ライブ予定時間15分前
~ステージ脇~

憂「ふ~」ドキドキ

紬「憂ちゃん緊張してる?」

憂「はい、この前は失敗しちゃったので…」

梓「憂なら大丈夫だよ、一番頑張って練習してたの憂じゃない」

憂「ありがとう梓ちゃん(お姉ちゃん私お姉ちゃんの分も精一杯やるね)」
ギュ

律「おっそいな………」キョロキョロ

澪「律どうしたんだ?やっぱりお前変だ…」

「律!お待たせ~」

律「間に合った!!!
遅かったじゃないか、ライブ始まっちゃうところだったんだぞ」

「しょうがないでしょ、スッゴい行列だったんだから、はいコレ」
⊃紙袋

律「サンキュー、今度何か奢るから許してくれ」

澪「律?」

紬「りっちゃん?」

律「あ…ちょっとすまん!トイレに行ってくる」

梓「トイレってすぐにライブですよ!」

律「すまんみんな。ちゃっちゃとすませてくから」
ダダダダ


梓「行っちゃった…」

憂「律さんどうしたんだろ?それにあの紙袋…」

澪「みんなごめん、私ちょっと行ってくる」
ダダダダ

梓「え~!!!!澪先輩まで!!!!どうするんですか!ライブもうすぐなのに」オロオロ

紬「大丈夫よ梓ちゃん」

梓「ムギ先輩…」

紬「りっちゃんと澪ちゃんを信じて待ちましょ」ニコ

梓「…はい」

紬「(澪ちゃん…りっちゃんをお願いね)」



――――――
―――
数分後
~トイレ前廊下~

パクパク
律「これ……」

ダダダダ
澪「律!!!!」

律「うわ澪!何でここに!」

澪「お前を追いかけて来たに決まってるだろ!
それより何があったんだ!大事なライブ前なんだぞ」

律「いや~えっとこれは…」

澪「それにその紙袋は何だ!見せろ」
ヒョイ

律「あ~!!!澪やめろ~」

澪「ん?いい匂い?
え!?これって……唯が作ったタルト?」

律「ん……いや」オロオロ

澪「律どういう事だ!?何でここに唯のタルトがあるんだ!?」

律「…買ってきてもらったんだよ」ボソ

澪「え?」

律「どうしも食べてみたくて…友達に頼んで買ってきてもらったんだよ」

澪「何で…だって律は唯のこと」

律「そうだよ…私は唯が嫌いになった
ギターから逃げる為に、軽音部を辞めようとする唯が許せなかった
…唯の事が大好きだったから裏切られたと思った」


澪「律…唯は逃げた訳じゃないだろ?そんな事唯が好きなお前なら分かるじゃないか」


律「分かってるよ…
けどそう認めてしまったら、唯にとって私達より大切なものができたって事を認めなきゃならないだろ!
…それが私には怖かったんだ!
唯が離れていくくらいなら私が突き放してやるって…」


澪「じゃ何で今さら唯のタルトを?」



律「この前澪と唯が話してるの聞いたんだよ…」

澪「この前って…お前あの時帰ったんじゃ!?」

律「澪を驚かそうと思って隠れてたんだ、そしたらお前唯と一緒に歩いてきて」

澪「…………」

律「驚いたよ、それでとっさに隠れて2人の話を聞いた」


澪「私が唯にもう一度軽音部に戻らないか?って言ったときも…」


律「あぁ、正直ムカついた。今さら唯となんて澪のやつなに考えてんだって! けどもしかしたら唯が戻ってきてくれるかもって期待もした
唯がギターやってるって言ってたし、またみんなでできるかもって
けど唯の答えはあの時と変わらずで…
私は家政部のやつらに嫉妬して、また勝手に唯に裏切られた気持ちになった
けど…」


澪「けど?」

律「唯が私達を捨ててまで選んだものが、どれほどのものか知りたくなった…
唯の料理が食べたくなったんだ。

だから友達に頼んで家政部の出店で買ってきてもらってた、私じゃムリだからな…」

澪「律…」

律「正直驚いたよ
こんな美味いと思わなかった。
あのボソボソのクッキーから、ここまで作るのに唯がどれほど頑張ったのか私には想像つかない…
逃げたやつにこんなお菓子作れるわけないよな…」

澪「律…お前は前にも唯の料理食べてるんだよ」

律「え?」


澪「クリスマスの時の料理、あれ半分は唯が作ったんだって憂ちゃんが言ってたんだ
唯がクリスマス会にでれない自分の変わりにって」


律「そっか…あれも美味しかったな…
な~澪…私最低だな
唯が自分から離れるのが怖いからって、唯が逃げるって言ったり
せっかく作ってきたクッキー捨てるし…
無視するし…
わたし…わたし…ヒッグ…グス」


