梓「今日も部活勧誘ビデオの撮影頑張りましょう」

律「えーとりあえずお茶にしねー?」

澪「おい。昨日はやる気あっただろ」

律「だって思いのほか撮影が大変なんだもん。楽に終わって練習もしなくていいと思ったんだけどなー」

澪「……『狐その尾を濡らす』」

律「何それ?」

澪「ことわざだ。物事のはじめは易しいけど終わりが困難な事の例え」

唯「なんでキツネ?」

紬「子狐が川を渡る時にね、はじめは尾を高く上げて渡ろうとするけどそのうち疲れて水に濡らしちゃう事を言ってるの」

唯「へー」

梓「ほら行きますよ律先輩」

律「あ、その前にみんなに言いたい事が……」

紬「なあに?」

律「その尻尾の話で思い出したというかなんというか。あのな、えっと……」

澪「……言いにくい事なのか?」

律「ああ、まあ……実は……うんん……」

律「ええい! 説明するより見てもらった方が早い! これを見てくれ!」

律は後ろを向き自分のスカートをたくし上げた。

澪「ぶっ! 何やってんだよ!」

律「いいから見てくれ!」

梓「え……律先輩の腰から何かが……」

唯「うわっなにこれー」

律の腰、ちょうど尾てい骨の延長線上に細長い物体がぶら下がっていた。

紬「……シッポ?」

シッポとしか言いようのないモノ。
犬や猫のようなふさふさなシッポではなく、人間に尻尾が生えていたらこのような感じだろうという尻尾。
肌色で毛は生えていない。
律のお尻の割れ目をぴったり隠すくらいの長さだ。
下着はパステルイエローで可愛げのある感じだった。


