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さわ子「それで、どうして無人島なんかにいるのよ」

律「いや……話せば長いようで短いんだけどな」

さわ子「なら話しなさいよ」

律「宮神学園に招待されたのは知ってる?」

さわ子「聞いてないわ。生徒会を通して軽音部が招待されるなんて」

律「違う違う。招待されたのはむぎなんだよ」

純「あ、そうなんですか」

プッチャン「むぎぃ? へっ、麦芽100%のアルコール炭酸飲料かよ」

梓「……」パシッ


シュルルル

パサッ


プッチャン「」

りの「プッチャン!」ガガガーン

歩「りの、早く拾って」

さわ子「どうしてむぎちゃんが招待されたのよ」

律「生まれた病院が一緒なんだと」

さわ子「???」

梓「生徒会長の神宮司奏さんとはお会いになりましたか?」

さわ子「えぇ、一応ね」

梓「むぎ先輩と奏さんが生まれた病院が一緒なんです。
  むぎ先輩の6日後に奏さんという順ですね」

純「……へぇ」

りの「凄い偶然だよね~!」

さわ子「それだけの理由なの?」

律「あぁ、それだけの理由らしいぜ」

さわ子「それだけの為に、私はここまで引率者として呼ばれたって訳なの?」

律「……そうなるな」

さわ子「フフ……」ユラリ

プッチャン「お互い大変だなぁ、手のかかる娘たちでよぉ」

りの「私、プッチャンの娘じゃないもん!」

歩「心中お察しします」

さわ子「緊急で呼ばれて、飛行機に飛び乗り、特急で学園まで行って、ヘリに乗せられ、
    たどり着いた先は無人島……」

りの「きっと、お役に立ちますよこのしおり」ニコニコ

歩「叩きつける気持ちにもなりますね」

律「まぁな」

純「あれ、梓がいない……」キョロキョロ

プッチャン「アイツなら、伝えるだけ伝えてどっか行きやがったぜ」


――…


奈々穂「おい久遠」

久遠「なんですの?」

奈々穂「おまえも手伝え」

久遠「残念ですわ。私、頭脳派ですの」

唯「私もですの」

奈々穂「いえ、お客に手伝わせるつもりはありません。座っていてください」

唯「了解!」ビシッ

澪「あれ、律はどうした?」

香「律さんなら、引率の先生がいらっしゃるということで、ヘリポートへ向かいましたよ」

澪「テント設営逃げたな……律ッ!」

まゆら「へリ……? ヘリってなんですか?」

唯「空を飛ぶ乗り物だよ」

まゆら「そ、それは知ってます。ヘリのチャーターまでしたんですか?」

久遠「操縦はシンディさんでしてよ」

まゆら「ね、燃料費が……」

れいん「えっさ、ほいさ」セッセ

小百合「……」セッセ

澪「……よく働いている」

奈々穂「あぁ、私たちが誇る遊撃部の精鋭だからな」

澪「座って待っているだけでは悪いな。私たちも手伝おうか、唯」

唯「……あいたたた、持病の虫歯が」

澪「食後のケーキはおあずけか」

唯「わたしにも指示を下さいな」

久遠「そうですわね。和泉さんと組んでもらいましょうか」

唯「香ちゃんと一緒だね。お任せあれ」

テッテッテ

澪「持病の虫歯ってなんだ……」

奈々穂「それでは、せっかくなので澪さんは小百合と組んでもらいましょうか」

澪「は、はいっ、かしこますりますたっ」

奈々穂「噛んだ……。というか、どうして急に固くなったのですか?」

久遠「情報によると、澪さんは男性が苦手とありますわね」

奈々穂「どういう意味だ、久遠」ギロッ

久遠「そういう意味ですわ」フフン

澪「え、えっと……その、一人で島流しされそうだったので……思い出したというか……」モジモジ

梓「トラウマですか。聞こえていないみたいですよ」

奈々穂「夜の肝試しで勝負だ!」

久遠「望むところですわ」

澪「不吉なワードが聞こえたような……?」

梓「むぎ先輩、知りませんか?」

澪「見てないけど、料理班じゃないかな」

梓「そうですか、それでは」




梓「うっ……」

唯「足手まといにされちゃったよぉ~」シクシク

梓「……しょうがないですね」

奈々穂「香! 客人を戦力外通告とはどういうことだ!」

香「ち、違いますよ!」

