唯「もうすぐバレンタインだねー」

澪「まぁ女子高だからあんまり関係ないとも言えるけどな」

紬「そんなことないわ!女子高だからこそバレンタインよ!」

澪「そ、そうか」

律「そんなロマンチックなイベントは私らには無縁だ」ホジホジ

梓「先輩達は家族以外にあげるんですか?」

唯「え、うん、もちろん」

紬「クラスメートにはあげるわよね」

唯「違うよー、近所の田中君とか……」

紬「男……だと?」

紬(まぁ唯ちゃんも年頃なんだし、男の子の友達の一人や二人……)

唯「あと小学校で一緒だった斎藤君、佐藤君、鈴木君、山田君……」

律「多いな!」

唯「えー、だって友達なんだもん……それに皆、ちゃんとお返しくれるし」

律「後半が本音か」

澪「でもバレンタインにチョコなんかあげたら、余計な誤解を生まないか?」

唯「ほえ?」

梓「『平沢って俺の事好きなんだ』と思われますよ」

紬「そうよ、そんなの良くないわ。あげるなら女の子に限定しないと」

唯「そ、それは無いと思うよ、皆彼女いるし」

澪「さらに質悪いな」

梓「大体唯先輩は隙が多すぎです!悪い男に騙されますよ!」

澪「ぶりっ子のレッテル貼られて女からも恨まれるぞ」

唯「ふえぇ!?」

律「そして体を売るしか生きる道が無く……」

唯「…………グス」

紬「ゆ、唯ちゃん!もう、皆いじめすぎよ」ムギュ

律「いやー好きな奴ほどいじめたくなるじゃん?」

梓「小学生ですか……わからなくもないですけど」

澪「まぁ真面目な話、家族とかは別にしてあげるのは本命だけにしといた方が良くないか?」

唯「……」プイ

梓(拗ねてしまわれた…………可愛い)

律「チョコなー、親父と弟にしかあげた事無いな」

澪「しかも毎年コアラのマーチ」

律「コアラのマーチのポテンシャル舐めんなよ」

紬「澪ちゃんにあげたりしないの?」

律「あー……んー……実は……」

澪「おい止めろ」

律「澪からはもらった事が」

澪「!」ガン

律「いてぇ!」

澪「わ、若さ故の過ちだ!」

紬「……」ニヤニヤ



帰り道

唯「人の好意をバカにするなんて酷いよ!」フンス

紬「まぁりっちゃん達も悪気は無かったのよ」

唯「今度りっちゃんのおデコにチョコソースつけてペロペロしてやる」

唯「澪ちゃんにはチョコの呪いをかけておくし」

唯「あずにゃんのピックも板チョコに変えちゃうもん」

紬(凄く見たい)

唯「ねぇムギちゃん」

紬「何?」

唯「ムギちゃんはいつも美味しいチョコ食べてそうだね」

紬「うーん……確かによくいただいたりはするけど」

唯「良いなぁ」

紬「ふふっ、よかったら今度持ってくるわね」

唯「やったー!」

唯「あ、でもどうせならバレンタインデーに持ってきてね!」

紬「えぇ、分かってるわ」

唯「えへへ、楽しみだなぁ」

紬(この笑顔の為ならチョコなど安い物……和ちゃんの気持ちが分かるわ)

唯「じゃ、また明日ね!」

紬「うん」

紬「帰ったらさっそく美味しいチョコを調べなきゃ!」



琴吹家

紬(こういう時はネットが頼りになるわね)カチカチ

紬「えーっと……あ!これなんか良さそう!チョコ世界大賞を取ったことがあるシェフの作品ね!」

紬「予約は一年前からか……残念」

紬「これはウイスキーボンボン?お菓子とはいえお酒は……」ホワンホワン


唯『酔っちゃったよー』

澪『運動すると汗と一緒に抜けるぞ』ヌギヌギ

唯『え……?み、澪ちゃん、そういう運動?』

澪『火照った唯も可愛いぞ……』


紬「とりあえず候補には入れておきましょう」


紬「レビューばかりじゃ今一つ印象が掴めないわね……よし」

紬「斉藤、これ全部取り寄せてもらえる?」

斉藤「かしこまりました」

紬「唯ちゃんの口に入るんですもの、キチンと味見をしないと」

斉藤「バレンタインでございますか?」

紬「えぇそうよ」

斉藤「恐れながらお嬢様……」

紬「?」

斉藤「いえ、何でもありません。失礼しました」

紬「そう?とりあえずお願いね」

斉藤「はっ!」

紬「後は唯ちゃん自身の好みのリサーチね」

紬「基本的に嫌いな物は無さそうだけど……」

紬「憂ちゃんと和ちゃんに聞けばわかるかしら」

紬「本人に聞くのは……野暮よね」

紬「あと一週間か……間に合えば良いな……」

紬「唯ちゃん、お休みなさい」

紬「……zzz」

紬「…………ムニャ……バルス……」



平沢家

唯「抜き足差し足忍び足……」コソコソ

唯「台所に到着」

唯「これより極秘任務を開始するであります」

唯「さてまずはお湯を沸かして」

憂「お姉ちゃん?」

唯「ぎょえええ!?」

憂「妹の顔見て驚かないでよ……」シュン

唯「こ、子どもはもう寝なさい!」

憂「お姉ちゃんは何してるの?」

唯「な、内緒だよ!」

憂「ふーん…………手伝う?」

唯「だ、ダメだよ!いくら憂でも今回はダメ!」

憂「ふふふ、じゃあ頑張ってね」

唯(うー……我が妹ながら鋭い子)



