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梓「正直一つ目からして怪しいんですが、三つ目で確信しました。
 何か悪いモノが憑いてますね、絶対に」

澪「梓まで止めてくれよ……怖いじゃないか……」

律「私からすれば、お前の偶然に対する妄信ぶりが怖いわ」

梓「確かに信じがたい気持ちはわかりますが、
 ここまで来たら現実から目を背けたらいけませんよ」

律「そういうこと。現実から逃げずに、偶然で片づけるなー」

澪「……ふ、ふふ……そうだな、これは偶然じゃないよな」

律「そうそう」

澪「全部夢だったんだな!!」

律「ついに現実まで捨ておった」



第九十九話「リアルをダストシュート」‐完‐



澪「やだ、やだーーー!
 お祓いになんか行きたくないよーーー!」

梓「いきなり子供っぽくなった……」

律「澪はそういうやつだ。
 とりあえず近くにお寺が無いか、調べてみるぞ」

梓「あっ、そういえば……。
 純の祖父母の家はお寺だったような気がします」

律「おお、それは都合がいいな」

梓「早速純のところに行きましょう」

 ‐海の家‐

梓「というわけでお願いだよ、純」

純「えーと……」

澪「見えないし聞こえないぞー……」

律「澪もこの様子だし、頼れるのは純ちゃんだけなんだ」

唯「ふーん……」

梓「澪さんと全国の水道管のために、お願い!」

純「水道管って……」

唯「んー……」

唯「ねえ、純ちゃん」

純「はい」



唯「純ちゃんの実家がお寺とか初耳なんだけど」

純「実は私もです」



第一〇〇話「捏造と偶像」‐完‐



 ‐一週間後・お店‐

純「あっ、澪さーん!」

澪「やあ、純ちゃん……元気そうで何よりだ……」

純「対極的に澪さんはお疲れのようですけど……」

澪「もう憑かれてない!」

純「そっちじゃないですって」

純「あれ……ということは、もうお祓い行ったんですか?」

澪「そんなところだね。
 ……そのせいでこっちはクタクタだよ」

純「しつこい霊だったみたいですね」

澪「そうなんだ。
 例えるならそう、まるでストーカーみたいだ……」

純「うわあー……」

澪「って、お坊さんが言ってたよ」

純「うわああー……」



第一〇一話「坊さん認定ストーカー」‐完‐



純「ところで、その霊っていうのは何で澪さんに憑いてたんでしょうね?」

澪「わからないけど、お坊さんは“女性の霊”だって言ってたよ。
 それも、若くて綺麗な人みたいだ」

純「余計意味がわかりませんね……。
 男の霊なら、澪さんの綺麗さに引き寄せられたという可能性もあったんですけど……」

澪「……多分、そういう理由なんだよ」

純「えっ?」

澪「例えるならそう、まるでストーカーみたいだ……」

澪「リアルな意味で」

純「うわあああー……」

澪「って、お坊さんがまた言ってたよ」

純「うわああああー……」



第一〇二話「坊さん認定ストーカー(リアルな意味で)」‐完‐



澪「年齢は私より一つか二つぐらい上で、長髪の女性らしいんだ」

純「そんな細かいことまでわかるんですか」

澪「評判のいいお坊さんを紹介してもらったからね」

純(どこで評判なんだろう)