澪「………」
ギュ

律「グスン…み゛お?」


澪「バカ律
自分が悪いと思うなら謝ればいいだろ」


律「だって…唯許してくれないよ…グスン
自分の弱さを唯のせいにしたんだぞ…最低だよ…グスン」


澪「許してくれないならもぅ一回謝れ、それでもダメならもぅ一回だ!
唯が許しくれるまで何度も謝って、自分の弱い気持ちも、情けない気持ちも全部唯に話すんだ
私も一緒についていってやる」


律「グスン…唯許してくれるかな…」

澪「お前の知ってる唯は許してくれないのか?」

律「澪…うぅ゛ん゛
ぎっと…ゆるじて…くれるグスン」


澪「よし!それならライブ終わったらみんなで行こう
唯もライブ見にきてくれるかもしれないし、頑張って成功させような律!?」

律「そうだよ…な」グシグシ

律「唯にちゃんと謝るためにも
ライブ成功させないとな!
ってうわ!もう開演まで時間ないじゃん!
澪急ぐぞ」
ダダダダ

澪「こら!立ち直った途端に私を置いてくな~」
ダダダダ


律「みお~」

澪「走ってんのにハァ話しかけるなハァ」

律「ありがとな」


澪「…………バカ律///」


―――――――――
―――
またまた数分後
~ステージ~

梓「ムギ先輩!ヤバいですよ!そろそろ開演時間ですよ!」

紬「大丈夫よ。梓ちゃんは心配症ね」ニコニコ

梓「何でそんなに笑ってられるんですか!」

憂「律さん…」

ダダダダ

律「ギリギリッセーーーフ!」

梓「律先輩!なにやってたんですか!?」

紬「りっちゃんお帰り」ニコニコ

澪「律…ハァハァ…早すぎ……ハァハァ」


律「澪はだらしないな~よし準備するぞ、ほら梓も準備準備」

梓「私はとっくに終わってるんですよ!だいたい先輩…」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁ」

憂「澪さんベース持てますか?」

澪「憂ちゃん…うん何とか…ハァ…大丈夫」

♪~次はけいおん部による演奏です~♪


律「お!そろそろか、
はいは~い皆さん注目!ゴホン
みんな今まで私がガキなせいで迷惑かけてごめん!

私このライブが終わったら唯に謝るよ」ペコ

紬梓憂「!!!!!」

澪「…………」ニコ



律「憂ちゃん、せっかく入部してくれたのにずっと嫌な思いさせててごめん。
唯が辞めて一番悲しかったのは憂ちゃんなのに、お姉ちゃんの事ヒドく言っちゃって…」

憂「律さん…私このけいおん部に入って良かったと思ってます。皆さんと演奏していて本当に楽しいです」ニコ

律「ありがとう憂ちゃん。私も憂ちゃんとやれて楽しいよ」ペコ


律「梓、前は殴って悪かったな。
私はダメな部長だったけど、これからは梓が軽音部を引っ張っていくんだぞ」

梓「あ!えっと…はい!唯先輩の事ありがとうございます」

律「何でお前がお礼をいうんだよ、ありがと」ニコ


律「ムギもごめんな。2年の時私と唯の板挟みで苦労したろ…
けどムギの優しさが私は嬉しかったよ」

紬「りっちゃん…私も唯ちゃんに一緒に謝まらせて!ね?」

律「ありがとうムギ」ペコ

律「澪…」

澪「私はいいよ。演奏頑張ろうな」



律「そうだな…そしじゃあ最高の演奏しますか!いくぞ」

ワン.ツー~♪


――――――
――――
同時刻
~調理実習室~

唯「ありがとうね~お姉ちゃん達」チラッ

そろそろライブの時間かな

ゾロゾロ!ゾロゾロ!

は~これだけお客さんがいたら抜けられないな…
けどみんな頑張ってるんだから私も頑張らないと!

部長「唯ちゃん!唯ちゃん!」

唯「はひ!な、何でごぜえましょ?」

部長「大丈夫?ぼーっとしてたわよ?
タルト3つだって」


部長「ありがとう…唯ちゃんこれ違うわよ?」

唯「うえ!ホントだごめん!今すぐ交換…ってわ!!!」
ツルッドタン

部長「大丈夫唯ちゃん!?」

唯「イタタタタ…だ、大丈夫!」

部長「………………唯ちゃん」

唯「ごめんねすぐ新しいの…イタタ」

部長「唯ちゃん。私はあなたが家政部に来てくれてホントに嬉しかったのよ」

唯「どうしたの突然…そんな事よりお客さん…」


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最終更新:2010年02月01日 03:02