アットウィキロゴ
純「……ごちそうさまでした!」

唯「じゃあ、さっさと片付けて部屋に戻ろうか」

純「……唯先輩」

唯「なに?」

純「ありがとうございました。
 私、唯先輩のことは割と好きですよ」

唯「うん、ありがとう」

 ‐唯の部屋‐


純「……あっ、そういえば気になってたんですけど」

唯「うん」

純「唯先輩って、正直働き者では無かったですよね?
 でも、バイトではそれなりに働いてますよね、失敗も多いですけど」

唯「一言多いよ、純ちゃん」

純「いやー、そこはやっぱり唯先輩なんだなーって」

唯「……まあ事実だけどさ」

唯「私がちゃんと働くきっかけはね、純ちゃんなんだよ」

純「えっ?」

唯「純ちゃんのサボりっぷりを見てると……皆が働く中でダラけてる人がいるって、
 こういうことなんだなって」

唯「こう、駄目なコトっていうのを実際に目にすることが出来たんだよ」

純「……」

唯「つまり純ちゃんと自分を重ねることで、初めて自分を客観的に見ることが出来たんだ。
 そこで決心したよ、私は変わるんだってね」

純「……そうでしたか。というか」

純「ストレートに私を駄目な人みたいに言ってますよね」

唯「言ってるよ」



第八十三話「きっかけ」‐完‐



純「ストレートに傷付きました」

唯「そっか、じゃあ傷を癒すために早く寝なくちゃね、おやすみ」

純「まだ寝るには早いですよ」

唯「もう一時なんだけど」

純「十一時ですか、まだまだですね」

唯「一時だよ」

純「お昼も間近ですか、早いですね」

唯「十三時でも二十三時でもなくて、一時だよ」

純「むう……折角色々と話したいことがあったのに……」

唯「例えば?」

純「よく考えたら特にありませんでした」

唯「よく考えてから発言しようね」

純「あっ、そういえば」

純「私、唯先輩と同じ高校に行くかもしれません」

唯「それが話したかったことじゃないの?」

純「そうでした」

唯「よく考えてから発言しようね」

唯「でも純ちゃん、バイトしてるのに勉強大丈夫なの?」

純「提出物とテストは一夜漬けで頑張ってるので、内申はいいんですよ」

純「というわけで推薦で入ります」

唯「何か不服だなあ」

純「そうですか?」

唯「そうなんだよ」

唯「……でも」

唯「来てくれるなら、私は歓迎するよ」

純「おお、ありがとうございます……」

唯「……まあ、私も純ちゃんのこと割と好きだし、ね」

純「……」

唯「……」

純「……」

唯「……なんで黙るの、恥ずかしいじゃん」

純「……」

唯「……あれ?」

純「……」


唯「……寝てるのかい、純ちゃん!?」


第八十四話「おやすみ」‐完‐



 ‐翌日・朝‐

唯「というか、昨晩の“お昼も間近”って違うよね、本当に十三時だったら既にお昼だよね」

純「ツッコミが遅いですね唯先輩。
 まあ、先輩のツッコミスキルもまだまだということですね」

唯「……単純に純ちゃんが言い間違えただけだよね?」

純「何のことやら」



第八十五話「単純ちゃんミス」‐完‐



 ‐八月某日・お店‐

唯「おはようございまーす」

さわ子「おはよう、唯ちゃん」

唯「えーと……」

唯「どちら様でしたっけ?」

さわ子「解雇するわよ?」



第八十六話「真夏に見た幻影」‐完‐



唯「あっ、店長。おはようございます」

さわ子「店長の顔を忘れるなんて、酷いことしてくれるじゃない?」

唯「なんせ四月の後半以降、一度も会ってませんからね」

さわ子「あら、そうだったかしら?」

唯「ところで久々に顔を出した、ということは……」

さわ子「そう、KST(コスプレサービスタイム)の準備が出来たのよ!!」

唯「CSTです」



第八十七話「真夏に見たデジャヴュ」‐完‐



さわ子「細かいことは置いといて、今回唯ちゃんに着てもらうCSTの衣装は……」

唯(直した……)