唯「うぉ~ん」シクシク

奈々穂「うちの部下が失礼なことをした。すまない」

梓「いつものことですので、気にしないで下さい」

唯「どういう意味なのあずにゃ~ん」シクシク

奈々穂「私もフォローするので、作業に戻りましょう」

唯「了解!」ビシッ

久遠「では、私は澪さんの方へ参りますわ」



香「私悪くないのに~」ションボリ

梓「唯先輩、なにをやらかしたんですか?」

香「このポールがありますよね」

梓「テントに使う骨組みですか」

香「そうです。中に伸縮するゴムが入っているので、両方を引っ張って」

グググ

香「離す」

ジャキーン

香「こうやって、繋ぐ作業をしていたんです」

梓「指を挟んだ、と」

香「いえ、それなら痛みを訴えるじゃないですか」

梓「そっか……」

香「その手前、指を挟みそうになるので、止めさせたという訳です」

梓「……うん、間違ってない」


唯「こうやって~」

グググ

奈々穂「……」ハラハラ

パキッ

唯「あり? 香ちゃんみたく、巧くできないね」エヘヘ

グググ

パキッ

唯「難しいな~」

奈々穂「……」ハラハラ

グググ

パキッ

唯「むむ……」

グググ

パキッ

唯「なんですと……?」

奈々穂「……」イライラ

グググ

ジャキーン

唯「やったよ!」

奈々穂「すまない、戦力外だ」ポン

唯「通告!?」



久遠「向こうは楽しそうですわね」

澪「唯は周りを楽しませる才能があるから」

小百合「それは羨ましい」

れいん「はりー、急げー、超特急ー! 日が暮れちゃうよー!」

久遠「そうですわね。では、組み立てていきますわ」

澪「うん」

小百合「……」サッ

れいん「ちょちょいのちょーい、ってねー!」

久遠「完成ですわね」

澪「そんなバカな……!」

久遠「なにかおかしな点でもありまして?」

澪「いや、あれ……? 私の目がおかしいのかな。短時間ってレベルじゃないぞ」ゴシゴシ

れいん「これくらい、余裕、楽勝、絶好調ー!」

小百合「うむ」

奈々穂「よし。あとは虫が入ってこれないように網をひと回り貼り付けるだけだ」

れいん「はーい、はーい! あっしがやりまーっす!」

奈々穂「うむ、ではれいん、頼んだぞ」

澪「よし、作業工程を見逃さないようにするぞ」グッ

梓「それじゃ、料理班に行ってきます」

澪「あぁ、行ってらっしゃい」

れいん「完了!」

澪「はは……」

律「乾いた笑いだな。どうした?」

澪「目を離した一瞬で完了したんだ」

律「うむ、……さっぱり分からん」

プッチャン「お、手際がいいな、もうテントを設営し終えたのかよ」

りの「わぁー、この中でみんな寝るんだね~」

さわ子「人数はいくつですか?」

奈々穂「極上生徒会からは、
    奏会長、私、久遠、まゆら、りの、小百合、れいん、香、聖奈さん、みなも、シンディさん、
    歩、プラス1、の13名です」

さわ子「大所帯ね……」

律「こっちは部長の私、ベースの澪、唯、キーボードのむぎ、ギターの梓、顧問のさわちゃん、
  会長の和、ジャズ研の純……」

唯「ちょいと、りっちゃんやい。わたしのギー太をお忘れかい」

律「姫子の9人だな」

唯「姫ちゃん来てるの!?」

さわ子「料理班にいるはずよ」

久遠「二名、ヘリに乗っていらしたそうですわね」

まゆら「」

唯「行ってくるよ!」

ダダダッ

律「ウソだけどな」

奈々穂「料理が得意だと聞いて、料理班に向かわせたんだが……」

香「誰が得意なんですか?」

れいん「話の流れで分かるっしょー?」

香「???」

久遠「唯さんの妹さんですわ」

小百合「ほう……」

りの「なにを作ってくれるんでしょうか、楽しみです~」ワクワク

プッチャン「キャンプの飯は大体相場が決まってるじゃねえか。カレーだろう」

香「な、なんですとぉー!!」

ダダダダッ

澪「?」

律「どうして香が勢いよく走って行ったんだ?」

久遠「妹さんに負けまいということでしょう」

奈々穂「あぁ……。香のカレーに対するこだわりは半端なものじゃないからな」

れいん「うむ」

小百合「うむ……真似をするな」

れいん「えっへへ~」




