梓「でもそっか、辞めちゃうんだね」

純「くく、寂しいでしょ?」

梓「そうだね」

純「ん、意外な返事だね」

梓「このモフモフヘアーも見納めだと思うと」

純「私のメインは髪の毛か」

梓「髪の毛は大事にしなよ、女の子なんだから」

純「今、その言葉を言われても嬉しくないなー」

梓「そんなこと言うならバッサリ切れば?」

純「右手にバリカン握りしめながら言わないで」

純「いや、何でバリカンなんか持ってるの」

梓「純に必要かなと思って」

純「何する気!?」



第一五五話「ツインテールの微笑」‐完‐



梓「気にしなくていいよ。ところでコンセントどこにあるかな?」

純「気になる一言が聞こえたことは気にしないことにしよう」

梓「……純」

純「なに?」

梓「思い切ることって大事だと思うんだ」

純「余計に不安を駆り立てないで」

梓「とりあえず休憩室に行こう?コンセントあるみたいだし」

純「人の話聞いてよ」

梓「ほら、愛しの休憩室だよ?」

純「自分の髪の方が愛しいよ!」

梓「あっ、逃げた」

梓「休憩室の方に」



第一五六話「前方不注意につきカットエンド」‐完‐



 ‐休憩室‐

純(しまった、自ら最悪な展開をスタートさせてしまった)

純(……あれ?)