澪「ど、どうしたんだよこれ!」

律「なんか最近生えてきた。病院に行って調べたら尻尾だって言われた」

紬「わ……」

唯「……ちょっとアレだね」

律「ああ。尻尾ってもっとかわいいもんだと思ってたけどぶっちゃけちょっとキモイよな」

唯「うん、あいや……キモカワ?」

律「無理すんな」

梓「病気とかではないんですよね?」

律「その辺は大丈夫らしい」

紬「ウィンナーみたい……」

澪「ムギやめろ」

律「あー言ったらすっきりしたわ。まあ尻尾生えちゃったけどこれからもよろしくな」

唯「りっちゃんは何があってもりっちゃんだよ!」

律「サンキュ。それじゃビデオの撮影するか」

紬「今日はあれをやりましょ。澪ちゃんが唯ちゃんをおんぶしてりっちゃんは梓ちゃんをおんぶするの」

紬「それで廊下を走っていくの!」

梓「ええっ!? 恥ずかしいですよ……」

唯「まあまあいいじゃないですか」

紬「それじゃあ準備にとりかかろー」


唯「澪ちゃんいくよー」

澪「ああ」

唯「ほっ」

澪「っよし」

律「ほら梓も」

梓「はい……んっ」

律「うっし。準備出来たぞムギー」

紬「それじゃあ廊下の端まで走って下さーい」

澪「端まで!?」

律「きついだろ……」

紬「頑張って!」

律「へいへい」

律「はっはっはっ」

律「くそー流石にきついな……」

律「梓なら軽くて大丈夫だと思ったんだけど」

梓「まわりの生徒が見てる……恥ずかしい」

律「疲れるよりましだっての! ……あ」

梓「……ん?」

律「……」

梓「あ、あの律先輩。何かが私のおしりにあたってるんですけど……」

律「スマン、私の尻尾だ」

律「さっきから何故か逆立ってるんだ」

梓「あ、ひゃっ、ちょ! 擦れる……!」

律「う、うおっ……!」

梓「やめて下さい!」

律「好きでやってるんじゃないわい! くおお……なんか尻尾がしびれてきた」

梓「んっ、ふっ……んんっ……あんまり揺らさないで下さい」

律「無茶言うなよ……それにこっちだってきついんだ……あっ……んっ……!」

梓「やだ……なにこれ……あふっ」

律「うああっ! バカ耳元で変な声出すな!」

梓「だ、だって……変な所に当たって……あんっ」

律「っ! ……うぅ、変な気分になってきた」

梓「んふ……ひゃ、あ……? あっダメッ! そこはっ」

律「どうした?」

梓「わ、私のパンツの中に尻尾が入っちゃいそう……!」

律「げ!?」

梓「やだっパンツずらさないで!」

律「好きでやってんじゃねー! ……うおっ! 布じゃない感触が……」

梓「きゃああ!? ちょ、律先輩!?」

律「んな事言ったって早くゴールするしか……ぐっ」

梓「あっだめそんなに揺らしたら――」

ニュブブッ

律梓「アッ――?!」


梓「あ……あ……!」ガクガク

律「うおお……な、なんか生暖かいものに包まれてる……ってこれって!?」

梓「りつセンパイの……ばかぁ……////」

律「えええ!? いやスマン! おふっ////」

梓「あ、だめ、動いちゃやぁあ……っ」

律「何だコレ……何だコレ……ぬるぬるしてる」

梓「っ!! そんな事言わないで下さ――ふああっ!?」

梓「やだっしっぽが膨らんでる……!」

律「うっ! はあはあ……」

梓「ンッ! ふにゃ、ハァ、アッ、んんっ……! りちゅせんぱい……わ、わたしもう……!」

律「お、おい! 大丈夫か梓!?」

梓「はあぁん、だめ、だめぇぇ……おんぶで、りつせんぱいのおんぶでキちゃうよぉ……!」

律「もうすぐ廊下の端だから! それまで頑張れ!」

梓「あはんっ! ご、ごめんなさ、わ、わたひ、もうだめでしゅ……! んっ、ふわっ、ア、ン――!!」

梓「んにゃああぁぁぁぁぁぁあぁあぁっ……!!!」

律「あ、あずさっ! うおっ締め付けられてる!? くうっア!? カニクリームコロッケ食べたい」

唯「ゴール!」

澪「ぜえはあ……疲れた」

紬「お疲れー」

唯「あれ、りっちゃんたち遅いね」

律梓「」ビクッビククッブルル

澪「何やってんだあいつら……」

律「ゴ、ゴール……ぜえはあぜえはあ」

梓「……////」

唯「お疲れー。あれ、あずにゃんまで顔赤いよ?」

梓「へにゃ、こ、これは……なんでもないでしゅから……」

律「はぁはぁ……と、とりあえず休憩にしない?」

澪「そうだな。私も結構疲れが」

紬「それじゃあお茶にしましょう」

唯「やったぁ」


律「梓大丈夫か?」

梓「へあ? あ、はい……」

律「それじゃ下ろすぞ」

梓「あ、ま、待ってください!」

律「ん?」

梓「その……今足腰に力が入らなくて立てないかもしれないです……」

律「そ、そうか//// 仕方ない、部室までおぶっていくか」

梓「すいません……」

律「んじゃ行くぞ」

梓「はい、アンッ?!」

律「ぐえっ!? ちょ、首がじまる……」

梓「はぁぁ……あっすいません」

律「とにかく部室まで行かなければ。後はこの階段を上るだけ……」

梓「……んっ」

律「はぁ……はぁ……」

梓「んっ! んくぅ……」

律「もう少しの辛抱だ」

梓「……っ」

律「梓?」

梓「あっだめこっち見ないで下さいっ……!」

律「お、おう」

梓(私今ぜったい変な顔になってるよぅ)

律「はぁはぁ……うっく」

梓(律先輩も気持ちいいんだ……)

「あれ? りっちゃん何やってるの?」

梓「ッ!!」

律「へっ!? こ……これは軽音部の特訓なんだぜ!」

「へえーすごいね軽音部。それじゃあ頑張ってね」

梓(あ、だめ、きちゃう……!!)

律「おーう」

律「……はー心臓が破裂するかと思ったぜ」

梓「ッ――! ふはぁっ、ん~~~!! ア――っは! ん、くはっ……」

律「あずさ……?」

梓(頭がフットーしそうだよおっっ)


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最終更新:2012年06月11日 20:24