放課後

梓「禁欲ですか?」

唯「いえーす」

梓「明日までもてば良いですね」

唯「む!反抗的なのはこの口かー!」ギュウギュウ

梓「引っ張らないで下さい!」

律「いいぞもっとやれ」

紬「お茶淹れるわね」

澪「いつも悪いな」

紬「気にしないで」

梓「唇腫れたらどうしてくれるんですか!」

唯「リップクリーム貸したげるよ、ほら」

梓「自分のあるからいいです」

紬(間接チューを捨てた!?嘘でしょ!?)

紬「はい皆どうぞ」

梓「ありがとうございます」

澪「ありがとう」

律「ご苦労ムギ君、下がりたまえ」

紬「はい旦那さま」

律「んー良い香りだ」

唯「……苦い」

梓「砂糖入れないんですか?」

唯「甘いのはダメだよ」

澪「そんな厳密にやらなくても、チョコだけ我慢すれば?」

梓「唯先輩はやる時は徹底的な人ですからね」

唯「甘い物食べれないって辛いね。私、絶対ダイエットなんか出来ないよ」

唯「あ、する必要も無かった」

澪「おいわざとか?わざとだろ、ん?」

梓「さて、練習しますか?」

律「うーい」

唯「あ、待って。今飲み終わるから」

紬「無理せず残しても良いのに」

唯「せっかくムギちゃんが淹れてくれたのに、そんなの出来ないよ」

紬「唯ちゃん……」

律「キュンキュンする~」

澪「妙なアフレコするな」

梓「練習……」



3日後

斉藤「例の物が届きました」

紬「ありがとう」

紬「どれどれ」パク

紬「少し苦いわね……これは澪ちゃんが喜びそう」

紬「次」ヒョイ

紬「あ、甘過ぎ……さすがアメリカ、大雑把だわ」

紬「こんなの唯ちゃんに渡したらすぐに虫歯になっちゃうわね」

紬「他には……」






紬「…………食べ過ぎた」

紬「ちょっと腹ごなしにお散歩してくるわね」

斉藤「なら護衛を」

紬「いらないわよ大袈裟な」

斉藤「しかし外は今物騒です。横綱に襲われるやもしれません」

紬「非現実的過ぎるわよ」




紬「結局唯ちゃんに相応しいチョコは見つからなかった……」

紬「新しいチョコを発注しないと……」

紬「琴吹紬の名に賭けて、あの天使を満足させてみせるわ!」

横綱「殺すぞ!」

一般人「お、お助け!」

紬「まぁ喧嘩かしら……怖いわ」



翌日

唯「おはよ……」

紬「だ、大丈夫!?」

唯「甘いの……甘いの欲しいよぉ……」

澪「いよいよ禁断症状か」

唯「おや、こんなところに大きなトッポが」ガブリ

律「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!?」

和「落ち着きなさい、それは田井中律よ」

唯「ん~、りっちゃんの首筋甘い匂いがするよぉ」ペロペロ


律「や、止めろ!どこ舐めてんだバカ唯!ひゃあぁぁ!!」

澪「これは酷い」


紬「はぁはぁ」

澪「これも酷い」


和「唯!これを見なさい!」

唯「そ、それは軽くてフワフワな食感と甘さが嬉しいエアロチョコ!」

和「これが欲しくば律を離しなさい!」

唯「あ……あ……」

澪(まるで夢遊病だな)

律「た、助かった」

和「ほーら、チョコはここよ」ヒョイヒョイ

唯「うあー!和ちゃんのが背高いくせにいじわる!」

律「唯の奴、超涙目じゃん」

和「もう仕方ないわね、はい」

唯「わーい!」

和「と、見せかけて」バリボリ


唯「エアロォォォォォッ!!」


唯「エアロは死んだもういない…………ヒック」

和「泣いちゃダメよ唯、あなたはエアロの犠牲を胸に、バレンタインまで強く生きなさい」ギュ

唯「和ちゃん……」

和「きっとエアロは生まれ変わってまた唯に会いに来るわよ」

唯「うん……」

和「ふふ、さぁエアロに約束して?もう誘惑には負けないって」

唯「うん!もう大丈夫だよ!」フンス

律「なんか和って唯の調教師みたいだよな」

澪「私は唯の洗脳耐性の無さが心配だ……宗教とかにハマらないと良いんだけど」

紬「……」カリカリ

律「メモ取るなよ」


律「お前鬼だな」

和「あら、私は唯の成長の為にあえて悪役になってるのよ」

和「あのままその辺の市販チョコを食べちゃうくらいの決意なら、最初から無い方がマシよ」

澪「いや一理あると言えばあるけど」

和「まぁそれだけ唯も誰かさんのチョコを楽しみにしてるのよ」

紬(プレッシャーだわ……憂ちゃんにも話を聞かないと)


澪「どうした?」

唯「澪ちゃんが大きなポッキーに見える」

澪「おい寄るな」



昼休み

唯「今日はツナサンド!」

律「弁当のおかずは唐揚げが最強。異論は認めない」

和「冷えた肉じゃがの味の浸透率は異常」

澪「日本人は黙って梅干し」

唯「あれ?ムギちゃんは?」

和「さっき出てったわよ」


二年生の教室

梓「うわ!寄り弁になってる!」

純「あるある」

憂「味が混ざるんだよね」

紬「うふふ」

梓「先輩!?」

紬「皆さん仲良しね」

梓「どうも……ってムギ先輩なぜここに?」

紬「ちょっと憂ちゃんに用事があって」

憂「私ですか?」

紬「ええ、少し良いかしら?」

純「平沢憂レンタル、6時間パックで一万円になります」

憂「あれ?安くない?」

梓「……」

純「先輩の前でいじられるようなボロを出さないように黙ってる中野梓

梓「純うるさい」

紬「うふふ、それはまたじっくりと聞かせて貰うわね。憂ちゃん借りていくわ」

純「ごゆっくりー」



憂「お姉ちゃんの好みですか?」

紬「うん、妹である憂ちゃんなら知ってるでしょう?」

憂「…………」

紬「憂ちゃん?」

憂「あ、すいません。考え事を」

憂「そうですね……うーん……昨日はピザのチーズが切れなくて悪戦苦闘してました」

憂「あとコーラ飲んだ後で小さく『けぷ』って言ってました、可愛かったです」

紬「あの、出来ればお菓子の好みを……」

憂「お姉ちゃんは何でも好きですからね」

紬「そうなの、だからこれぞっていう決め手が欲しいのよ」

憂「…………バレンタインチョコですよね?」

紬「うん」

憂「でしたら……」



琴吹家

紬「……」カタカタ

斉藤「お嬢様、新たなチョコが届きました」

紬「ご苦労様……斉藤、もう一つお願いできるかしら?」

斉藤「なんなりと」


平沢家

唯「うぐ……あがぁ……静まれ……私のお菓子欲……!」

平沢母「唯がおかしく……」

平沢父「心配はいらない、父さんも唯くらいの年頃はあんなだった」

憂「いや多分違うよ」



田井中家

律「おい聡、今年はチョコもらえそうか?」

聡「別に。貰えなくても気にしねぇし」

律「おーおー、かっこつけちゃって」

聡「うっさいな!姉ちゃんこそあげる相手もいねぇくせに!」

律「田井中律ファンクラブの会員にあげますー」
聡「どこにあんだよそれ」



秋山家

澪「チョコかぁ……」

澪「パパくらいしかあげる相手いないなぁ」

澪「虚しい」

澪「冷静に考えて18歳で年齢=彼氏無しって不味くないか?」

澪「2ちゃんで相談しよ」


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最終更新:2010年02月01日 00:57