憂「じゃがいもを入れて……」

香「ちょっと待ったぁぁあ!!」

憂「!」ビクッ

香「はぁ……っ、材料……余ってますかっ?」

憂「は、はい……」

香「よ、よしっ。私も作りますっ!」

憂「えっと……」

和「鍋はこの大きい物、一つしかないけど」

香「な、なんですと」

シンディ「ノー…プロブレム……」

和「!」ビクッ

シンディ「ビッグ・鍋……持ってきた」

香「シンディさん! ナイスタイミングです!」

シンディ「グッ」グッ

香「イエーイ!」グッ

憂「……」ニコニコ

和「真鍋和です」

シンディ「シンディ・真鍋」

プッチャン「真鍋同士が、鍋を争っていたわけか」

香「争ってなんかないわよ。邪魔よ邪魔」シッシッ

りの「匂いに誘われてきました~」クンクン

憂「まだルーを入れていませんけど……」

りの「ありゃ~」アハハ

プッチャン「おい、あの戦力外がいねえぞ」

りの「プッチャン、そんな言い方しちゃだめだよ~」

和「唯はまだ来てないわよ?」

プッチャン「誰を指しているのかどうして分かるんだよ」

和「……私と唯は幼馴染なのよ」

プッチャン「そうか、幼馴染ってのは伊達じゃねえな」

憂「和さんと人形が普通に喋ってる……! お姉ちゃん?」

香「そういえばそうね……。先にここへ走っていったのに……梓さんもいない」

和「梓なら、むぎを探しに行ったわ」

プッチャン「けっ、あのツインテールは要注意だぜ」

シンディ「…………好み……?」

プッチャン「バカ言ってんじゃねえ!」メラッ

シンディ「ソ、ソーリィ」アセアセ

香「ま、そのうち来るでしょう」サッサッサー

りの「わぁー、和泉さんの包丁さばき、いつみても凄いねぇ~」

香「これくらい当然よぉ~」フフン

憂「~♪」サッサッサー

シンディ「グレート」

憂「えへへ」

香「奏さまに褒めてもらうんだからぁ!」メラメラ

みなも「チョコも入れようよー!」

シンディ「ナイス、アイディーア」

和「あら……?」

りの「あ、和さんにはみなもちゃんのこと紹介していませんでしたね」

みなも「6期生、桂聖奈の妹、桂みなもで~す!」

憂「6期生?」

プッチャン「早い話が、会長や聖奈、シンディが高校三年生の1期生。ソイツは中学1年生ってことだ」

和「なるほど」

憂「みなもさん、今までどこへ行っていたんですか?」

みなも「みなもねー! 果物採ってきたよ! ジャジャーン!!」

憂「わぁ……」

香「げげっ!」

みなも「トゲトゲしてて運ぶの大変だったよ~!」

プッチャン「おい、これは……」

りの「プッチャン、私、この果物見たことないよぉ」

香「ドリアンじゃないの! 元あった場所へ置いてきなさい!」ギャー

みなみ「えー、お願い! 今度はちゃんと世話するからぁ!」

香「ダメよ! あんた、この前もそういって仔犬を拾ってきて、結局私が世話をすることに――って、
  なにやらせんのよ!」

プッチャン「小動物拾ってきた設定のドラマかよ」

シンディ「ワンダフル」

香「拾ってきたのは仔犬でわんわんワンダフルって、やかましいわ!」

みなも「きゃはは」

りの「お腹空いちゃった~」

憂「~♪」サッサッサー

和「唯はどこへ行ったのかしら」




???「……!」

シュッ


梓「あれ? 誰かがいると思ったんだけど……?」

「まぁ、そうですか」

梓「あ……いた」




奏「えぇ、楽しい生活を送っているわ」

紬「楽しそうな仲間ですね」ニコニコ

奏「とても、恵まれました」

紬「……」




梓「出るタイミングを外したなぁ……」コソコソ


???「……」




奏「奈々穂さんと出会うまでは、諦めていました」

紬「……」

奏「こんな生活を送ること。普通の人生を、歩いていくことに」

紬「……」




梓「しまった……。退散しよう」


???「……」チャキン




奏「力なんて欲しくは無かった」

紬「……」




梓「力……?」


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最終更新:2012年07月12日 21:54