さわ子「ギリギリセーフの、スクール水着です!」

唯「ぶっちぎりのアウトです」

さわ子「法律に引っ掛からなければ大丈夫よ!」

唯「これなら余裕で訴えられますね」

さわ子「もう、流石にこれは冗談よー。
 こっちのメイド服が本命なんだから!」

唯「まあ、それぐらいなら」

律「いいのかよ」

唯「おぉ、りっちゃん、いつの間に。ともかくおはよ~」

律「ん、おはようさん。えーと」

律「……この人、誰?」

唯「変人」

さわ子「店長よ!!」



第八十八話「真夏に見たデジャヴュの第二幕」‐完‐



 ‐キッチン‐

律「澪、おはよ!」

澪「……あぁ」

律「どうした、元気ないぞー?」

澪「……今日の朝の占いで、山羊座が十二位だったんだ……!」

律「たかが星座占いで、何をそこまで気にしてんだよ」

澪「水難に合う可能性が高いって言われてるんだぞ……。
 キッチン仕事の私が水難だぞ!?」

律「大丈夫だ、お前は水難じゃない」

澪「そんな国語の先生みたいな返しは期待してないから」

律「ごめん」

澪「何も起きなければよかったんだけど、朝から酷い目にあったし……」

律「何が起きたんだ?」

澪「水難、とは言い難いものかもしれないけど」

澪「歩く先々で水道管が破裂していったんだ」

律「水難というより心霊現象だな」



第八十九話「水道の相」‐完‐



 ‐スタッフルーム‐

紬「……というわけで、このお店でも水道が使えなくなっちゃったみたいなの」

唯「いや、どういうわけですか」

さわ子「復旧までお店を開くことはできないから、しばらく皆はお休みね。
 とりあえず今日はこれで帰っていいわ」

純「喜んで!」

唯「正直に喜びすぎだよ、純ちゃん」

純「いつも私は自分に正直ですよ?」

唯「どの口が言ってるの?」

唯「……いや、いつも自分のサボり欲には正直だったね」

唯「そんな純ちゃんは、水道管の修理でも手伝ってくればいいんじゃない?」

澪「そうか、せめて何かを手伝うだけでも……!」

唯「いや、澪ちゃんじゃなくて」

唯「……というか、何で澪ちゃんが責任感じてるの?」

律「つかれてるからな、大目に見てやってくれ」

唯「へえ澪ちゃん、まだ午前なのにそんなに疲れてるの?」

律「ああ、お祓いに行った方がいい程度には」

唯「……もしかして憑かれてる?」



第九十話「憑かれてる澪ちゃん」‐完‐



 ‐翌日・海‐

純「砂浜。それは灼熱の太陽が照りつける、砂漠にも似た戦場」

唯「砂漠って……目の前に広がる海を見て出てきた言葉とは思えないよ、純ちゃん」

純「砂漠にも水はあるんですよ」

唯「海は全体が水だよ」

純「見渡す限りは、人の海が広がってますけどね。
 これが人海戦術というアレですか」

唯「別に何とも戦ってないよね」

純「むしろ自分以外敵ですよ、この混み具合だと」

唯「それは一理あるね」

唯「……あ、そういえば夏休みだった。人が多いわけだよねえー」

純「おお、仕事人間となった唯先輩はついに夏休みを忘れていましたか!」

唯「うん、最近、仕事と休暇の区別がつかないんだよ」

純「それまたどうしてです」

唯「目の前の人が相も変わらず休んでるからねえ」

純「そんな人がいるんですか……。
 一体誰なんでしょうね、実にけしからん!」

唯「夏だからかな、目の前の人がおかしなことを言い出した」



第九十一話「オールシーズン・バケーション」‐完‐



梓(……あれは昨日のことでした)

