‐ホール‐

梓「唯さん」

唯「ん?」

梓「今までお疲れさまでした、とても面倒だったでしょうけど。
 あっ、ちなみにこれは」

唯「純ちゃんのことだね」

梓「理解される方も可哀想なものです」

唯「面倒だって初めに言ったのは梓ちゃんだよ」

梓「そうでした」

梓「ところで知っていると思いますが、私は中学三年生です。
 つまり、来年から高校一年生となります」

唯「そうだね」

梓「というわけで、よろしくお願いしますね、唯先輩」

唯「えっ?」

梓「そういうことです」

唯「本当なの?」

梓「唯先輩」

梓「私の前世は猫なんです」

唯「だから余計に信じられないんだよ」



第一六七話「猫を被るとは言うけれど」‐完‐



梓「唯先輩」

唯「なに?」

梓「んー、何か違和感がありますね。
 今まで“唯さん”と呼んでいたせいでしょうか」

唯「私は何も問題ないんだけど」

梓「そこで提案なんですが」

梓「“ゆいにゃん”なんてどうですか?」

唯「どうしようもないよ」

梓「可愛いですよ、ゆいにゃん」

唯「思いっきり私のこと舐めてるよね?」



第一六八話「ゆいにゃん、にゃんにゃん」‐完‐



梓「何ですか、そんなにペロペロされたいんですか?」

唯「そんな物理的な意味じゃなくて」

梓「ちょっと待っててください、今から憂に確認取りますから」

唯「どういうことなの」

梓「オーケーだそうです」

唯「どういうことなの」

梓「憂もすぐに来るみたいです」

唯「本当にどういうことなの!?」



第一六九話「猫達のランチタイム」‐完‐



 ‐キッチン‐

姫子「おーい、注文だよー」

律「……」

姫子「何々、オーバーヒート?どうしたの律」

律「姫子、次の選択肢のうち一つを選んでくれ」

律「一つ、私にドライアイスをぶっかける。二つ、私を冷凍庫に閉じ込める」

律「どっちだ!?」

姫子「私が犯罪者になるという点では、選択肢が無いんだけど」



第一七〇話「Beef or Beef?」‐完‐



 ‐ホール‐

姫子「はい、こちらカルボナーラです」

唯「ありがとー」

姫子「……ねえ」

唯「ん?」

姫子「何で梓ちゃんはこっちを睨んでるの?」

唯「えーと、ランチタイムを邪魔されたからかな?」

姫子「……あー、なるほど」

姫子「ごゆっくり」

唯「理解したなら助けてよ」



第一七一話「空気を読む≠意図を読む」‐完‐



梓「さあ、私のランチタイムの始まりですね」

唯「梓ちゃん、本当にそれだけは止めて」

梓「……仕方ないですね、わかりました。
 唯先輩がそんなに嫌がるのなら、止めておきましょう」

唯「梓ちゃんが人の気持ちをわかる人で良かった」

梓「私はそういう気持ちの動きに敏感なんです。前世が猫だったので」

唯「そう思うなら、もっと前に止めて欲しかったな」

姫子「唯先輩……って、どゆこと?」

唯「いや、梓ちゃんが私と同じ高校に進むみたいでさー」

姫子「えっ!?」

梓「そうなんです」

姫子「じゃあ私の後輩にもなるわけだ?」

姫子「よろしくね、梓ちゃん」

梓「はい」

梓「……ひめにゃんは無いかな」

梓「姫子先輩、よろしくお願いします」

姫子「今さりげなく、凄いこと言わなかった?」

唯「逆に、なんで私ならいいの?」



第一七二話「見えない線引き」‐完‐



 ‐外‐

純「ふふふふふーん」←鼻歌

憂「純ちゃーん!」

純「おぉ、憂。どこか行く途中?」

憂「うん、お店に用があってね」

純「じゃあ一緒に行くかー」

憂「純ちゃんは何してたの?サボり?」

純「買出しだよ、買出し。
 何でもかんでも私とサボりを結び付けんじゃない」

憂「えー、だって純ちゃんだよー?」

純「最近の私は、働くことを苦としていないからね!」

憂「へえ……噂には聞いてたけど、純ちゃん凄い変わったね!」

純「ふふん、仕事出来る私はカッコいいかい?」

憂「えっ」

純「何かごめん」



第一七三話「容赦もえげつもない」‐完‐



 ‐ホール‐

憂「お姉ちゃん、食べにきたよ」

唯「こちらがカルボナーラとなっております」

憂「そんなジョークは通用しないよ」

唯「えっ、割と真剣だったんだけど」

憂「だって梓ちゃんが電話で言ってたよ」

唯「それは止めてもらったから」

憂「私に独占させようとしてくれたんだね」

唯「憂はポジティブすぎるよ」

憂「仕方ないなあ」

唯「潔く諦めてくれて、良い子だね」

憂「梓ちゃん、ディナーが楽しみだね」