学校

紬「おはよう和ちゃん」

和「あらムギおはよう。随分早いのね」

紬「生徒会長こそ」

和「もう引き継いだわよ」

紬「訊きたい事があるんだけど」

和「何よ?唯のチョコの好みとか?」

紬「……」

和「普段の態度見てたら大体わかるのよこういうのは」

紬「恐れ入ります」

和「ま、あの子は甘いものなら何でも好きよ」

和「そうそう、一回カカオ99%チョコを食べさせたんだけど」

和「泣いたわ」


紬「そ、それって嫌がらせじゃ……」

和「うん」


紬「断言した!」

和「だって泣いてる唯って可愛いんだもん」

和「おまけに慰めたら擦りよってくるのよ」

和「泣かしたのは私なのに」ケラケラ

和「あの子って飴と鞭に凄く弱いから、DV男とかに引っかからないか心配だわ」

紬「す、既に和ちゃんがそんな感じに思うわ」

和「あら、私は限界を弁えてるもの。アホな連中と一緒にされるのは心外ね」

和「唯って表情がコロコロ変わるから、ついつい色々ちょっかい出したくなるのよ」

紬「それはまぁ……そうかも。私もつい餌付けしちゃうの」

和「でしょ?そもそも唯だって風呂をザリガニで埋めたりしてわけわかんない嫌がらせするんだから」

紬(ほんとにわけわかんないわ……)

和「あと最近熱いのは弟と妹をおとりにした下着チェックね」

和「さすがに子どもじゃスカートめくられても怒るに怒れない」

和「やり場のない恥ずかしさを抱えた顔でご飯三杯は軽いわね」

紬「和ちゃん……変態だったのね」

和「あらー、写真焼き増ししても良いのよ?」

紬「…………友達を売るなんて」

和「例えばこんな」チラ

紬「良いでしょう、おいくらかしら?」

和「冗談よ。いくら私でもそこまで外道じゃないわ」

紬(でも写真は処分しないのね)

和「本題に戻るけど……そうね……生チョコとかマシュマロとか柔らかい食感が好きみたいよ」

紬「それは貴重な情報ね。ありがとう」

和「あと根本的にお子様だから、動物ビスケットとか喜ぶわよ」

紬「こないだも部室でビスケット戦わせて遊んでたわ」

和「はぁ……あの子ったら」

紬「可愛いかったわ」

和「ムギも大分重症ね」



昼休み

律「飯だー!」

澪「唯はまた菓子パンか?」

唯「ぶー!今日はホットドッグだよ。甘いのはバレンタインまで我慢するの」

和「唯が珍しいわね」

澪「とうとう唯もダイエットか」ニヤニヤ

唯「いいえ違います。当方胸しか成長してません」キッパリ

澪「……」

唯「ムギちゃんが美味しいチョコくれるから、もっと美味しく食べれるようにね」フンス

律「なんだー私にもくれよムギ」

紬「もちろん、ちゃんと全員分持ってくるわ」

紬(うぅ……唯ちゃんの期待に応えられるチョコを早く見つけないと)

和(チョコと見せかけたコーヒー豆団子……いけるわね)

唯「んぐんぐ」モグモグ


律「お前なー、もうちょっと上品に食べれないのか」ガツガツ

澪「お前が言うな」


和「でも律の言うとおりよ、棒状の物をくわえるのはどうかと思うわ」

澪「和も言葉を選べ」

唯「んぐっ!?」

紬「詰まった?」

唯「んぐぐ……」ゴクゴク

唯「ぷはっ!死ぬかと思った……あ!!」

律「な、なんだよ急に」

唯「甘いの食べないって決めてたのに苺みるく飲んじゃった……」シュン


紬「真剣に誘拐を検討するくらい可愛い」

澪「心の中で言おうなムギ」


律「ていうかさ、憂ちゃんに頼めば弁当くらい作ってくれるだろ」シーハー

澪「あぐらかいて爪楊枝は無いだろ」

唯「憂に頼むと食べきれないくらい作っちゃうから」

律「あー、なんか思い浮かぶ」

和「三段重ねの重箱だったからね」

紬「わ、私もそんな経験は無いわね……」

律「うちなんて夕飯の残りばっかりだぜー。まぁ作ってもらって文句は言えないけどさ」

和「自分で作れば良いのに」

律「おにぎりしか作れない」

澪「彼氏が出来た時困るぞ」


律「私のおにぎりを喜ばない奴なんていらん」

唯「なんという男らしさ」


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最終更新:2010年02月01日 00:56