梓(澪さんが憑かれてしまった事件はさておき、
 外の水道管が次々に破裂してしまう事件が発生しました)

梓(おかげでしばらくお店はお休みに。
 そのせいで、バイトを入れていた人は空いた時間が出来ちゃったのです)

梓(こうしてバイト仲間全員が、纏まった休みを取れるというのは滅多に無いこと。
 紬さんの提案で、暇な人は一緒に海水浴にでも行こうということになったのですが)

梓「……水着を忘れたよ」



第九十二話「水着が肝心」‐完‐



律「澪ー、水難の相ならぬ水道の相はどんな調子だー?」

澪「全く問題ないよ。
 むしろ調子がいいぐらいだ、山羊座は今日の占いで一位だったし」

律「そりゃ良かった」

澪「今日は何か幸せなことが起こりそうな気がする……」

律「それはめでたいな」

澪「ところでさっき海岸で、こんなお魚を拾ったんだけど」

律「それは鯛だな」

澪「朝からツイてるなあ!」

律「ああそうだな、確実に憑いてる」



第九十三話「霊で鯛を釣る」‐完‐



憂「……紬さん、ですよね?」

紬「あら、確か唯ちゃんの……」

憂「お姉ちゃんの恋人以上、夫婦程度の平沢憂です」

紬「あらあらあら、ご丁寧にどうも。
 私は琴吹紬、唯ちゃんのお店でフロアチーフをやってます」

憂「いつも私のお姉ちゃんがお世話になってます」

紬「その“私の”っていうのは、どういう意味で使ってるのかしら?」

憂「正確な意味でしか使ってませんよ?」

紬「ふふふ、なるほどね」

憂「ふふっ、そういうことです」

紬「ふふふふふ……」

憂「ふふふふふっ……」

紬・憂「ふふふふふふふふ……」



第九十四話「両者の手中に輝くは、カメラのレンズ」‐完‐



律「唯ー!」

律「……はっ」

律「唯だと思ったらフジツボだった」

唯「その間違え方が間違いだよ」



第九十五話「珍誤答」‐完‐



梓「あれ、澪さんうずくまってどうしたんですか」

澪「……」

梓「えーと、悩みとかあるなら聞きますよ?」

澪「……み」

梓「み?」

澪「みみみみ、見えないし聞こえないからな!!」

梓「存在否定!?」



第九十六話「見ざる聞かざる」‐完‐



律「おっ、澪ここにいたのか」

梓「律さん、私存在を否定されたんですけど、私そんな酷いことしましたっけ」

律「そうか大変だな」

律「それより澪さ」

梓「労るだけじゃダメです!」

律「そうか」

律「でさ澪、さっきはああ言ったけど、実際のところ」

梓「そんな適当な返しで許されるほど些細な問題じゃないんですよ!?」

律「わかった、真剣に言う。うるさいから黙ってろ」

梓「……私、何かしました?」

律「煩い」



第九十七話「適当な返し」‐完‐



律「澪、いい加減見えないやら、聞かないやらで済ませてたらダメだぞ?」

澪「嫌だ!誰が信じるもんか……」

梓「なんの話なんですか?」

律「こいつに言ってやったんだよ。
 ……お前には何か悪い霊が憑いてるって」

澪「そんな訳ないだろ!悪い冗談は止めてくれ!」

律「……と、まあこんな具合に信じてくれないんだ。
 正直、昨日から心霊現象じゃないと説明つかないことばっかり起きてるしなあ」

梓「昨日は相次ぐ水道管の破裂でしたけど、今日は何かありました?」

律「まず海岸で鯛を拾っただろ?」

澪「それは偶然だよ」

律「空から鯛が降ってきただろ?」

澪「それも偶然だ」

律「砂浜から鯛が生えてきただろ?」

澪「それだって」

梓「流石に無理があると思いますよ」



第九十八話「偶然の限界」‐完‐



8
最終更新:2012年06月02日 21:33