純「澪さん、うずくまってどうしたんですか」

澪「……やあ純ちゃん」

純「顔から火吹き出しそうなぐらい赤いですけど、何かありました?」

澪「……うわあああ!恥ずかしすぎる!」

純「はい!?」

澪「あの場から逃げ出しなんかしたら、余計恥ずかしくなっちゃうだろ!?
 そう思わないかな、純ちゃん!」

純「話が見えてきません」

澪「恥ずかしさを紛らわすために、花札をしよう純ちゃん!」

純「本っ当に話が見えてきません、あとついでに私を助けてください」



第一五七話「花札わーるどへ逃げましょ」‐完‐



澪「……」←花札中

純「……」←花札中

澪「……純ちゃんは」

純「はい」

澪「五光札を優先して取っていくね」

純「それが基本じゃないですか?
 あっ、あと“菊に盃”なんかも優先して取ります」

澪「うん、間違いではないんだ。
 だけど純ちゃんには、人は思い込みに騙されるってことを知って欲しいな」

純「それは一体何のことを言ってるんです?あっ、こいこい!」

澪「純ちゃんがさっき取った“柳に小野道風”は確かに五光札……」

澪「だけど」

澪「三光が揃わないと価値の出ない札を優先して取るのは、得策じゃないんだ」

澪「……カスで上がり!」



第一五八話「番傘より盃」‐完‐



純「んー……負けました」

澪「“柳に小野道風”は五光札でありながら、
 三光にはなれないし、当然タネ札やカス札にもなれない」

澪「だから普通はコレよりタネ札やタン札等を優先して取った方がいいんだ」

澪「純ちゃんは五光札という肩書きだけで、これを重要な札と思い込んでたんじゃないか?」

純「確かにそれはありますが、何故そんなことを私に?」

澪「中途半端な情報は、人に違った認識を与えかねないってことだよ」

澪「……まあ、この言葉をどういう意味で受け取るのかは、純ちゃん次第だ」

純「……」

澪「いいのか、あいつに何も言わなくて」

純「……あの人は此処にはいません」

純「私が、あの人のいない日を選んだんですから」

澪「あいつはそういうの関係無しに来るよ」

純「そうですかね?」

澪「八ヶ月も一緒に働いたんだ。
 純ちゃんもあいつのこと、色々わかるんじゃないか?」

澪「例えば、意外と色んなことに敏感なこととか」

純「そうですね……たまにそう思うかもしれません」

純「ですけど、あの人がここに来れるはずが」


 「純ちゃん」


純「……えっ!?」

澪「……役者は揃ったみたいだね」



澪「最後の飾り方は自分で決めるんだよ、純ちゃん」



第一五九話「Cagayake!GIRLS」‐完‐



 ‐ホール‐

澪「……」

梓「あれ、澪さん、キッチンに戻らないんですか?」

澪「今キッチンに戻ったら顔から火を吹くからな」

梓「それはリアルな意味にですか?」

澪「リアルな意味で私が火を吹くと思うか?」

梓「澪さんは真面目ですからね」

澪「反応に困るなあ」

梓「素直に喜んでいいんですよ」

澪「喜ぶ場面だったのか」

梓「もっと自分に自信を持ってください!」

澪「やっぱり反応に困るなあ」



第一六〇話「OVER THE 理解」‐完‐



梓「それより、あの人来たんですね」

澪「ん?……ああ、そうだな」

梓「あの二人は、何だかんだでいいコンビですよね」

澪「梓もそう思うか?」

梓「はい」

澪「一緒にいる時間が長いからかな、あの二人が仲良く見えるのは」

梓「なんで長いでしょうね」

澪「何でだろう、考えてみよう」

梓「私も考えてみます」

澪「んー……」

梓「……」

澪「……」

梓「……あっ!」

澪「わかったのか?」

梓「多分、純の担当が唯さんだからだと思います」

澪「担当?」

梓「言い換えますと」

梓「面倒事を押し付けられることです」

澪「もう一度言い換えてごらん」



第一六一話「再変換の必要性」‐完‐



澪「その言い方は純ちゃんに酷いんじゃないか?」

梓「確かに言い過ぎかもしれませんね」

澪「一応最近は働く頻度が増えてるし」

梓「それは間違いなくゼロから出発しているせいです」

 「にゃあ~!」

澪「ん?」

梓「……あっ、外であずにゃんが鳴いてますね」

澪「あの猫か?」

梓「ちょっと行ってきます」

澪「なあ、梓。私思ったんだけど、最近梓もあんまり働いてないよな」

澪「それ雇われてる身として、どうなんだ?」

梓「その点は大丈夫です」



梓「私、バイトじゃないので」

澪「えっ」



第一六二話「そうか、忘れてた」‐完‐



 ‐休憩室‐

純「……」

唯「……ねえ」

純「あっ、どうも」

唯「挨拶はいいから」

純「挨拶は大切ですよ」

唯「挨拶の大切さについて談議するつもりも無いよ」

純「ぽぽぽーん」

唯「えーしー、って何言わせてるの」

純「魔法の言葉で楽しい仲間が」

唯「ぽぽぽーん」

純「……」

唯「……何言わせてるの」



第一六三話「ついつい」‐完‐



純「唯先輩の可愛い一面を見れたので、早速仕事に戻りますかー」

唯「二重の意味で止めて」

純「ほお、唯先輩が仕事をさせないとは」

純「明日は嵐かもしれませんね」

唯「純ちゃんが働いても嵐にならないから大丈夫だよ」

純「今の私は当時と一線を画してますので」

唯「当時の自分を反省しているなら、何よりだね」

純「反省?」

唯「え?」

純「唯先輩、冗談はやめてくださいよ~」

唯「……純ちゃんからまるで成長の兆しが見えないよ」

純「何言ってるんですか、私は常に成長していますよ」

純「なんたって、常に前を向いて生きている女なんですから!」

唯「それが問題なんだよ」



第一六四話「過去は振り返らない女です」‐完‐



純「それで、私の仕事を止めてまで何か話したいことがあるんですよね?
 真剣に聞きますから、どうぞ話してください!」

唯「話したいといえば、話したいことなんだけど」

唯「何で私に言ってくれなかったのかなーって」

純「乙女には秘密が多いものですからね、どのことを言っているのかサッパリです」

唯「本当はわかってるでしょ、純ちゃん?」

純「あっ、もしかして今日が最後の日だって言ってませんでした?
 いやあ、それでしたら言い忘れてたんですね」

唯「それは随分前から聞いてるよ。私が言いたいのは、その後」

唯「純ちゃん、私と同じ高校に来るとか言ってたよね?
 言ってたのに、何でさ……」

唯「明日引っ越すことは言ってくれないの?」



第一六五話「Please tell me...」‐完‐



純「えーと……誰から聞きました?」

唯「憂から。憂には話してたんだね」

純「なるほど、そうでしたか」

唯「どうして言ってくれなかったの?」

純「余計な心配をするかと思ったからです」

唯「引っ越すことを私が知ることは、余計なの?」

唯「引っ越したら、遠くに行っちゃうんでしょ?
 私と同じ高校に入るかどうかも、わからないんじゃないの?」

純「……」

唯「このお店では別れたとしても、学校ではまだ会えると思ったから、
 今まで自分を慰められたのにさ」

唯「……いや、ごめん。独りよがりだってことは、十分わかってるよ」

純「いえ、やっぱり中途半端に伝えた私が悪かったですね。その点は謝ります」

唯「いいんだよ、別に」

純「……さて、私の休憩時間はとっくに過ぎてるんですが……。
 唯先輩、シフトは入って無くても、あなたの仕事はありますよね?」

唯「うん、そうだね、そうだったよね」



唯「……ほら、純ちゃん!サボってないで、働いて!」

純「はい!」



第一六六話「Don't say ”lazy”」‐完‐



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最終更新:2012年06月02日 23:58