唯「それどういう意味」

梓「全くだよ」

唯「梓ちゃん」

憂「今日の晩御飯はお刺身だね!」

唯「……生々しいよ!」



第一七四話「純粋無垢に邪な気持ち」‐完‐



姫子「これが唯の妹……。色々な意味で危なさそうだね」

憂「大丈夫です、お姉ちゃん相手にしかこんなことしません」

唯「私が相手だと大丈夫じゃないってことだよね」

唯「そんなことより、姫子ちゃん。あの準備は出来てる?」

姫子「うん、ばっちりだよ」

唯「そっか、良かった」

純「何かやるんですか?」

唯「まあ、色々とね」

梓「純のお別れパーティーみたいなものですか?」

唯「えっ」

姫子「あっ」

梓「へっ?」



第一七五話「ネタばらしサプライズ」‐完‐



 ‐スタッフルーム‐

梓「誠に申し訳ありませんでしたー!」←土下座

唯「いや、あのさ」

唯「そういうことを思いついてもさ、言っちゃダメだよね」

唯「実際ありそうなことなんだし」

梓「でも、まさか当たるとは思わなかったですし」

唯「実際有り得るから可能性があると思ったから、梓ちゃんはあんな予想したんじゃないの?」

梓「全くその通りです……」

姫子「まあさ、梓ちゃんには悪気なかったんだし、その辺にしといたら?」

唯「……そうだね」

唯「バレたところで純ちゃんを楽しませられることに変わりは無いし」

梓「確かにそうですよ」

梓「純は単純ですし」

唯「うん、もう少し反省させようかな」

姫子「ちょっと私も参加していいかな」



第一七六話「謝罪と反省の二乗」‐完‐



 ‐キッチン‐

律「澪、料理の準備は順調か?」

澪「……ああ」

律「そっか。こっちも大方仕上がってきたよ」

澪「……」

律「しっかし、すげえことするよな唯も。
 “私がお金払うから、このお店のメニューで純ちゃんのお別れ会したい”だっけ?」

澪「……」

律「今まで稼いできたお金を、今まで働いてない純ちゃんのために使うなんて、
 普通のやつじゃ出来ないことだぜ?」

澪「……そうだな」

律「やっぱり唯は、何だかんだで純ちゃんのこと大切に思ってたんだな」

澪「……」

律「おーい。お前は、まだ立ち直れないのかー?」

澪「……だって」

律「お前が言ったことが発端だろ?」

澪「そうだけど……」

律「……あー、もうわかった!
 お前は私のことわかってるつもりなんだろうけど、実は全然わかってないってことにしろ!」

澪「え?」

律「いいか、お前はまだ私のことなんか、これっぽちもわかってないんだ」

律「だからあの時、お前が言った事は何も恥ずかしくない、
 ただの戯言だったってこと!」

律「だからお前が赤くなる必要は一ッ切無い!」

澪「そんな……」

律「……だからさ、お互いがさらに理解を深められるように、
 これからもずっと一緒にいような、澪」

澪「……え?」

律「……」

澪「……律、その台詞の方がよっぽど恥ずかしいんじゃないか?」

律「うわああああああ!やっぱり、訂正!やり直し!」

澪「はははっ、律って面白いな、やっぱり」

律「くそー……待ってろ、もう一回違う言葉で仕返ししてやるからなー……」

澪「その必要は無いよ、私も同じ気持ちだから」

律「へっ?」

澪「手が止まってるぞー、律。ちゃんと働けー」

律「……はいよ!」



第一七七話「昇華、そして結束」‐完‐



 ‐スタッフルーム‐

純「はあ……」

紬「あら、どうしたの純ちゃん」

純「いえ、盛大なネタばれを食らっちまいまして、
 どんな態度で皆と接すればいいのか、悩んでいたところです」

紬「それは深刻な問題ね」

純「本当に迷惑な話です」

紬「そういう時こそ、いつもの自分でいればいいんじゃないかしら?」

純「いつもの私ですか」

紬「……あっ、ダメね」

純「ダメですか」



第一七八話「こうして歴史は繰り返される」‐完‐



紬「でも、ここで悩んでるだけっていうのは、得策じゃないわ。
 最後の日だからこそ、ちゃんと働かないと!」

純「そうですよね、最後の日ぐらい」

純「……まあ、働いてきます。私なりに、私の仕事をしてきますね」

紬「行ってらっしゃい、純ちゃん」

 ‐ホール‐

純「憂ー、何かご注文はあるー?」

憂「お姉ちゃんを一人」

純「これはいつもの私でも対応出来ません、紬さん」



第一七九話「万事休す」‐完‐



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最終更新:2012年06月02日 23:59