朝、澪が何も言わずに先に行っちゃったんだ」

唯「ああ、澪ちゃんなら朝に会ったよ」

唯「ダイエット中とか言ってたなあ……。
 それで?」

律「……」


律「………」

唯「……」

律「…………」

唯「……あれ?」



第六十七話「悪気は無かった」‐完‐



唯「りっちゃん……?」

律「唯」

唯「はい?」

律「お前ってさ」

唯「うん」

律「本当に馬鹿だよな!」

唯「世界で二番目にりっちゃんから言われたくない言葉だよ」



第六十八話「馬鹿って言った方も馬鹿」‐完‐



 ‐更衣室‐


澪「どうした?」

律「へっへっへっ……」

澪「どうしたんだよ」

律「いやいや~」

澪「結構気持ち悪いぞ」

律「澪ちゃんのダイエットのためなら、どんな気持ち悪い自分でも演じちゃうりっちゃんですよ」

澪「何言ってんだ……。って、今何て言った?」

律「だからー、ダイエッ」

澪「それ以上言うと私の“人指し指”が黙って無いぞ?」

律「一体何をされるんだ、人指し指で」

澪「眼潰しも辞さないつもりだ」

律「怖っ!」

澪「……で、誰から聞いた?」

律「唯が簡単に喋ったぞ」

澪「唯か……口止めするのを忘れてたから仕方ないとはいえ、
 律にだけは知られたく無かったのに」

律「何で?」

澪「馬鹿にされるじゃないか」

律「んー」

澪「馬鹿に馬鹿にされるじゃないか!!」

律「おい」



第六十九話「馬鹿にする馬鹿は馬鹿にされる馬鹿」‐完‐



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最終更新:2012年06月02日 21:31