澪「ただ、困ったことが一つあって……」

純「それは一体?」

澪「その霊、実は死んだ人のものじゃないんだ」

純「どういうことですか」

澪「強すぎる思いが生み出した、生き霊なんだとか」

純「……つけられる可能性がありますね」

純「リアルな意味で」



第一〇三話「ストーカーは生死を越えて」‐完‐



純「それにしても、だいぶ淡々と話してますね」

澪「何かおかしいかな?」

純「おかしいも何も、この前の澪さんを見る限り、怖いものが苦手のようでしたし」

純「それなのに、こんな怖い話を淡々とよく出来るなーと」

澪「……ああ、そういうことね」

純「怖いものに耐性でも付いたんですか?」

澪「うーん、そうとも言えるのかもしれない」

純「凄いですね、どうやったんですか?」

澪「私はこの一件を、夢の彼方に葬ったんだ」

純「耐性どころか受け止めてさえいないじゃないですか」

澪「私~だ~けの~ドリームタイムくだ~さい」

純「既に夢の中に追いやってますよ、自分を」

澪「今夜~も、お~やすみ~……ぐぅ……」

純「あっ、気絶した」

律「……無茶しやがって」



第一〇四話「ふらふら時間」‐完‐



 ‐ホール‐

梓「唯さん、唯さん」

唯「どうしたの?」

梓「少し相談したいことがあるんですが」

唯「ん?」

梓「猫を拾ってきたんですけど、どうすればいいんでしょう」

唯「ここって一応飲食店だよ」



第一〇五話「実はそうだった」‐完‐



 ‐キッチン‐

梓「律さん、律さん」

律「どうした?」

梓「少し聞きたいことがあるんですが」

律「おう、何だ」

梓「ここにキャットフードは置いてますか?」

律「一応言っておくぞ。この店は人間専用のお店だからな」

梓「品ぞろえの悪いキッチンですね」

律「キッチンは悪くねえよ」



第一〇六話「降りかかる火の粉」‐完‐



 ‐スタッフルーム‐

梓「紬さん、紬さん」

紬「無いわよ」

梓「はい」



第一〇七話「エスパーつむぎ~当たり前の如く~」‐完‐



 ‐お店の前‐

梓「二号、どうやらお前の居場所はここに無いみたいだね」

二号「にゃあ」

純「食べ物を扱うお店だから、無理もないでしょ」

梓「二号は、純みたいな人間にだけは騙されたらダメだよ」

純「どういう意味よ」

二号「にゃー!」

純「お前は元気に返事するな」

梓「そういえば純は猫飼ってたよね。
 この子も飼ってみれば?」

梓「猫の一匹や二匹、変わらないでしょ」

純「あんたが決めることじゃないし、そもそもそんな簡単に飼えるわけないでしょ……」

梓「はあ、純はやっぱり純でしか無いんだね」

梓「ゴメンね二号、この人が純で」

純「この際黒猫の方を捨ててこようかな」



第一〇八話「梓イン蜜柑ボックス」‐完‐



 ‐ホール‐

梓「ウーン、どうすればいいのやら」


梓「拾ってあげた手前、再び捨てるというのも憚れるし」

唯「……」

梓「あー、どこかに優しい年上の人はいないかなー」

唯「……」

梓「優しい“年上”の人はいないかなー!」

唯「チラチラこっち見ないでよ」

梓「あっ、唯さん、丁度いいところにぃ~!」

唯「白々しいよ」

梓「そう見えてしまいました?」

唯「うん。ていうかさ」

唯「自分の家で飼えばいいんじゃないの?」

梓「……あっ」

唯「今更気付いたんだね」

梓「完全にそのことを失念していました」

梓「唯さんって、ちょっと頭いいんですね!」

唯「全然褒めてないよ」



第一〇九話「ちょっとのアイデアと超常識」‐完‐



梓「おかげさまで二号の家は決まりました。
 なので、今度は二号の名前を募集したいと思います」

唯「ちょっと待って、ちょっと待って」

梓「はい?」

唯「この猫は二号なんだよね?」

梓「はい」

唯「それが名前なんだよね?」

梓「えっ、唯さんは猫に二号なんて名前をつけるんですか?」

唯「私がおかしいみたいに言わないで」

梓「三四号なら未だしも」

唯「むしろそっちの方が寒いからね」

唯「じゃあさ、なんで二号って呼んでたの?」

梓「一号がいるからじゃないですか」

唯「頭痛くなってきた」

梓「休憩しますか?」

唯「ううん、大丈夫(梓ちゃんを除いて)」

梓「それなら全部わかってくれましたね!」

唯「やっぱり大丈夫じゃない(梓ちゃんが)」



第一一〇話「猫でもわかる日本語術」‐完‐



唯「梓ちゃんが話してるとドンドン不思議な方向に会話が発展するから、
 私からの質問にだけ“わかりやすい”ように答えてみて」

梓「要求が多いですね」

唯「一つしか言ってないよ」

梓「あれ?」

唯「まずね、この猫は“二号”と呼ばれているけど“二号”というのは名前ではない」

唯「イエス?ノー?」

梓「キリストです!」

唯「イエスなんだね」

梓「よくわかりましたね」

唯「ちょっと私の要求を見直してから出直してくれないかな」

唯「まあ、次。この猫が二号ということは、一号は既にいる」

唯「イエス?ノー?」

梓「Yeah!」

唯「なにが梓ちゃんをそんなノリノリにしてるの」

梓「唯さんです」

唯「複雑な気持ちだよ」

唯「じゃあ、一番聞きたいこと。“一号”ってなに?まだ猫がいるの?」

梓「猫と言われれば、遠からず近からずですかね」

梓「つまり私です」

唯「もっとわかりやすく言ってくれる?
 頭の痛みがさらに酷くなってきそうだから」

梓「唯さん」

梓「私の前世は猫なんです」

唯「わかりやすいけど意味がわからないよ」



第一一一話「我輩は猫である」‐完‐



 ‐休憩室‐

紬「あら澪ちゃん」

澪「おお、ムギ」

紬「……」

澪「……」

紬「暇?」

澪「そうだな」

紬「花札やろう?」

澪「なんで?」

紬「だって持ってるよね?」

澪「うん。だからなんで(知ってるの)」



第一一二話「見えた光札」‐完‐



澪「……」←花札中

紬「……」←花札中

澪「……よし、“花見酒”!」

澪「で、こいこいだ!」

紬「じゃあ私の番ね」

紬「これ取って、タネ札五枚の“タネ”であがり。
 こいこい返しで点数二倍ね」

澪「えっ」



第一一三話「見とけタネ札」‐完‐



紬「澪ちゃん、この状況でこいこいしちゃ駄目よ」

澪「そうか、ムギは既にタネ札を四枚持ってたし……」

澪「ありがとう、ムギ。
 おかげで一つだけ強くなれた気がするよ」

紬「ふふ、どういたしまして。そろそろ交代の時間だから、行くわね?」

 ‐ホール‐

紬「唯ちゃーん、交代よー!」

唯「はーい!」

 ‐休憩室‐

唯「あれ澪ちゃん、何で花札を広げてるの?」

澪「さっきまでやってたんだよ。
 唯、さっそくだけど勝負しないか?」

唯「うん、いいよ」

唯「……」←花札中

澪「……」←花札中

澪「……よし、 “猪鹿蝶”。そしてこいこいだ!」

澪(ふふ、唯の取った札を見たところ、強力な役は揃いそうに無い。
 タネ札も殆ど無いようだし、こっちは猪鹿蝶でタネ札が既に三枚)

唯「えーとね」

澪(さっき取っておいたタネ札がもう一枚あるから、タネ札は合計四枚。
 役の“タネ”は、タネ札が五枚で成立するから……)

唯「これ取って」

澪(次でタネ札を取り、追加点をあげた上であがることが出来る!)

唯「……はい、カス札十枚で“カス”ね」

澪「あれ?」



第一一四話「見とこカス札」‐完‐



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最終更新:2012年06月02日 21:34